面接突破大作戦
国家U種に特に役立つ面接試験の心得
はじめに
著者は、2年前、某省の総合出先機関の採用面接試験委員を務めた者です。女子の採用が特に厳しく、是非採用したいなと個人的に感じた人たちが沢山不採用になりました。本当に一生懸命に面接に臨んでいる姿に接して、しかし、採用枠の関係やその他の理由からそのような受験生を採用できないことを大変残念に思いましたが、同時に、「君が不採用になったのは、実力のせいではなく、運が悪かっただけだよ。縁がなかったんだね」と声をかけてやりたくなった人が多くいました。
しかし、優秀な受験生がいる一方で、就職難という状況にあることを百も承知でありながら、何と準備不足の受験生が多いことか。或いは、準備不足以前の問題とでもいうべきもの、例えば、履歴書や面接カードにやたらと誤字が多い人や自分で書いたことを十分説明できない人もいます。このような人は、恐らく運も逃げていってしまいます。難しい筆記試験に合格しているのですから、それなりの知性と教養はあるものと考えられるのですが、自分の能力を十分どころか少しも発揮できないまま面接試験が終わってしまう人もいるのです。
また、相当に能力があり魅力的だなと感じられる人でも、いま一つアッピールするところがなく合格に及ばない人もいます。逆に、知的な水準が高く性格的にも問題なしと見られる人でも、「合格しても、本当にここに就職してくれるのかな、試しに試験を受けに来ただけではないか」と誤解されて(誤解でなければ問題はないのでしょうが)、不採用になってしまう人もいます。
そこで、本書では、自分の人生を大きく左右する就職の面接試験において、読者の皆さんが自分の能力をフルに発揮できるように、面接試験の基本的な心得を紹介します。試験の心得というと、ありきたりのものを想像される人も多いかと思いますが、本書で紹介することは、実際の面接試験の現場において取材したものを中心に構成しており、その意味では、本書は真に役立つ実践書だと自負しています。
また、本書を読み進んでもらえばお分かり頂けると思いますが、本書では、暗記の要素を極力排除し、皆さんが自分で考えることを強く求めています。面接試験を真近にした暗記中心の勉強(準備)ではあまり役にたたないどころか、却ってマイナスの結果を及ぼすこともあります。本書を何度か読み直して、著者の言いたいことが何なのかということをよく考えて下さい。もちろん、本書に書いてあることで納得できないこともあると思います。そのような際には、納得できない理由を考え、また、自分なりの考えを追及してみて下さい。そのような訓練こそが自分を高めるものだと信じます。
そういう訳で、本書は単に「面接試験の実践的指導書」という性格以外に、皆さんが社会人となるに当たっての「考えるヒントを与える本」という要素も有していると考えています。
いずれにしても、皆さんの合格の朗報をお祈りしております。
<目次>
1.笑顔が大切(第一印象の重要性を認識せよ)
2.やってはいけない7つのミス
(1) 履歴書や面接カードの誤字はあなたの知性を物語る (2) 履歴書や面接カードに書いたことを説明できないようでは責任感が怪しまれる (3) 得意な学科の欄に高校や中学の教科を書くな (4) 「最近関心のある事柄は」と問われて、テレビの受け売りはするな (5) 「学生時代に一生懸命やったことは」と問われて、アルバイトやクラブ活動の話をするときの注意事項 (6) 最もオーソドックスな質問(何故公務員を志望するのか)に対する最もありきたりな応答 (7) 相手から視線をそらすな
3.どのように答えてよいか分からない質問
(1) 公務員のスキャンダルについて質問された場合 (2) 役所の統廃合について質問された場合 (3) 消費税の引き上げについて質問された場合 (4) あなたの長所はと聞かれた場合
4.やっておくべき事前準備
(1) 受験先(役所)の組織機構と仕事の内容 (2) 受験先(役所)の最近数年間の採用人数(男女別内訳) (3) 採用後の転勤状況 (4) 面接試験官
5.ハンディを魅力に変えよ
(1) 筆記試験の成績に自信がない人 (2) 出身大学の知名度が低いと思っている人 (3) 容姿に自信がない人 (4) 民間会社を辞めて受験した人 (5) 年齢が高い人 (6) 口下手であると思っている人
6.長所を長所として生かすには
(1) ネームヴァリューのある大学出身の人 (2) 美男美女の人 (3) ボランティア活動等に積極的な優しい人 (4) 明朗で愛想がいい人 (5) 頭脳が明晰な人
7.合否を分けるポイント
(1) 本気であること (2) 一緒に働きたいと思わせる魅力を持つこと (3) 協調性があり、組織に溶け込めること (4) 青年らしい素直さと初々しさを有していること
8.面接で質問されそうな今年のトピックスに対する対応
(1) ホンコン返還 (2) インターネット (3) ビッグバン (4) 役所の組織改革(大蔵省の銀行検査監督権の分離、日銀法改正) (5) 特殊法人の民営化 (6) 公務員の倫理問題 (7) ペルーの人質 (8) 消費税の引き上げ (9) 為替・株価 (10) たまごっちの流行 (11) テレビ番組の「ふたりっこ」 (12) クローン羊・クローン猿
9.自分にとっての就職とは何かを考える
(1) 就職とは何か (2) 譲れない条件を考える (3) 公務員に向いている人 (4) 能力や希望だけでは夢は叶わぬ
10.そこが知りたい
(1) 試験官によって、採点結果が大きく異なることはないのか (2) 理科系の学生が、行政事務の資格で受験することは不利か (3) 服装が面接試験に影響するのか (4) 掛け持ち受験の場合、ウソは許されないのか (5) 公務員になっても直ぐに転職する人はいないのか (6) 実際の公務員の生活振りはどんなものなのか (7) 私は本当に公務員に向いているのか
おわりに
1.笑顔が大切(第一印象の重要性を認識せよ) それでは皆さん、早速面接試験をどう征服するかについて考察しましょう。
第1章では、第一印象の大切さについて皆さんに理解してもらいます。面接を受けるに当たっては、こういった第一印象の要素以外にも重要なことが沢山あり、それらは第2章以下で触れますが、しかし、先ずは、試験官に良い印象を与えることが先決です。これは必要条件と理解して下さい。如何に筆記試験の成績がよくても如何に美人であっても、第一印象が悪いと、合格には及びません。
よく考えてみてください。面接の試験官は、通常は受験生と初対面の筈です(勿論、役所訪問等で、事前に面談した人が試験官になっている場合もあるでしょうが)。そして、面接の時間は通常15分程度(どんなに長くても30分)です。ですから、最初に面接会場に入り、会釈をし、自己紹介をする最初の初期対応がとても重要となります。それにつまずくと時間的にも挽回することは大変になります。例えば、100メートル競争でスタートを失敗するとレースに勝てないのと似ています。
それでは、どうすれば良い第一印象を与えることができるか。それは「失礼します」とドアを開け、数名の試験官と目があったとき、自然に微笑むことだと思います。しかし、これは頭で理解するのは容易ですが、実行するのは人によってはとても難しいかも知れません。また、人によっては自然にできてしまうかも知れません。要するに、自然に笑顔を見せることができるかは、その人のそれまでの人生経験や生活環境が反映されるのです。心豊かに育った人にとっては、この第1章は敢えてマスターする必要もないくらいです。
しかし、大方の受験生は、受験戦争や核家族化の影響で、心を豊かにするという教育が不足しているかも知れませんし、また、面接試験の当日は回りにいる競争相手の受験生をみて闘志が湧いていることでしょうから、自然の笑顔が出てこないかも知れません。ですから、この笑顔の大切さは普段から心得ておく必要があります。また、自然に笑顔がでるということは、面接試験に役に立だけではなく、その後の社会人人生を送るに当たって、決定的な役割を果たすものです。
私がこのようなことを言うと、「そうかも知れないけれど、男なのに微笑むというのも照れ臭い」という反応があるかも知れません。そういう人は無理して微笑もうとしてはいけません。何よりも自然に出てくる笑顔が大切であるのです。作り笑いは、すぐ分かります。照れ臭いという人は、無理に微笑む必要はありませんが、その代わり決して暗い印象を与えないように心かけて下さい。心から「よろしくお願いします」と言って、試験官に視線を向けるようにすればよいと思います。決して視線をそらせてはいけません。まっすぐに見るのは恥ずかしいという人がいるかも知れませんが、面接は自分をさらけ出し自分の良さを試験官に分かってもらう手段なのです。そのためには相手を見る(視線をそらさない)ことが極めて重要なのです。「目は口ほどにものを言う」という教えは誰でも知っている筈です。
ところで、私が面接をした人の中で、「好きな言葉は」という趣旨の質問に対し、「笑顔和語」という言葉が好きですと答えた受験生がいました。その受験生は「微笑みかけることで、相手に心の安らぎを与えることができるという意味です」というような趣旨のことを試験官に話してくれました。しかし、その受験生は極めて緊張した表情でそのように答えるものですから、この人は頭で理解していても本当にその言葉の持つ意味を実際の人生経験でどれほど体験しているのだろうかと感じたものです。
さて、それではどうしたら自然な笑顔を身につけることができるでしょうか。そのためには、自分の回りを良く見てください。割と誰からも好かれるタイプの人がいると思います。そのような人気のある人をあなたも好きかどうかを先ず考えてみて下さい。そして、あなたもその人が好きだとしたら、どういうところが好きなのかをよく考えてみて下さい。
こういう例が適当かどうかは分かりませんが、例えば、CMによくでるタレントさんの代表格として、女性ですと、小泉今日子と西田ひかるがいます。二人とも子供から大人まで幅広い人気を誇っています。二人とも笑顔がとてもチャーミングで、見ている人に優しさを与えるように見えます。男性ですと、所ジョージさんでしょうか。この人も嫌味を感じさせるところがありません。
笑顔とか微笑みは、そうしようと思って表われるものではありません。自然の無意識の表現なのです。そして、それは、相手のことを思いやる心の表現であるのです。ですから、相手の表情に微笑みを感じとった人は、相手が自分の敵ではなく、自分のことに気を掛けてくれていることを本能的に感じとるのです。
自分の顔が自然に微笑むようになるのは、実は大変なことなのです。自分の回りの人たちに対する優しい思いやりの気持ちと心のゆとりが常に必要になるからです。しかし、これだけのことが分かっただけでも、相当の進歩だと思います。
就職試験で(特に苦戦が予想される人は)大変でしょうが、そのような場合にでも、家族や自分の回りのことに気を向けてみて下さい。また、学校や試験場に行く途中の道端に咲いた草花や小鳥たちのことを思ってみて下さい。きっと心が和やかになって、少しでも自然で優しい表情が出るようになると思います。
おまけの話 その1 水商売の女性は愛想が売り物です。これは、私の知り合いで、銀座でバニーガールをやっていた人の話ですが、彼女いわく「私は、お母さんから言われたの。難しいことが起ったり、どうしていいかわからないときは、相手を見てにっこり笑うようにと。そしたら、どんな怖い人でも優しくしてくれるって」
たかだかバニーガールをやっているような人の言うことを聞けるかなどと、ゆめゆめ思っては行けません。水商売の人たちは愛想だけが最大の武器のプロなのです。普段難しい本などは読んでいなくても、人の気持ちを読むのは商売なのですから(尤も、そういう才能が全くないバニーさんがいることも否定しませんが)。
2.やってはいけない7つのミス (1)履歴書や面接カードの誤字はあなたの知性と誠意を物語る
あなたは自然な微笑みを浮かべ、自己紹介が済みました。いよいよ面接が佳境に入っていきます。試験官があなたの履歴書や面接カードを読んでいます。ところがどうしたことでしょう。試験官が変な顔をしています。その試験官はあなたの書いた面接カードに幾つかの誤字を見つけたようです。それだけじゃなく、「字が汚なすぎるな」と感じているのかも知れません。
このような状況でスタートする面接のその後の展開を、あなたは、どのように想像しますか。こういった場面での、(予想される)受験生の言い分と試験官側の見方を次に挙げてみます。あなたが、もっともだと思う考えを選んでみて下さい。
受験生の言い分 試験官側の見方 別に、漢字を知らない訳ではないのです。うっかりしたミスです。 特に難しい漢字を間違えるなら仕様がないが、中学生程度の漢字を間違えると、それも何度も間違えると、知的水準が疑われるね。 誤字があったり、書き方が少し雑に見えるかもしれませんが、担当の方に急いで書くように言われものですから。時間があれば奇麗に書けたのですが。 履歴書とか、面接カードとかに書くことは当然予想される内容なのであるから、少しくらい前もって考えている筈じゃないの。だったら、誤字を書くことも当然少ないと思うのだけど。 日本語は、26文字で全て表現できる英語と違って、沢山の漢字を覚える必要があるので、辞書なしで文章を作成する場合に字を間違えるのは仕方がないでしょう。 就職難で大変なことは百も承知の筈なのに、如何にも雑な文章を見せられると、甘えているとしか考えられない。 面接は、直接会って話をするのが目的である。その際面接カード等を書くのは話のきっかけ作りに過ぎないのだから、誤字等があっても気にすることはないのではないか。 字がへたなのは許せる。しかし、字がへたなのと雑に書いたのは違う。少し読めば直ぐ分かる。 字が奇麗でも、中味が伴わないと意味がないでしょ。 字の上手へたで採用しようとは考えていない、当然だけど。しかし、長いこと勤めていると、書類を少し見ただけでその人の能力や努力の量が推測できるよ。 如何がでしょうか。いろんな考え方があるものです。例え、少しくらい誤字があっても、面接でてきぱきと対応し好感をもたれれば、合格も十分可能だと思います。
しかし、経験から言えば、字の上手へたは、その人の能力には関係なくても、雑に見える文章は、その人の思考がよくまとまっていないことを意味する場合が多いものです。また、自信がなくて書いた文章も、自ずから分かるものです。
上に挙げた「試験官側の見方」にあるように、何も試験官側も誤字脱字を採用の基準にしようなどとは考えていないのです。しかし、試験官側には、あなたとお話しする時間が、例えば、15分程度と極めて限られているのです。その少しの時間内で合格か不合格かを判断する必要があり、そうなると、試験官側は自分の経験からくる勘を働かせることになります。結局、「こんな字を間違える受験生はたいしたことはない」、「文章も雑に書いているけど、話もよく分からないね」という評価につながりかねないのです。
ですから、本当は人並み以上の能力をもっているのだと自負している受験生は、特に誤字脱字や文章の書き方に注意を払って下さい。こんなことで不合格になったとしたらバカバカしいでしょう。
(2)履歴書や面接カードに書いたことを説明できないようでは責任感が怪しまれる
試験官は、あなたの書いた履歴書や面接カードを読んでいます。そして、あなたが経済学部であることに注目し、(事前に複数の試験官同士で話合ったとおり)大学で学んだことについて質問しようとしています。あなたは、「GNPについて勉強しました」と書いていました。
試験官 (いきなり難しい質問だと可愛そうだから、小手試しからいくか、と思いつつ)あなたは、大学でGNPのことについて勉強したとありますが、最近GNPが他の概念に代わりましたよね。ところで、先ず、GNPは何の略か言ってみてください。 受験生 えーっと。ゼネラル・ナショナル・プロダクトでしょうか。ちょっと自信がありません。 試験官 最初のGが違いますね。(と言いつつ、この人は本当にGNPのことを理解しているのだろうか。いずれにしても、自分が聞いて欲しいから敢えて書いたことじゃないのか。それについて答えられないのなら、何を聞いてあげたらいいのかな) 如何がでしょうか。あなたは、この場面についてどのように感じますか。
能力を試す意味で敢えて相当な難問をぶつけてくる試験官も当然います。しかし、15分間程度の短い面接試験において、試験官側は飾っていないあなたの姿を見てみたいと考えています。そのためには、受験生にリラックスしてもらう必要があり、「緊張する必要はないですよ」とか相手を落ち着かせる言葉をかけることもよくあるのです。
ですから、上の設例のように、最初の質問は易しいものからスタートさせることがむしろ一般的なのです。ところが、試験官の心遣いに反して、受験生はスムーズに答えることができなかった。試験官の方は「GNPは、グロス・ナショナル・プロダクトの略です」と受験生の口から出てくるのを期待し、その後の質問も当然用意していた。しかし、当然答えてくれると思った質問に間違ってしまった訳です。
あなたは今、私なら知っていますよと思っているかも知れないし、私も知らなかったので、この際覚えておきます、と思っているかも知れませんね。
しかし、ここで私が強調したいのは、そういった知識を有しているかどうかが重要なのではなく、受験生が自ら書いたことがら(「GNPについて勉強しました」)に関連した質問をされて、それに答えることができなかった事実なのです。要するに、このケースでは、失敗の原因は自分で蒔いた種にあるのです。こういうことを、役人の世界では「脇が甘い」と言います。(ここ数年公務員のスキャンダル問題が取り沙汰されていますが、簡単に物をもらったりすることも「脇が甘い」などと言いますが。)
あなたが、面接試験にパスし公務員になったとして、中央省庁に入省したり、或いは一旦地方の国の出先機関に入ったあと、中央省庁に出向したりすると、多分経験することになると思うのですが、所謂エリートと言われる役人は、自ら作成するペーパー(民間会社の企画書やレポートに相当するもの)には、自分が十分説明できない語句は敢えて使用しないものなのです。何故ならば、自分が作ったペーパーを上司に説明し決裁を仰ごうとする際、たまたま文章を格好よく見せようとおもって使った語句(例えば、英語のテクニカルターム)について上司から説明を求められ、それに対し正確に答えられない場合、その担当者は一遍で信頼を失ってしますからです。上司から質問されて答えることができない場合いつも信頼を失うという訳ではないのです。しかし、自ら知っているように振る舞っておきながら、そのことについて質問されたら、実は答えられなかったという場合は、話が全然違うのです。
如何がですか。私の言いたいことが理解してもらえたでしょうか。試験官は、そういう目でも受験生をみるのです。ですから、履歴書や面接カードを甘く見てはいけません。そういった書類に書いた事柄については、どんな質問をされても答えることができるという程度の準備も必要です。また、そういう心の準備をしておくことで、知らず知らずに自信をもって面接に応じることもできるようになるのです。
おまけの話 その2 自分が自信の持てない語句は一切使用しないという中央省庁の職場の実態をほんの少しだけ紹介しましたが、それについての功罪をもう少し探ってみましょう。
本文で私が強調したことと矛盾するのではないか、と思われる人がいるかも知れませんが、それも度が過ぎると弊害が出てきます。
例えば、ある役所が、世界の金融の動きに合わせて日本でも制度改革の動きに取り組もうとします。そのような場合、担当者が調査結果を報告書にまとめようとすると、どうしても英語の専門用語等を使わざるを得ないことが起きます。そこで有能な官吏は、可能な限り分かりやすい日本語に直すようにするか、それが不可能な場合には、分かりやすい注釈をつけるように努力します。
しかし、我が国には全く馴染みのない制度やコンセプトである場合には、注釈をつけてもどうしても理解が困難な場合があります。そういう場合に有能な吏はどう行動するか。上司が恐らく容易には理解できないであろうと思うと、そしてまた、その際十分な時間がないとすると、そういった難しい専門用語等を全く端折ってペーパーを作成してしまうのです。
しかし、このようなことが続くと、報告すべき内容を上司に対し十分説明しなかったことになり、こういうことが積もり積もって、無能な上司を作ってしまう一因にもなるのです。
(3)得意な学科の欄に高校や中学の教科を書くな
試験官は、経済学科出身であるあなたの面接カードの「得意な学科」の欄に「生物」と書いてあるのを見つけ不思議そうな顔をしています。
試験官 あなたは、近代経済学を専攻したのですよね。 受験生 はい、そうです。 試験官 得意な学科の欄に生物と書いてありますが、大学に進学しても、特別に生物学を勉強したとか、そういった類の書物を読んでいるということですか。 受験生 いや、高校のときに生物が一番面白く感じ、また、成績もよかったものですから。
ここで言いたいことは、もう分かってもらえたと思います。試験官の側から言えば、例えば、あなたが大学4年生の場合、大学でどんな勉強をしたか知りたがっているのです。余程のことがない限り、高校や中学校の教科についての得意・不得意を知りたがることはありません。
例えば、受験生が法学部の場合、この人は、公法関係が得意なのか、私法関係が得意なのか、あるいは、基礎法学が好きなのか、さらには、法学部といっても政治学が得意なのか、そういったことについて質問しようとしているのです。そのような質問に対し、いくら理屈の上では間違った答えという訳ではないにしろ、いきなり物理が得意でしたとか、漢文が得意でしたとか、と答えても相手は戸惑うばかりです。どうしても正直にお話ししたいというのであれば、例えば、「法学部に所属し、民法のうちでも親族法が得意でしたが、実は大学進学のときには理科系に進むことも考えていました。いまでも宇宙物理の話は大好きです」というような話の展開にするのが世間の「常識」だというものです。
ここで言っていることは、常識に属する事柄であって、この類の注意事項は他にもあるかも知れません。先輩たちから、面接の体験談などを可能な限り聞き出して常識はずれの失敗を探ってみるのも勉強になると思います。
それから、面接のときの異常な緊張感についても忘れないで下さい。普通だったら冷静に反応できる質問等であっても、異常に緊張している場合には、他人からみて可笑しいほどの行動をとるものです。
ですから、常に常識的な対応をすることができるためにも、緊張しすぎない工夫が必要になってくるのです。
(4)「最近関心のある事柄は」と問われて、テレビの受け売りはするな
「最近関心のある事柄は」という問いは、面接試験で常に聞かれる質問です。試験官の側では、当然のことながら、答の内容が大抵想像ができます。
例えば、2年前は、当時のフランスの核実験のことが受験生の関心事項ナンバーワンでした。そして、それについてどのように感じているかという問いに対しての答え方も大体予想できるものでした(ですから、この質問の回答内容如何によって、合格不合格の差が出たとは考えられませんが)。
その際の多くの受験生の回答振りは次のようなものでした(相当脚色しています)。
