東北工程:百済・新羅も「中国史の一部」=中国社会科学院
中国政府が高句麗を中国史に含めるとした「東北工程」をめぐり、担当機関の中国社会科学院辺疆(へんきょう)史地研究センターが、公式研究書に百済と新羅の歴史も「中国史の一部」と記述していたことが3日、分かった。徐吉洙(ソ・ギルス)西江大教授(高句麗研究会理事長)によると、同センターが 2001年に出版した『古代中国高句麗歴史叢論(そうろん)』の完訳本を出す過程でこうした事実が明らかになったという。徐教授はこの本の翻訳版を『中国が書いた高句麗史』(与猶堂刊)として今週中に出版する予定だ。
『古代中国高句麗歴史叢論』は中国が百済と新羅を武力を使わず従順な国王や統治者を選んで懐柔する「羈縻(きび)政策」と呼ばれる方法で治めたと記述している。羈縻政策では周辺民族の領土を中国の行政区域に編入し、自治を認定していた。百済に対しては「(高句麗と)同様に古代中国の辺境にいた少数民族である夫余人の一部が興した政権」(275ページ)とし、新羅については「唐は(百済が滅亡した) 660年以前には羈縻政策を、それ以降には直接統治を行った」(277ページ)と記述した。また、新羅は「中国の秦の亡命者が樹立した政権」(266ページ)であり、「中国の藩属国として唐が管轄権を持っていた」(272ページ)とした。
『古代中国高句麗歴史叢論』は辺疆史地研究センターが2002年に東北工程を始動する直前、その中心人物の馬大正氏、李大龍氏ら国境問題の専門家が執筆したもので、『古代中国高句麗歴史続論』(2003)と並んで、東北工程の基本方向を定めた書籍として知られている。徐教授は「これまで中国の学会では、百済・新羅が羈縻政策下にあったとはほとんど言及されたことがなく、政治的で無理がある解釈であり、韓国の古代史全体を奪い去る根拠となった点で懸念される」と述べた。
ユ・ソクチェ記者
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