ホーム > 報道・広報 > 大臣等記者会見 > 白須農林水産事務次官記者会見概要
| 日時 | 平成20年5月12日(月曜日)14時00分~14時23分 於:本省会見室 |
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| 主な質疑事項 |
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記者
WTO(農業交渉)なのですけれども、9日に全体会合が開かれました。ファルコナーペーパーの改訂時期ですとか、あるいはそれを受けた閣僚会合の時期について、ご所見をお願いいたします。
次官
WTO農業交渉の関係でございますが、お話のとおり、5月9日の金曜日にファルコナー(農業交渉)議長主催の全体会合があったわけでございます。その時に、ファルコナー議長からこの再改訂テキストについては、5月16日の金曜日または5月19日の月曜日に発出する予定であるというふうなことと、それから出ます再改訂テキストというものは、最後ではなく、さらなる改訂が見込まれる性格のものであると、こういった発言があったわけでございます。
ファルコナー議長からは、閣僚会合の開催時期につきましては具体的な言及はなかったわけでございますが、ファルコナー議長は、ただ今申し上げました再改訂テキストの発出後に、再度農業交渉会合を行う意向であるということでございまして、その後の日程につきましては、これは議論の進展状況次第であるとこういうふうに見込まれるわけでございます。そのようなことでございますので、引き続き私どもとしても議論に積極的に参画をしまして、食料輸入国としての我が国の主張ができる限り反映されるように最大限の努力をしてまいりたいとこういうふうに考えているわけでございます。
記者
確認なのですけれども、ファルコナー議長は、その再改訂テキストは16日または19日・・・。
次官
そうです。
記者
19日以降という可能性は・・・。
次官
いや、(5月)16日金曜日または5月19日月曜日に発出する予定である、と言われたと聞いております。
記者
その関連なのですけれども、最後ではないということで再改訂後の次の、3次改訂版と言っていいのか、それが出る可能性があるというふうに農水(農林水産)省は見ていらっしゃるのですか。
次官
そういうふうに再改訂テキストは最後でなく、さらなる改訂が見込まれる性格のものである、というふうにファルコナー議長からはご発言がございまして、私どもとしては、ですからファルコナー議長が、最後の議長テキストとはならず、その後も議論を経て、さらなる改訂が見込まれる性格のものと、こういうふうに発言をされましたので、文字通り私どももそれを、そういうふうに受け取っているわけでございます。
記者
5月中にも予定されていた閣僚会合ですが、物理的に難しいということになるのですか。
次官
ですからそこのところは、ファルコナー議長から閣僚会合自体の開催時期についての言及はなかったわけです。
ただ、ファルコナー議長は再改訂テキストを発出した後に再度、農業交渉会合を行う意向であるということと、それから申し上げましたようにその後の日程は、議論の進展状況次第であると見込まれるということでございますので、具体的に今おっしゃるように5月中が無理かどうかについては、ちょっと私も今の発言からしか申し上げようがないのですけれども。
記者
その点、確認ですけれども、19日に出て、また農業交渉をやって改訂ペーパーの議論をするではないですか。そこから考えると常識的に言うと大臣が5月末に集って、物理的に難しいと一般的に思うのですけれども・・・。
次官
そこは、おっしゃっていることは私も分からないではないですが、「だからそうである」というふうに私も申し上げるだけの根拠は持ち合わせておりません。
記者
毎年輸入しているミニマム・アクセス米の関連なのですけれども、4月の入札が不調になったということなのですけれども、今後は、政府の対応、どんなふうに考えていらっしゃるのですか。
次官
おっしゃるように4月22日に実行いたしましたミニマム・アクセス米の買入入札、これはもうご案内のとおりですけれども、コメ輸出国による輸出規制が行われる中で、コメの国際価格が急騰したというふうなことが反映しまして全量が落札されなかったわけでございます。
それで、今後のまさに不落札分の取り扱いにつきましては、私どもいずれにしましても関係方面とよく協議をして検討していきたいというふうに考えております。
記者
その場合、年間のミニマム・アクセス(数量)の76万7千トンについては、今のところ買えてないわけですけれども、それは必ず買わなくてはならないものなのでしょうか。それとも状況次第によっては、買わなくても仕方がないという性格のものなのでしょうか。
次官
まさにコメのミニマム・アクセスの法的な性格については、ご案内かと思いますが、平成6年5月27日の政府統一見解(衆議院予算委員会)というのがあるわけです。それによりますと、我が国が負う法的義務の内容は、ミニマム・アクセス数量について輸入機会を提供することであるということと、コメは国家貿易品目として国が輸入を行う立場にあることから、ミニマム・アクセス機会を設定すれば、通常の場合には当該数量の輸入を行うべきものであると、こういうふうにされているわけでございます。