試験官 「最近関心のある事柄は」何ですか。 受験生 やっぱりフランスの核実験のことです。 試験官 (ちょっとわざとらしく)どう思うのですか。 受験生 (当然だと言わんばかりに)フランスの核実験は絶対反対です。直ぐ中止すべきだと思います。 試験官 (依然としてわざとらしく)どのような理由で反対なのですか。 受験生 (この試験官は何を聞くのだと言わんばかりに)核実験は人道にもとる行為です。日本は唯一の被爆国です。日本が反対しなくては駄目だと思います。 試験官 そうですね。日本が唯一の被爆国というのはそのとおりですね。しかし、フランスの立場に立つと、彼等にも何か言い分があるのではないでしょうか。どう思いますか。 受験生 (何か変な展開になってきたな。自分が言ったことが少し間違っているのかなと少々不安になりつつ)確かに、フランスからすれば、「アメリカなどがやったことと同じようなことをしているだけだ。実験の被害も最小限で済む筈だ」と答えるかも知れません。しかし、やっぱり反対です。 試験官 あなたはヨーロッパにおける核戦争の危機感を知っていますか。実際にヨーロッパに住むと、核の抑止力の重要性を身体で感じるかも知れませんよ。 受験生 (何か難しい話になってしまったな。でも、やっぱり反対だと思いつつ無言のまま)
どうでしょうか。私が今度は何を言いたいのか、お分かりでしょうか。
この受験生の話の内容は、井戸端会議の話であれば満点なのです。おそらく話を聞く立場の近所の人達も、テレビや新聞で同じような情報を仕入れ、フランスは核実験を止めるべきだと考えていた筈ですから。フランスにも言い分があるのだろうなどと小難しいことを言ったらたら、それこそ近所の嫌われ者になってします。
しかし、面接試験となると、話はすこし違ってきます。もちろん粋がよく愛想がよい営業マンを採用するのでしたら、上のような対応でも格別問題はないのでしょうが、公務員の採用試験では、ロジックの整合性を厳しく追及する試験官も存在するのです。
設例の受験生の答えている内容は、全くテレビ、それもワイドショウ程度の主張の域を出ていないのです。テレビ番組は、視聴者の反応(受け)を相当に意識して作成されています。その番組の作成に当たって、フランスやヨーロッパの事情に大変詳しく、冷静な議論のためには単に日本人的な発想だけでは十分でなく、ヨーロッパ的発想も紹介すべきだと主張する学者やディレクターがいたとしても、民放のワイドショウなどでは恐らく無視されるのではないでしょうか。従って、多分皆さんも覚えていると思いますが、フランスの核実験のことを報道するたびに「唯一の被爆国たる日本は」という言い回しが使われ、フランスは悪で、それに対し何の(本気の)抗議もしない日本政府も弱腰だという単純な図式が展開されていました。
その当時の受験生にしても、そういったテレビの報道は当然だと無批判に受け入れていたきらいがあります。そして、それが、面接本番でのテレビ報道の受け売りになったのかも知れません。
しかし、上に登場する試験官は、もう少しハイレベルの反応を受験生に期待したのです(日本人なら、絶対的に多数の人が核実験に反対していることを承知の上で)。
それでは、フランスの核実験に関心を有しているとして、受験生としてどのような話の展開にすればよかったのでしょうか。少なくても、試験官が自分の回答に対して普通の反応を示さないなと感じた段階(例えば、「フランスの立場に立てば、彼等にも言い分があるのではないか」と言われたとき)で、少し冷静になって、事実関係を整理しなおし、双方の言い分を評価することができたらよかったのではないかと思います。
以上のフランスの核実験などの核問題に関しては、絶対的多数の日本人が反対の立場を示す傾向があるので、こういった場合に自分独自の考えを示せと言われても大変難しいと思います。しかし、例えば消費税の引き上げの問題については、導入当初は絶対反対とする意見が大多数を占めていたのが、今日では、逆に相当の支持意見も出てきていますので、そのような問題には、しっかりと自分の考えを述べなければいけません。
いずれにしても、試験で見られているのは、賛成か反対かという結論ではなく、どのような理由付けでそう考えるのかという思考のプロセスが試されているのです。大学院の試験ではないので、全く独自の理論を展開することを受験生に求める訳ではありませんが、如何に書物やマスコミから得た知識であるとはいえ、自分の意見として述べることがとても大切です。
おまけの話 その3 上の設例で登場した試験官はちょっと要求水準が高いようでしたね。ところで、国家公務員試験の採用面接試験委員にはどのような役職者がなっているか一例を紹介しましょう。大半の中央省庁には全国のブロック単位に総合出先機関を有しており、例えば、大蔵省には出先機関として全国各地に財務局を設置していますが、そこでは局長の下の部長クラスと各部の筆頭課長クラスが面接試験委員になっていることが多いようです。
ところで、中央省庁と言えば、例えば、東京大学を卒業したエリートを思い浮かべるだろうと思うのですが、地方の出先機関で働いている人のイメージはなかなか浮かんでこない人が多いと思います。実は、地方の出先機関で所謂エリートと呼ばれるような人 は、幹部クラスにおいても限られています。従ってという訳でもありませんが、面接試験において、設例のように、論理展開の整合性を求められることが普通だとは考える必要はないかも知れません。
(5)「学生時代に一生懸命やったことは」と問われて、アルバイトやクラブ活動の話をするときの注意事項
一時期、学生時代にクラブ活動(特に運動部)をやっていたということが、就職試験に大変有利だと思われていたときがありました。ひょっとしたら今でもそうかもしれません。その理由としては、よく先輩の言うことを聞く筈だとか、組織生活に慣れているとか、或いは、クラブのキャプテンなどを務めていた人は、組織をまとめる能力を既に養っているというようなことが挙げられていたと思います。
私もそうしたことを否定するものではありませんし、確かにクラブ活動とサラリーマン生活には共通点もあると考えます。
しかし、受験生がそのこと(自分がクラブ活動を熱心にやってきたこと)をあまり意識しすぎるのは適切とは思われません。
何故ならば、実業団の野球選手にでもならない限り、学生の本分は学業にあるからです。また、今の日本の役所において、野球がうまいとかバレーボールが上手だからといって採用するところはない筈です。
飽くまでの役所側としては、あなたの知的な水準と人間的な魅力を評価しようとしているのです。その際、クラブ活動の部長等を務めたことがあるといえば、それ相応の人柄なのかなと推測される材料にはなりえます。しかし、そういった人間的魅力とか、人間の幅とかいうものは、別にクラブ活動をやってこなかった人でも持っている人は持っているのです。ですから、試験官としては、必要以上にあなたがどんなクラブ活動をやってきたかには関心を示さないと思うのです(尤も、試験官も人の子ですから、自分と同じ趣味の人がいれば、クラブ活動の話にも必要以上に耳を傾けると思いますが)。
以上のようなことに鑑みれば、面接の際に、試験官側があんまり乗ってこないのに、自分だけが思い出を楽しむかのように、或いは、若干の自慢をするかのようにクラブ活動の話を長々とするものではありません。結局、クラブ活動は、各人の好き嫌いが尊重される範疇にあるのです。
あなたの目の前に4人の試験官が座っているとして、あなたが野球部所属とします。4人のうち2人は野球好きで面白がってあなたの話を聞きます。1人はそれほど関心を示していないようです。もう1人は、どちらかというと野球が嫌いかもしれません。
要するに、クラブ活動は、趣味の問題なのです。自分を分かってもらう範囲でお話しをするのは必要なことですが、必要以上に趣味や主観の範疇に属する話題を続けるのは考えものだと思います。
アルバイトの経験が話題になることも多いと思います。アルバイトの経験も社会人になるための練習みたいな要素があるからです。それに、試験官の方も、アルバイトはつらいということを感じている人が多く、特に、学費を稼ぐためにアルバイトをやっていましたと言えば「うん、立派なやつだ」と思ってもらえる効果があるかもしれません。
しかし、実際には、アルバイトの経験が豊富といっても、「アルバイトの収入はみんなスキーに消えました」という類の話が多いことも事実です。そういう場合は、あまり正直にアルバイトの話をしても逆効果になってしまいます。
そういう訳で、クラブ活動も、アルバイトも、特別な事情がない限りは、学生にとって本業とはなりえないということです。従って、その類に話をする場合には、そういった話を聞いた試験官はどのように感じるのだろうかということを、よく考えるようにして下さい。
おまけの話 その4 今から相当前の話ですが(とは言っても戦後のことですが)、国家公務員の採用に当って、高校時代に野球をやっていたことに着目されて、採用になった人がいるとも聞いたことがあります。そう言えば、今のJR も国鉄といって、プロ野球の球団をもっていた時代があったのですよね。いずれにしても、昔は優雅だったというべきか。
(6)最もオーソドックスな質問(何故公務員を志望するのか)に対する最もありきたりな応答
公務員を志望する理由は何ですか、と聞かれたら、どのように答えますか。おそらく多くの皆さんは、「そのくらいは、ちゃんと答えられますよ」と言うかもしれませんね。では、何と答えるのでしょうか。実際にこの質問をしてみると、殆どの人が同じような答えをするのです。よくあるやり取りは次のようなものです。
試験官 公務員を志望する理由は何ですか。 受験生 (予想していた質問ですと言わんばかりに)公務員を志望する動機は、国民や社会一般のためになる仕事をしたいからです。民間企業では、どうしても利益を追及しなくてはならず、自分の考えに合わないような気がします。利益の追及だけにあくせくするのが性に合わないのです。 試験官 民間企業は、全く考えていないのですか。 受験生 ええ、全く考えていません。 試験官 (この就職難のときに、しかも、筆記試験の成績もそれほどよくないのに、よくそんな贅沢がいえるな、と思いつつ)でも、世の中のためになることなら、民間企業でも随分貢献できることもあると思いませんか。 受験生 (そんな質問は予想していなかったとばかりに、暫く沈黙) 試験官 例えばですね。郵便局と民間の輸送会社の宅配便は、どちらも遠くに荷物を運んであげることで、利用者の役に立ってますよね。ただ、郵政省(政府)が経営するか、民間企業が経営するかの違いですが。 受験生 (全く予期していなかった指摘だが、何か言おうと思い)それはそうかも知れませんが、民間企業が経営するからには、やはり利益の追及が目的です。 試験官 いや、私が言いたいのは、民間企業のしている仕事の多くは、社会一般のためになくてはならないものが多いということです。皆さんが買い物をするスーパーでもコンビニでもなくては困るものですよね。それに、役所は利益を追及しなくてもよいと言い切っていますが、それは経済学や企業会計上の「利益」を上げなくてもよいというだけで、例えば、行政改革が叫ばれるなか、各省庁が自分の省庁の存続意義を強く訴えるように、「省益」というものを追及していると思いませんか。しかも、そうした「省益」は、えてして国民の考えにそぐわないものがあるという見方もあると思いますが。 受験生 (お説教されたような気分になって、「この試験官は私が公務員になるのは向いてないとでも思っているのだろうか」と考えつつ)うーん。
如何ですか。以上のような受験生と試験官のやりとりを聞いた後でも、あなたは、公務員になりたいという自分の考えがしっかりとしたものであると言えますか。
「大丈夫です」と即座に言えるなら多いに結構です。公務員に向いているのか、民間に向いているのか、あるいはどちらにも向いているのか、さらにはどちらにも向いていないのかということは、理屈だけではなく、相性の問題もあるので、必ずしも志望する理由を理路整然と説明できなくても、結果においてはその判断が間違っていないこともある訳です。
しかし、ここは面接試験の現場です。試験官側は、あなたが公務員に向いているかどうかを聞きたいというよりも、(ということは、公務員に向いているだろうということ以外の)公務員志望の理由を聞きたいのです。そして、前述の設例で受験生は「民間企業は利益の追及を第一に考えているので、社会一般の利益にはつながりにくい」というニュアンスの答をしてしまったのです。ところが、実際の社会経済の仕組はそんな単純なものではないですよ、と試験官に指摘されてしまった。要するに、受験生が公務員を志望する理由付けにおいて、事実認識に間違いがあることを指摘されているのです。換言すれば、試験官は、受験生が公務員を志望していることに何も反対している訳ではないのです。ただその受験生が公務員になりたいと考えた理由は、事実認識に誤りがあるので適切とは言えませんよと言いたいのです。
また、前述の設例での応答振りについては、他にも大きな問題があります。その受験生は「公務員を志望する動機は、国民や社会一般のためになる仕事をしたいからです」と言っていますが、それだけでは一般的過ぎて、説得力のある答えと言えないからです。例えば、「国民や社会一般のためになる仕事」として、「予算や財政投融資計画の作成に携わるなど」とか「ゴミ問題を始めとして環境問題の克服など」とか、或いは「日本の農業政策を改革するなど」等々の具体的説明をすることが肝要なのです。よく考えてみて下さい。公務員の仕事のうち非現業の国家公務員の仕事に限ったとしても、実に様々な仕事があるのです。その全ての種類の仕事を、単に「国民や社会一般のためになるから」と言って好きになることができる人は極めて稀だとおもいます。むしろ、例えば、経済について引き続き勉強したいと思う人は、自分にとっての選択肢は経済企画庁に入ることか、民間銀行や証券会社の調査部門や研究所に入ることを考えるのであって、経済企画庁に入れなかったから文部省や気象庁に入るという人は極めて少ないと思うのです。
それでもなお、「いや、そんなことはない」と思う受験生がいるとすれば、それは本当に民間企業が性にあっていないと考える人か、或いは、職業を選ぶ基準が仕事の内容にあるというよりも「組織の安定性」だとか、「転勤の有無」だとか、「家族が皆公務員だから」とか、「年金が恵まれている(と信じている)」というような理由からではないでしょうか。まあ、そのような考え方をする人がいたとしても、それはそれでよいでしょう。ただ、例えば、公務員を志望する理由の一つに「転勤が少ないようだから」などと、勝手に思い込むと、確かに、県庁などでは比較的遠距離の転勤が少ないことは確かでしょうが、国家公務員の場合は、省庁によっては事情が違いますし、或いは同じ省庁でも採用の形態によって転勤の頻度がまちまちであるのが現状です。
ここまで言えば、言いたいことが分かってもらえたと思いますが、そもそも選択肢としての職業を「民間vs公務員」と常に峻別して考えるのが適当かどうかということです。例えば、「外交官、総合商社、外資系企業」、「通産省、メーカー」、「銀行、保険会社、大蔵省(金融畑)」、「大学院進学、経済企画庁、銀行・証券会社の調査部門」、「地元の県庁、地元の電力会社、地元の地方銀行」といったような選択肢の組み合わせを考える方が、真に自分の適性や将来のことをより具体的に考えていると思いませんか。ですから、「何が何でも公務員」というスタンスは、一途であることは理解されるとしても、世間の仕組や現実をよく認識した上で結論を出したとは思われないのではないでしょうか。
それでは、どのような内容の話であれば、試験官を納得させられるような答えになると思いますか。勿論、心にもないことは決していけませんが。次に、公務員を志望する動機として考えられるものを挙げますので、参考にして下さい。但し、適当とは思われない答え方も敢えて含まれています。自分で納得のいくまでよく考えてみて下さい。
<公務員を志望する理由として考えられるもの>
・公務員は安定している。倒産の恐れがないので安心。
・公務員は残業が殆どないところがよい。
・公務員は転勤が殆どないので、引っ越しの心配をしなくてよい。
・公務員の仕事は、法律とか経済とか学生時代に勉強したことが多いに役立つところがよい。
・公務員なら何でもよいという訳ではないが、○○省の場合には、財政や金融などの勉強にもなるので大変興味がある。
・公務員になりたいというよりも、民間企業はノルマがあって、民間は自分には性格的に向かないと思う。
・公務員にはノルマがない。
・公務員は、皆のための仕事ができる。
・公務員になれば、天下国家を論じることができる。
・公務員は生活が安定している。
・公務員の世界は、男女平等が比較的尊重されている。
・公務員になって環境問題を担当し、地球環境問題をの克服に自分も携わりたい。
・実家が農業であるが、自分は日本の農政を改革したいから。
・老人や身体障害者の人のために働きたいから。
・大学で財政学を学んだので、それを生かせると嬉しいから。
・天下りというか、退職後の再就職の面倒もみてくれるから。
・写真週刊誌で知ったのだが、公務員は安い公務員宿舎に住めるから。
・中央省庁に入れば、外国に留学や出向でいけるから。
・公務員になって、貧しい国に対する援助の仕事をしたいから。
・親が公務員で、公務員になることを進めてくれたから。
・他にこれといってなりたい職業がなかったから。
おまけの話 その5 公務員になりたい理由を聞かれて、ありきたりの回答しかできない受験生が多いことについて、筆者も少々不思議に思い、市販の面接試験の参考書を幾つか見てみました。
そうしたら、そういった参考書には、模範的な回答例として「公務員を志望する動機は、国民や社会一般のためになる仕事をしたいからです。民間企業では、どうしても利益を追及しなくてはならず、自分の考えに合わないような気がします」という趣旨のことが書いてあるのですね。そういうことだったら、ありきたりの回答をする受験生を責めても仕様がないのでしょうか。或いは、役所によっては、そのような回答振りを望んでいるのでしょうか。
皆さんもよく考えてみて下さい。
(7)相手から視線をそらすな
かなり面接の時間も過ぎてきました。最初は、受験生の方が喋ることが多かった
のですが、徐々に試験官の方が鋭い質問をしてくるようになりました。
試験官 今の日本の景気は、不景気だとよく言われていますが、秋葉原などにいくと、いつも買い物客でごった返し、駅の改札の混雑振りといったら‥。本当に不景気だと思いますか。 受験生 (うーん、ここは大手町で、中央省庁の出先機関のはずだ。昨日の霞ヶ関での面接ではあんまり専門的なことは聞かれなかったのにな、などと思いつつ) 試験官 それで、君は、今の日本の経済情勢をどのように見るかね。やっぱり不況ととらえるかね。 受験生 (そんなことを急に聞かれてもな、と若干下の方を見つめつつ、先輩たちから読んでおいた方がよいといわれた日経新聞の最近の記事内容を思い出す)経済企画庁の調査では、やっぱり経済は下降ぎみではないかと、日経新聞か何かに出ていたと思いますが。(と下を見る) 試験官 昨日の新聞に、そのように出ていたな。それは私も知っている。それで君はどう思う。 受験生 (いや、「どう思う」と言われても、まだ学生だし、実感がないから。それに、不景気になっても公務員は安定しているから受験しに来たのに)
この受験生は、臆病なのか、恥ずかしがり屋なのか理由は分かりませんが、面接の間、殆どまっすぐに試験官の顔を見ることができませんでした。質問に対する答え振りは、優秀とまではいかなくとも、特段ミスもありませんでした。筆記試験の成績は相当によい。しかし、結局合格ラインには及びません。理由はもうお分かりですね。試験官の目を見ることができないのが決定的理由でした。
日常の社会生活でも同じことが言えます。人と人が初めて出会って、互いに自己紹介をし、話を始める。そんなとき、相手が自分の方を少しも向かずに話をすれば、あなたは、本能的に落ち着かない何かを感じるのではないでしょうか。「この人は、何故人の目を見ないのだろう」、「本当はこちらのことを敬遠しているのだろうか」などといろんなことを想像してしまいます。
このような状態でどれだけ話をしても、気持ちが通じる筈はないと思います。
第一章で、「目は口ほどにものを言う」という言葉を引用しましたが、視線を相手に合わせることができない相手を、どうして仕事のパートナーとして選ぶようなところがあるでしょうか。このことは、マイナスポイントとして決定的な意味を持つものですから、少しでも心当たりのある人は、相手の視線をはずさずに話ができるように自分を作り上げる必要があります。
おまけの話 その6 話の仕方、文章の書き方に共通する大切なポイントがあります。それは分かりやすいことです。話が分かりにくいことは大いにマイナスです。文章もしかり。どんなに相手が優しい性格で、忍耐強くても、だらだらと何を言っているのか分からないと、嫌になってしますものです。
では、分かりやすい話とか、分かりやすい文章とはどんなものなのでしょうか。それは、論旨がはっきりしているということが第一の条件ですが、それ以前の問題として、主語が誰なのか、何時のことなのか、等々、所謂5W1Hがはっきり明示されていることが必要だと思います。特に、文章を書く場合には注意が必要です。
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3.どのように答えてよいか分からない質問 (1)公務員のスキャンダルについて質問された場合
公務員になろうとしているあなた、ここ数年の公務員のスキャンダルのマスコミ報道をどのように受け止めていますか。ご自分が公務員を受験する立場にあるので、少しは公務員の言い分を聞いてあげようかなと思いますか。それとも、「けしからん」と憤慨していますか。あるいはまた、「公務員だろうと、政治家だろうと、民間のサラリーマンだろうと悪い奴は悪い。しかし、いい奴もいっぱいいる」と考えていますか。
ところで、面接試験において、いきなりこのような質問をされたらどうこたえますか。受験生の皆さんからは、「公務員の試験官が、自らの恥になっているようなことを質問するのですか。冗談じゃないのですか」という反応が予想されます。しかし、試験官の中にはいろんな考え方の人がいるのです。それにこのような質問は、どのように応えたらよいものやら迷う人が多いので、面接試験の材料にはもってこいという面もあるのです。
さあ、それではまた、面接試験の現場を覗いてみましょう。
<Aさんの場合>
試験官 相変わらず公務員のスキャンダル関係の記事が報道されていますが、どのように思いますか。 Aさん 公務員のスキャンダルといってもいろいろあると思いますが‥。それに、悪いことをしているのはほんの一部の人であり、それで全体を判断するのも如何かと。(と答えて、「こんな回答振りだと、公務員の人をあまり刺激せず、無難なところかな」と勝手に納得する) 試験官 あなたは、公務員のお知り合いが多いのですか。 Aさん いいえ。いればいろいろ相談できると思っているのですが。 試験官 公務員のことを理解してもらって有難いとも思うのですが、最近のスキャンダルは一部の人だけの問題ではないとマスコミが言っています。あなたは、どうして一部の人の問題だと判断したのですか。 Aさん (えっ、折角公務員側の弁護をして上げたのに、と思いつつ)いや、いつも役所の記者会見なんかを見ていますとそんな風に言っていますので、そうだと信じていたのですが、実際には違うのですか。 試験官 いや、少なくてもここの役所は真面目だよ。安心してください。いや、ちょっとね、若い人たちの本音が知りたかったんだけど。 <Bさんの場合>
