ゾンビ(1977)
DAWN OF THE DEAD
監督・脚本 ジョージ・A・ロメロ
特別ホラー映画が好きなわけでもないが、この映画に関してはホントすごい影響を受けていると思う。
話の内容はタイトル自体が表しているようにゾンビに関する映画だ。
それがなぜこんなに病みつきになってしまうのだろう。
何度ともなくこの映画を見ているとだんだんと気が付いてくるが
この映画はゾンビに汚染された世界の中での人間の欲望ををストレートに表現している映画だと思う。
主な登場人物は4人
ピーター 黒人。ゾンビ3部作では黒人がリーダー的存在として登場する。ビルの突入部隊にいたので
警察関係者だろう。突入したビルでロジャーと知り合い、ヘリでの脱出に誘われる。
兄弟が現役の野球選手。祖父がブードゥー教の司祭。
ロジャー ピーターと同じく突入部隊所属。友人のスティーブンに誘われてヘリ脱出に参加。バツ1らしい。
スティーブン
テレビ局の交通情報のアナウンサー。中継用ヘリコプターを操縦する。
フラニーとは恋人関係
フラニー テレビ局のスタッフでバツ1。妊娠4ヶ月(スティーブンの子)。
ヘリでフィラデルフィアから脱出した4人はあてもなくさまよい、ゾンビの徘徊するショッピングセンターに着陸する。
店の入り口をふさぎ、店内にいるゾンビを全滅させるとそこは、欲しいものがなんでもそろっている楽園。
つかの間の安らぎを手に入れる。
しかしそれも長くは続かなかった。略奪グループがショッピングセンターに目を付け戦いを挑んできた。
それからショッピングセンター内で繰り広げられる人間同士のみにくい争い。
ゾンビも店内に入り込み三つ巴の戦い。
生き残った者は夜明け(DAWN)の空へヘリで飛び立って行く。
そして争いが終わったあとのショッピングセンターは
なにごともなかったかのようにもとのゾンビの徘徊する姿に戻る。
ゾンビは動きが遅く、知能もないので人間の力があれば楽にゾンビを制することができただろう。
だがゾンビは増え続けていった。その要因は人間の欲にある。
映画の中でも牧師さんが「冷静に対処していればこんなことにはならなかった」と言っている。
この映画の魅力とは、
・だれでも一度はやってみたいと思うだろうショッピングセンターでの物欲を満たした生活
・ゾンビより怖いのは人間である
ということだと思う。
だからホラー映画としてみれば怖くもないし、きっと退屈するであろう。
実際この映画を見た友達はつまらないと言っていた。
もう一つこの映画の魅力として音楽(サウンドトラック)がある。
音楽担当の「ゴブリン」はダリオ・アルジェント監督の『サスペリア』などでも起用されているインストバンドである。
間違いなく「ゴブリン」を引き込んだのはこの映画に参加したダリオ・アルジェント監督であろう。
ホラー映画にそぐわない軽快な明るい音楽が流れます。これがインパクト大。ある意味変とも言える。
ラストでピーターが自殺を思いとどまり生きることを決意したときの音楽は
特攻野郎Aチームを彷彿させるような音楽で、ダサかっこいい極みであると思います。
この「ゾンビ」という映画はまさに
ロメロの脚本演出、トム・サビーニの特殊メイク、アルジェントの隠し味、そしてゴブリンの音楽
究極のコラボレーションが生み出したホラー映画の傑作である。
ぜひ一度ご覧になって下さい。きっと退屈することでしょう。