【社説】漢字の読み書きができないことは自慢ではない
この夏休み、多くの大学で外部講師による漢字の特別講義が開設されたり、学生が自主的に勉強会を開いて漢字を勉強したりしているという。
これは、最近新入社員の採用試験で漢字能力を重視する企業が増えたためだ。今年の採用試験で、サムスン・LG・SKを始め37社が漢字試験を受けさせたり、漢字能力試験の合格者を優遇しているという。
韓国ではここ数十年間、政府の政策が「漢字混用」と「ハングル専用」の間で揺れ、漢字は嫌われ者となってきた。
1995年からは漢字は小・中・高校で自由授業や選択科目に転落した。漢字を一文字も読み書きできなくても、高等学校を卒業し、大学に進学するのに何の支障もないのだ。
今年の前期、ソウルのある中堅大学の文系学科の教授が、2年生と4年生の66人を対象に自分の大学の名前を漢字で書けるかどうか調べたところ、正しく書けた学生は6人で、所属学科まできちんと書けた学生はたった一人だけだったという。自分の名前を書けない学生も3人いた。
こうした状況の中で漢字ブームが起きているのは、何より企業や市場からの切実な要求があるからだ。
韓国の輸出市場に中国、台湾、シンガポールなどの中華圏と日本が占める割合は40%以上にもなる。特に中国は韓国がもっとも多く投資している国だ。また、韓国を訪れる観光客の7割を漢字文化圏の人々が占める。漢字はこれらの人々と意思疎通するためのもっとも基本的な道具だ。
こうした時代にあって、企業が「天」や「地」の字も知らない新入社員を採用したいわけがないだろう。
しかし、次世代に漢字を教えなければならない理由は決してこれだけではない。
東アジアの伝統、文化、知識は漢字を土台に形成された。その源である漢字を正しく知ってこそ、その知識の上に韓国の文化の主体性を保ち、より豊かな文化に触れ、幅広く深い思考能力を育てることができる。
漢字を知ろうとする努力が、美しい韓国語を捨てることを意味するわけではない。
韓国語の51万に及ぶ語彙のうち70%にあたる35万2000余りが純粋な漢語もしくは漢字を含む言葉だ。漢語の正確な知識がなければ、韓国語もまともに理解することもできない。漢字を無理に排除すれば韓国語の豊かな発展をかえって阻害することになる。
漢字や漢語、漢文をよく知っていることは、古くさいことでも、恥ずかしいことでもなく、自慢に思うべきことなのだ。
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