試験官 相変わらず公務員のスキャンダル関係の記事が報道されていますが、どのように思いますか。 Bさん えー、公務員の方々を目の前にして言いにくいのですが、御質問ですので、答えさせてもらいます。
やっぱり、○○省は権力を持ちすぎているのではないですかね。そうすると、どうしても権力をもっている人に擦りよってくる。その際、手ぶらとはいかないのでしょうね。
そうした権力に擦りよってくる側の人は、倫理的には問題ですけど、資本の論理から言えば、ちょっとした出費で相当のメリットを受ける訳ではないですか。
そして、権力をもっている側の人間が倫理感が欠如しているとすると、結局、擦りよってくる人の思う壺ということで、結局、スキャンダルが起こる背景には、役所に権力が集中する構造と個人の倫理感や正義感の問題があると思うのですが。試験官 君なりの冷静な分析ですね。それで、対策は何かあると思う。あったらこの際教えてもらえば有難いのですが。 Bさん えー、倫理感についてはですね、世の中全体のムードとか、世相とかも関係していると思いますので、いくら口で「引き締めます」とトップの大臣がいったところで効果は知れていると思います。
それから、権力が集中することについてはですね、許認可の権限をできる限りなくしてしまえばいいのですが、そうすると私が入る役所も必要ないということで無くなってしまうかも知れませんね。試験官 それじゃ、頭脳明晰な君にも名案はあまりないということか。 Bさん 残念ながら。 試験官 それで、君は役所のスキャンダルについて、感情的には何か感じるのかね。 Bさん いえ、別段。
<Cさんの場合>
試験官 相変わらず公務員のスキャンダル関係の記事が報道されていますが、どのように思いますか。 Cさん やっぱり良くないことだと思います。あってはならないことです。 試験官 いや、そのとおりだよね。なんだけど、再発の防止策というか、何かいい対策でもありますかね。 Cさん 今は、学生で実情が分からないものですから、公務員になったらよくその辺も勉強したいと思います。 <Dさんの場合>
試験官 相変わらず公務員のスキャンダル関係の記事が報道されていますが、どのように思いますか。 Dさん あのう、週間誌なんかで報道されている極端なケースは別にしても、あんまり厳しすぎるのもどうかと思います。やっぱり、仕事とかの関係で相手から本音を聞くことも大事なときがありますし、そうした場合相手先と食事しても駄目というのはどうなのでしょう。
それに、公務員は収入が少なすぎると思っているので、他で少しくらいもとをとっても罰は当たらないと思っているのではないですか。
私の高校の先輩の○○さんなんかは、東京大学でも有名なくらいに優秀でしかも公務員試験の成績もトップクラスですよ。いうなれば、その年代では日本を代表するくらいの頭脳を有しているわけです。それがですね、就職しても暫くは、本当に雀の涙みたいな給料ですよ。やっぱり、そこら辺も変えていかないと。試験官 いや、君の言うことは、涙が出るほど有難いね、個人的には。しかし、まあ、そんなに頭がよいのに、公務員は給料が安いこと位知らなかったのかねと言われかねないね。 Dさん そう言われればそうですけど。私は、民間企業で働いた経験があるのですが、営業成績を上げるためだったら、何でもやるみたいなところがありますからね。皆似たようなもんじゃないですかね。
しかし、本当はわたしもそんな民間の体質が合わなくて公務員を志望したんですが。
あなただったら、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4名の答え振りのうち、どれに共感するでしょうか。それとも、どれにも共感しないでしょうか。
いずれにしても、この手の質問を急にされると、多くの受験生がびっくりしてしますのではないでしょうか。人柄は良いが相当にブサイクな人から「私はブサイクでしょ」といきなり言われて、「そうですね」とも答えにくいし、さりとて、「お美しい」とも答えられないような状況に似たところがあります。「そうですね」と答えれば、相手の心を傷つけ友情にひびが入ってしまいそうだし、「美しい」とまでは言わないまでも「人並みですよ」とも言いづらい、そう言うと相手から「無理しなくても分かっているのよ」と言われそうな状況です。他の話題に替えないとマズイととっさに思うかも知れません。ところが、ここは、面接試験の現場です。受験生の方から勝手に話題を替えることは許されません。結局、受験生のあなたは、上のような答えか、或いは別の自分なりの答えか、とにかく何か返事をしなくてはならないのです。
結論からいえば、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんのいずれの答えもそれなりに通用するものだと思います。大切なことは、試験官の受け狙いで、自分の本心とあまりにもかけ離れたようなことを言わない方がよいということです。仮に、本心と違うことを喋ると、関連の質問をされたときに、戸惑ってしまい、話の論理が崩れてしまうからです。
また、こういういやな質問をするには、その試験官なりの考えがあるのでしょうから、質問を受けてもすぐに答えようとは思わず、瞬間的にでも相手の質問の意図を見抜こうとする心のゆとりが肝要です。
例えば、こういった役所のスキャンダルについて質問をしてみようかと思う試験官の意図ないし心境としては次のようなことが想像されます。
<試験官の意図・心境>
・受験生が正直かどうかを知りたい。学生であって、社会人としての経験もないのに、必 要以上に役所側を弁護するようであれば、正直に発言しているとは言い難い。
・受験生が論理的な思考能力を試したい。このように戸惑う質問に対し、どれだけ冷静に対応できるか。
・役所のスキャンダル問題に強い関心があり、若い人の考えも知りたい。
・役所側の事情をよく理解してくれているか知りたい。
いずれにしても、面接の本番ではこうした嫌な質問が当然聞かれるくらいの覚悟をしておいた方が得策だと考えます。
(2)役所の統廃合について質問された場合
それでは、戸惑う質問の第二段に移りましょう。
試験官は、行政改革、特に、中央省庁などの統廃合について聞いています。
試験官 中央省庁を整理統合しようとする動きがありますが、あなたの率直な意見が聞きたいのですが。 受験生 世の中の動きが激しいので、役所の在り方も当然見直しが必要じゃなのでしょうか。 試験官 21世紀には、中央省庁を6つにまとめてしまおうという意見もありますが、そうなると、この役所も相当バラバラにされてしまうのだが。 受験生 (ここはこの役所の立場に立った答えの方が好ましいのかな、などと迷いながら)確かに、そういう意見もあることは承知していますが、果たして今の内閣が本気なのか。多分にマスコミ向けのリップサービスではないのでしょうか。 試験官 そういう考えだということは、君はこの役所は整理の対象とはすべきでないという考えなのかね。 受験生 いや、やはり見直すべきところは素直に見直すという謙虚な態度が必要だと思います。
この設例の受験生の受け答えをどのように思いますか。好感が持てるかどうかの議論は別にして、もう既にベテランの役人みたいな受け答えをしていますね。揚げ足を取られにくい回答をしています。
では、別の面接風景を見てみましょう。
試験官 行政改革のことをちょっと聞きますよ。最近特殊法人の整理が言われているね。 受験生 (ちょっと緊張している様子で、特殊法人と言われてもピンときていない)特殊法人といいますと‥。 試験官 ○○公庫とか、○○公団とかあるでしょ。 受験生 はい。(そう言えば、○○公庫と△△公庫の統合の話があったなと思い出す) 試験官 それで、どう思うかね。具体的に廃止してもいいところがあるかね。 受験生 (まずいなーと思いつつ、でも○○公庫と△△公庫はここの役所とは特に関係がないのだろうと勝手に思い込んで)特殊法人はそれなりの役割を果たしてきた訳ですので、今のマスコミのような感情的な議論は如何かと思います。まあ、しかし、そうは言っても、○○公庫や△△公庫などは、廃止とまでは言わないまでも統合すべきかも知れませんね。 試験官 立派なご意見ですが、平凡な意見でもありますね。それじゃ、○○銀行と○○基金の統合はどうだね。 受験生 (そう言われて、○○銀行がこの役所と多いに関係があることを思い出す)○○銀行の場合の統合というのは、如何でしょうか。そういう話が出てきたのは政治家が、行政改革の目玉を作りたいという一種の演技ですから、まともな議論を経ていないのではないでしょうか。 試験官 うん、そうか、そうか。
このケースでも、受験生は(特殊法人という言葉を忘れていた割には)問題が少ない受け答えができているように思いますが、あなたはどう思いますか。但し、このような受け答えが好きかどうかは好みの問題ですから念のため。
それでは、もう一つ現場を見てみましょう。
試験官 行政改革についての最近の動きについてどのように思いますか。 受験生 行政改革については、長い歴史があります。少し前のことですと、国鉄がJRになったり、電々公社がNTTになったりしていますが、親方日の丸の気分を捨ててサービスが良くなったと言われていますから結構なことだと思います。
最近は、中央省庁の統合などという抜本的な見直しも提言されていますが、実際にはどうなるのか見当がつきません。試験官 正直だね。ところで、君がこの役所に入省した後に、どこかの役所と一緒になったりしたらどうでしょうか。 受験生 それは、国民の多数の意見がそういうことなら、仕方がないのではないでしょうか。 試験官 本当にそうかね。国民の多数の意見といったところで、マスコミの意見を鵜呑みにしているのではないのかね。行政の本当の姿を理解したら、きっとそんな意見にはならないと思うのだが。 受験生 国民がどれだけ事実を踏まえて判断しているかについては、少々疑問をもっています。 試験官 そうでしょう。 受験生 しかし、やはり役所も少しは変わる必要があるのではないでしょうか。例えば、財政の権限を金融の監督権限を併せもっていると、どうしても矛盾するような場面に遭遇することになります。 試験官 まあ、あなたがよく勉強していることは分かりましたよ。でも、いまの科白は経済学者の○○さんがテレビに出てよく言っていることだよね。
皆さん、このケースについてはどのように思いますか。受験生も相当勉強しているだけではなく、信念に近いものが感じられますね。ただ、試験官は、受験生の能力を高く評価しながらも、やや肌が合わないといった感じですね。
確かに、出来ることならばこのような面接においても、相手に好かれることに越したことはありません。しかし、相手に気に入られようという思いが強すぎると、却って気にいられない結果に終わることもよくあることです。
このケースの受験生と同じ様な対応をすれば合格するかは、何とも言えませんが、経験からいいますと、少しくらい生意気なくらいに発言する人が合格しやすい(要するに、試験官の受けが良い)というのも事実ではないでしょうか。
(3)消費税の引き上げについて質問された場合
次は、消費税の引き上げについての設例を見てもらいましょう。なお、この設例は全く架空のものです。
<消費税引き上げ論争>
試験官 ところで、君は財政学を専攻しているようだから、質問させてもらうよ。○○省は、消費税の税率引き上げにやっきになっているのは知っているよね。君の意見を聞きたいのだが、賛成かね。 受験生 いろいろ考え方はありますが、結論を言えば、上げざるを得ないを思います。 試験官 そう簡単にいうけどね、今の景気の現状だとね。消費税を5パーセントまで引き上げると、消費者の購買意欲だって相当落ち込むのじゃないかね。そうすると一段と景気が悪くなって、結局税収も思ったほどは伸びない。それどころか、今以上に不景気になれば、またぞろ景気対策やら補正予算やらを求める声が強くなって○○省にとっても困ったことになると思うが。 受験生 消費税の税率を2パーセント引き上げてもそれほど民間消費が落ち込むとは必ずしも言えません。それに2パーセントの引き上げは既に決まったことですし‥。 試験官 経緯はそうかも知れないけれど、何で消費税の引き上げにこだわるのか分からない。大体経緯論を持ち出すとしたら、消費税を導入したときの政府の説明を覚えているかね。「3パーセントの消費税と言いながら、将来は徐々に税率を引き上げていくことを考えているのではないか」と野党から質されて、「決してそのようなことはない」と大見栄を切っていたんじゃなかったのかね。 受験生 それでは益々拡大する財政赤字をどうするのですか。このまま放っておくとしたらそれこそ無責任ではないのですか。 試験官 君も元気だね。よし、この際面接試験だということは忘れて議論しようじゃないか。えーっと、どこまで話が行ったっけ。そうそう、俺だって、財政赤字を放置していいなどとは少しも思っておらん。しかし、税金にはいろんな種類があることを忘れちゃいけない。要するにだな、消費税でなく、例えば法人税を上げるようなことも考えたらどうだ。 受験生 法人税を上げるといっても、これ以上の税率にすれば、それこそ産業の空洞化が一層拍車がかかるおそれがあります。まあ、そこまでいかなくとも、国際競争力が落ちてしまいます。輸出立国の日本の企業がそうなったら悲劇です。 試験官 ○○省や与党の政治家みたいなことを言いますね。それじゃ、お聞きしますが、日本の企業は競争力がありすぎたから貿易黒字が溜まり過ぎ、それが原因でアメリカからバッシングを受けてきたのじゃなっかたのかね。だから、程度の問題ではあるが、法人税を少し位上げることは、むしろ対米関係を改善する意味でも効果があるんじゃないかね。 受験生 それは楽天的に過ぎませんか。日本は資源の輸入国なのですよ。競争力がなくなってから後でしまったと思っても遅いのですよ。 試験官 いずれにしても、財政の赤字を減らすためには、他にも方法がある筈だ。言わなくても分かっていると思うが。 受験生 支出の方も見直せ、無駄を省け、無駄な役所は統廃合しろというようなことですよね。 試験官 まあ、うちの役所は大事な役割を担っているから、大丈夫だけど、そうでない時代遅れの役所もあるから、もっと公務員の数を減らせるところもあるのじゃないか。 受験生 その辺の話になると、詳しくは分かりませんが、仮にそういうところに手をつけても大した節約にはならないと○○省が言っていましたよ。やっぱり、消費税位しか手段はないのではないかと思いますが。
如何ですか。実際の面接試験では、如何に受験生のレベルが高くても、遠慮などがあって、こんなにのびのびとした議論が起こることは殆どないと思いますが、でも、試験官によってはこんな議論を期待する人も多いと思います。相手の言い分を全く聴かず、自分の考えだけを主張するのは論外ですが、相手の意見を聴きつつ、自分の意見を述べるのであれば、いくら相手と意見が異なっても歓迎されることの方が多いと思います。
ですから、皆さんも、無理する必要ありませんが、面接試験においても、遠慮は禁物と思って下さい。
(4)あなたの長所はと聞かれた場合
どのように答えてよいか分からない質問の最後は、「あなたの長所は」です。
「自分の長所について答えるのは、ちゃんと準備しているから難しいことではないですよ」という人も多いかと思いますが、実際人間は自分についてどれくらい客観的に見つめることができるのでしょうか。また、自分の長所について語る場合には、自慢話しにならないように工夫することも必要です。それでは先ず、面接現場を覗いてみましょう。
<Aさんの場合>
試験官 ところで、あなたは自分の性格や能力についてどう思いますか。あなたの長所について話して下さい。 Aさん はい。自分は、ややおとなしく見られがちですが、意志は強い方で、忍耐力も相当にあるではないかと思っております。実は、大学受験には最初失敗して一浪しましたが、まあ、なんとか予備校にも休まず通い志望校に受かることができました。大学では、ラグビー部に入りまして、レギュラーメンバーにはなれませんでしたけど、どうにか4年まで続けてきました。そういうのも、やっぱり、忍耐力があったからなのかなと思います。 試験官 友達付き合いとかは、どうですか。 Aさん はい。ラグビー部に入っていたこともあり、友達は多いかなと思います。 試験官 友達とどこかに遊びに行くときなど、或いは何か企画するときなど、あなたはリーダー的な存在になる方ですか。それとも、皆の意見に従う方ですか。 Aさん あんまり仕切るタイプではありません。何となく皆とワイワイやっている方かなと思います。
<Bさんの場合>
試験官 あなたは自分の性格や能力についてどう思いますか。あなたの長所について話して下さい。(と言った後、すごく積極的な女性だなと感じる) Bさん (ここは、準備していたとおり、自分が如何に公務員に向いているかを売り込まなくちゃと思いつつ)自分の性格は、必ずしもよくはわかりませんが、自分では地道にコツコツと励むタイプだと考えています。ですから、就職を考えるにあたっても、民間企業には向かないんじゃないかと考え、公務員を受験しました。 試験官 Bさん、お見受けするところでは、大変頭もよさそうだし、「コツコツ」というよりも「バリバリ」とか「テキパキ」という印象を受けるのですが。友達からもそう言われませんか。 Bさん 見かけはどうか分かりませんが、自分の性格はおとなしい方ですし、派手なところもありませんので公務員に向いているのだと思います。
公務員の世界は、商社とか都市銀行などとは基本的に違うと思うのですね。特にこちらのような中央省庁の出先機関の場合には、やはり地道な仕事をしていらっしゃる訳ですから。
<Cさんの場合>
試験官 あなたが長所と考えるところを教えてください。 Cさん (自分の長所なんて考えたことはないなと思いつつ)えー、長所ですか。人に比べて優れているということですよね。自分の性格は、普通かなと思っていたのですが。 試験官 今は面接試験なんだから、もっと自己アッピールしなくてもいいのかい。それじゃ、君の短所は何だね。 Cさん 短所というよりも、小学校時代から先生や先輩に怒られた経験は多かったような気がします。「まじめにやりなさい」とよく怒られました。 試験官 (やや呆れて)何でおこられていたのですか。 Cさん 人を笑わすのが趣味でしたので、試験のときや入学式のとき、周りの者を笑わして怒られていました。 試験官 皆は、君のことをどう思っていたのかね。 Cさん よく「モノマネやってみろ」と言われていました。 試験官 それじゃ、皆君が公務員なんかになったら驚くだろう。 Cさん 私も驚きます。
設例のAさん、Bさん、Cさんそれぞれ違った雰囲気の答え振りですね。皆さん、既に何かを感じとられていると思いますが、もう一度よく見てみましょう。
先ず、Aさんですが、運動部出身の真面目そうな人柄が感じられます。長所として挙げることができるのが忍耐力だけでは必ずしも十分でないかも知れませんが、忍耐力があるという理由に、自分が浪人したことや運動部に所属していたことなどを挙げており、その点話しが分かりやすくなっているので、マアマアの答え振りだと思います。
次にBさんですが、自己PRをしようとして無理をしてしまったという感じです。B さんは何も自分が頭がよいとか、人気があるとかを自慢した訳ではなく、自分は地味であると言ったことが、却ってわざとらしく聞こえてしまいました。また、受験先の役所についても、「地道な仕事をしているところ」と勝手に決めつけているところが、好感が持てません。
Cさんは、本当に受験しに来たのかなという印象を与えてしまうところがあります。しかし、その点を除けば、Cさんは、直接的に表現することはしなかったものの、過去の失敗談などを紹介することを通して自分というものを印象付けることに成功しているとも言えます。
まとめとして、「自分の長所」を語るときに参考にして欲しい事柄を挙げておきます。
<参考材料>
・人間は、通常、他人の自慢話しには興味を示さない。少しくらいだったら、聞いてもいいが、2度も3度もでは、相手にされない。
・人間は、通常、自分の自慢話しを他人に聞かせたい。
・「長所について話して下さい」などと言われるのは、長い人生のうちで、面接試験の時ぐらいのものだ。
・「自分の欠点について気がついていないのか」ということは、長い人生でしばしば言われることである。
・人間は、通常、他人の失敗談を聞くのが好きだ。2度でも3度でもよい。
・人間は、通常、自分の失敗を他人に知られたくない。
・面接試験において、長所を述べよとは言っても、自慢話しをしろとはいっていない。
・長所といえるためには、自分がそのように信じているからというだけでは駄目で、そう言える具体的根拠が必要。例えば、単に「自分はリーダーシップがあると思います」と いうのと「自分は地元のボランティアの会長をやっており、リーダーシップがあると思います」というのでは、説得力が違う。
・自分の自慢などする奴は信じられない(自分でも自慢などしない)という風土が日本にはある。
・面接試験で自分の長所を述べるのは、自己分析をどれだけ客観的に行えるかをアッピールするものと考えた方がよい。
・自分の長所を直接述べるのが恥ずかしい人は、「友達からはこう言われることが多いで す」という言い方にすれば、少しは喋れる。
・民間と役所では、「自分の長所を述べよ」という質問でも、評価基準が異なっている可能性がある。民間ではバイタリティのある営業職員を採用するためには、自己PRがうまい人を本気で探しているが、役所の世界ではそういったことに大きな価値は認めないことが多い(これから先は分からないが)。
・いずれにしろ、話しは具体的な方が聞いてもらいやすい。
・長所について語るときでも、同時に短所についており混ぜるとバランスがとれる。
おまけの話 その7 最近では「支持する政党はどこですか」などという質問は考えられないのでしょうが、20年位前に、民間会社の面接試験で「支持する政党はどこですか」という質問をされた経験を持っています。
これは、さしずめ、当時の「どのように答えてよいか分からない質問」だと思います。それはさておき、どのように答えたかというと「答えずらい質問ですね。○○党と 言うと、あまりにも現状肯定的で、学生らしくないと思われそうですし、××党ですと過激に見えそうですし、それど、政治学の先生が言っていたのですが、『面接試験で聞かれたら、△△党くらいが無難でいいぞ』と言っていたのを思い出しました。しかし、 正直言いまして、△△党は好きではありません。現在の○○党を支持してはいませ が、主義主張としては自由主義の思想を支持します」と答えた思いでがあります。
試験官も笑っていましたけれど。
4.やっておくべき事前準備 (1)受験先(役所)の組織機構と仕事の内容
それでは、次に面接試験の前にこれだけはチェックする必要があると思われるものを説明しましょう。
先ずは、自分が受験しようとする役所がどういうことをやっているかを事前によく調べることです。そう言うと「そんなの当然じゃないですか」と言われるかも知れませんが、現実には事前のチェックが十分でない人も多いのです。ちょっと考えてみて下さい。
民間企業に就職する人の場合、それは、(役所ではなく)民間企業ならどこでもよいという人はまずいないのであって、通常は、○○銀行とか、○○商事とか、○○損保を志望したところ、それが民間企業であるという訳です。ですから、必然的に、面接試験を受けるということは、その特定の会社に入社したいと思っている訳です。で、入社したいと思うからには、ある程度はその会社のことを知っているということです。
