行政書士 草苅信太郎事務所
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↑御用の方は、この画像をクリックしてください。
1、はじめに
・NPO法人とは(「非営利」は「利益を上げてはいけない」にあらず)
・市民活動団体がNPO法人となるメリット・デメリット
・行政書士にNPO法人設立支援を依頼するメリット
2、法人の構成員とテーマ(ミッション)の設定
・ミッションの選定(17分野)と「その他の事業」
行政書士 ・最低10人の社員(構成員)と最低4人の役員
草苅 信太郎 ・その他のルール
↑実在確認は、顔写真を
3、必要な書面の作成・請求
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してください。 ・設立認証申請書
・定款
総論〜法人運営の「道具」として
絶対的記載事項
相対的・任意的記載事項
・設立趣意書
・事業計画書と収支予算書
・その他の書面
・事前相談から認証申請へ、そして設立登記
4、現在NPO法人を運営中の方へ
・定款見直し・合併・総会議事録・毎年度提出書面について
5、料金一覧
・NPO法人設立認証申請
・NPO法人設立認証申請(学割)
・事業報告書作成
・役員変更届
・総会議事録作成
1、はじめに
NPO法人とは(「非営利」は「利益を上げてはいけない」にあらず)
NPO法人。今ではその言葉を聴いたことのない方のほうがむしろ少ないぐらいかもしれません。
でもその具体的な内容について正確にご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか。
NPO法人、より正確にいうと
「特定非営利活動法人(Non-profit organizations)」 は、法律で
定められた特定の17分野において、不特定多数の者の利益の増進の寄与することを主たる
目的として設立される法人です。
「非営利」の語感からしてあたかも「利益を上げてはいけない、あくまでボランティア活動をやる
べき」ともとられがちなのですが、そうではありません。ここでいう「非営利」とは、その法人が活
動して利益を上げた場合、その利益をその法人を構成する会員(法律上は「社員」といいます)
に分配してはいけないという意味なのです。もちろん、従業員に給料を支給しても全く問題はあ
りません。極論すると、「NPO法人がその法人の活動経費を稼ぐために株のデイトレーディング
や先物取引をやっても法には触れない」というわけです
(ただし、後述する
「主たる業務」に支障が出ないようにせねばならないとの制約
はあります)。
また、介護・福祉系の団体に多く見られるのですが、法人の主たる業務から利益があがる場合
もありえます(訪問介護やデイサービスなどを一定の料金をとって実施する場合など)。これもも
ちろんそのこと自体が法に触れることはありません。
そして、このNPOとよく混同される組織として
「NGO(非政府組織:Non-governmental
orga-
nizations)」があります。民間組織が国家の枠を超えて協力関係を築くために結成される組織で、
非営利性という点ではNPOと共通する、というよりも日本型NPO法人もNGOの一種と呼んでも
差し支えありません。ただ、日本ではNGOは国際協力関係の団体についてこう呼ばれることが
多く、また多くの場合独立の法人格を持っていません。これに対し日本型NPO法人は主に国内
で活動しており(国際活動も後述する17分野の1つにはなっていますけれど)、法人格を有して
いる点で区別できるとされています。
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市民活動団体がNPO法人となるメリット・デメリット
1、メリット
元々市民活動団体であるNPO法人も、「法人」と名が付く以上は株式会社や従来型公益法
人(社団・財団法人)と同じく、団体として自ら各種の権利・義務の主体となることができます。
つまり団体そのものが自ら、契約や所有の主体となれるのです。このことは団体をめぐる人
やもの、権利に対する責任体系を明確にする結果となりますので、そこから
相手方との信頼
関係の構築を容易にする
(例えば、海外での活動がしやすくなったり、従業員を雇いやすくな
ったりする、事務所が借りやすくなるなど)というメリットがさらに派生します。
また、団体を構成する人の顔ぶれが諸般の事情で入れ替わることが考えられますが、団体
として権利・義務の主体になっている以上は、
その構成員の顔ぶれの変化にもかかわらず団
体としての活動を継続させることができる
ということにもなります。
そして、団体の事業によっては、
この法人格がないとそもそも自分たちの団体のやろうとす
る事業ができないこともあります
(介護保険事業の指定事業者など)。
このように、「NPO法人」は、市民活動団体がその団体のなすべき事業をより有効に実施す
