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【韓国製の虚実①】国産カメラ付き携帯の部品7割が「米日製品」

 今年5月、京畿(キョンギ)道・果川(クァチョン)に位置している繊維会社「コーロン」の本社ビル9階にある研究室。新事業開発室のアン・テファン博士チームは、新しいビジネスチャンスを見出すため、最新のカメラ付き携帯電話の部品を細かく分解してみたところ、非常に驚いた。200個余に及ぶ携帯電話部品のうち、高級部品はすべて外国製であったためだ。

 CDMA通信チップはクアルコム(Qualcomm)社製、カメラのイメージセンサーは米オムニビジョン社製、着信メロディの音源は日本ヤマハ社製などなど。アン博士は「世界最高といわれる韓国携帯電話産業の実態がこんなものだとは思わなかった」とした。

 代表的な国内輸出製品である携帯電話に使われた外国製部品の割合は平均40~60%。カメラ付き携帯電話のような最新製品の場合は、輸入部品の割合が70%を上回る。

 例えば、「64和音」のように立体音の着信メロディが鳴る携帯電話には、100%日本ヤマハ社製品を使うという。

 昨年、韓国企業は外国から中核のIT(情報技術)部品を購入する費用だけで227億ドル(約27兆2400億ウォン)を費やした。これは携帯電話輸出額(93.2億ドル)の2.4倍、全体IT輸出額(464億ドル)の48.9%に当たる。

 コア部品の海外依存度が高いのは、“メードイ塔Rリア(Made in Korea)”商品にとって最大の脅威とされている。

▲部品、素材、機器の海外依存度の高さ=今年、サムスン電子のDLPプロジェクションテレビは、ベストバイ(Best Buy)など米国の家電製品売場でソニーを追い越すなど、米国の高級テレビ市場に旋風を巻き起こしている。

 しかし、そのコア部品は米TI(Texas Instruments)から輸入して調達している。また、米国市場で人気を集めている韓国デジタルテレビの場合、その殆どが国内家電メーカーが米テラロジック社から中核チップを調達している。

 90年代半ば以来世界舞台を席巻してきたメモリーとディスプレー、半導体産業では、産業規模と対等な装備産業をそのまま海外に奪われている。

 メモリー半導体の場合、1ライン当たりの投資費用(1兆5000億~2兆ウォン)の70%以上が日本製装備の購入に使われている。また、TFT-LCD(超薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)の製造機器も輸入品の割合が70%を越える。

 このため、日本の半導体機器メーカーの東京エレクトロンとウエハメーカの信越社は、昨年韓国で6000億ウォン以上の売上高を達成した。

 半導体専門家の慶熙(キョンヒ)・物理学科の張震(チャン・ジン)教授は、「コア技術のない抜け殻のような輸出はいずれ問題になるはず」と警告した。

▲選択と集中が必要=部品、素材、機器の海外依存への批判に対する反論も根強い。

 パンテック(Pantech)の李成揆(イ・ソンギュ)社長は「携帯電話市場でコア部品はクアルコム(Qualcomm)やインテルなど2~3社が握っているため、それ以外の企業の競争条件は同一だ。このため開発スピードと集中力がより重要」と主張した。

 部品を組み立て、消費者のニーズに応える製品を適時に発売できるかどうか、がより重要になるというものだ。また、内需市場だけでは部品・素材に投資しにくい韓国経済の規模も勘案する必要があるという指摘も出ている。

 しかし韓国経済が所得2万ドル時代に跳躍するためには、部品、素材、機器分野は「必ず越えねばならない山」ということには異見がない。

 例えば、トヨタ自動車は「デンソー(Denso)」という世界的な部品専門会社が同時に成長し、世界最強の自動車メーカーに浮上した。

 また、米国の半導体産業はメモリー分野を韓国と台湾に押されたものの、非メモリー分野と通信分野、半導体市場では依然“聖域”を構築している。

 超一流企業の間で21世紀の最大のキーワードとなるのは、次世代部品および素材の開発だ。

 インテルやソニー、デュポン、メルク(Merck)、HP(ヒューレッド・パッカード)など、世界トップ企業はバイオチップ、ナノメモリー、カメラモジュールなど、次世代のコア部品および素材の開発に拍車をかけている。“カネにならない”コア部品および素材を独占していても超一流という地位は守れないという意味だ。

 ソウル市立大学・半導体工学科の朴ギョンワン教授は「今のままだと、10年後にはグローバル市場で中国に押され、韓国企業が立つ瀬を失いかねない」とし、「必ず必要な部品・素材技術を集中的に開発する新たな戦略作りが急務」とした。

禹炳賢(ウ・ビョンヒョン)記者

シン・ドンフン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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