一方、公務員になりたいという人の場合には、外交官になるとか、科学技術庁の研究者になるとか、経済企画庁のエコノミストになるとか、そういった具体的な仕事の中味に着目して特定の省庁を選択している人もいるのですが、圧倒的多数の人は、「入省(或いは入局)希望の役所は一応あるけど、贅沢もいえないだろうから、絶対に向かないと思うところ以外だったら、どこでも入りますよ」という考えなのではないでしょうか。そして、実際二種の筆記試験合格者のところには、特に考えていなかった省庁などからも「面接に来ませんか」というお誘いがある訳です。そうなると、殆ど具体的には何にも分からないで面接を受けるケースも多くなるのです。そういう事情もありますので、受験先の役所のことを事前によくチェックした方がよいですよと念のために注意を喚起しているのです。
ところで、受験先の役所のことを調べるのは、本当は面接試験の直前ではなく、公務員を志望するかどうかを決めるときに行って欲しいものです。まあ、何らかの事情でそれが無理な場合には、面接試験の直前でも止むを得ませんが、必ずチェックが必要です。
では、どんなことをチェックすればよいのでしょう。最低限これだけはチェックして欲しいと思われるものを挙げます。
<具体的な仕事内容>
どんな内容の仕事をするところか分からなければ、自分が向いているかさえ判断できません。役所の名称からある程度仕事の内容が想像のつく役所もありますが、そうでないところもあります。
どうやって調べるのが一番効率的かと言えば、各役所の人事課でパンフレットを作成しているので、それをもらうのが一番。
また、役所を訪問したり電話などで仕事の内容を問い合わせても、通常は親切に教えてもらえる筈です。ただ、注意すべきは、仕事の内容が幅広い役所があり、そのような役所に就職した場合には、予想していない仕事の担当になることも多いということです(但し、最初に担当した仕事が、その後もずーっと続くことはないと思いますが)。
<役所の組織機構 >
中央省庁の場合には、受験先の役所の組織がどのようになっているか、人員規模がどのようになっているかは割に分かりやすい筈です。一方、地方にある出先機関の場合には、中央とどのような関係になっているのか、また、全国に幾つくらい同じような出先機関があるのか等々今まで知らなかったようなことが多い筈です。ですから、よくチェックする必要があると思います。
なお、当然のことながら、役所の組織機構と仕事の内容はセットにして覚えておくことが肝要です。
おまけの話 その8 最近の就職案内用のパンフレットは少しはお洒落になってきているようですが、役所は本来、そういった広報活動にはあまり力を入れていませんでした。こういうと、「最近はインターネットのホームページも開設しているし、捨てたものでもないのでは」との反応もあるかと思いますが、例えば、アメリカ政府やアメリカ大使館などがパソコン通信やインターネットを通じて発信している情報の量や質と比べてみても、やはり、相当の遅れを感じざるをえません。否、インターネットを本気で活用しようと考えているのだろうかと疑いたくなるような事例さえあります。
それはそれとして、公務員とか役所というと、地味で堅実(面白味がない)というイ メージに結び付きがちですが、従来役所の作成するパンフレットというのは、案の定、大変に地味なものでした。ところが、いつのころからか、一部の役所で、如何にもプロがデザインを担当しましたと言わんばかりの色彩感覚が優れたパンフレットが登場する ようになりました。皆さん、どうしてだか分かりますか。それは、国民に是非とも分 かって欲しいという切なる願いが込められるようになったからです。どんなものかと言 えば、税制改革や財政改革を訴える、大蔵省のキャンペーン用のパンフレットがその一 つです。
本気になれば何でもできるのですね。ただ、役所に限った話ではありませんが、「らしからぬこと」をやる場合には、要注意だということが分かるのではないでしょうか。
(2)受験先(役所)の最近数年間の採用人数(男女別内訳)
受験先(役所)の最近数年間の採用人数(男女別内訳)については、面接試験の前にできればチェックしておいた方が望ましいと思われます。(但し、これをチェックしているかどうかで合否が分かれる程のことはないと思われますが)
ある役所に就職したいと決心し、面接試験を受ける段階になれば、採用予定者の数が1人であれ10人であれ、人数には関係なくただベストを尽くすだけのことです。しかし、それはそうとしても、自分の筆記試験の成績や自分の能力に応じた、実際に採用してくれそうな役所を探し出すことも現実問題として大変重要なことです。また、例えば、女性の受験者にとっては、受験先の過去の女性の採用状況を調べてみることがとても重要になります。特に、過去の女性の採用者が全くないようなところでは、(男女平等の議論は別にするとして)今年もそうなのか、或いは、今年は若干は採用されそうなのかを確認(予想)しなければ、無駄な時間を費やすことにもなりませんから。ただ、役所は建て前の世界でもあるので、いきなり女性は採用するのですかと聞いてもノーコメントかも知れません。しかし、それとなく去年は何人女性が採用されたか、また、仕事の内容は女性向きのものが少ないのか等々役所の担当者に聞いてみると、女性を積極的に採用したいと考えているのか、そうでないのか位分かる筈だと思います。
というようなことで、過去の採用人数を役所の担当者に事前に聞いておくことが重要なのです。
(3)採用後の転勤状況
採用後の長い役人生活で転勤が多いかどうかは、役所によって大きく異なります。例えば、中央省庁では、地方に出先機関を有しているところは、当然転勤の確率が高くなり、そうでないところは、(地方公共団体に出向する場合を除いて)転勤の確率は少なくなると思います。
一方、地方の出先機関で採用される人は、基本的には、その出先機関の管内での勤務となることが多いと思いますが、親元の中央省庁に出向になる機会もあります。
いずれにしても、役所によって転勤の実態は相当差がありますので、このようなことについても事前に役所の担当者に確認しておくことをお勧めします。
「どこにでも転勤が可能です」という人は問題ないでしょうが、東京での勤務を希望する人、地元から離れたくない人、或いは逆に転勤が多い方がいい人、いろんな人がいると思います。自分の希望と受験先の役所の転勤事情がマッチすれば言うことなしなのですが、現実は厳しいものです。この点よくチェックしておくことをお勧めします。
なお、面接試験において、転勤の可否について質問されることがあると思いますが、この質問は、必要条件として受験生をチェックしているものです。ですから、例えば、転勤が当然ある役所においては、面接試験の結果どんなに能力があり人柄が良いと判断されても、採用になることはあり得ないと考えて下さい。
(4)面接試験官
「己を知り、相手をしらば、百戦危うからず」と言います。ということは、あなたを面接する人がどんな人なのかが事前に分かると、あなたの気持ちも随分落ち着くことでしょう。しかも、他の受験生はそんなことは当然知らない。あなただけが、事前に面接試験官の経歴や人柄を知っている。
しかし、そこまで本気で調べる必要もないでしょう。むしろ、あなたは、そんなことよりも自分の実力を磨くことに少しでも貴重な時間を費やして下さい。
えーっ、どんな人が面接をするのかどうしても知りたいと言うのですか。そういう人は、役所訪問をした際に、人事担当の若い人と話をする機会があると思うのですが、部長クラスの人はどんな経歴の人が多いのか、或いは、冗談が通じるのか、優しいのか等々をざっくばらんに聞いてみて下さい。きっと、貴重な情報が得られることと思います。但し、そういった情報をあなただけが有しているとしても、そのことによってあなたの能力がアップするという効果は全くないので注意して下さい、あくまでも面接のときの気休めです。
5.ハンディを魅力に変えよ 皆さんのなかには、かなり前から公務員になろうと志し、相当の準備と勉強を積んできた人もいると思います。それも、「民間企業には向かないであろし、他になりたいものもないから公務員にでもなろうか」などという消極的な選択の結果ではなく、しっかりと自分の適性や将来のことを考えて決めている人です。このような受験生は、面接すれば、何となくそういった雰囲気というか熱意というようなものが伝わってくるものです。 しかし、世の中は皮肉なもので、非常に成績も優秀で、人柄も好感がもてるような受験生ではあるが、いま一つ本気で就職しようと考えているのか試験官の側に伝わって来ない人が少なからずいる一方で、自分は本気で公務員になりたいという気持ちがあるのに、いろいろなハンディキャップ(と自分勝手に考えているもの)を理由に「あの○○省が自分なんかを採用してくれるのだろうか」と弱気になっている受験生もいることと思います。
そういったハンディについて、少し考えてみると、受験生がそういう心境になってしまうのも無理はないのかな、という事柄も多く認められます。例えば、学歴なんかもその一つです。新聞や週刊誌等が大蔵省や通産省などの役人について報道するとき、彼等は常に東京大学の法学部を卒業した人であるからです。現実には必ずしもそうではなく、また、報道内容をよくチェックすれば、時々は東京大学法学部卒業でない人がいることが分かる訳ですが、○○省イコール東京大学というような図式が既にマスコミや一般国民の頭の中にでき上がってしまっているからです。そういった既成観念が学生時代から長く自分の頭を占領しているため、いざ自分がそういった中央省庁やその出先機関に就職するようなことを考えるとき、相当の躊躇感が起きてくるのです。
現在、試験区分としては一種、二種、三種がある訳ですが、なるほど、一種として面接に臨もうとするなら、やはり過去の採用実績等からして、そのような心配も根拠がないとは言えないことだと考えますが、二種や三種については、そういった学歴云々は全くのナンセンスだということが分かってもらえると思います。
いずれにしても、自分でハンディを意識しすぎると、他人から見ていじけて見えます。また、本人はハンディであると思っていても、周囲の人は何とも思っていないかも知れません。そこで、この第5章ではハンディの克服について扱います。
(1)筆記試験の成績に自信がない人
先ずはよくあるケースですが、筆記試験の成績が悪くて、とても採用はしてくれないのではと思いこんでいる人の場合です。こういったことは生まれながらのハンディとは違うので「ハンディ」と呼ぶのは適当でないかも知れませんが、実際にこのような悩みというか心配をする受験生も多いと思いますので、それに対する対処の仕方を紹介します。
「面接試験を前にして、今さら筆記試験の成績がどうだこうだと思い悩んでも何の意味もありません。それどころか、時間の無駄でさえあります。以上」 これだけで、私のアドバイスを終わると、「そんなことは言われなくても分かります」と言われることは必至なので、もう少し望みの持てることをお話しします。
理屈から言えば、ある受験生の合否は、筆記試験、面接試験等で明らかになったその受験生の知的水準(基礎的知識、論理的能力、表現力等々)や性格・人柄、更には適性やその人の個人的事情(転勤の可否、他の受験先との競合)等を全て総合的に判断して決められます。ということは、例えば、2人の受験生のうち1人しか採用しない試験のおいて、2人とも筆記試験の成績以外のことは全て同レベルであって、筆記試験のみが異なっていた場合には、筆記試験の成績が劣っている方が落ちます。100パーセントそうだと思います。
「全然励ましになっていないじゃないか」。そうですね、これだけでは全然励ましにはなりません。(ただ、それは事実だということから考えをスタートさせる必要があります。)
しかし、実際に筆記試験の成績以外の要素が全く同じような受験生がこの世に存在するのでしょうか。確かに、全てを点数化して評価するとすれば、筆記試験の成績以外の要素が偶然にも全て同じということも十分有り得るとは思いますが、どんなに似ていようとも実際には顔も違うし、話し方も違うであろうし、違うところはいっぱいある筈です。ですから、筆記試験の成績以外の要素が全て同レベルであったならばなどという仮定のケースなど考えても仕様がないのです。
要するに、実際には筆記試験以外でも自分の能力、魅力をアッピールする機会が十分あると考えて欲しいのです。筆記試験では測れないものを知りたいがために面接試験があるのです。そして、面接試験において、最も大切なことは、明るく、積極的で、しかも冷静でかつ論理的な考えを展開できるあなたを表現することなのです。ですから、筆記試験など単なる足切りなんだという位に思っても構わないかも知れません。
どうですか。少しは元気が出てきましたか。「明るく積極的な自分であることは分かってもらえるかも知れませんが、冷静でかつ論理的思考力の展開などと言われても、却って自信がなくなりそうです」などと思っていませんか。しかし、その点も「ものは考えよう」です。確かに「冷静でかつ論理的な思考力」などと言われれば、誰でも少しはビビルものです。しかし、そこで再度受験生の知的水準が試されるとすれば、筆記試験での低得点も挽回できるというものです。
(2)出身大学の知名度が低いと思っている人
次は学歴について心配している人です(全くそう感じていない人には御免なさい
)。
この章の冒頭で述べましたが、結論から言って、筆記試験に受かった以上、あなたには堂々と面接試験を受ける資格があるのです。それは、建て前だけの話ではなく、実際にもそうであると信じることができます。
これについては、むしろ理屈よりも実績を見てもらった方が納得できる筈ではないかと思います。はい、Seeing is Believing です。どうやって調べるかと言えば、既に述べたように、役所訪問等の際、人事担当者に過去数年間の合格した人の出身校等を尋ねてみて下さい。
(3)容姿に自信がない人
容姿が面接試験に影響するのではないかと思っている人はいませんか。結論から言えばイエスです。試験官も人の子ですから、(とはいっても美人という理由だけで合格という程単純ではないのですが)やはり容姿も含めて、受験生の雰囲気というものに注目しているのです。これは、恐らく公務員も民間企業も同じことなのではないでしょうか。しかも、これは女性に限ったことではなく男子でも全く同様だと思います。
しかし、容姿が何らかの意味で面接試験の判定に影響を持つことが事実であるとしても、それが即、美人や美男子が有利になることを意味する訳では決してありません。それどころか、試験官によっては、内心美人に(例えば、性格等の項目で)高い評価を与えようと思っても、他の試験官から「美人だから採点が甘くなっているのではないですか」などと思われることを恐れて却って控えめな採点をしてしまわないとも限りません。ですから、女性も男性も自分の容姿のことをあまり気にすることはないのです。
「美人や美男子が常に有利にと限らないのは分かったけど、だからと言って、不細工なのが有利になる訳はないですよね。ブスの場合は常に不利なんですよね。これは永遠の真理なのでしょ」。
うーん、それでもまだそんなに容姿のことが気になりますか。それでは、面接試験に限らず日常の生活において我々が自分や他人の容姿について、どのように反応する癖があるのか、そういったところから探ってみましょう。
<容姿に関する人々の考え方や態度>
・美人が歩いていると振り向く男性は多い。男性は美人に弱い。
・ショッピングアドバイザーの郷さんに、帰りに寄ってもらいたい。
・恋人には、美人が望ましい。彼は美男子であって欲しい。
・美人であればちやほやされるので、自分も美人でありたい。
・テレビの女子アナには美人が多い。
・才色兼備。
・美人でも鼻にかけるのは大嫌いだ。
・美男子すぎるので、付き合ってもらえるとは思っていない。
・美人は三日見ていると飽きる。
・美人薄命。
・奇麗なバラには刺がある。
・天は二物を与えず。
・色男、金と力はなかりけり。
・美人タイプよりもかわいい感じの子が好きだ
・女は愛敬だ。
・江戸時代の美人は、切れ目に面長だ。
・渥美清が演じた寅さんは、皆から愛されただけでなく、美人のヒロインにもてた。
・市原悦子さんの出演するドラマは大変面白い。
少し何かを感じてきましたか。確かに外見が美しいというのは、一つの価値なのでしょう。しかし、それは常に絶対のものではなく、また、場合によっては、マイナス要因にさえなり得るのです。例えば、女性問題で美人に懲りたばかりの男性試験官やそもそも女性の試験官の場合は、美人ということで、却ってマイナス点を本能的につけてしまうかも知れません。また、顔だちが不細工でも愛想がよければ、むしろ少しでもいい点数を付けてあげたいと思うこともあるかも知れません。
そういうことですから、面接試験の際、軽く化粧すること(女性の場合)や身だしなみを整えることは大切なことだとしても、生まれながらの容姿については気にすることはないのです。また、気にしたところで、整形手術でもしなければ変わりようがないのです。むしろ、大切なのは、自分なりの持ち味を持つことなのではないでしょうか。
これでも心配だという人は、役所訪問をした際、職場の中をじっくり見回ってみて下さい。役所の食堂でゆっくり食事をしてくるのもいいと思います。きっと自信が持てることと信じます。
(4)民間会社を辞めて受験した人
次はどんなことをハンディと感じているのでしょうか。一旦民間会社に就職していたのですか。確かにそのことは、在学中の人たちとの違いであることは間違いありません。また、実際面接を受けに来る受験生の割合としても圧倒的多数の人が現役(在学中)の人かも知れません。しかし、何故それをハンディだと感じる必要があるのでしょう。試験官は一般的に、そういう風に単純に物事を見ません。
それでは、民間会社勤めを経験した受験生の面接現場を覗いてみましょう。
<A子さんの場合>
試験官 あなたは、どうしてこの役所を受験したのですか。 A子さん 実はこの春まで○○出版という会社に勤めていたのですが、とにかく残業が多く、週末も半分位は出勤しないと仕事がさばけない状況なのです。しかも、そんなに頑張っても女子が管理職になるケースは極めて限られているのです。それで、どうせ苦労するなら、公務員の方がいいかなと思いました。 試験官 公務員の方がいいと考えた理由をもっと具体的に言ってくれますか。 A子さん 公務員の世界ですと、女子も平等に扱ってもらえると考えるからです。 試験官 もちろん平等ですが、残業や転勤も男子と同じようにしてもらわないと困りますが。 A子さん それは当然だと思います。それに残業は慣れていますので、心配はいらないと思います。 試験官 在学中は、公務員になることは考えなかったのですか。 A子さん それを言われると困るのですが、何となく民間企業を選んだというのが正直なところです。 試験官 公務員になりたい理由はあかりましたが、どの役所に一番就職したいのですか。 A子さん (ちょっと困った顔で)ええ、できればこちら様に採用して頂ければ、誠心誠意働かせて頂きたいと。ただ、こちらの役所は、受験生の人気が高いことは重々承知しております。 試験官 こちらの役所に就職したいというのは、仕事の内容が自分に向いていると思ったからですか。 A子さん (またまた困った顔で)実は、私大学のときは文学部でしたので。勿論試験を受けるために法律や経済を勉強しましたが、直ぐに役に立つかどうか。いずれにしても、この春から無職になっていますので、早く職を決めたいということです。バイタリティはありますので、どんな仕事でもやらせて頂きたいと思います。
<B君の場合>
試験官 君は大学をもう卒業しているのですね。 B君 えーと、大学は卒業しています。 試験官 それで何をしていたの。 B君 ちょっと民間の会社に勤めました。2年勤めたのですが、合わないと思ってやめました。 試験官 どんな会社ですか。 B君 メーカーです。 試験官 メーカーではどのような仕事をしていたのですか。 B君 経理担当なのですが、中小企業なので、いろんな仕事をやらされてました。 試験官 この役所を受験した理由を教えて下さい。 B君 僕は、やはり公務員の方が向いているのかなと思いました。 試験官 君のどのようなところが公務員に向いていると思いますか。 B君 というよりか、僕は、税理士の資格をとるのもいいかなと思うので、公務だったら勉強する暇もあるかなと思いました。
以上二つの設例ですが、先ずA子さんのケースについては、本来であれば、面接を受けている役所を志望する具体的な理由を挙げて欲しいものです。しかし、A子さんがどうしてもどこかの役所に入りたいという気持ちは実によく伝わってきています。また、A子さんが、民間会社の勤務をしたことによって、それ相応の苦労と経験を積んでいることが十分窺われます。その意味では、A子さんが民間会社を経て受験したということが全くマイナス要素にはなりません。
ところが、B君の場合には、公務員になりたいとする理由が理解されにくいという問題の他、言葉使い等から察するに、2年間も民間の会社に勤めたというものが全く感じられず、民間で苦労をしているのにこの程度かという評価しかされません。
従って、民間会社を経て受験するという、現役(在学中)の受験生と異なった事情にある受験生は、その特色をプラスに働かせるように工夫すればよいのです。試験官の中には、人並み以上に苦労している人に理解を示す人も多い筈です。
(5)年齢が高い人
現役(在学中)の受験生より相当年齢が上だとやはり気になりますか。しかも、見てくれも「おじさんっぽい」と人から言われるのですか。
公務員の試験には受験資格の年齢制限があるのは皆さんご存じのとおりです。従って、「いくら年齢が高くたって何の問題もない」と言いたいところです。しかし、正直言って、この年齢と合否の関係については、何とも言えないような微妙な要素が絡んでいるのではないでしょうか。そこで、どうあるべきかという議論は置くこととし、試験官側の心理を先ず探ってみることにしましょう。
<年齢に関する採用側の心理>
・試験の成績や能力、人柄が同じ程度ならば、若い方が使い易いのではないか。
・年齢の高い者が新人として職場に入ってくると、1〜2年先輩の者はやりにくいのではないか。
・いくら採用してあげても、自分より年下の者が先輩でいたり、また、年下の者より給料が安いのは面白くない、と本人が感じるのではないか。
・年齢よりも、実際に若者らしいところがあるかどうかの方が問題だ。年齢が若くても変に年寄り臭い奴よりずっといい。
・年齢が高いということは、それなりの経験を積んでいるということで、マイナス要素ばかりではない。
・自分よりずっと年下の先輩がいることや、年齢の割に給料が安いことを本人が十分承知 した上での話であれば、何の問題もない。
・そもそも、受験資格の年齢制限は超えていないのだから、年齢について云々すること自体が問題だ。
・評価項目が全く同じ点数だとすれば、若い方を選ぶべきではないか。
・評価項目が全く同じ点数だということは、現実には滅多にあるはずがないので、よく採点をし直して、点数の高い方を採用するべきである。
以上のように、試験官の側にはいろんな意見や考え方があり得ます。年齢については、それこそ容姿以上にどうすることもできないものですので(容姿については、化粧等で少しは誤魔化すことが可能)、そんなことは気にせず、明るく積極的なところをアッピールするようにして下さい。
