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2008-11-11

英語に圧倒的に一人勝ちする7つの言い回し

英語というのはぼくはほとんど喋れないのだが、ぼくの友人に英語に圧倒的に一人勝ちしている人がいる。

彼は、なんでも行く先々で「お前はおれが会った日本人の中で一番英語が上手いな」といつも言われるのだそうだ。

しかし彼の英語は、確かに威勢と度胸は良いのだが、単語をそんなに知っているわけでもないし、発音だって日本語英語丸出しだ。彼自身もそれを自覚していて、だからなんで自分がそんなに上手い上手いと言われるのか、長いあいだ疑問だったのだそうである。


そんなある時、この日も初めて出会った人に「お前の英語は最高だな」と言われたもので、とうとうなんでそう思うのかを聞いてみた。すると、その答がふるっていた。

なんでも、彼の英語は、聞けば一発で日本人と分かるたどたどしいものなのに、実に気持ち良くコミュニケーションできるのだそうである。

その人に言わせると「日本人というのは、英語が分からないとたいていはにかんだような笑顔でふんふんと頷いているだけだから、全くコミュニケーションが成り立たない。そして、これまでその手の日本人にあまりにも多く会ってきたから、逆にペラペラ喋れる日本人に会うと、今度はもうそいつは日本人じゃないと思うようになってしまった。だから、日本人だと認識させつつ、なおかつ英語も上手いと感じさせたのは、お前が一番」なのだそうである。


さて、そんなふうに「日本人の中で最も英語が上手い」という称号を何度ももらった彼が、外国人(主にアメリカ人)に英語が上手いと言わせる秘訣と言うか、これを使えば上手に思われるという「言い回し」をいくつか教えてくれたので、それをここに紹介したい。

彼に言わせると、英語に自信のない人も、これらの言い回しさえ使えば(それもできるだけ多用すれば)それだけでもう、一発で外国人から英語が上手いと思われ、コミュニケーションが円滑にはかれるようになるとのことであった。


外国人に英語が上手いと思われる7つの言い回し


その1「probably」

まずはこの「probably」なのだそうである。これを「yes」か「no」の前に持ってくる。「yes」か「no」と返事をしなければならない時、前に「probably」を持ってきて、「probably yes」とか「probably no」と答えるようにするのだそうだ。

するとこれが、外国人には大受けなのだそうである。これを言うと、「おっ」という感じでこちらを向き直るらしい。それから嬉しそうにニヤッとするのだそうである。そうして、何か中国拳法の老師が活きの良い弟子候補の若者を見つけた時のような、「こやつなかなかやりよるわい」というような顔をするのだそうだ。

この「probably」というのは「多分」とか「おそらく」という意味である。そうして日本人は、なぜかあまりこの「probably」を使わないらしい。

アメリカ人は、日本人というのはもともと表現の曖昧な人種で、感情をあまり表に出さないものと思い込んでいる。しかしその割には、この「probably」を使う人が少ないので、ちょっとしっくり来ないのだそうだ。

おそらく多くの日本人は「郷に入れば郷に従え」で、外国人と話す時は曖昧な表現はなるべく避けようと心懸けているのだろう。だから、「probably」を使わないようにしているのだと思うのだが、しかしそれが外国人にはしっくり来ないと言うか、ちょっと物足りないのだそうである。

そうした時に、「probably」を威風堂々と使う日本人が現れると、「おっ、これぞおれの想像していた日本人だ」ということで、ちょっと嬉しくなるのだそうである。

だから、外国に行ったらもう遠慮することなく「probably」をバンバン使うと良いらしい。外国人受け良いことこの上ないのだそうだ。


その2「that's why」

2つめはこの「that's why」だ。

外国人が日本人と話してて一番困るのは、「理由を話さない」ところだという。いわゆる「阿吽の呼吸」を求めるところだ。これが、外国人にとっては日本人とコミュニケーションをはかる時の大きな障壁となっているのだという。