るために極めて有力な道具となりうるものなのです。
2、デメリット
まず、年1回の総会開催が義務付けられています。その他官公庁への届出や保険等の支払
いその他の管理についての手間がかかります。
また、NPO法人も法人税・法人住民税を納めなければなりません。そして登記その他の情報
公開の義務その他のルールにのっとった運営をする義務
も負わされています(もっとも、情報
公開義務の点についてはより積極的に自分たちの団体のことを良く知ってもらう機会だと捉え
れば、必ずしもデメリットとはいえない面もあります。またその他のルールにのっとった運営を
きちんと実行できるならば、いわゆるコンプライアンスの面からメリットとして捉えることもでき
ます)。
これらのほか、特に大きなデメリットとしてあげられるのは、志半ばにして解散
を迫られた場
合に残余財産が戻ってこない
(他の同種行為をする団体に寄贈するか、国庫に入れることに
なっています...定款で指定できますが、指定しなかった場合国庫に入ります
)ことです。最後の
点は特にご注意ください。
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行政書士にNPO法人設立支援を依頼するメリット
NPO法人の設立は、法人の構成員の方々だけでやろうとすればできなくはない行為です。
しかし実際に設立するにあたっては、法人の構成員の方々だけで定款を作ろうとしても必ずしも
その
定款が法人を運営していく上で使いやすい適切なものになるとは限りません。自分たちが
よくわからないまま作った定款の規定が原因で執行部に内紛が起こり、法人全体をまとめられな
くなって解散に追い込まれた事例さえあります。
また、実際に作ってみた定款で認証申請してみたところ、何度も補正を要求され、かつどこを
どう直せばよいのかよくわからない、挙句の果てに不認証になってしまったという事例もないでは
ありません。
そして法人成立後の運営において問題になってくる
各種の書面作成がわずらわしいというこ
ともあるかもしれません
。
そこで、法律と書類作成のプロである行政書士に定款の作成等の代行を依頼すれば、
より
使いやすい定款を備えた法人が、より確実に設立できることになるのです
。
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2、法人の構成員とテーマ(ミッション)の設定
ミッションの選定(17分野)と「その他の事業」
NPO法人をこれから作ろうと思っておられる方ならば、ほぼすべての場合に市民活動として何か
やりたいことがおありかと思います。そのやりたいことが何なのかは法人の根幹の重要な一部とな
る非常に重要なことです。それはもちろん、
NPO法人が「やりたいこと=テーマ=ミッションをより
有効に実現させるための道具」だからです。
もっとも、法律上はこうした法人のミッションについて、「法律の定める分野のどれかにあてはまる
こと」が要求されています。具体的には、以下に掲げる17の分野が定められています
(これら17の
分野のいずれかにあたるものが法律上「特定非営利活動」と呼ばれています)。
1、保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2、社会教育の推進を図る活動
3、まちづくりの推進を図る活動
4、学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
5、環境の保全を図る活動
6、災害救援活動
7、地域安全活動
8、人権の擁護又は平和の推進を図る活動
9、国際協力の活動
10、男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
11、子どもの健全育成を図る活動
12、情報化社会の発展を図る活動
13、科学技術の振興を図る活動
14、経済活動の活性化を図る活動
15、職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
16、消費者の保護を図る活動
17、以上の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
市民活動として考えられる活動は、ほとんど全ての場合において、上記17分野のいずれ
かにあたりうると考えられますが、これはこじつけ的なものでもかまいません。また、実際に
自分たちの団体がする活動が1種類であっても、
その活動が上記17分野の複数にあたる
可能性もあります
(例:
子供たちに昔の遊びを教える活動をする団体が「子どもの健全育
成を図る活動」以外に「昔の遊びは文化だ」と捉えて「学術、文化、芸術又はスポーツの振
興を図る活動」や、「昔の遊びを通してまちづくりの基底にすえるのだ」と捉えて「まちづくり
の推進を図る活動」、さらには「もっと大きく捉えると人権感覚を鍛えるスタートラインともな
りうる」ので「人権の擁護又は平和の推進を図る活動」を加えることもできるでしょう)。