あまり励ましになっていませんか。それでは一言。どんなに自分が歳がいっていると思っている人でも、試験官に比べたらずーっと年齢が下であることを忘れないで下さい。彼等(彼女も含む)から見れば、年齢制限内の年齢であるということは、羨ましいほど若いということを意味するのです。ですから、「そんな年齢には見えないけどね」と言われるくらい伸び伸びと受け答えして下さい。
(6)口下手であると思っている人
この章で扱う最後のハンディは口下手についてです。口下手というのは、生まれつきのものか、或いは、後天的なものなのかはっきりとは分かりませんが、おそらく両方の要素があるのでしょう。それはともかくとして、面接を目前にし、口下手を直そうにも時間がない場合、どうしたらよいでしょうか。この問題についても、人間の一般的心理から見てみましょう。
<饒舌・口下手に関する心理>
・縦板に水。
・口から先に生まれてきた人。
・沈黙は金。
・男は黙って○○ビール。
・ペチャペチャ喋る奴だ。
・無口で愛想がない。何を考えているんだか。
・口数は多くなく朴訥としているが、いい奴だ。
皆さんに改めてご紹介する必要はないかも知れませんが、話がうまいとか下手だとか、或いはよく喋るだとか無口だとかについては、それぞれプラス面とマイナス面とがあり、話がうまい人だからとか、無口な人だからといって、それだけの理由であなたの能力なり性格が判断されるということは稀だと思います。むしろ現実の世界では、そうしたこと(話がうまいことや無口なこと)を通じて垣間見られるあなたの性格や人柄が問われるのです。
ですから、無口であっても何となく暖かい人柄を感じさせる人と、逆に、無口であって何となく無愛想な人がいるのです(勿論、その中間みたいな人もいることでしょうが)。ということが分かれば、仮にあなたが口下手だとしても、試験官は、そのことを問題視するのではないことが分かる筈です。試験官が見ているのは、あなたの中味なのです。
口下手と思い込んでいるあなた、少しは安心しましたか。えっ、また質問ですか。「それでは、口下手であっても中味がいい人間に見てもらうためには、どうすればいいのでしょうか」という質問ですね。
本当に中味の水準が低い人は、試験の直前になって準備しようとしても有効な手段はないと思います。しかし、その一方でボーダーラインにいる人も大勢いる筈です。見方によっては、いいようにも見えるし、そうでないようにも見える。そういった人たちからの「口下手であっても中味がいい人間に見てもらうためには、どうすればいいのでしょうか」との質問であれば、「ですから、今あなたはこの本を読んでその回答を探っているのではないですか」と言いたいと思います。
なお、「話がうまいか下手かは問題ではなく、中味が問題だ」ということについては、自分が話下手であることの言い訳にしてはいけません。それはそれとして、少しでも試験官が興味をもってあなたの話を聞いてくれるようにするために、あなたは努力する必要があります。そういった努力を惜しまないということが、あなたの誠実な人間性の証にもなるのです。
おまけの話 その9 人間の誠実な姿勢というようなことが話に出てきましたので、思い出したことをご紹介しましょう。
それは、私が公務員になって間がない頃の話です。ある先輩に、自分が作った報告書の類がなかなか上司から「うん」と言ってもらえない人がいました。報告書の出来がどうだったかははっきりしませんが、その役所勤め20年前後の先輩は、あるとき一つ対策を思いつきました。その先輩は自分が書いた字が大変下手(といっても、本人がそう 思い込んでいる節もありましたが)だと気付き、それがために文章の中味まで下手な文章のように誤解されるところもあるのではないかと考えました。
暫くして、その先輩は私に対して[○○君、実は、ペン習字を習い始めたのだけど、恥ずかしいから、職場内の人には黙っていてくれ」と打ち明けました。そして、それを聞いた当時の私は、「自分だったら、そんなことはしないだろうな」などと感じていました。
しかし、今にして思えば、役所に入って20年も経つような先輩が、少しでも上司に自分の能力を分かってもらおうと努力したこと、しかもそれが、自分のプライドという ことを少しも気にせずに敢えてペン習字を習い始めたことに、大変な誠実さを感じるものです。
こういった地味な生き方が、今の社会の生き方にどれだけ通用するものなのか、断言はできませんが、プレゼンテーションとか自己表現の重要性が強調される現代だからこそ、そういった地道な努力の価値が感じられる気もするのですが。
6.長所を長所として生かすには
ハンディ対策は如何だったでしょうか。
次は、「長所対策」です。「長所に対策が必要なのですか。その意味がよくわからないのですけど」と考えた人はいませんか。そういった人は、「甘い」と言われても仕方ないかも知れません。
既に、述べたようにある人の長所や優れた点は、他人から見た場合には「当り前」のことも多いのです。また、客観的に見て、長所や優れた点だと思われることでも、他人はそれを認めたくないこともしばしばあるのです。
また、人間は自分の得意とする分野で失敗を犯すなどとも言われます。例えば、歴代の総理大臣などでも、経済通と言われた人に限って経済問題で失敗しているというようなことです。人間は、自分が不得意だと思うことをやろうとするときには、慎重になり、回りの意見もよく聴きます。それに対し、自分が得意であると思うことをやろうとする時には自信もありますし、格好いいところを見せようなどというスケベ根性が出ないとも限りません。そうすると、どうしても謙虚さがなくなり、また、回りの人も「そんなに自信があるのならお手並拝見」ということで、適切なアドバイスが得られなくなることもあります(本人も、他人の意見など敢えて聴く必要もないと思うかも知れません)。そうなれば、どうしても、失敗の確率が高くなると言うものです。
私が「長所対策が必要だ」と言う理由が分かって頂けたでしょうか。
長所が長所として生きるように、人間は謙虚になる必要があるということですが、次に「長所をうまく生かせないケース」を挙げてみたいと思います。
(1)ネームヴァリューのある大学出身の人
偏差値が高く、有名である大学在学中(卒業生)の人は、T種試験の際であればいざ知らず、U種試験の場合であれば、自分はスタート地点から相当有利だと手に思い込んでいませんか。確かに、偏差値が高い大学に通っているということは、あなたの知的レベルが相対的に高いことを推量させる一つの材料かも知れません。しかし、既に述べたように、筆記試験で足きりを行っている以上、面接試験では、受験生の性格、人柄、適性、個性といったものにより着目して判断したいと考える試験官の方が一般的なのです。ですから、有名大学在学中(卒業)ということは、基本的にはプラスにもマイナスにも働かないと考えておいた方が安全なのです。むしろ、有名大学を鼻にかけるような言動が感じられた場合には、嫌味となってマイナス要因にもなりかねません(有名大学に在学していることは、何らマイナス要因にはなりませんが、それを鼻にかけるようなことが嫌味であるということです)。
従って、面接では自分の出身校について意識せず、自分のありのままの能力や人柄を知ってもらうという姿勢で望むことが肝要でしょう。
なお、有名大学出身の国家U種受験生に対する試験官の予想される反応を挙げて見ますので、皆さんもよく考えてみて下さい。
<有名大学出身の国家U種受験生に対する試験官の予想される反応>
・○○大学か、凄いじゃないか。
・○○大学か、何故U種試験を受けたのかな。
・○○大学を出ながらU種の資格だと、本人が後々満足できないのではないか。
・○○大学を出ながら、うちの役所を受験するんじゃ、もったいないのじゃないか。
・○○大学出の優秀な人なら、是非採用したい。
・出身大学と本人の能力は別ものだからな。
・○○大学出の人で、前にも採用したのがいたが、今どうしているのか。
(2)美男美女の人
美男美女の人の場合は、第5章の「容姿に自信が持てない人」の裏返しのケースということになり、また、世間一般が人の容姿に対してどんな反応を示すかは、既に考察してきたとおりであるので、美男美女の人の場合どういう心構えで試験に臨めばよいかはお分かりのことと思います。
結論から言えば、美男美女の人の場合、全く容姿について意識していないことが望まれるとも考えられるのですが、人間である以上、自分の容姿について全く意識しないというのも却って不自然であります。とすれば、美男美女の人の場合にも、容姿がいいことによる効用と限界をよく分かっていることが大切だということになると思います。
(3)ボランティア活動等に積極的な、優しい人
日本海の原油流出事故や阪神・淡路大震災の例を出すまでもなく、世の中には自分以外の困った人たちを助けるために、ボランティア活動に励む人もいるものです。そして、そうした人々に対しては、多くの人が尊敬の念を抱くのも事実だと思います。であるとすれば、面接試験を受験しに来た人たちにボランティアの人が含まれていた場合、そうしたボランティアの人が試験に合格する可能性が高いのでしょうか。面接試験の現場を覗いてみましょう。
<Aさんの場合>
試験官 日本海の原油流出事故がありましたが、その時多くのボランティアの方が手伝いに行ってましたよね。あなたは、あの光景をテレビなどでご覧になってどのように思いましたか。 Aさん そうですね、多くのボランティアが集まっていましたね。ボランティアを見て、特に何か感じたかと言われても、記憶はありません。波打ち際にこびりついた原 油を見て、想像はしていたものの、気が遠くなったというのが実感ですね。 試験官 私がお聞きしたいのは、最近そういったボランティア活動が日本でも盛んになってきたような気がするのですが、彼等のことをどのように評価しますか。 Aさん はい。いても立ってもいられなかったのじゃないかと思います。 試験官 それだけですか。彼等を尊敬したいとか、そんな気持ちには‥。 Aさん 私の場合、テレビであの事故のことを見て、いても立ってもいられなくなって、翌日現地に手伝いに行っていたというだけで。それで、現場に行ったら、気が遠 くなりそうになって、すぐ帰りたくなったというのも正直な気持ちですが。 試験官 そうだったのですか。
<Bさんの場合>
試験官 何か在学中の思い出があったら、教えて下さい。 Bさん ボランティア活動をやったことが一番の思い出です。日本海の原油流出事故のときも除去作業の手伝いに行きました。 試験官 立派なことですが、何かきっかけがあったのですか。 Bさん はい。自分で言うのも変ですが、人が困っているのは見過ごすことができません。ですから、公務員を志望している訳でもあります。しかし、ボランティアが盛んになったなどと報道もされていますが、私の回りの連中なんか、殆ど無関心でしたね。声をかけても「忙しいから」とか何とか言ってましたが、後から聞いた話ではスキーに行っていたと。そんな連中が少しばかり成績がいいからといって、公務員になるのは随分変な話だと思います。「皆のためになる仕事がしたい」などと言っても、私だったらとても信用できません。
<Cさんの場合>
試験官 ボランティア活動とか、そういったものについてどのように思いますか。 Cさん はい。ボランティア活動が近年日本でも盛んになっているのは大変結構だと考えています。 試験官 ということは、あなたも経験がおありですか。 Cさん ボランティアと呼べるものかどうかは分かりませんが、そういった活動は大切なことだと思い、時間の許す範囲で地域の活動に参加することにしています。 試験官 そういったことに関心を持つようになったのは、何かきっかけがあるのですか。 Cさん 小学生のころから、環境問題には大変関心がありまして、東京都のゴミ問題について先生から教えてもらったことが、スタートになっているかも知れません。それに、道端にたばこの吸い殻を捨てる人がいますが、そういったことが大変気になる性格なものですから。 試験官 吸い殻をすてるような人を見て、どのように感じるのですか。 Cさん 全く許せないと感じます。 試験官 そうですよね。でも実は、私も昔は吸い殻を道端に捨てていたのですよ。でも、そういうときは、道端に捨てていることをあまり意識していないか、或いは意識している場合には、ストレスが溜まっているようなときが多いとも思うのですが。 Cさん しかし、一人ひとりが意識してくれないと少しも改善しません。 試験官 ああそうですか。それではあなた自身は周囲に迷惑をかけるようなことをした経験はありませんか。
設例のAさんのケースでは、Aさんは自分が経験したボランティア活動について、取り立てて意識をしている訳でもなく、そのことによって売り込もうともしていませんが、Bさんのケースでは、ボランティアの話というよりも、試験官が知らない、Bさんの回りにいた連中の悪口になってしまっています。
ボランティア活動をする人はきっと優しい気持ちがあるのでしょうが、だからと言って、ボランティアが愚痴や他人の批判を面接のときにやっては台無しになってしまいます。場合によっては、自分は人がやらない立派なことをやってきたという思いが強くなりすぎた結果かもしれません。思い当たる人は、どうぞ気をつけて下さい。
Cさんのケースについては、Cさんは決して嘘をいったり、演技している訳ではないかもしれません。ただ、あまりにも立派な行き方であるが故に、「Cさんは、あのように言っているが、面接試験だから、自分をよく見せようとしているのではないか」と見る試験官が出てきそうな気もします。そういったことにも配慮する必要があります。
(4)明朗で愛想がいい人
明朗で愛想がいい人、こういう人のどこがいけないのでしょうか。何にも悪いところなどありません。しかし、世の中、ひねくれた試験官がいないとも限りません。例えば、「八方美人」だとか、「男のくせににやけている」とか、イチャモンを付けられることもあるかも知れません。
また、「明朗で愛想がいい人」のイメージは、世間一般の受けと目方としては、「意思が強固である」とか、「忍耐強い」といったイメージや「冷静である」といったイメージとは重なりにくい面もあるような気がします(本当はそうでもないと思いますが)。そういうことにも、頭の片隅に入れてもらって面接に臨むことも肝要だと思います。
(5)頭脳が明晰な人
頭脳が明晰な人、頭がいい人は、面接の際、そのことについて自ら言及してはいけません。例えば、「私は、小学生のときから大学卒業までずっとトップクラスでした」などとは言ってはいけません。それが全くの誇張ではないとしてもです。
人の本性として、他人の自慢話しを喜んで聴く人は少ないものです。それにも拘わらず、自分の自慢話しを無防備にするような人は、本当の頭の良さを持ち合わせていないのかも知れません。
そういうことが分かっていても、「他人と比べて相対的に優れているところは、頭脳が明晰であることくらい(スポーツは下手だし、友達は少ない、どちらかと言えば陰気臭いと思われている)だから、頭がよいということをはっきり理解してもらいたい」と思う受験生がいるかも知れません。でも、頭の良さは、例え15分程度の短い面接試験においても、十分に伝わるものなのです。逆に言えば15分も時間があっても、試験官にそれが伝わらないとすれば、その程度のものだと考えた方がよいのでしょうか。
いずれにしても、自分が頭脳明晰だとか知能指数が高いなどとは、間違っても言ってはいけません。むしろ、明るく振る舞ったり、ユーモアのセンスがあるところを印象づけるなどして、頭がいいばかりでなく人柄もいいと思われるようにしなければいけません。
他人の自慢話しを喜んで聞く人は少ないと言いましたが、頭が良かったり、美人であるにも拘わらず、それを全く自慢しない謙虚な人に好意を抱く傾向があるのも人間の本性です。そのことを決して忘れないで下さい。
(6)落ち着いている人
落ち着いて見える人、少しも動じるところがなく堂々としている人、このような人は大変結構なことです。それだけでも試験官側には大変魅力的に見えます。どうしてかと言えば、通常役所の人は学生と話す機会が殆どなく、面接試験において若い人達と話すことは久しぶりのことなのですが、面接相手である受験生の多く(特に男子学生)に対し「子供っぽいな」とか「頼りないな」という感情を抱くことが多いからなのです。そういったなかで、稀に非常に落ち着いた態度の受験生に会うと、試験官はそれだけで相手を頼もしいと感じるからです。ですから、皆さんには面接試験において、自分が落ち着いて見えるように努力してもらいたいと思います。
一方、常に落ち着いた態度でいることができる人についても、注意すべきことがあるのです。それは、落ち着いているということは、必要以上に緊張していないということであって、緊張していないことの理由としては、自分に自信があって緊張していないケースと、本気になっていないために緊張していないケースが考えられるのですが、試験官によっては、あなたが落ち着いていることを「本気になっていないのではないか」と悪い方に解釈する恐れもあるからです。そのように誤解されないようにすることは大変重要であります。というのも、本気でない(就職の意志がない)と試験官側に思われたらどんなに試験の成績が抜群でも、内定の通知が来ないからです。
それでは、そういった無用の誤解を生まないようにするにはどのようにすればいいのか。(贅沢な悩みではありますが)試験に合格するであろうという自信があればある人程、自分がこの職場を選択した理由を具体的に述べ、自分の熱意を分かってもらうことが必要です。そのためには、若干の緊張感が感じられる程度の態度が好ましいのかも知れません。
7.合否を分けるポイント
第6章の最後は、「落ち着いている人」の注意点を挙げ、面接試験に臨むに当たっての受験生の熱意(イコール本気であること)について言及しました。そこで、第7章では、「本気であること」のように、そのことだけで試験結果をひっくり返えす「合否を分けるポイント」について焦点を絞ってみることにします。
(1)本気であること
就職は結婚みたいなもので、面接試験はお見合いみたいなものだ、と昔から言われています。双方が自分に合っているかを探る訳です。受験生は、自分が就職しようとしている役所が、どのような仕事をさせてくれるか、昇進の可能性はどうか、給料の水準はどうか、転勤は多いのか、職場の雰囲気はどうか等々をチェックします。一方、試験官の側からすれば、一応筆記試験は通っているが、頭は切れるのか、体力や精神力はあるのか、積極性はあるのか、協調性はあるのか、転勤や出向にも応じることができるか、就職しても直ぐ辞めてしまうことはないか等々を確認しようとします。そして、いろんな点を総合的に判断して結論を出します。
しかし、試験官側からすれば、ある受験生がどんなに総合的には能力や魅力があっても、その受験生に「本気」を感じることができなければ、内定通知を出すのをためらってしまいます。いくら内定を通知したところで、受験生の方が最終的に就職してくれなければ意味がないからです。それどころか、そのような人が大勢出ると、採用計画が大幅に狂ってきます。ですから、試験官側とすれば、少しでも能力と魅力がある受験生を採りたいのはヤマヤマではありますが、安全を見れば、相対に見て能力的には落ちるが(内定通知さえ出せば)必ず就職してくれる受験生を選ばざるを得ないということも起こり得る訳です。
試験官側の理想から言えば、能力・人格的に見て一番採用したい受験生が、一番本気になってくれれば申し分ない訳ですが、誰が見ても採用したいと考えるような受験生は、どこの役所(或いは民間会社)からも声がかかる確率が高い訳なのです。ですから、そのような受験生の気持ちがはっきりと固まっていて、また、掛け持ち受験をしていなければ問題は起こらないのですが、掛け持ちが多いということが、採用する試験官側に分かっている場合には、問題がややこしくなるのです。
まあ、そのような場合でも、非常に人気が高いと信じている役所の試験官ですと、「うちの内定を蹴る筈がない」と勝手に思い込んでしまうかも知れませんが、逆に人気が低いと信じている役所の試験官ですと、「うちには来てくれないだろう」と、これも勝手に思い込んで、最初から落としてしまうことが十分考えられます。
従って、受験生の皆さんはその辺の事情をよく考えて、試験官側に誤解されないようにする必要があります。
結局、ここでのアドバイスは、相当にレベルが高い受験生にしか意味のないことかもしれません。何故ならば、自分がボーダーライン上にあって、合格か不合格か微妙であると思っている人は、どこの面接においても、「是非とも採用して下さい。きっとお役に立ちます」という熱意が無言のうちにも、伝わってくるからです。
一方、合格することに相当自信がある人の場合には、仮に、それが自惚れとか過信ではないにしても、「是非とも」という気迫が弱くなりがちであるからです。ということで、いろいろな観点から客観的に判断して、自分は他の受験生より抜きん出ていると自分でも思う受験生は、あなたの「本気」が試験官に伝わるように注意して面接に臨んで下さい。
では、どのようなときに本気でないと思われてしまうか。それを少し考えてみま
しょう。
・「超一流大学の出身であるときや筆記試験の成績が抜群にいいとき」
結局、これは、受験先の役所と当該受験生のバランスの問題であって、「今まで、そんな頭のいい奴はうちに就職したことがない」とか「かつて同じ大学出身者が入ってきた ことがあったが、直ぐ辞めてしまった」というようなことを採用側が感じる場合です。
このようなケースは稀であって、本書でこういうケースのためにこれ以上スペースを費 やしても意味がないかも知れませんね。
・「筆記試験の成績もよく、人柄も格別問題はないが、取り敢えずこちらの話に合わしている感じがする受験生。取り敢えず内定通知を沢山もらってから、考えようとしている のではないかと感じられるとき」
このタイプの受験生は、よく見受けられます。掛け持ち受験は決して悪い訳でありませんが、せめて面接試験の段階では、本当に就職したいところがどこなのか、はっきり決めてから面接試験に臨みましょう。そうしないと、「内定通知は沢山もらうことができましたが、全部自分に合わないところばっかり」という結果になりかねません。
・「司法試験や公認会計士試験に今後もチャレンジしたいと言う受験生」
このタイプの受験生もよく見受けられます。そうのような難しい試験にチャレンジするのだから、ある程度頭もいいし努力家なのだろうと見てくれる試験官もいるでしょうが、いずれにしても、積極的に採用しようとは考えないことが多いと思います。
・「非常に落ち着いた態度であり、自分を積極的にはPRしようとはしない受験生」
自分で自分のことをPRするようなことは恥ずかしくてできないと考えているような受験生や、格別に就職したいところがあるという訳ではない(但し、内定してくれれば就職するという)受験生。このタイプもしばしば見受けられます。
(2)一緒に働きたいと思わせる魅力を持つこと
「一緒に働きたいと思わせる魅力」などという極めてファジーな表現を使ったことを許して下さい。他の言い方だと、どんな表現がいいのでしょうか。「上司から見た場合の、いい奴」とでも呼ばれる新人でしょうか。
ここであなたに理解してもらいたいことは「聞き上手」についてです。面接試験の参考書ということになると、とかく自己PRの仕方だとか、説得力ある話の仕方だとかという面が強調され勝ちですが、そこには落とし穴が潜んでいます。
