韓国家電業界でも「ミー・トゥー」戦略が浸透
サムスン電子は今月中にも、「タイムマシン機能」の付いたテレビを発売する。タイムマシン機能とは、視聴者が生放送の番組を見ている最中に席から離れなければならなくなったとき、番組を中断し、席に戻ったときに中断した場面から番組を見ることができる機能をいう。テレビに内蔵されているメモリーに番組内容が記憶され、これを再生する仕組みとなっている。サムスン電子はライバルのLG電子がサッカーワールドカップを前にタイムマシン機能の付いたテレビを発売し脚光を浴びているのを受け、自尊心を捨てて同様の製品の発売に打って出た。
このような動きはエアコンでも見られる。見た目だけではどのメーカーの製品なのか見分けがつかない。例えば200万ウォン(約23万5,000円)以上の高級スタンド型エアコン(室内などに立てかけて使用するタイプ)は、サムスン電子、LG電子、大宇電子ともに金色や赤系統の外装材を用い、似たような模様を入れている。
ライバル社のデザインを模倣する「ミー・トゥー(Me too)」方式のマーケティングが急速に広まってきている。菓子、飲料などの生活消費財から始まった「ミー・トゥー」戦略が、デジタルテレビなどの高価な家電製品、携帯電話などにも急速に広まっている。
家電業界で「ミー・トゥー」戦略が広まった背景には、韓国内の各メーカーの技術力がほぼ同じ水準になったということもある。しかし、各メーカーが莫大(ばくだい)な研究・開発投資をするよりも、ライバル社のヒット商品をまねて、たやすく金もうけしようという動きに出てきたことも否定できない。LG電子の関係者は「各社が似たような製品を発売する『ミー・トゥー』戦略は、市場を拡大する上で効果がある。先んじて製品を発売したメーカーの立場としては、似たような製品があふれることは必ずしも悪いことばかりではない」と話す。
携帯電話の場合、サムスン電子の「ブルー・ブラック・ホン」がヒットした後、黒い携帯電話が続々と登場した。最近ではスリム型の製品開発が主流となっている。ナノシルバーを使用した殺菌機能も今や洗濯機に欠かせない機能として各社の洗濯機に取り入れられている。サムスン電子が2、3年前に銀を電気分解して小さな粒子状にし、洗濯物の繊維に浸透させる技術を開発したと発表したが、これに対抗してLG電子も洗濯槽に銀をコーティングした製品を発売した。
家電業界では「ミー・トゥー」戦略に歯止めをかけるため、「ブラックボックス作戦」という新たな対応策も登場している。ライバル社にまねされるのを少しでも遅らせようというものだ。サムスン電子の李基泰(イ・ギテ)社長は「あまりにも模倣がひどいので、展示会への新製品の出展も自制するほどだ」としている。
食品・飲料分野では「ミー・トゥー」戦略に対する訴訟が相次いでいる。例えば、オリオンは昨年末、「オーワウ」を発売したが、これに対しヘテ製菓は「チョコケーキの主力製品である『オーイェス』の売り上げが、『オーワウ』のせいで減った」として、「オーワウ」の販売禁止を求める仮処分申請をした。1982年から発売されてきたヘテ製菓の「ホームランボール」は、昨年にロッテ製菓が「マイボール」を発売したことで打撃を被った。ヨーグルト「ブルガリス」がヒットしたナムヤン乳業も、似たような名前の「ブルガリア」を発売した毎日(メイル)乳業を提訴した。
サムスン経済研究所のイ・ジョンホ研究員は「製品の販売周期が短くなりつつある一方で、開発やマーケティングに掛かる費用は高騰しているため、『ミー・トゥー』戦略は最も現実的なマーケティング戦略だ。しかし独自のブランドの差別化を図る上では害毒になる」と話す。
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