そうした時に「that's why」と聞くと、もうそれだけで嬉しくなってしまうのだそうである。それは砂漠にオアシスで、「おれが求めていたコミュニケーションはまさにこれだったのだ!」という気持ちにさせられ、大いに心を開いてくれるのだという。そうして、どのホールのグリーンにはガラガラヘビが出るから気をつけろといった、他の人には絶対に話さないようなレアな情報まで、なんでもペラペラ教えてくれるのだということだ。

だから、外国人相手にはとにかくこの「that's why」を多用して、自分がなぜそう思うのか、その理由をしつこいくらいに説明した方が良いのだそうである。外国人には、日本人だったらちょっとくどいかなと思うくらい噛み砕いて話すのがちょうど良いのだそうだ。


その3「yap」

これは2つ目と矛盾するのだが、日本人はとにかく返事が「yes」か「no」の二択しかなく、つまらないのだそうである。その中間と言うか、どっちとも言えるノリの良い返事がない。四角四面で杓子定規だ。面白味も何もない。

外国人も、時にはノリとか面白味を求めるのである。そうして、会話にもっとリズム感というか、ノっていけるグルーヴ感を求めている。だから、折角こっちが気持ち良く会話を進めているのに、かしこまって「yes」とか「no」とか答えられると、それだけで興をそがれてしまうのだそうだ。

ところが、そんなところで「yap」なんていうノリの良い返事をもらえると、地獄に仏、闇夜に灯火で、ありがたいと拝みたいような気持ちにさえさせられるのだという。そうして、会話もどんどん楽しくなってくるから、どんどん心を開いて、どんどんうち解けてくれるのだそうだ。

だから、外国人がなんか英語で勢いよくバーッと喋ってるなと思ったら、とりあえずは「yes」でも「no」でもなく、「yap」と答えておくのが得策だということだ。それだけで、外国人のあなたに対する好意のバロメーターは鰻登りに上昇すること請け合いなのだそうである。


その4「you mean」

これは「その2」の裏返しのことなのだが、とにかく日本人は理解してないくせになんでも理解した振りをするのだそうである。そしてそれが非常に厄介だということだ。

例えば頼み事をしたら、「Yes, OK」とか言ってニコニコと笑ってる。だからすっかり理解してくれたのだろうと思って暢気にかまえていると、いつまで経っても何もしてくれない。だから、痺れを切らして「どうしてさっきのことをしてくれないのだ?」と聞くと、また「Yes, OK」と言ってニコニコ微笑んでる。それでようやく、これはどうも変だぞということに気がついて、よくよく問い質してみると、さっきの言葉は実はちっとも通じてなかったというのがこの段階になってハッキリするのだ。

だから、外国人は日本人に対して「分からないなら分からないとハッキリ言ってほしい」と思っている。それを、分からないことは恥だと思ってこちらの気持ちを忖度し、結局ディスコミュニケーションになるいうのが一番困るのだという。外国人にとっては、通じなかったというのは恥でもなんでもないから、その時は遠慮なく尋ね返してほしいのだ。

そうした時に「you mean」から始まって会話の内容を尋ね返されると、もうそれだけでこいつは信用に足るやつだと、嬉しくなるのだそうである。こいつとはコミュニケーションが成り立つということで、普通なら無理かと思われた融資も二つ返事で引き受けてくれるようになるらしい。

とにかく、彼らは日本人の知ったかぶりに閉口してるから、「you mean」と一々聞き返してくれる日本人が現れたら、それだけでもう決済が通ったかのような気分にさせられるのだということだ。


その5「said so」

外国人、特にアメリカ人は、日本人はとにかく秘密主義で、自分のことを語ろうとしないところに大きな不信感を抱いている。とりわけ自分の交友関係を隠したがるところが嫌いらしい。

そのため、日本人は信用ならないやつだと常々憤懣やるかたない思いを抱え込んでいるのだけれども、そうしたところに自らの人間関係をオープンに、それもさりげなく伝えてくれる人と出会うと、掃き溜めに鶴ではないが、何か神々しく輝いて見えるのだそうだ。とても開けっぴろげな人間で、親しみやすく、またつき合いやすいと思うのだそうである。