なお、定款で定めることで 、
上述の17分野の活動=特定非営利活動以外の事業をす
ることも可能です。例えば特定非営利活動の資金獲得のためにフリーマーケットを主催し
たり、会員間の相互扶助のための福利厚生・共済事業などがあげられます(以下、「
そ
の他の事業」と表記)。
これらの「その他の事業」に関する会計は、特定非営利活動に係る事業に関する会計
から区別して、特別の会計として経理することになります。また、その他の事業の収益は、
特定非営利活動に係る事業に充てる必要があります。
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最低10人の社員(構成員)と最低4人の役員
何の活動をするのかがこの時点で決まりました。
次はあなたのやろうとする活動に賛同
し、一緒に法人を構成する仲間(法律上は「社員」と呼ばれています)を集めることが必要
になります。
この仲間は、最低10人を集めなければなりません。この「仲間10人を集める」ことが最
初の難関となるかと思います。
仲間になる人が具体的に誰なのかについての法律上の制
約はありません(もっとも定款(詳しくは後述します)で、社会通念上不当とはいえない範囲
での制約をすることは可能です。例:社員資格を自分たちの法人の業務の玄人に限定す
るなど)。ただ、この10人の仲間の中に親族関係のある人が多すぎると、事実上後述す
る役員の選任が困難になることになりますのでご注意ください。
仲間が10人そろったところで、法人の役員になる人を決めることになります。
役員には、法人に関する現実の業務執行や契約相手との交渉・契約締結などの対外的
代表をする「理事」と、業務のあり方や会計上の問題点を洗い出して改善のきっかけを作
る「監事」が存在します(より詳しい監事の役割は、NPO法18条各号に記載されています)。
そしてこれらの役員について法律上、各NPO法人に「理事は最低3人、監事は最低1人」
を置くことが義務付けられています(定款をもってしても「理事1人のみ」は不可です)
。
さらに役員になる人については、法律上いくつかの制約が定められています。すなわち
以下に掲げる要件にあたらない人だけが、NPO法人の役員(理事・監事ともに)になれるの
です
。
1、成年被後見人又は被保佐人
2、破産者で復権していない者
3、禁固以上の刑に処せられてその執行を終わった日又はその執行を受けることがなく
なった日から2年を経過しない者
4、NPO法(特定非営利活動推進法)やいわゆる暴対法(暴力団員による不当な行為
の防止等に関する法律)の規定に違反 したことを理由として、又は
刑法上のある犯罪
(暴行、傷害、現場助勢、凶器準備集合・結集、脅迫、背任)や暴対法上の
犯罪を犯し
たことで罰金刑
に処せられ、その執行を受けることがなくなった日から2年を経過しな
い者
5、暴力団又は暴力団の構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む)若しくは暴力団の
構成員でなくなった日から5年を経過しない者
6、設立の認証を取り消された(認証取り消しの理由は後述します)NPO法人の解散
当時の役員で、設立の認証を取り消された日から2年を経過しない者
※認証を取り消される理由としては、所轄庁の改善命令違反と強度の法令違反が
あげられます。もし詳しいことを知りたい方がおられましたら、
こちらにメールをください
(このメールの返答については無料です)。
7、近親者の就任制限
上記1〜6のすべてにあたらない人であっても、
役員のうち誰かの配偶者や3親等内
の親族は最大1人(現職の役員本人を除く)までしか就任できません。また、その配偶
者又は3親等内の親族が就任することによって、
親族だけで役員の総数の3分の1を
超えることになってはいけません。
例(1と2においては各役員間に親族関係はないものとします)
1、理事がA,B,Cの3人で監事がDのX法人について理事を1人増員。
ABCDのいずれの親族も役員にはなれません。
2、理事がE,F,G,H,Iの5人で監事がJのY法人について理事を1人増員。
EFGHIJいずれの親族も役員になれますが、さらにもう1人増員することで、
例えば
「E家」が3人になるとするとその「3人目のE家の人」は役員になれま
せん(次の増員分1人を「F家」などから出すのは可〜次に述べる例3と同じ
ことになるのです)。
3、理事がK,L,M,N,Oの5人で監事がPのZ法人を新たに設立したいが、KとL、
MとN、そしてOとPがそれぞれ夫婦である場合。
ちょっと考えると、ここで問題にしている近親者就任制限に触れるのではないか
とも思えますが、この場合は近親者就任制限に触れることはなく、この点は認
証申請にあたり問題にはされません。
もしいとこ同士(4親等です)で親密な付き合いをしているような方でしたら、この就任
制限には実はあたりません。ぜひとも役員への就任を打診されてみてはいかがでしょ