ただ、輸出国が凶作でもって輸出余力がないなど、客観的に輸入が困難な例外的なケースにおいては、現実に輸入される数量がミニマム・アクセス機会として設定される数量に満たなかったとしても法的義務違反が生じるものではない、とこういうふうに考えられるわけですけれども、ですからそういったことが今のところ、まさに申し上げておるような法的性格についての政府統一見解からいけば(例外的なケースとして)考えられるわけですが、今回の不落札ということを踏まえて、では具体的にミニマム・アクセスの取り扱いがどうなのかという点については、私どもとしても一方では国際約束の誠実な履行という観点があるわけでしょうし、また現在のような国際的な食料事情といった問題もあるわけですので、そういったことも踏まえて先ほど申し上げましたが、関係方面とも協議しながら、今後、適切に対応していきたいというところが現時点で申し上げられることでございます。
記者
今おっしゃった政府統一見解の中の例外に当たるかどうかというのは今後の検討と・・・。
次官
そこも含めてよく分からないですね、それは。当たるかどうかという点についても、そういうことも含めて、いずれにしても関係方面とも協議して適切に対応していく必要があるとこういうふうに考えているわけです。
記者
話は違うのですが、一部の報道でアメリカ産のクローン牛について、日本に非公式に対日輸出の打診があったという報道があったようですけれども、これについて事実関係を含めてどういう状況なんでしょうか。
次官
クローン牛の関係で、いずれにしてもこの点について農林水産省に対して米国側から体細胞クローン技術で生まれた牛などから生産した肉などの将来的な輸入を検討するよう打診されたという事実はございません。
いずれにしても、私どもとしても4月1日に、ご案内のとおり厚生労働省が、食品健康影響評価ということについて食品安全委員会に諮問をしたわけでございます。従いまして、その食品健康影響評価の検討状況というものを私どもとしては注視をしてまいりたいとこういうふうに考えております。
記者
さっきのミニマム・アクセスの例外の扱いの件ですけれども、次官としてはご本人としては例外に当たるかどうか、どういうふうに見ていらっしゃるのかお聞かせ願いますでしょうか。
次官
あの時の政府統一見解によりますと、今申し上げましたが、輸出国が凶作で輸出余力がないなど客観的に輸入が困難な状況もあり得ないわけではないと。かかる例外的なケースにおいては法的義務違反が生じるものではないと、こういうのが政府統一見解ということでございます。
私の見解ということでございますが、まさに私もよくその点は今回のそういった入札の時の具体的な数量なり価格なり、そういった点について今、統一見解にあるようなそういう例外的なケースに当たるのかどうかについても、私としてはまだちょっと判断ができかねるとこういうことでございます。
記者
いろいろな経験とか知識を蓄えた、現時点での次官の見方でいいんですけれども。
次官
あんまりこの分野、経験も知見も無いものですから申し訳ないのですが。私も今申し上げているような、全体として食料が、今まさにミニマム・アクセス米の取扱いについて、おっしゃるようにこれは国際的な約束という面もありますし、他方今のような国際穀物需給の、特にコメについてのそういうふうなちょっと異例な事態という面もあるわけですので、そういった両面を含めてしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
記者
確認ですけれども、まだ再入札するかどうかもまだ検討・・・。
次官
ですから、それも含めて検討ということです。
記者
しつこいですが、場合によっては客観的情勢今厳しいわけですから、無理矢理、結果的に買わないこともあり得るという、そういうふうな見方もできると思うのですけれども。
次官
ですから、いろいろなことを含めて関係方面と協議しながら検討するということでございます。
記者
今の関連なんですけれども、これは入札、どっちか検討しないと(平成)20年度と言いましょうか、新しい年度の入札もまだちょっと見込めないというか、まだできないとそんな感じになるのでしょうか。
次官
この間の不落札のやつは19年度のやつですから、おっしゃるように20年度のやつというのはまだこれからですから、もちろんそういった扱いをどうするかということを、当然しっかりまずは検討しなければいかんということだと思います。
記者
そうなるとあまり期間はもうそんなにないのかなという気がいたしますが。
次官
期間というか、ちょっと私いつまでにどうしなくてはいけないかということについても、まだ具体的な検討を私としてはまだ聞いておりませんので、今とりあえず、どっちにしてもこのミニマム・アクセスの取扱いについて、今申し上げたような両面を含めて適切に検討していきたいということでございます。
記者
先週末、町村官房長官がクジラに関して関係閣僚会合をやりたいというご発言があったのですけれども、どういった内容でいつ頃話し合う予定なのか。それと、IWC(国際捕鯨委員会)の総会に向けて現在の交渉状況といいますか、中間会合以後どんな進展があったのかお聞かせください。
次官
町村官房長官、ご案内かと思いますけれども、5月9日金曜日の15時15分から、来日中の豪州のスミス外相と会談をされたということで、捕鯨問題についても意見交換を行ったわけでございます。