人は、一般的に、話のうまい人をどのように感じるでしょうか。仮に、その人が自分の先輩や上司であって、話がうまいばかりでなく、話の内容も納得のいくものであれば、自分もそうなりたいと思ったり、尊敬することが普通だと思います。しかし、その人が自分の後輩や若い人の場合には、「話が上手だね」とか、「しっかりした奴だとか」という感情を抱くことはあっても、必ずしも「いい奴だ」という感情までには至らないかも知れません。むしろ、「いい奴だ」という感情を抱かせる人は、「自分に対して何かを喋ってくれる人」ではなく、「自分の話をよく聞いてくれる人」なのです。
勿論、話をよく聞くというのは、単に無言で聞いていればよいというものではなく、相手が何をいいたいのかを、相手の立場になって考える必要があり、時には相槌を打ち、時には驚いてみせ、時には質問をする、というそんな態度で話を聞くということです。言葉を換えれば、思いやりがあるということの、一つの表現形態かも知れません。
人は、一般的に、このように自分の話を親身になって聞いてくれる人をとても気に入ります。そして、そのような人に出会うと「なんていい奴だ、また、一緒に酒でも呑みながら語り明かそう」などと感じるのです。勿論、「語り明かそう」などと言っても、その「いい奴」には喋る機会など殆ど与えられないのですが。(「君、どう思う」などとは言われるのですが、直ぐに発言権が奪われて、また、その先輩が話を続けることになるのですが)
私の言いたいことが分かってもらえたでしょうか。要するに、聞き上手であるということは、相手側に対し好感を与えることが可能になるのです。しからば、面接試験の場で、聞き上手であることを試験官にどのようにしてアッピールすることが可能なのか。受験生の皆さんは、そう質問したいのではないでしょうか。
確かに、面接は、基本的には試験官が質問し、それに対して受験生の皆さんが答える、そういう図式になっています。従って、基本的には、皆さんは、しっかりと自分の考えを話さなければいけません。しかし、人(特に、組織において管理職に就いているようなおじさんやおばさんたち)は、本来、他人の話しを聞くことよりも、自分が話すことが好きなのです。そして、自分の話しを聞いてもらいたいのです。であるとすれば、15分や20分程度の短い面接時間においても、必ずや試験官が喋りたがる場面が出てきます。それは、あなたの考えが甘いという内容かも知れませんし、場合によっては、自分が就職したときの思い出話かも知れません。いずれにしても、試験官が話したがる場面がある筈です。問題は、その時のあなたの態度です。その時、試験官が若干お説教みたいなことを言うにしても、或いは自慢話をするにしても、取り敢えずは、試験官の立場になって、話しを聞くことができるかどうか。そして、心から納得して相手の話に相槌をうったり、或いは、あくまでも真意を確かめるつもりで(決して揚げ足を取る意味ではなく)率直に質問をしたりして、聴くことができるかどうかです。
そういうことができれば、試験官はあなたのことを「いい奴だ」と思ってくれるに違いありません。
<参考材料>
・聞き上手になれない人は、真の話し上手にはなれない。
・聞き上手と単なるゴマ摺りは全く違う。
・聞き上手になるには、適度の突っ込みが必要だ。
・先輩が酔っ払って何度も同じ話をするのを聞けるのは、ゴマ摺りか優しい人かであって、聞き上手とは関係がない。
・少しは反論もしてくれないと、話しは弾まない。
・「なるほど」、「ということは」、「さすが」、という言葉は聞き上手がよく使う。
(但し、面接試験で、こういった言葉を使ってはいけません。真面目さが疑われます)
おまけの話 その10 「きく」を漢字で書くと、「聞く」か「聴く」です。英語でも、hear と listen があるのは大変興味深いところです。
それで、どんな違いがあるのかを辞書で調べると、「聞く」は、意識するしないに拘 わらず自然に耳に入ってくること、「聴く」は、意識して話し手の話の内容を理解しよ うと努めること、というような趣旨だったと記憶します。なるほど、そういう違いがあればこそ、偉い方の話しを「きく」ときには、「拝聴させて頂きます」というような言 い方をするのですね。偉い方の話しを「聞かせて頂きます」よりは、ずっと気持ちがこもっていると思います。
面接試験の最中は、「聴く」ことに心掛けて下さい。
(3)協調性があり、組織に溶け込めること
次に「協調性」の重要性について少し説明したいと思います。
皆さんは、「協調性」が重要であることなんか、改めて教えてもらう必要はないと思っているのではないでしょうか。本当にそうでしたら心配はないのですが。
確かに、皆さんも学校という組織のなかで永年生活してきた訳でありますし、そればかりではなく、クラブ活動を通じて人付き合いの大切さも身をもって体験しているかも知れません。しかし、そうは言っても、学校時代のお付き合いの仕方と社会人になってからのそれとは決定的に違うこともあるのです。学生時代の皆さんの友達付き合いのことについて考えてみて下さい。恐らく、皆さんは気の合う人とだけ話をしていた筈です(クラブ活動をやっていた人は、気の合わない先輩にもお愛想を言っていたかも知れませんが)。特に、大学時代ともなると、クラスメートといっても、話をした人よりも、殆ど話をしたことがない人の数の方が多いのではないでしょうか。
要するに、学生時代には、お付き合いとはいっても、基本的には自分で選択し友達との付き合いが中心になっている訳です。それに対し、社会人になって、役所や民間の会社に就職してからは、仕事上必要とあれば、どのような人とも話をしなければいけませんし、頭を下げなければいけません。それが旨くできなければ、それはあなただけの問題には留まらず、あなたの属する組織の問題に発展することにもなりかねません。それは、公務員や民間のサラリーマンの仕事で、全く一人で完結するような仕事は何一つないからです。どんなに些細な仕事に見えても、あなたがそれを企画し、組織として決定されるまでには、多くの人が稟議書に判子を押す筈です。また、決定されてから予算措置がなされ、実行に移されるまでには、更に別のセクションの人たちとも関わりを持つ筈です。全てが終わったと思っても、そのことに対する内部の監査や会計検査院の検査が暫くして行われることも当然のことです。そうすると、あなたが、組織の一員となってからは、意識するとしないとに拘わらず、実に多くの人と関わりを持つ訳です。
ですから、協調性ということは、組織の一員にとって、必要不可欠の条件となっているのです。仮に、協調性が若干でも欠けるという人が組織のなかで仕事をすることとなれば、必要以上の時間とエネルギーがかかることとなるでしょう。何故ならば、協調性に欠ける人は、(やや誇張して言えば)人と話をする度に摩擦を起し、相手の感情を害するか自分が感情的になったりして、なかなか仕事をスムーズに進めることができないからです。
永年、社会人をやっている試験官は、無意識のうちにそういったことを十分承知しており、また、そうした経験から協調性に問題がある受験生を見抜く能力も見に付けているものなのです。
そういう訳で、先輩諸氏にとっては、協調性に問題がある新入生は最も敬遠したい存在なのです。人の話を聞くのが上手な人は「いい奴」であるということを書きましたが、協調性のない人は「困った奴」なのです。
それでは、あなたが協調性がないと試験官から誤解されないようにするためには、どのような点に注意すればよいでしょうか(本当に協調性がない人の場合には、短時間でそれを直す方法は見当たりません。そういう人は時間をかけて考え直す必要があります)。試験官から見て、協調性がないのではないかと思うときは次のようなときです。参考にして下さい。
<協調性が疑われるとき>
・面接での試験官とのやり取りのなかで、非常に頑固な面が見えた。
・グループで行動することが苦手だというような発言があった。
・試験官がユーモアに溢れた話をしても、ニコリともせず陰気であった。
おまけの話 その11 日本のように単一民族(では決してありませんが)に近い国では、自分たちと異質のものが存在することに拒否反応を示すことが多いと思います。出る杭は打たれるということです。これに対してアメリカのような他民族の国家では、いろんな人間が存在しているので、自分と違ったものを認めざるの得ません。異質なものを全て排除していたら社会そのものが成立することができないし、そもそも自分も排除される恐れもあるからです。
ところで、協調性がないということは、良好な人間関係を築くのが下手だということを意味します。そして、そのような人は回りから排除されるか、無視されるのが通例となります。
このように協調性のない(或いは乏しい)人が、役所に限らず組織に存在する場合、どのような結果になるか。紳士・淑女の職場であるのであれば、最低限フォーマルな情報はその人のところに回ってくるでしょう。しかし、インフォーマルな情報は、その人を迂回して通りすぎることとなり、全く孤立してしまいます。その結果、如何に能力が あろうとも組織における仕事は全くできないことになってしまいます。
これとは反対に、「仕事ができる」という人はどんな人なのか少し考えてみましょう。「仕事ができる」と言われるためには、幾つかの必要条件があると思います。例えば、頭が切れる、クリエイティブだ、説得力がある、粘り強い、肝っ玉がでかい等々です。しかし、組織において「仕事ができる」と言われる人の多くは、「情報のネットワーク」がしっかりし、凡そどんな話題についても誰か相談できる知り合いがいるという ような条件を充たしています。「情報のネットワーク」などと難しい言葉を使いましたが、要するに、職場の内外を問わず、フランクに相談できる友達を沢山もっているのです。
そういうことですから、協調性という要素は、サラリーマンに必須の要素であるという訳です。
(4)青年らしい素直さと初々しさを有していること
皆さんのなかには、これまでの話を聞いて、「自分は、協調性はマアマアある方ですが、先輩方に気にいられるほど人の話を聞くのが上手か自信がありません」という人がいると思います。否、皆さんのうち圧倒的多数の人は、どちらかと言えばそのタイプだと思います。さて、それではそうしたやや平凡なタイプの人は、どうやって自分を売り込むことが可能なのではないでしょうか。何かいい方法があるのでしょうか。
方法はまだあります。それはあなたの若々しさと素直さをアッピールすることです。社会人の職場では、4月になれば新人が入ってくるということで、職場の先輩たちは自分も昔を思い出したり、或いは何となく若返った気分になるものです。そして、無意識のうちに自分のセクションにも、男女を問わず、溌剌とした青年らしい新人が入ってくることを期待しているのです。試験官の人たちは、当然そういう職場全体の「声なき声」を意識しているのです。試験官が一番恐れるのは「何であんな新人を採用しちゃったんですか」と言われることです。例えば、可愛げがないとか、素直でないとか、変に分かった風なことを言う奴です。
職場の「声なき声」は、実際の採用試験の基準とは随分ずれる傾向にあるのです。どちらがどうであるなどとは言いませんが、事実そうなのです。極端な話、女子を多数採用したにも拘わらず、かわいいタイプが少ないとブーイングです。
いずれにしても、職場の「声なき声」は最低限の要求として、新人らしい新人を求めているのです。そして、そのことは試験官であっても同じなのです。ですから、試験官は本能的に新人らしい新人を探しているとも言えるのです。
「青年らしい素直さと初々しさ」。如何にも平凡な条件に見えますが、その条件を持つことの意味が分かってもらえたでしょうか。
おまけの話 その12 皆さんのなかには、本書をここまで読んで、「いろいろと難しいものですね。公務員になるなんて、筆記試験は少し難しいかも知れないと思っていましたが、人柄や性格がそんなに大事なんですか」と考えている人が多いかも知れませんね。また、「だけど、自分の先輩で公務員になった人が沢山いますけど、先輩たちはそんなに、立派な人柄だったんですかね」という感想をもっているかも知れませんね。
皆さんがこの本を読むことによって、萎縮しても困りますので、ちょっと安心する話 も紹介しておきましょう。
先ずは、公務員になった先輩たちはみんな立派な人かという疑問。誤解を恐れずに言えば、いろんな人がいると考えた方がいいと思います。
何故か。採用の原理原則に関係することなのですが、同じようなタイプの人たちで構成される組織といろんなタイプの人たちで構成される組織とでは、後者の方が強固であると認識しているからです。同じタイプの人間だけが集まれば、確かに意思の疎通がよくなったり、職場の雰囲気が居心地がよかったりとメリットも多いと思いますが、他方何らかの困難に遭遇した際、一人が知恵や勇気が出ないとすれば、全員同じであるので、全くのお手上げになってしまうからです。それに対し、いろんなタイプがいるとい うことは、職場の雰囲気をまとめるのが難しくても、いろんなタイプの人がいて、それぞれに得意なことや不得意なことが違うので、困難なことに遭遇しても、誰かが知恵を出したり、勇気を出したりして乗り切ることができるのです。
ということで、そもそも試験官側でいろんなタイプの新人を集めようとする傾向があるということです。
次に考えられる理由として、見間違いということが考えられます。極端な場合は、採用ミスです。その原因は受験生側の演技が立派であったからということもあるでしょうが、試験官がやや異なった尺度で受験生を見ていたというようなことが考えられます。
理由はともかくとして、いろんな人がいるのが現実の世界です。ですから、受験生の皆さんは、「自分は自信がない」などと勝手に弱気になるのではなく、本当の自分を見せることに最大限の努力をして下さい。
8.面接で質問されそうな今年のトピックスに対する対応
第7章までにおいて、面接試験に臨むに当たっての基本的な心構えについて、ひととおり見てきました。あなたが、これらのことを十分頭に入れた上で自分を見つめ直し、面接試験に臨むのであれば、少なくても、能力がありながら不合格になる可能性は格段に低くなる筈です。否、そればかりか、あなたは他の人よりも十分魅力的な自分を試験官側にアッピールすることさえ可能となるのです。
第8章においては、あなたがそうした心構えを確実に身につけたことを前提として、更に合格の可能性を高めるための対策を講じることにします。具体的には、最近話題になっているトピックスについてチェックし、質問されるであろう内容について予め予想を立てることです。これによって、あなたは他の受験生よりもゴールに随分近づくことができるようになります。
しかし、第8章を学ぶに当たっては、次のような点に十分留意して頂くことが必要になります。
・第7章までに記述された内容について、十分理解できないところや納得がいかないところがあれば、もう一度、筆者が何を言いたいか考えて下さい。第7章までの理解が十分でないまま、第8章以降を読んで頂いても得るところは少ないものと思われるからです。
・第8章においては、面接試験で聞かれそうな質問に予想を立てた準備をします。しかし、こうした手法には大きな効果があるとともに落し穴も伴うことがあります。その効果と落し穴が何かということについてここで指摘しますので、そのことを決して忘れないで下さい。
<落とし穴>
この本の「はじめに」において、「この本では暗記の要素を極力排除した」という趣旨のことを書きました。しかし、面接試験で聞かれそうなことを予想し、どのような答え振りがよいかということを考えるのは、皆さんに模範回答を覚えることを勧めているように誤解される恐れがあります。しかし、著者の真意は決してそうではないのです。どこまでいっても暗記に頼ることは適当ではないのです。予想を立てて対策を練るということは、充分時間があり、かつ極度な緊張状態に陥ることがない状況において、じっくりと自分の考え方を追及し、如何に表現すれば試験官に自分の言いたいことがよく伝わるかということを探るということなのです。ということは、決して、模範的な回答を準備してそれを丸暗記しようというものではないのです。
もし、仮に受験生のあなたがこのことを忘れ、実際の面接の場において、暗記に頼って回答しようとすれば、先ず、第一に、ヤマが当たったことについて喜び過ぎ、その割には、話の内容が、真に自分の考えによるものでない(自分が普段使うような言葉 を使わないこともしばしば)ために、試験官側に言いたいことが伝わらないという、思いもかけない結果に陥ってしまう恐れがあることに留意して下さい。
繰り返しになりますが、ヤマが当ったとしてもその程度のことでは喜ばないで下さい。今年のトッピクスという程度のことであれば、誰もが予想可能なことなのです。 そういった予想をしていない人は、全くの準備不足か、或いは逆に、どんな質問がな されても、いつでも答えることができるという自信をもった人なのですから。
<効果>
事前に予想し対策を練ることの効果は、時間が充分あり、また通常のリラックスした状況において、冷静に考えることができるということです。ということは受け狙いで とっさにいい加減なことを答えるということもなくなるということです。また、もう 一つの効果は、どのような表現をすれば聞き手に自分の意図が正確に伝わるかという ことを事前にチェックすることができるということです。具体的には、事前にあるトッピクスについて自分の考えを文章にまとめたり、あるいは、テープレコーダーに向かって話しをすることによって、事前チェックが可能になります。むしろ、この後者の効果の方が、意味が大きいかも知れません。
(1)香港返還
予想される質問の筆頭格は「香港返還」についてでしょう。お正月のテレビ番組でもいやと言う程このトッピクスが取り上げられていました。恐らく、試験官側が質問しないまでも、受験生の方から「最近関心をもっている出来事」の一つとして、香港返還について言及する人も多いと思います。
ということで、「香港返還」を最初に取り上げました。でも、よく考えると、試験官側がこのトッピクスについて質問するのは、どういう意図からなのでしょうか。これを質問することで、受験生の論理的思考能力を知ろうとでもいうのでしょうか。やはり、こういった政治・経済・歴史というようなことにまたがる問題を取り上げるのは、世界的な関心事項であるし、自分も関心があるというのが第一の理由なのではないでしょうか。
それでは、どのような観点からどういう質問をしてくる可能性が強いかについて予想してみることにしましょう。
<予想される質問>
・「香港返還について、あなたはどのように感じているか」という一般的質問。
質問の趣旨は、全世界の注目の的になっている香港返還についての、基礎的知識を問うことです。おそらく殆どの受験生が「非常に関心を持っています」と答える筈です。実際はそうでなくても、そのように答えないと一人前の社会人にはなれないような気がするからでしょう。まあ、それは仕方のないこととしても、関心があると答えるからには、何故関心があるか、どのように関心を抱いているかということを分かり易く試験官に説明することがポイントになってきます。そのことを忘れないで下さい。
・「香港がイギリスの統治下に入った経緯について説明下さい」という歴史の知識を問う 質問。
あなたの歴史に関する基礎的知識を試す質問です。筆記試験の続きみたいなものです。
・「99年経ったら、香港を中国に返還すると約束した当時の両国の当事者の意図について思うところがあったら、感想を述べて下さい」という問い。
こうなると、単なる知識を試す問題ではなく、受験生の歴史観や思想観を知ろうとする質問と言えます。
・「香港の今後の経済の行方について述べよ」という問い。これは、経済学的知識や経済に関する論理的思考力を試す問題と言えます。
・「香港返還がわが国に与える影響について述べよ」という問い。これも経済学的知識と論理的思考力が試される問題であり、難問。
・「香港返還が中国と英国に与える影響を述べよ」という問い。難問。
(2)インターネット
インターネットの話題は、既に少し古くなったかも知れません。その位の急スピードでインターネットは日本でも普及しています。
ところで、役所の世界でもこうした流れに遅れをとるまいと、職場では1人1台のパソコンが配備され、ネットワークが構築されています。勿論、各省庁もホームページを開き、そこにアクセスすると、大臣の挨拶を読める(読まされる)仕組にしています。ただ、そうした動きに対し、役所の人間がどのように感じているかはまちまちのような状況です。当然、積極的推進論者もいれば、パソコンや電子メールの効用に懐疑的な見解を抱いている人も見受けられます。
いずれにしても、これだけ我々の生活と密接な関係を持つようになったインターネットですから、面接試験で話題になってもおかしくありません。
<予想される質問>
・「インターネットやパソコンに興味がありますか」という一般的質問。
こういった質問をされると、「パソコンくらい使えないと就職試験で不利になる」という噂を信じている受験生は、嘘でも「はい。大変興味があります」と答えてしまうのではないでしょうか。或いは、「興味は大変ありますが、時間がなくてパソコンはまだ自由には使えません。就職するまでには、きっとマスターしたいと思います」などという 弁解じみた回答をするかも知れません。しかし、試験官はあなたがパソコンを使えるか どうかなどということは問題にしていないのです。パソコンやインターネットがどのように我々の社会に影響を与えるのかというようなことについての、あなたの考えを知り たがっているのです。
・「電子メールなどを始めた企業や役所も多いですが、あなたはそのような動きについてどのように感じていますか」というあなたの意見を問う質問。
こういった質問には圧倒的多数の人が肯定的意見(例えば、電子メールの利用によって社内の意思疎通がよくなるだとか、社長やトップの考えが、末端まで行き渡るようになたとか)を述べるのではないでしょうか。それはそれで結構なのですが、ただ、どのような根拠でそう考えるのかを示さなければ十分とは言えません。その意味では、リスクはありますが、否定的意見(例えば、電子メールを開始しても、実際には一般職員がトップに直接メールを送ることを禁止した役所もあるので、日本の企業風土にあっているか疑問であるというようなこと)を述べるのも一つの方法かも知れません。試験官によっては、そういう人と違った意見を述べる受験生に興味を抱くかも知れません。しかし、逆に、「へそ曲がり」と誤解されるリスクがあるかも知れません。そういうことなので、やはりよく考えて、自分がそうだと思うことを述べるべきだと思います。
・「インターネットの普及によって、社会のシステムそのものが大きく変化するであろうと予想する人もいるようですが、あなたはどのように考えますか」という質問。
この質問は、受験生の洞察力や先見性を試しているとも言えますが、単に知識を試す結果に終わる可能性もあります。
この手の質問をされると、おそらく直ぐに回答できる人と全くどのように答えてよいか分からない人に分かれることが予想されます。というのは、インターネットに興味がある人にとっては、この質問はいつも話題になっているようなことである一方、インター ネットに全く興味をもっていない人にとっては、インターネットがどんなものかすら知らないからです。となると、何にも答えられない人は相当不利になります。後で出てき ますが、芸能ネタならば「知りません」でも許してもらえるかも知れませんが、インターネットについての基礎的知識は必須というべきでありましょう。