うか。
あと注意すべきは、「社員でなくても法律上役員にはなれる」という点です(定款で
この制限を付することはできますが)。ですが事実上社員以外の方に理事就任をお願い
するのは難しいことの方が多いでしょう。
さらに補足いたしますと、
役員同士でのご結婚により、この1/3ルールが破られてしま
うことがあることにはご注意ください(例:役員6人で親子1組の法人について、子である
役員と他の役員の誰かとの結婚)。
この場合も血縁関係のない方を新たに役員に迎えて1/3ルールを満たさせるか、定款を
変更すべきことになります。
8、監事については、理事・事務局職員等との兼任が禁じられています
。理事にはこうした兼任規制
はありません。
9、理事・監事の定数充足要件
設立当初において、
役員は理事・監事それぞれの定款で定めた定数を満たしていなければなり
ません
。中途での欠員については、定数の2/3以上いなければなりません。
理事・監事の欠員が
定数の1/3を上回ったときは、遅滞なく欠員を補充するか、定款を変更してこの定数充足要件が
満たされた状態にしておく必要があります。
10、このほか、役員になれることを前提として、その役員について、「役員としての報酬
」を受ける
人は、役員総数の1/3以下でないといけません
。なお、事務局の職員などを兼務している役員
は、職員としての給与を受けてもかまいませんし、交通費などは費用扱いで支出することがで
きます。
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その他のルール
NPO法人を設立するにあたっては、上述の法人を構成する仲間(社員)・役員そして法人の事業に
関するもの以外に守らなくてはならないルールがいくつかあります。
1、営利を目的としないこと。
これは冒頭にも申し上げましたとおり、役員や構成する仲間で法人が上げた利益を分配しないと
いうことでして、利益を上げること自体が禁じられているわけではないということにご注意ください。
2、宗教活動や政治活動を主たる目的とはしないこと。
「主たる目的」でなければ、宗教活動や政治活動をやってもOKです
。ただし、政治活動につい
ては、次の3が別途問題になります。
3、特定の公職の候補者若しくは公職にあるもの又は政党を推薦、支持、反対することを目的と
しないこと。
政治活動のうち、
とくに選挙に関連するものについては、一切目的とすることはできません。
4、特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、事業を行わないこと。
この点、例えば患者数の非常に少ない難病の患者を経済的・身体的に支援するNPO法人を
設立しようとするとこの要件で設立できなくなるとも思えますが、事実上患者数が少ないため受
益者が特定されてしまうような場合であっても、「誰がその難病にかかるかわからない
」という意
味ではなお不特定といえますので、この要件にあたらず認証を受けられないことにはなりません。
5、特定の政党のために利用しないこと。
選挙運動以外の政治活動については、組織票より選挙がゆがめられるようなことがないとは
いえ、例えばNPO法人がある特定の政党・政治家の集金マシン
として使われるようなことは十分
考えられます。そのようなことを防止するための制約です。
6、特定非営利活動に係る事業に支障が生じるほど「その他の事業」(収益事業も含む)を行わな
8、会計は、正規の簿記に従って行うこと。
いこと。その他の事業の会計については、特定非営利活動に係る事業の会計から区分して経理
することが必要であり、その収益は、特定非営利活動に係る事業に充てること。
これは、NPO法人が
収益事業に力を入れすぎるあまり、本来なすべき活動が全く行われてい
ない、といった事態を想定した制約です(もちろん、本来なすべき特定非営利活動が収益をあげ
ることは考えられます〜例:情報化社会の発展を図る活動を目的とするNPO法人がプログラマ
の学校を運営して月謝をとる場合や、保健、医療又は福祉の増進を図る活動を目的とするNPO
法人が有償の介護サービスを提供する場合などがこれにあたります)。
7、暴力団、暴力団又は暴力団の構成員若しくはその構成員でなくなった日から5年を経過しない者
の統制下にある団体でないこと。
NPO法人の実体が暴力団そのもの、あるいはその傘下にあるような違法・不当な行為を業とす
るような団体であることは、
その他のNPO法人に迷惑がかかることは容易に想像できることでしょ
う。
「正規の簿記」というと何か難しそうですが、おおざっぱに言って次のことが守れていればOKです
。
1、買い物等の時のレシート・領収書等をきちんと保存しておく
2、1のレシート等に基づいて
取引記録を作成する
3、2の取引記録を整理し、これに基づいて財産目録、貸借対照表、収支計算書を作成する
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