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第3回 「音楽」について言いきる
坂本龍一が読者のギモンにお答えするコーナー。 今回のテーマは「音楽」。作曲におけるオリジナリティ、音楽という学問について、教授は何を思っているのか? まとめ=有吉正大(本誌)
Photo by Jamandfix
作曲の95%は、過去の遺産を糧にしています。作曲家自身の“発明”は、せいぜい1、2%程度で、最大でも5%といったところ。作曲の大部分は過去の作品の引用です。 だから、音楽にかんする知識がなかったら、作曲なんかできるはずがない。言葉を知らなければ小説を書けないのとおなじです。ボーっとしているだけで何かがわいてくるということは幻想です。 世界を大きく変えるほどの、たとえばバッハやドビュッシーなみの天才は、それこそ300年にひとり出るか出ないかというところでしょう。 ビートルズの音楽だって、引用です。黒人音楽、ミュージカルやポピュラー系の音楽、ロックンロール、さまざまな要素がうまくミックスされている。それをキレイにスタイリングしたのが、プロデューサーのジョージ・マーティンだったということです。 ぼくはビートルズには、オリジナリティよりも、豊かな蓄積をかんじます。 学問は作曲に役立たない
それから、学問と作曲は、まったくちがうものです。
音楽の学問というものもありますが、じっさいに作曲するときには役に立たない。 学問としての音楽は、定義づけだったり、ネーミングだったり、ジャンル分けだったり……音楽を理解するための方法なんです。最初にそれをやった人ではなく、あとの人が“あとづけ”として体系化したものだから、いざ作曲に用いようとしても、役立たないことのほうが多いのです。 作曲に知識は必要! |
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