第284回県議会定例会の開会に当たりまして、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べますとともに、平成18年度予算案、平成17年度補正予算案並びにその他の議案等につきまして御説明申し上げます。
〔県政運営の基本方針〕
わが国は、急速な高齢化と少子化による人口減少とが同時に進行するという、かつて経験したことのない、時代の大きな転換期を迎えようとしています。こうした中、これまでの右肩上がりの成長を前提としてきた社会経済システムや国主導による画一的な行政システムは、ともに限界にきており、抜本的な改革が急務となっております。
さらに、私たちの身近な地域社会に目を転じますと、物質的な豊かさがあふれる一方で、人間関係が希薄となり、家庭や地域の絆が失われつつあるほか、人としての倫理観や規範意識の低下に伴い、さまざまな問題が顕在化してきています。
このような時代にあって、豊かで活力ある地域社会を築いていくためには、時代の潮流を的確に捉え、人と社会のあり方、国と地方のあり方などについて、大胆に見直していく必要があります。
このため、新しい総合計画である「とちぎ元気プラン」においては、「新たな“公(おおやけ)”を拓く」という考え方を“とちぎ”づくりの基本姿勢としてお示しいたしました。これは、行政のみが“公”を担うという従来の考え方から脱却し、すべての県民がお互いの立場や垣根を乗り越えて、郷土の課題に対して、協働して取り組むことを提唱するものであります。
そこで、すべての活動の原動力となる「人づくり」を政策の基本に据えることとし、「人間力の向上」、「社会全体で子育てを支える環境づくり」、「創意工夫を生かした個性あふれる地域づくり」の3つを、政策分野を越えて積極的に取り組むべき重点テーマとして掲げました。
こうした基本的な考え方につきまして、様々な機会を通じて、できるだけ多くの方々に御理解いただくとともに、県民、団体、企業、市町村など、“とちぎ”づくりを支えるすべての担い手の皆様と手を携えながら、プランに掲げた施策を着実に推進し、本県の将来像である「活力と美しさに満ちた郷土“とちぎ”」を実現して参りたいと考えております。
次に、地方分権型社会に対応した行財政システムにつきましては、市町村合併の進展、国から地方への税源移譲、さらには道州制論議が本格化しようとする中で、県、市町村ともに、住民自治を基本とする自立した地域経営の確立に向けた取り組みを、さらに加速させていく必要があると考えております。
本県におきましても、1月1日の新生「鹿沼市」、1月10日の「下野市」の誕生に引き続き、3月20日の新生「日光市」の誕生によって、県内は33の市と町に再編され、本格的な地方分権時代を迎えます。このため、住民に最も身近な自治体である市町村への権限移譲を積極的に進めるとともに、引き続き、自主的・主体的な市町村合併を支援して参ります。
また、県自らも、自己決定、自己責任に基づく分権型社会にふさわしい執行体制の構築を、さらに進める必要がありますので、新たな行財政改革大綱におきましては、「県民中心の開かれた行政の推進」、「協働の推進と県の役割の重点化」、「簡素で効率的な執行体制の確立」、「持続可能な財政基盤の確立」の4つの目標のもとに、128項目の具体的な改革事項を掲げたところであります。
事業の選択と集中、総人件費の抑制などにより財政の健全化に取り組むとともに、職員の意識改革と県庁内分権を進め、県民サービスの向上に努めるなど、スピードを重視して改革に取り組み、しっかりとした行財政基盤を確立して参ります。
次に、足利銀行問題についてでありますが、平成15年12月の一時国有化から2年余りが経過いたしました。
この間、県議会をはじめ関係機関と緊密な連携を図り、県民の不安解消をはじめ、制度融資や県単公共事業費の拡充など、地域金融の安定と県内産業の活性化に全力で取り組んで参りました。これまでのところ、当初懸念されていたほどの大きな混乱はなく、県内経済は落ち着きを取り戻しつつあるものと感じております。
足利銀行においても、企業の再生に精力的に取り組んでおり、同行の経営の健全化は、概ね「経営に関する計画」どおりに順調に進捗しております。このため、経営計画の最終年度となる平成18年度においては、より具体的な受け皿論議が開始されることも想定されますので、引き続き、関係方面の動向を注視するとともに、地域の中核的金融機関としての機能が担保される受け皿が選定されるよう、国に対して粘り強く働きかけて参りたいと考えております。