そういうキャラクターを演出するのにもってこいなのが、この「said so」という言い回しなのだそうだ。前に付くのはなんでも良い。「My mother said so」でも、「My dog said so」でも、とにかく「誰かが何かを言っていたぜ」というのが会話の中に盛り込まれていれば、それだけで「ああ、こいつはコミュニケーション能力があるやつなんだな、信じても良いんだね」と好意的に受け取ってもらえ、それ以降の会話がとてもスムーズに進行するのだということだ。


その6「you know」

次は「you know」。これは純粋なテクニックなのだが、この言い回しを上手に使いこなす日本人はほとんどいないそうである。

意味は違うが、これは日本語で言うところの「マジで?」に当たるようなものだという。日本人が、「マジで?」という言い回しの使い方が上手い外国人がいたら感心するように、外国人も、「you know」の使い方が上手い日本人がいたらとても感心するのだそうだ。

「you know」は、だいたい話し始めに枕詞のように使うのがミソだ。その後に付くのはなんでも良いのだそうである。「You know, this is a pen」でも「You know, no one I think is in my tree」でも、とにかくなんでも良い。

これさえ使いこなせるようになれれば、それだけでもう、日本人だからということでなめられたりはしなくなる。一定の敬意を持って、立派な大人として、あるいは紳士として遇してもらえるようになるのだそうだ。


その7「holy Kansas!」

最後は、友人の使ってる裏技中の裏技を教えてもらった。

英語には、「holy」の後に何か言葉を付けて、驚いた時の言い回しによく使うのだそうである。最もポピュラーなのは「Holy shit」だろうし、あるいは「Holy Jesus」も有名だろう。

だけど、これはあまりお行儀が良くないいわゆる隠語の類で、人前では使ってはいけないという建前があるらしい。特に子供が使ったりすると、うるさ型のご婦人からたしなめられたりするし、フォーマルな場所で使えば、大人でも皆から眉をひそめられる。

それでも、あまりにも一般的な言葉なので、つい驚くと人は「Holy……」と言いかけてしまうのだそうである。しかしそこで言ってはいけないというのを思い出して、その後に何か違う言葉を持ってきてごまかすというのが、アメリカでは生活のそこここでよく見かける微笑ましいシーンらしいのだ。

それは、関西人で言うなら「このドア(ホ)……を開けっ放しにしたらあかんよ」といったような感じだろうか。とにかくこの「Holy」の後に何か違った言葉を持ってくると、それだけでちょっとユーモラスなシーンを演出することができるのだそうである。

そこで知人は、よく驚いた時の表現に「Holy Kansas」という言葉を使っていたのだそうだ。なぜ「Kansas」なのかと言えば、「Jesus」と語呂が似ていたから使っただけらしいのだが、しかしアメリカ人には、その語呂の似ているという感覚はほとんど通じなかったらしい。だから、これを言うとたいてい「どうしてKansasなんだ?」と聞かれたらしいのだけれど、そういう時に友人は、いつでも「今ネットでこれが流行ってるんだ」とかなんとか言って、ごまかしてたのだそうである。しかしそういうふうにごまかすと、たいてい「そうなのか、君は物知りだね、勉強になったよ!」とありがたがられたらしいから、友人が交流してきた人のあいだでは、もしかしたら今でもひそっりとこの「Holy Kansas」が息づいているかも知れないとのことであった。


まとめ

以上が、友人が外国人と英語で話す時によく使う言い回しなのだそうである。そうして、友人はこれらの言葉を使うだけで、英語に圧倒的に一人勝ちしてきた。

だから、英語に取り込まれそうな未来がもし来るようなことがあるのだとしたら、これらの言葉を使うようにすると良いだろう。それだけでもう、一人一人の個別具体的な個々人が、英語に圧倒的に一人勝ちするという豊穣で豊かな日本の未来が――日本語の夜明けが――そこここに開けてくるのだから。


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