ところで、この問題に直ぐに回答できる人たちの回答内容はどのようなものでしょうか。恐らく、その人たちにはとっては、この質問は常識みたいなものでしょうから、答えも同じような内容になるのではないでしょうか。しかし、問題はそこにあります。この質問は将来のことを 聞いているのです。そうすると、実際どうなるのかは誰も分からない筈です。にも拘わらず、多くの人の回答内容が同じになるであろうと予想されるのは、パソコン界における著名な人たちが、その質問に答えている模範回答のようなものが既に存在しているか らなのです。そうであれば、答え方も、「これこれの考え方をする人が多いが、私はこ れこれの理由からそのようには考えない」とか「これこれの考え方をする人が多いが、私も、これこれの理由からそのように考える」という言い方になるのが適当なのではないでしょうか。
・「インターネットは空っぽの洞窟だなとという比喩的表現も聞かれますが、あなたはどのように思いますか」という質問。
この質問についても、前の質問と同じようなことが言えます。
(3)ビッグバン
次は、ビッグバンです。「ビッグバンって何ですか」では全く心もとないですね。ビッグバンについて答えられなくても、何年か前までだったらそれほどは責められなかったと思いますが、一国の首相が口にするようになると、そうもいかなくなります。
ビッグバンは、そもそも宇宙物理学において、宇宙が誕生するときの大爆発を指すということを聞いた覚えがありますが、経済や金融などの分野で使われる意味は、銀行、証券会社、保険会社などの金融の分野に属する企業が、従来の規制から解き放たれて自由に経済活動を開始するようなことを指します。ということは、競争に敗れ駆逐される企業も出てくる反面、非常に強力なパワーをもった企業が出現することもある訳で、いずれにしても、マーケットの理論が最大限尊重される世界が出現するのです。実際には、英国においてビッグバンが実施されましたが、我が国もそうした動きを見習い、東京の金融・資本市場としての地位をもう一度活性化させようという狙いがあります。
ここ数年、或いは現在においても、日本の証券市場や銀行業界については、暗い後ろ向きの話ばかり行われています。日本においてビッグバンが叫ばれるのも、どこまで考えた上での話かは定かではありませんが、回復と発展に向けての切なる祈りが込められているのでしょう。
そういうビッグバンですが、試験官が質問するとすれば、どのようなことを聞いてくるでしょうか。いくらあなたの論理的思考力が大したものだとしても、ビッグバンについての最低限の基礎的知識がなければ、全くお手上げになる可能性が強いので、その点は注意しておく必要があると思います。
<予想される質問>
・「ビッグバンとは何ですか。簡単に説明して下さい」という基礎的知識を試す質問。
・「あなたは日本でビッグバンが実施されるのに賛成ですか、反対ですか」というあなたの意見を求める質問。
ビッグバンについて、勉強している人ほど、賛成意見が多いと思われます(また、賛成する理由も殆ど同様だと思われます)が、あなたの意見はと言われているのですから、少しは個性ある意見を述べた方が印象に残るかも知れません。ただ、目立つことだけを狙って、心にもないことを言うのは却ってマイナスです。
・「ビッグバンの理念や目指すものは理解できても、果たして、護送船団方式を長く取続けてきた日本の風土にマッチするものなのかという意見もありますが、どうですか」と更に、あなたの考えを確認しようとする質問。
こういった質問をする試験官は、自分もビッグバンについて相当の見識を有しているという自負心をもった人の可能性があります。ですから、通り一遍の答えではなく、「あなたの考え」を期待されているかも知れません。
・「ビッグバンが実施されれば、当然倒産する銀行、証券会社或いは保険会社が出てくると思いますが、それはマズイのではないですか。あなたの意見を聞かせて下さい」というような質問。
ここまで来ると、試験官は、むしろビッグバンの強力な支持者であるようにさえ想像されます。
(4)役所の組織改革(例えば、大蔵省の銀行検査監督権の分離、日銀法改正)
次は、役所の組織改革の問題です。例えば、大蔵省は、昨年来の住宅金融専門会社(所謂「住専」)の処理の仕方等々の問題がきっかけとなって、とうとう、「銀行の検査監督権」が他の省庁に分離されることとなってしまいました。
また、大蔵省に限らず、多くの役所がその存在意義と行政手法が改めて問直され
ています。そういう状況にあるために、現職の職員は否が応でも、関心を持たざるを得ない状況にあると思います。
ということなので、役所の組織改革について質問される可能性は非常の大きいものと予想されます。ただ、現職の職員に身になって考えると、自分の生活に直接影響をもたららす問題であるだけ、あまりダイレクトな聞き方はしない可能性もあると思います。
<予想される問題>
・「大蔵省の組織から金融機関の検査監督権が分離されることとなりましたが、このことについて、あなたはどのように思いますか」という一般的質問。
先ずは、行政機構の改革に関する基礎的知識を試そうとするとともに、その代表的事例である大蔵省の金融機関の検査監督権の分離について、あなたがどの程度の知識を有しているか、知ろうとします。
受験生のあなたは、このような質問をされたとき、どの程度正直に受け答えすればよいものなのか迷うかも知れませんが、相手方が気を悪くしないかどうかなどということは、あまり神経質にならない方がよいと思います。自分の考えをしっかりと述べるほうが若者らしくて、よい印象をもたれると思います。ただ、試験官も人の子ですし、また、あなたも就職したくて面接試験を受ける訳ですから、面接を受けている当の役所をあまり批判すると、何をしに面接試験に来ているのかと思われていまうので、その程度の常識はわきまえて欲しいと思います。
・「日銀法は、何故改正する必要があったのですか。また、どのように改正するの
ですか」という基礎知識を試す問題。
・「金融機関の検査監督権を大蔵省から分離することについては、財政と金融の両方の権限を一つの役所に集中していることに対する批判があったと思いますが、それに対する 反論があれば挙げて下さい」というやや高度な知識と論理的思考力を試す問題。
反論の代表的意見は「G5などの国際会議に出席する国のなかで、こうした権限が分離されている国はない」とか、「財政と金融の両方の権限を有しているので、効率的に行政が執行できる」というようなものでしょうか。いずれにしても、自分で納得した考えだけを述べるようにして下さい。沢山知識を披露すればよいというものでは決してあり ませんから。
(5)特殊法人の民営化
特殊法人の民営化の話も、行財政改革の一環として質問される可能性の高いトピックスと言えるでしょう。
また、特殊法人の民営化の議論との関連では、財政投融資の在り方の問題や小泉大臣の郵政事業の民営化の議論にも言及される可能性があります。
皆さんは若いので、率直な意見を述べた方がいいと考えますが、ただ、郵政事業の民営化の議論のように当事者(郵政省とその関係者)が相当反発しているケースもありますので、面接先の役所がどの特殊法人と関係があるのかというようなことをよく理解した上で意見を述べることが適当と思います。
<予想される質問>
・「特殊法人の整理統合についてどのように考えるか」という一般的質問。
このように一般論で聞かれる場合には正論で答えて何ら問題なし。
・「○○公庫の廃止統合の話が新聞などで報道されていますが、あなたはどのように思いますか」というような個別具体的な質問。
仮に、受験先の役所がその特殊法人と全く関係がないとしても、「全く不要です」と言い切っていいものかどうか、迷うかも知れませんね。迷うようであれば、正直に「不要 だとは感じますが、実情が分からないもので、確信はありません」と正直に答えては如何がですか。
これとは少し状況が違って、「うちの役所が監督している○○公庫については、どう思いますか」と聞かれたら、どうしますか。「新聞のアンケート調査で、廃止統合すべきだとする意見が一番多かった特殊法人ですね」などと答えていいものかどうか。「そんなことは、聞かれる筈がない」。多分そうでしょうね。
(6)公務員の倫理問題
公務員の倫理問題、これも時節柄質問される可能性があると考えます。一般論として言えば、いずれにしろ極端な議論は嫌われそうかなという感じがします。
<予想される質問>
・「公務員の倫理問題についてどのように思いますか」
・「最近の公務員のスキャンダルは一部の人の問題と思いますか。それはどうしてですか。
・「どうして、こんな風になってしまったと思いますか」
・「再発防止のために、政府としても対策を講じているように思いますが、それについてどのように思いますか」
・「公務員のスキャンダルと民間企業のそれと違いがあれば挙げて下さい」
(7)ペルーの人質事件
日本が関係していて世界中が注目した事件に「ペルーの人質事件」があります。(この本を書いている段階ではまだ解決していませんが)
この事件の関係では、「危機管理」、「外交政策」、「我が国の援助政策」、「日本企業の海外進出」、「中南米諸国のテロ問題」等々、いろんな視点から質問することが考えられます。
<予想される質問>
・「この事件が起きた背景として、日本大使館側の危機管理が甘かったのではという意見がありますが、あなたはどのように思いますか」
・「我が国の政府は、事件解決のためにいろいろ手段を講じたと思いますが、外交政策の観点から、他に有効な手段があったのではと思いませんか」
・「事件が起きた当初、我が国のペルーに対する援助が国民の末端まで行き届いていないことが一因とも言われましたが、我が国の援助政策についてどのように考えますか」
・「ペルーを含め、日本の有名な企業が中南米に多く進出していますが、事件の再発防止の観点から、民間企業として何かできることがあるとは思いませんか」
・「中南米諸国は、いろいろと政治的に不安定な国が多いと思いますが、そのようなことの背景にはどんな事情があると考えますか」
(8)消費税の引き上げ
今まで100円につき3円だった消費税が今年の4月からは5円になりました。
どんなに経済に無関心な人でも当然その変化に気付いていますし、また、5円玉が急に脚光を浴びるようにもなりました。
消費税引き上げの議論については、多くの受験生も一通りの回答はできる筈だとは、思いますが、それだけに、独自の考えを披露することも得策かも知れません。
<予想される質問>
・「あなたは消費税の引き上げに賛成ですか、反対ですか」
・「賛成あるいは反対の理由を述べて下さい」
・「直接税と間接税について簡単に説明して下さい」
・「税金の経済対策との関係について簡単に述べて下さい」
・「日本の税制とヨーロッパの税制の特徴を述べて下さい」
・「タックスヘイブンについて簡単に説明して下さい」
(9)為替・株価
為替や株価のことについては、面接で直接聞かれる可能性は少ないかも知れません。しかし、ここでは、一応為替・株価についても挙げておきます。というのは、学生と社会人の差がよく現われるカテゴリーの一つが為替や株価に対する関心であるからです。例えば、経済の理論を専門に研究している学生でも、或いは為替と国際収支について学んでいる学生でも、昨日の為替・株価がいくらで、今日はどうであるかということには意外と無頓着な人が多いからです。それに対し、社会人の場合には、難しい理論は何も分かっていなくても、これまでの日経平均の最高値はいくらで、それがいつ底を打って最近は幾らくらいの水準にあるということは、多くの人が当然のように知っているからです。
ですから、面接試験のときにも、試験官が、為替や株価のことを直接質問をすることはないにしても、受験生のあなたも当然そのことを知っているものと思って話を進めたりする可能性が高いからです。
受験生の皆さんは、次のようなことは当然チェックしておいて下さい。
<チェック事項>
・日経平均の最高値はいくらか。いつの時か。
・日経平均の最低値はいくらか。いつの時か、当時の経済状況、特に銀行業界はどのような状況であったか。
・円が最も高い水準であったのはいつごろで、いくらであったか。
(10)たまごっちの流行
一般的社会現象として、たまごっちと呼ばれるゲームが爆発的な人気をはくしました。街には、発売に合わせて凄い行列ができ、その中には、宮沢元首相が並んでいたことも報道されました。これ位人気が出た商品ですから、如何に勉強に追いまくられていた皆さんでも、たまごっちの名前位聞いたことがあると思います。
さあ、試験官がたまごっちに関連して質問するとすればどんなことを聞くでしょうか。
<予想される質問>
・「たまごっちは知っていますか。凄く流行しましたが、どのように見ていましたか」と いう一般的質問。
こういう一般的な質問で、あなたの関心度を探ります。そして、関心があるようであれば、続けて関連の質問をしようと試験官は考えます。次のテレビ番組関係のトッピクスと同じように、この手の話題に詳しいことは、人間としての柔軟性を推測させる材料になり得ます。ただし、筆記試験の成績や面接の受け答え等で、あなたの知的水準が高いことが十分明らかにされていなければなりません。
・「たまごっちが流行った要因や社会的背景についてどのように考えますか」というあなたの洞察力や思考力を試す質問。大変な難問。この質問に十分答えることが可能であれば、民間会社の企画部門にスカウトしたい位。模範回答はないのですから、自分が考え 付いたことを如何に相手に理解させるかがポイント。何故そう思うのかという、具体的 根拠を示せるかどうかがポイント。
(11)テレビ番組の「ふたりっこ」
NHKの朝の連続テレビ番組が、久しぶりに大人気になりました。「ふたりっこ」です。
受験生の皆さんからは「そんなことまで聞かれるのですか。テレビ番組までチェックする必要があるのだったら、筆記試験の勉強に時間を割くのも大変ですね」と言われそうです。しかし、人気のあるテレビ番組を全部見るべきだなどと言うつもりありません。ただ、公務員は「公僕」であり、国民がどんなことに関心を寄せているかということについては、絶えず注意を払う、そんな姿勢が望まれるのです。おそらくそこに公務員の原点があるのではないでしょうか。
ところで、あなたは、「ふたりっこ」がどんな内容の物語かご存じですか。全く知らなくても、それによって合否が決まるというものでもないでしょうが、「ふたりっこ」がNHKの朝の連続テレビ番組であるという程度のことは知っておいて下さい。
さて、試験官が気楽な気持ちで「ふたりっこ」を話題にするとします。その場合具体的にはどのような質問をしてくるのでしょうか。テレビの芸能関係だから、簡単な問題だろうなどと勝手に決めては困ります。
<予想される質問>
・「『ふたりっこ』というテレビ番組を見たことがありますか。大変人気がありましたが、あなたはどのように感じましたか」という一般的な質問。
このような質問によって、あなたの趣味や趣向を知ろうとする。あなたが筆記試験の成績がよく、また、頭がよいという印象を試験官に持たれたとして、なおかつ、このような芸能ネタについても自分なりの考えを披露することができれば、「非常に柔軟な奴」ということで、他の者より相当にリードすることが可能になると思います。
・「『ふたりっこ』の主人公は、双子の姉妹ですが、あなたは姉の麗子の生き方と妹の香子のどちらにより共感を感じますか」というあなたの人生観を問うような質問。
あなたが、「ふたりっこ」を観たことがないと言えば、こんな質問はされないと思いますが、「よく観ていました」と答えると、必ず聞かれそうな質問です。模範回答はありえず、こういった予想できないような質問にどのような答え方をするかに、受験生の知性や人間性が反映されると考えます。
(12)クローン羊・クローン猿
クローン蛙などという言葉を耳にした覚えがあると思っていたら、最近は、クローン羊、クローン猿どころか、クローン人間などという言葉さえ聞かれるようになってきました。早速バチカン法皇やアメリカの大統領が反応を示しましたが、このようにこの問題は、世界中というよりも、人類にとっての最大の関心事項であるかも知れません。
ということで、クローン羊を挙げました。恐らく99%の受験生が、このことについて質問をされると、批判的な意見を展開するものと思います。99%の試験官も多分同じ考えだと思います。しかし、だからこそ、単なる批判に終わらず、どこまでが許されて、どこからが許されないのかというようこと、或いは、どのようにしてそういった科学技術の進歩を利用すべきか(或いは利用すべきでないか)というようにきめ細かな議論を展開することができれば非常に有利になると考えます。
予想される質問は挙げません。
9.自分にとっての就職とは何かを考える
この本をここまで読み進んできたことによって、あなたは随分と面接試験が分ってきたと思います。「面接試験なんて、もう怖くない」と思っているかも知れません。
しかし、そういうように自信がついた人がいる一方で、相変わらずモヤモヤとしたものを抱き続けている人がいるかも知れません。「自分にとって、就職とは何だ」「就職しないままだと、どうなるのか」「就職しなくてプータローでいて、何か悪いのか」などと思っている人たちです。「いずれにしても、就職することになるのだろう、否、就職したい」との感情を抱きながらも、どういった職業が自分に本当に向いているのか確信が持てない。それは、友達に対する見栄のために、一流と言われるような会社や役所しか選択肢として考えられないからかも知れないし、或いは、自分のやりたいことを本当に考えたことがないからかも知れません。
この本では、今までのところ、「就職とは何か」とか「どのような人がどのような就職に向いているのか」などという本質的な問題は扱わず、専ら面接試験の心構えなどについて考えてきました。しかし、「自分にとって就職とは何か」ということがしっかりとしていない状態では、どんなに面接試験の心構えを学んでも、本末転倒かも知れません。
そこで、第9章においては、我々にとって「就職とは何か」ということを少し考えてみることにしたいと思います。ただ、このようなことは、本来誰かに教えてもらうというようなものではなく、自分自身の経験を踏まえ、自分なりにいろいろ考え抜くことによって答えを模索するものなのです。ですから、ここではあまり深入りはしませんので、了承下さい。
(1)就職とは何か
あなたにとって就職とは何でしょうか。学生時代を終え就職することが当然だと考えていた人にとっては、あまりにも唐突な質問に聞こえるかも知れません。それはそれとして、どんな答が返ってくるでしょうか。想定される答を例示的に挙げてみます。
<就職とは何か>
・喰っていくための手段。
・自分がやりたいことをやるもの。
・無職だと恥ずかしいから就くもの。
・お金持ちになる手段。
・第一には食べるための手段であるが、できるだけ自分に向いたことをして時間を過ごすもの。
・世の中に貢献する手段。
・自分の夢を実現するもの。
・親が決めるもの。
・自分を磨く機会になるもの。
・結婚までの繋ぎ
以上はほんの一例で、もっといろんな答があることでしょう。
ところで、以上のような答を整理してみると、就職に対し積極的か、そうでないかによる分類が可能だということが分かります。
例えば、就職しないと食べていけないとか、世間体が悪いとかの例は、就職に対し極めて消極的な姿勢であるのに対し、お金持ちになりたいからとか、夢を実現たいとか、社会に貢献したいとか、出世をしたいとかは、積極的な姿勢です。
私は、ここで就職に関する特別の価値観を皆さんに押し付けるつもりは全くありません。例えば、消極的姿勢より積極的姿勢が常に正しいなどというつもりはありません。積極的姿勢だといっても、単に自分の欲望を満足させるためだけの就職も有り得るからです。
ただ、積極的姿勢の受験生と消極的姿勢の受験生がいた場合、どちらが合格る可能性が高いかと言えば、それは自明のことなのです。そのことを先ずよく理解て下さい。
(2)譲れない条件を考える
自分にとっての職業がどんなものか、ある程度考えることができたでしょうか。
「食べる手段というのはその通りだし、だからといって何でもいいのではなく、できれば自分に向いていて、社会にも貢献できれば嬉しいし、それに、オフィスが格好いいビルに入っていて、出世の可能性もそこそこあれば嬉しいな」などと虫のいいことを考えている人はいませんか。
そういうことが全て充たされれば誰だって嬉しいのですが、しかし、現実は厳しいものです。一つの条件を充たそうとすれば、他の条件が充たされないようなことも多いのです。となると、あなたにとって絶対に譲れない条件を先ず絞り込むことが必要になるのです。
それは一体何なのでしょうか。お金でしょうか。公務員という地位でしょうか。自分で会社を経営することでしょうか。仕事の内容でしょうか。出世の可能性でしょうか。それとも、勤務地に関する希望でしょうか。
ただ、絶対に譲れない条件を絞り込むといった作業は、案外難しいものです。一旦答が出たと思っても、次の日になったら考えが変わっているかも知れません。ですから、人によっては何度も何度も考え直す必要があるかも知れませんし、或いは、いろんな人に話を聞いたり、沢山本を読んだりすることが必要かも知れません。でも、そうやって苦労して何が自分にとって大切かということを考えることによって、あなたにとっての職業というものが明確になってくるのだと思います。例えば、外国に行ってみたいという希望が強い人であれば、大使館や領事館で働くことこそが自分の夢だと気がつくかも知れませんし、日本の農業をもう一度立て直すことこそが自分の夢だと思う人もいるでしょう。そうした人がいる一方で、通常の事務の仕事なら何でもするから、給与水準と勤務地の希望だけは叶えてもらいたいと思う人もいるでしょう。
いずれにしても、そうやって自分の正直な気持ちが何かを明らかにすることが大切です。それが十分に自覚できていないと、自分に向いた仕事かどうかが分からないのですから。
譲れない条件として考えられるものを挙げておきますので、参考にして下さい。
<譲れない条件>
・給与が高いこと
・実績に応じてボーナスが沢山もらえること
・興味が持てる仕事であること(面白い仕事)
・調査部門の仕事ができること
・営業の仕事ができること
・セールスの仕事をしなくても済むこと
・学生時代に学んだことが直接生かせる内容の仕事であること
・いろいろな種類の仕事ができること
・社会に貢献できる仕事であること
・ノルマが課せられないこと
・職場の知名度があること(一流と言われているような企業・役所であること)
・残業が少ないこと
・休日出勤がないこと
・始業時間が早くないこと
・休暇が取りやすいこと
・転勤が少ないこと(多いこと)
・海外勤務の可能性があること
・留学のチャンスが与えられること
・女性の権利が尊重されていること
・職場に女性が多いこと(少ないこと)
・出世のスピードが速いこと
・定年まで働けること(途中出向等がないこと)
・再就職の世話が行き届いていること
・社宅が完備していること
・福利厚生施設が充実していること
・安定していること(倒産する可能性が極めて小さいこと)
・会社(役所)の中に派閥などがないこと
・職場の雰囲気が家族的であること
・エリート集団であること
・社長がワンマンでないこと
・自由に意見が言える職場であること
(3)公務員に向いている人とは
あなたが自分にとっても「譲れない条件」を絞り込むことができたとして、そういった条件から考えて、果たしてあなたは公務員の向いているのかどうか。