以上申し述べましたとおり、平成18年度は、本県にとりましても大きな転換の年となります。私は、将来に対する確固たる展望を描き、前例にとらわれずに様々な課題の解決に果敢に取り組み、対話と協調を基本とした、県民中心・市町村重視の県政を推進し、県民益の最大化を図って参る決意であります。そして、「いいひと いいこと つぎつぎ“とちぎ”」を合言葉に、200万県民の皆様の力を結集し、元気をつぎつぎ生みだし、発信していく郷土“とちぎ”を築いて参ります。
県民の皆様並びに県議会議員各位のさらなる御理解とより一層の御支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
〔平成18年度予算編成の基本的な考え方〕
次に、平成18年度予算編成に当たっての基本的な考え方を申し上げます。
国は、2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化に向けて、従来の歳出改革路線を堅持・強化するとともに、活力ある社会・経済の実現に向けた重点4分野を中心に歳出を重点化し、「基本方針2001」以来の構造改革に一応の目途をつけ、さらに改革を加速するとして、平成18年度予算を編成したところであります。
さらに、国と地方の三位一体の改革については、地方団体が求めていた3兆円規模の税源移譲が実現することとなりましたが、その内容をみますと、単なる負担割合の変更や地方への負担転嫁が中心であり、総じて、地方の自主性を高め、裁量を拡大するという地方分権の理念に合致したものとは言えないと受けとめております。また、地方交付税の総額は、地方財政計画の歳出規模の抑制等により大きく減額になったところであります。
本県の財政につきましては、約1兆円の県債残高を抱える中で、経常収支比率が90%を超えるなど財政構造の硬直化が進んでおります。平成18年度は、景気回復に伴う企業収益の改善により県税収入の伸びが見込めるものの、地方交付税等の減収が避けられない中で、高齢化の進展などに伴い医療福祉関係経費等が累増しており、かつてない厳しい財政状況にあります。
このような中で、「とちぎ元気プラン」の初年度となることから、プランに掲げた施策の着実な推進に努めるとともに、あわせて、将来世代に重い負担を残さないよう、県債発行額を抑制するなど、財政の健全化を進めていく必要があります。
このため、平成18年度当初予算につきましては、内部管理経費の削減はもとより、事業の選択と集中に徹することにより、必要な財源を捻出し、学校の安全対策など「安全で安心な地域社会づくり」をはじめ、「とちぎ元気プラン」の重点テーマである、人づくり、子育ての支援、個性あふれる地域づくり、さらには県内産業の活性化などに重点を置き、県民の皆様の県政に対する期待に精一杯応えることを基本として編成したところであります。
また、財政調整基金等の調整財源の取り崩しを圧縮するとともに、県債の新規発行額を可能な限り抑制したところであり、財政健全化に向けた道筋をつけることができたものと考えております。
予算編成において特に重点を置いた点について申し上げますと、まず第一は、「安全で安心な地域社会づくり」であります。
子どもたちを狙った悪質な事件や身近な犯罪の増加、さらには、アスベスト問題、耐震強度偽装問題など、県民生活の「安全・安心」をおびやかすような事件が続いております。このような中で、県民の不安を取り除き、安心して暮らせる地域社会を築いていくことが、今、県政に求められている喫緊の課題であります。
このため、市町村や警察本部など関係機関との連携を強化し、地域における県民の皆様の自主的な取組を強力に支援するとともに、通学路の安全対策、交番相談員の配置、環境保全対策など、安全で安心な地域社会づくりに全力で取り組むことといたしました。
第二は、「人間力の向上と心豊かな人づくり」についてであります。
「人づくり」の基礎は家庭と地域にあります。子どもたちは、家庭において基本的な生活習慣を身につけ、地域における様々な人々との交流の中で、社会の構成員としての責任と自覚を育んでいくものであります。このため、毎月第三日曜日の「家庭の日」の普及定着を図るとともに、「あいさつ・声かけ運動」など、家庭や地域と連携し、さらには県内企業の皆様の御協力もいただきながら、地に足のついた県民運動を展開して参ります。
また、子どもたちの体験活動の充実、若年者に対する就職支援など、幅広い分野で人づくりのための事業を推進するとともに、高校再編計画の着実な推進を図ることといたしました。
第三は、「子育ての支援と保健・福祉・医療の充実」についてであります。
社会全体で子育て家庭を支援するため、子どもに対する医療費助成制度を拡充するほか、児童虐待の防止対策、小児救急医療体制の充実を図って参ります。
