「北の代弁人」に転落した日本の左派知識人
【新刊】韓相一(ハン・サンイル)著『知識人の傲慢と偏見』(キパラン)
1977年4月に日本の月刊誌『世界』に掲載されたインタビュー記事において、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)元主席はこのように語っていた。同誌は、まるで金日成のための宣伝の場を提供しているように見えた。
日本の代表的出版社である岩波書店が1946年に創刊した月刊誌『世界』は、「日本の進歩的知識人の公論の場」という賛辞を受けてた。日本の軍国主義的価値を否認し、自由と民主、良心と人権を追求した『世界』は、華麗な執筆陣と極めて強い影響力を誇っていた。
しかし、国民大政治外交学科の教授として長年の間『世界』を購読してきた著者は、この雑誌を体系的に分析した末、次のような結論を打ち出した。「韓半島問題に関する限り、『世界』は北朝鮮の代弁誌に他ならなかった。その偏向した論調は、結果的に、韓・日両民族の和解にとって少しも助けにはならなかった」
『世界』は、1970年代から80年代にかけて持続的に金日成元主席をインタビューし親北朝鮮的な記事を書く反面、韓国に対しては極端に神経症的な態度を見せた。1972年から16年間にわたり連載された「韓国からの通信」は、現在翰林大学の碩座教授を務めている池明観(チ・ミョングァン)が、「TK生」というペンネームで韓国の暴圧的政治状況について暴露した記録だ。韓国において経済的自立と政治的民主化という近代的プロジェクトが進行していたまさにその時期、日本の左派知識人たちは、この企画連載を通じ韓国の近代化の否定的側面ばかりを取り上げ、「内政干渉」レベルの批判を浴びせかけた、と著者は語る。
こうした日本の左派知識人には、最低限の徳目である「事実確認」と「実証的態度」が欠如しており、実体と経験に全く根拠を置かないまま「北朝鮮=善」という単純な論理をそのまま表に出していた、と本書は指摘する。それは、知識人自身の感情を満足させるための虚勢と自己欺瞞の結果だった、というわけだ。
兪碩在(ユ・ソクジェ)記者
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