勿論公務員といっても、国家公務員と地方公務員、現業と非現業と分かれますし、国家公務員でも中央省庁とその出先機関、地方公務員といっても、都道府県、政令都市、市町村役場とさまざまで、そのなかでも事務官と技官がいます。ですから、ここで向いているかどうかといっても、あくまで一般論の域を出ないものです。ですが、やはり一つの大きな参考材料になることも確かなのです。
あなたが譲れないと考えている条件と公務員の実態との関係を探ってみましょう。
<給与条件>
一般論として、民間の平均値と同じ程度の水準ということになっています。ということは、銀行、損保、商社など、給与が高いと言われている職業に比べると、相当に低いとも言えますが、メーカーなどとはそれほど違わないかも知れません。なお、民間との比較では、若いときほど、公務員の給与水準が低く感じられるかも知れません。但し、地方都市勤務の場合(国家公務員)には、相対的に高水準に見える場合もあると思います。なお、公務員の給与水準は、実績や能力はあまり反映されません(民間の会社からすれば、全く反映されていないようにも見える)。そういう事情もあるので、高給取りになりたいことが絶対の条件であれば、公務員には向きません。
<仕事の内容>
一般論として言えば、面白そうな仕事をしている役所もあれば、そうでもなさそうな役所もあります。何とも言えません。
自分の興味が持てる仕事ができるかどうかが決定的に重要だという人は、公務員か民間会社かという二者択一ではなく、公務員であれば○○省庁、民間なら○○会社というように考える方がよいと思います。
世の中のために役に立つ仕事がしたいというだけだったら、必ずしも公務員に限る必要はありません。民間会社でも国民の生活になくてはならない役割を担っている企業も多いですし、一方、公務員になっても、「どこが国民のためになっているか実感できない」というような仕事の担当になるかも知れないからです。ただ、営利を追及することを目的としたくない、という確固たる考えの人は、民間の会社には行かない方がいいと思います。ただ、そのような人が公務員になって満足できるかといえば、全く保証の限りではないと思いますが。
調査部門の仕事がしたいとか、学生時代に学んだこと(経済学や法律)を直接生かせる職場であることが絶対の条件だと考えている人は、公務員か民間かという以前に、広い意味でのサラリーマンに向いていません。役所も民間も、いろんな仕事を担当させられるのが通常だからです。どうしても、経済学を研究し続けたいというのであれば、大学院に進み学者を目指すべきだし、どうしても法律に直接関わっていたいというのであれば、法曹関係の道を目指すべきだと思います。
<勤務条件>
残業などの勤務条件については、一般論で言えば、国家公務員の場合、中央省庁は激務、地方出先機関は普通程度ということでしょうか。しかし、これも職場によって事情はまちまちだと思います。
<男女の機会均等>
公務員の場合、給与は、男女とも同じ条件でスタートします。その後に差が付くとすれば、それは能力や実績によるものということになっています。
最近では、全般的に女性の採用人数が増加しつつありますが、そういった動きにつれ、女性も男性と全く同じように転勤することが多くなっていますので、今後、実感としても女性が差別されていると感じるようなことは少なくなるとも思います。
男女の機会均等を譲れない条件と考えるのであれば、公務員という選択は適当だと考えます。
<宿舎>
国家公務員の宿舎が立派だというようなことが写真週刊誌に載る昨今ですが、若いうちから都心にある公務員宿舎に入居できると思ったら間違いです。週刊誌に載るような羨ましく見えるケースもあるにはあるのですが、そういった宿舎に入居できるのは、相当年数が経った中堅以上の人たちと考えて下さい。また、省庁によっても、恵まれているところとそうでないところがあります。更に、地方で勤務する人にとっては、宿舎の問題はそれほど深刻ではないかもしれません。
いずれにしても、民間企業でも社宅や住居手当が充実しているところは沢山あります。
(4)能力だけでは希望は叶わぬ
さあ、自分の気持ちがはっきりしてきたでしょうか。そうなったところで水を差すつもりは微塵もないのですが、既に述べたように、就職は結婚と似たような面を持っています。
あなたの目指すものがはっきりし、そして、あなたの希望があなたの能力や人柄から考え、高望みでもないとしても、あなたが常に希望の職業に就けるという訳でもないのです。
最後は、あなたと職場を結び付ける「縁」のようなものが作用するかもしれません。いくら就職したいと願ったとしても、十分実力が発揮できない場合があるでしょうし、また、最初はピンとこなくても、時とともに「ここが自分の職場なのかな」という思いがしてくるところもあるものなのです。
どうしても納得できない場合には、納得いくまでチャレンジすることも大切でしょうが、やれるだけのことをやった結果として、希望するところに就職できなかった場合には気持ちを変えることがいい結果につながるかも知れません。「塞翁が馬」という言葉を知っているかと思いますが、楽天的に考えることも時には必要です。
10.そこが知りたい
さあ、最後の第10章になりました。ほぼ私の言いたいことは言ってきました。最後は、皆さんが質問したいと思うようなことにお答えすることします。
(1)試験官によって、採点結果が大きく異なることはないのか。
普通面接試験と言いますと、複数の試験官がそれぞれに採点して、それを合計して(或いは平均して)判断します。何故、そんなことをするか。それは当然のことがら、試験官といっても人の子ですから、採点の結果が試験官によって差が出ることがあるので、受験生に不公平が生じないようにするために敢えて複数の試験官に面接させているのです。
そうなのです。受験生の皆さんから指摘されるまでもなく、試験官自らがそういったことには自覚しているのです。
実際にも、試験官の組み合わせによっては非常に点数の開きが出る受験生の場合があります。また、そのように見方のことなる試験官の組み合わせの場合でも、殆ど同じ様な点数が付けられる受験生もいます。ということは、採点結果に差が出るというのは、試験官側と受験生側の双方に要因があるのです。そこでそういった要因について少し考えてみることにしたいと思います。
<試験官側の要因>
・試験官によって、重要視する評価基準がずれていること
例えば、試験官によっては、論理的思考力を重視したいと考えている人がいるかと思えば、若者らしい素直さとか積極性或いは職場に入ってスムーズな人間関を築けそうかというようなことにより重点をおいて見る試験官もいます。
もちろん、人によって大きく採点結果が異なるのもどうかということで事前調整などいろいろと工夫はするのでしょうが、所詮人間ですから、どうしても「好き嫌いの好み」が現われないといったら嘘になると思います。
いずれにしても、運不運の要素が大きいと思いますので、あまり受験生の方が神経質になっても仕様がありません。
ただ、ひとつだけ言っておくと、複数の試験官の中には、上司の試験官の意向に沿おうとして(簡単に言えば、ゴマを摺ろうとして)採点をつけるような行動にでる試験官がいないとも限りません。そして、複数の試験官のなかで一番偉い人は大抵真ん中に座っているので、受験生としては、「真ん中の試験官に要注意」ということが言えるかもしれません。ただし、そんな姑息なことを考えるより、堂々とぶつかる方が自分の魅力をより一層示すことができるかも知れません。どういう作戦で行くかは、あなたが考えることです。
<受験生側の要因>
・受験生の能力や人柄が評価しにくいこと
・受験生の自己PRがうまいこと(演技が上手であること)
受験生の能力や人柄についてプラス面とマイナス面が混在していたり、あるいは未知数の要素があったりして、簡単には判断できない場合があります。また、受験生が自己PRがうまく能力以上の自分を演じてしまった場合にも、それに気が付いた試験官とそうでない試験官では大きな差が付く可能性もあります。
なお、受験生を男性と女性に分けて考えると、どちらかというと、女性の受験生の方が、試験官による評価のバラツキが多いように見受けられます。それは、試験官の殆どが男性(場合によっては全員が男性)ということにも関係しているのでしょうか。異性を見る目と同性を見る目は違うということでしょうか。
(2)理科系の学生が、行政事務の資格で受験することは不利か
理科系の学生、例えば、物理学科や数学科の学生が、文化系の学生に混ざって「行政事務」の試験区分で役所に入る場合があります。勿論、「行政事務」の試験を受けるからには、法律や経済などを一通り勉強したのだとは思いますが、本人としては、不安を抱いているというケースがあります。
何故そういう事態になっているかについては、いろいろ事情があるのでしょうが、そういう学生が面接で不利になるかと言えば、私は決してそういうことはないと考えます。実際にもそういうケースはあることです。ただ、面接の際、専攻した学科と違う試験区分を選択したことについて、理由を聞かれることは覚悟しておいた方がよいと思います。そして、その理由も十分納得できるものでなければいけません。
(3)服装が面接試験に影響するのか
殆どの受験生が所謂リクルートルックで面接に臨みますので、あまりこういった質問をする人は少ないかもしれませんね。
それはそれとして、服装が試験に影響するか。答は、常識の範囲であれば、影響は全くないし、非常識であれば、多いに影響するということじゃないかと思います。「それでは、常識とは?」と聞かれそうですが、要するに普通の格好ということです。
「スラックスにアイロンがかかっていなくてよれよれなのは、非常識ですか」と言われると少し判定が難しいでしょうか。「スーツ姿に白いソックスは、いいのですか」。これも少し困った質問ですね。学生のなかにはこういう姿に違和感を感じない人がいると思いますが、おじさんたちの感覚では理由はともあれ、軽い拒否反応を示す人の方が多いと思います。
「髪形はどうですか」と言われると、やっぱり、「ビシッと決める必要もありませんが、小ざっぱりしている方がいい」という答でしょうか。「男性も女性も紺のスーツが無難ですか」と言われると、「平凡なサラリーマンや公務員を目指すのだから、それも結構ですね」と答えたくもなりますが、何もそこまで皆と同じようなものを着なくてもという気になってきます。
おまけの話 その13 公務員はどの程度身だしなみにうるさいか。面接試験のときには、服装や髪に気を付けなければいけませんが、実際公務員になってみると、そういった関係は実におおらかというかルーズというか。とても、商売を営む民間の企業だった許されないような格好の人さえ、見受けられます。
また、話は変わりますが、不倫とかでクビになったというような話も聞きません。 元々給料も安いうえ残業が多い職場ですので、不倫や浮気をする余裕もないからでしょうが、不倫を理由に処罰されたなんていう話は殆ど聞いたことがないのです。ですから、テレビドラマなんかで不倫を理由に男を脅かすような場面がありますが、民間の会社と役所は全然違うぞなどと思ってしまいます。
(4)掛け持ち受験の場合、ウソは許されないのか
面接で、試験官が「君、県庁とここの役所と両方から内定をもらったらどうするの」と聞かれています。「実は、6:4で県庁にしようかなとも思うのですが、まだ、よく分からない」と心の中で思っています。こういう場合、どういう風に答えたらいいでしょうか。
<想定される回答振り>
・「こちらの役所が第一志望ですから、当然こちらに参りたいと思います」
・「県庁も受験しておりますが、あちらは第二志望ですので、こちらに参ります」
・「どちらからも内定が頂けるなどとは考えていなかったものですから、仮にそうなった ら少し考えさせて頂きたいと思います」
・「正直言いまして地元志向なので、県庁から内定を頂けたら、県庁に参りたいと思います」
以上のような想定が考えられるのですが、受験生の皆さんがどのように答えようと、本当はどのように考えているのかは大体想像がつくものです。また、受験生がいくつも掛け持ちで受験するのも当然理解できるところです。
ですから、受験生の皆さんがこの手の質問にそれほど神経質になる必要はないかも知れません。また、全く就職する意志がないのにも拘わらず「第一志望です」などというのは論外であるとしても、一応、他が落ちた場合に就職する気持ちがあるのであれば、「こちらのことを第一に考えています」という程度のことを答えるのは、慣例的に認められた範囲の受け答えと言えるのではないでしょうか。否、民間会社の就職試験であれば、その程度のことが言えないような受験生では困ったものだとの評価さえされかねません。
いずれにしても、試験官側も実情は分かっているのです。ですから、この手の質問は挨拶みたいなものだと考えて方がよいかも知れません。ただ、面接試験のあとで、自分の気持ちがはっきりした場合には、速やかに自分の意志を伝えるような気配りはして欲しいものだと思います。
(5)公務員になって、直ぐに転職する人はいないのか
こんなことは、就職が決まってから考えれてもよさそうなものですが、一応そういうことも知っておいた方が何かの役に立つと思いますので、簡単に紹介しておきます。
公務員であろうと、民間の会社であろうと、採用後あまり期間が経たないうちに辞めてしまう人がいます。理由はいろいろあるでしょう。ですが、最大の理由は、就職試験を受ける前に自分に合った職業をよく考えなかったということなのではないでしょうか。そして、実際に就職してみて、自分が考えていなかった現実に遭遇することになって辞めてしまうということです。
それはそれとして、そうした人の割合は、公務員の場合、民間と比べれば遥かに少ないのではないかと思います。ただ、そうではありますが、転職に伴うエネルギーは相当なものがいるでしょうから、なるだけそうならないように、最初からよく考えて自分の職業を決めたいものです。
おまけの話 その14 就職が結婚に、そして、面接試験がお見合いに例えられると言いました。となれば、転職は離婚ということになると思います。最近でこそ、「バツイチ」とかいうように離婚があまり珍しいものではなくなりましたが、それにしても離婚には莫大なエネルギーを消費するものであることはよく言われることです。そして、それは転職にも同じことが言えるのだと思います。
もちろん、やり直しの結果、幸せになる人も多いと思いますが、莫大なエネルギーを消耗すること自体は事実だと思います。
(6)実際の公務員の生活振りはどんなものなのか
既に述べましたように、公務員の仕事は実に多岐に亘っており、公務員になったからといって面白い仕事ができるかどうかは、一言では言えません。各省庁でまちまちですし、また、ある省庁に入っても、入省後いろいろな仕事を担当することになるでしょうから、これもまた、一言では言えません。
ただ、経験から言えば、仕事の内容が面白くないという不満を抱いている公務員は少ないのではないかという気がします。
次に、給与面については、これも既に述べたところですが、自分の能力に自信がある公務員が多いせいか、「給料が安い」という不満はよく耳にするところです。ただ、これも40〜50歳代になると、不満の声が少なくなるような気もするのですが、これは、歳とともに慣れたせいか、少しは給料が高くなるためか定かではありません。
勤務条件は、中央省庁勤務は激務です。場合によっては、その日のうちに帰れないような日々が続くかも知れません。しかし、地方の出先機関に勤務する場合には、残業が多いセクションはむしろ少ないのではないでしょうか。
人間関係はどうでしょうか。公務員の場合、お歳暮やお中元を職場の人間同士で贈る習慣は殆どないのではないでしょうか(断言はできませんが)。ということは、変に上司にゴマをする必要もないということです。
「嫌な上司はいないか」ということになると、これは、はっきり言っています。ただ、嫌な奴は民間に行っても、役所でも、あるいはそれ以外の職場でもいることでしょう。「そういう場合の対処の仕方があるか」。そういう場合、公務員の世界は2年程度で担当が替わることが通常ですから、当然その嫌な奴ともおさらばになる(ならない場合も稀にある)訳で、それまで我慢するというのが一般的な対処の仕方です。
なお、公務員は強い人には弱く、弱い人には強いというタイプの人が多いのも事実だと思います(民間のサラリーマンも同様か)。
地方の出先機関に入った国家公務員の場合、親元の中央省庁に行かないかと声がかかるのが一般的だと思います。最近では、地元志向の人が多く、激務の中央省庁勤務を敬遠する向きもありますので、中央省庁での勤務を希望すれば、実現する可能性も大きいと思います。
退職の年齢は役所によって若干事情が異なると思います。ただ、一般的には、中央省庁勤務の場合、60歳の定年まで勤める人は稀なのではないでしょうか。これから先のことは何とも予想できない面もありますが、これまでは50歳代前半で役所を辞めて、役所が世話をしてくれるところに再就職するというのが多かったのでないでしょうか。
(7)私は本当に公務員に向いているのか
どのような人が本当に公務員に向いているのかは誰も分からないのではないでしょうか。また、役所もいろいろありますから、全ての役所に向いているというような人もいないのではないでしょうか。
ただ、世間が役人に対してもっているイメージもある訳ですから、それを挙げておきましょう。
<世間が持つ役人のイメージ>
・前例主義
・堅物、真面目
・間違いを認めない
・非情、冷酷
・強いものに弱く、弱いものに強い
・政治家に弱い
・よく仕事をする(中央官僚)
・5時になったらすぐ帰る(区役所など)
・天下国家のことを考えている
・有能なエリート
・威張りたがる
・省益しか考えない
・責任をとらない
・戦後の経済復興に貢献した
こうやって考えてみると、マイナスイメージの方が圧倒的に多そうですね。ただ、これは日本に限った話ではなく、どのような国に行っても、同じようなイメージを持たれている場合が多いようです。
また、イメージはあくまでもイメージにしか過ぎません。実際就職してみて、どのように感じるかは別問題であることを忘れないで下さい。
おわりに
ここまで本書を読んで頂き、ありがとうございました。
誤解を生むような表現や正確性に欠ける記述があったかも知れませんが、お許し下さい。
最後に、皆さんに職業に関する私の考えを伝えたいと思います。
我々が就職することの意味をもう一度問いたいと思います。
民間の会社であれ、公務員であれ、或いは、芸能界であれ、学者であれ、あるいは専業主婦であれ、我々が職業を持つというのは、確かに、食べるための手段ありますが、それ以上の意味が込められているのではないかと思います。おそらく皆さんも、そのように感じていると思います。
というのは、自分の好きなことや得意なこと、例えば、学問、芸術、技術、芸能、スポーツ等々を自分の一生の仕事として選び、自分が納得いくまで没頭することによって、自分を高め、自分を満足させることが可能である人がいる一方で、生きていくために、好きでもない仕事を渋々しなくてはいけない人もいるからです。好きなことを追及できる人生は、嫌なことをしなくてはいけない人生と比べてどれほど幸せでしょうか。勿論、自分が好きで選んだ職業とは言え、いろいろと人に言えない苦労があるかも知れませんが、自分が好きで選んだ仕事なら少しくらいの苦労などへっちゃらだと思います。それに比べ、好きでもない仕事の場合には、大した苦労でなくても、もともと嫌いなことですから、とても耐えられないかも知れません。
以上のようなことを考えれば、収入が少しくらい少ないと言っても、自分の好きなことができることが如何に恵まれているか分かると思います。ましてや、好きなことができて収入も多い人はどんなに恵まれた人なのでしょう。
職業が単に食べるための手段であるという以上の意味があると感じるのには、もう一つ重要な理由があります。それは、我々の社会が、実に様々な人々(いろんな職業を持った人々)によって構成されており、仮にその一部でも欠如することになれば、人間社会の機能が直ちに麻痺してしまうのではないかと思うからです。即ち、我々一人ひとりが仕事をすることをストップしてしまえば、単にそれによる収入が得られなくなるばかりでなく、社会の機能そのものがストップしてしまうのです。我々一人ひとりは、自らの仕事の社会的意義をあまり認識していない人が多いかも知れませんが、いずれにしても、我々の社会は相互に関連している有機的存在とでもいうべきものなのです。
我々の社会において、一部の人の仕事がストップしてしまうことは、自然界の生態系において、ある種の動物がいなくなったために生態系の異変が起きるようなものです。ですから、我々の職業は、全てが何らかの意味を持ち、どれも基本的には必要なのです。
また、我々の職業の歴史を振り返ってみると、我々が自由に職業を選択できるようになったのは、人間の長い歴史のなかで、つい最近のことなのです。百姓の子供は百姓になり、武士の息子は武士になるのが当たり前の時代がほんの100年位前までは続いていたのです。それが、義務教育の導入によって、国民の誰もが読み書き算盤ができるようなったことによって、単に職業選択の自由が認められたというだけでなく、実質的にも職業を選ぶことが可能になり出したのです。
職業の自由が認められないということは、自分のしたいことが自由にできないということなのです。生きていくために、誰かが決めた仕事をするしかなかった時代もあったのです。
以上のようなことに思いを致すとき、我々の営みの中で最も多くの時間を占める仕事というものに如何に取り組むべきかがどれほど重要か、分かって頂けるものだと思います。
また、我々一人ひとりが仕事をすることによって、社会全体に貢献することができ、それが廻り廻って自分のためにもなっているのです。
ところで、「何のために働くか」という質問は、「何のために生きているのか」という質問に似ていると思います。我々は、おそらく誰も自分が「何のために生まれてきたか」とか「何のために生きているのか」などという問いに答えることはできないと思うのです。我々にできることは、「どう生きるか」ということについて自分なりに考えることだけだと思うのです。
あなたが、貧しい家庭環境に育ったとして、両親に楽をさせたいと思って実業家になろうと考えるのも一つの考え方です。同じように貧しい家庭に育ったという経験から、世界の貧困をなくすために外国の貧しい子供たちに読み書きを教えようと考るのも一つの考えです。或いは、平凡なことが人間にとって、一番幸せなことではないかと考え、平凡なサラリーマンの道を歩もうとすることも一つの考えです。
こういった一人ひとりの異なった考えのどれが正しく、どれが間違っているなどと誰が言うことができるでしょうか。どのような生き方が良いかは、結局人によって違うのではないでしょうか。
あなたが公務員を目指す理由は何なのでしょうか。じっくりと考えてみて下さい。
そして、あなたが公務員になったら、あなたの理想が実現できるように職場で努力をして下さい。
おそらく、就職試験が終わって年が明けると、今までとがらっと違った現実の社会人の生活が待っています。それからがまた問題です。最初は、職場に慣れることに全力を尽くすべきだと思いますが、暫くして、余裕ができるようになったら、職場をじっくり見つめ直し、明るい職場を作りに率先して努力されることを期待しております。折角期待して入ってくるあなたの後輩のためにも、そうしてくれることを強く希望します。
でも、先ずは面接試験に無事パスすることを心から祈っております。
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