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【コラム】大統領を口汚くののしる子供たち(下)

 どうしてこのようになってしまったのだろうか。まず、親たちが信じ、子供たちを任せている教育現場に問題がある。全国教職員労働組合(全教組)に所属する一部の教師らは、狂牛病にかかった牛と、今にも死んでしまいそうな患者の動画を見せた。それが事実かどうか検証することもなく、児童・生徒に恐怖心を与え、「大統領はああいう牛を輸入しようとしている」と教えた。小学生を保護者の同意もなしに貸し切りバスに乗せ、デモ現場に連れて行った小学校もあった。ろうそく集会を称賛する詩を高校3年生の生徒たちに聞かせる教師がいたかと思うと、生徒会長を呼び「教師より生徒会が主軸になり、(米国産牛輸入)反対集会をしたほうが、影響力が大きいのでは」とろうそく集会への参加をあおった教師もいた。

 真実とデマが混在するインターネットの世界に、無防備な子供たちをさらしていることも問題だ。あちこちのサイトには「MB(李明博)が大統領になったから、小学生は8時間、中学生は11時間、土曜日も授業、中高生の髪型の自由もなくなるだろう」というデマが広がっている。もちろん、「李明博アウト」と叫ぶ「一部の大人」がまき散らしているのだ。

 若者に人気の芸能人による的外れな「情熱」も、子供たちに悪影響を与えた。彼らは自身のミニホームページで「(李明博大統領は、人の意見を)聞こうとしない耳は切ってしまい、強い所信が持てない頭や心臓はえぐり取ってしまってほしい」「(米国産牛肉を食べるくらいなら) 青酸カリを口の中に入れたほうがマシ」など、刺激的な表現をためらいもなく書きつづった。

 ある公共機関が主催した作文大会の審査を担当した識者は、「“李明博大統領”ではなく、“2MB”(“李”と“2”は韓国語で発音が同じ、“MB”は“明博”のイニシャル)と書いた小学生があまりにも多くて驚いた」と話す。

 ことの善悪がつかない子供たちが芳名録に大統領をののしる文を書く動画をネットに流した当事者は、「一部の保守系メディアが児童・生徒を政治的に利用している」と主張している。まさに「盗人猛々しい」とはこのことだ。だが、市民に「鶏小屋ツアー(デモに参加し、一時的に警察に連行されること)」を勧めながら自分たちは宗教施設に立てこもっている人々に、正しい道理を望むこと自体が無理なのかもしれない。

社会部=趙正薫(チョ・ジョンフン)次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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