この会談では、お互いに静かな雰囲気の中で外交的な解決を模索することを確認したというふうに聞いているわけでございまして、この記者会見で、一つには「若林大臣がどういうふうにお考えになっておられるか、その辺をよく聞かなければいけないな」というふうに官房長官の方からお話があったということでございますが、まだ具体的に私どもそういった関係閣僚間での対応策については、詳細をまだ聞いておりませんので、いずれにしても内閣官房から大臣の方に連絡があるのではないかというふうに考えております。
それから、今年のIWCの総会に向けての検討ということについては、まだ部内での検討をしておる段階かというふうに考えておりまして、現在どういう方向で、どういう内容で検討しておるかということについてはちょっとまだ発表できる段階のものを私まだ持ち合わせておりませんので、追ってまたそういう機会があろうかと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
記者
FAO(国際連合食糧農業機関)の事務局長の来日について、スケジュールの見通し及び特に農水部門としての対応をちょっとお聞かせください。
次官
FAOのディウフ事務局長が、今月の15日から2日間来日されるということでございます。これについて、私ども承知をいたしております。それで、現在農林水産大臣にも会談の申し入れがございまして、この日程等につきまして調整中ということでございます。
なお、農林水産大臣との会談ということでございますが、今月末に、一つには横浜で開催されます第4回アフリカ開発会議(TICADIV)ですか、それと、6月にFAO本部で、ローマで開催される「世界の食料安全保障及び気候変動とバイオエネルギーがもたらす課題についてのハイレベル会合」、それから、7月に洞爺湖でG8のサミットが開催されるわけでございますが、こういった国際会議でまさにテーマとして採り上げられることが想定される、この世界的な食糧問題、まあこういうことについての意見交換が行われることになるのではないかと、こういうふうに考えております。
記者
日本側として、具体的にその事務局長と、こういうふうなことで、あるいは提言をしたいと、こういうふうな意見交換をしたいとか、より具体的なテーマとかありますか。
次官
まさに現在そういった中身を含めて、大臣とは、会談の申し入れもございますので、日程等を含めて調整中ということでございます。
内容的には、今申し上げたような世界的な食糧問題についての意見交換が行われるのではないかというふうに考えているわけでございまして、どういうテーマであるかということについては、ちょっと具体的な日程なり何なりのリリースが行われるとすればその中で行われるのではないかと思っております。
記者
先ほどの調査捕鯨の関係ですけれども、官房長官が会見の中で、「日本も何もしないわけにはいかない」とはっきりおっしゃっていたと思うのですけれども、もちろん捕鯨の権利はあるとして、何らかの日本としての見直しがやはり必要だと次官はお考えでしょうか。
次官
ですから、申し上げておりますように、今年のIWCの総会が、6月だと思いますが、それに向けて、まさに、昨年来、それからこの間も中間会合といいますか、いろいろな意見交換の場も、国際的に、私どももそれなりに、それぞれ、まさに、IWCの正常化に向けて努力をいたしているわけでございます。
ですから、もちろん今後のそういったIWCが正常化して、国際的にきちんとした形で、おっしゃっているように、もちろん調査捕鯨の権利は条約上もあるわけでございますが、こういうことについて、しかし一方では、そのIWCそのものが、きちんとした正常な形で機能しておらないという現実、そういうふうに私どもは捉えているわけですので、そういったことについて、正常化に向けて様々な努力をこれまでもしているわけでございますが、引き続いて、IWCの総会に向けて、さらにどういうことを総会でも主張するのか、あるいはそれに向けて、さらにどういうことが今後必要なのかということについては現在検討中ということでございますので、IWCのもちろん総会までには、そういった我が方の対処方針なり、どういう方向でやるかということについても、お話する機会があるのではないかというふうに思っております。
記者
IWCで何らかの、その見直しとかがあれば、その場で言うということですか。
次官
見直しがあるかどうかというのは、やはり一方には現在のIWCについての見方というのがそれぞれありまして、反捕鯨国と、私どものようにきちんとした科学的な根拠に基づいて資源の持続的利用を図りながら商業捕鯨の再開に向けて努力をしている国と、大きく二つあるわけですから。
そうしますと、今おっしゃっているIWCにおける見直しということについても、それぞれ見直す必要はないという国と、私どもやはり正常化に受けては、今の様な、きちんとした議論がなかなかIWCの場でできないということについて、やはりそれなりの見直しをすべきではないかというふうなことも、ずっと、前回の時も申し上げてますし、そういうふうに言っている国と、必ずしも大きな意見の一致が見られないわけでございますので、今おっしゃっているその見直しがあればという点については、なかなか、そこのところは、見直しをできるように、私どもとしては、次の総会に向けて努力をまさにしているわけでございます。
以上