また、4月から障害者自立支援法に基づく、新たな障害者福祉制度がスタートいたしますので、新制度への円滑な移行を図るとともに、高齢化の進展に伴い増加が懸念されている認知症高齢者に対する総合的な対策に取り組むことといたしました。
さらに、ドクターバンク制度の導入など県内の公的病院等の医師確保対策を強化するとともに、獨協医科大学日光医療センターの整備を支援するなど、県民医療の確保に努めて参ります。
第四は、「個性あふれる地域づくりと生活基盤の整備」であります。
市町村合併が進展する中で、市町村が地域づくりの主役となる分権型社会に向けた気運の高まりを感じております。住民自らが創意工夫を発揮して地域づくりを進めていくことが、市町村の新たな活力と魅力を引き出し、“とちぎ”の元気を創り出していくことにつながるのであります。
このような住民と市町村が協働した地域づくりを支援するため、新たに「わがまち自慢」推進事業を創設するとともに、引き続き市町村合併を支援して参ります。
加えて、観光客の目線に立った魅力ある観光地づくりを推進するほか、県民に身近な各種の生活基盤の整備については、事業の必要性や緊急性、将来の財政負担を十分に考慮のうえ所要額を計上したところであり、着実に推進して参ります。
第五は、「県内産業の活性化と元気なとちぎづくり」についてであります。
県民生活の豊かさを支える県内産業の活性化を図ることは、将来にわたって本県の活力を維持、発展させていく原動力であり、元気なとちぎづくりを進めていく基盤となるものであります。
このため、地域間競争が激しさを増している企業誘致につきましては、戦略的な誘致活動を展開するため、補助制度を大幅に拡充するとともに、本県の恵まれた立地条件を積極的にPRし、私自身が先頭に立ってトップセールスを行って参りたいと考えております。
さらに、県制度融資により中小企業の多様な資金需要に応えていくとともに、競争力のある強い農業の確立、県産木材の需要拡大に努めるほか、都市住民との交流や地域資源の活用等を通じて、中山間地域と農山村の活性化を図って参ります。
第六は、「新たな“とちぎ”づくり」であります。
現在、庁内で検討を進めている「自治基本条例」につきましては、平成18年度は、県民の意向の把握に努めるとともに、有識者の方々から御意見をいただきながら、議論を深めて参る考えであります。また、男女共同参画社会づくりや、国際化に対応した多文化が共生する地域づくりを推進するなど、多様な人材が協働する地域社会の構築を目指して参ります。
当面する課題への対応といたしましては、平成19年度の完成に向けて県庁舎の整備を進めるほか、旧本館につきましては、永く県民に親しまれてきた歴史的遺産として保存・復元し、県勢発展の姿を紹介するとともに、市町村等の情報発信、県民の交流の場として活用することといたしました。
国会等移転につきましては、大規模地震やテロ等の災害対応力の観点から、その必要性がさらに高まってきているものと考えておりますので、引き続き、国会での審議動向を注視しながら、他の移転先候補地との連携を図り、移転の実現に向けて粘り強く取り組んで参ります。
新たな行財政改革大綱に掲げた取組課題につきましては、早期に改革効果が発揮できるよう、予算編成の中で鋭意検討を進め、結論を得たものについては当初予算に盛り込んだところであります。
持続可能な財政運営を確立する観点から、県債発行額を可能な限り抑制するほか、定員管理計画に基づき職員数の純減を進めて参ります。さらに、交通災害共済事業の廃止、各種貸付金の見直し、指定管理者制度の導入による管理運営費の削減にも取り組んだところであります。
また、相談窓口の時間延長や県庁舎の一部について休日・夜間の一般開放を行うなど、県民サービスの向上に努めることといたしました。
このような基本的な考え方により編成いたしました結果、平成18年度一般会計予算の総額は、前年度比 4.3%減の 8,193億 4,000万円となります。
県税、地方交付税、地方譲与税等の歳入につきましては、現時点で見込み得る額を計上したものであります。
〔主な施策の概要〕
次に、平成18年度の主な施策について申し上げます。
第一に、知恵にあふれ心豊かな人づくりについてであります。
まず、小中学校につきましては、中学校における学級編制基準を35人以下に引き下げるなど、本県独自の少人数学級を引き続き推進し、児童生徒の個に応じた指導を充実することにより、学習意欲を高め、基礎的・基本的な学力の向上を図って参ります。
さらに、ふるさと学習や道徳教育を通じて、郷土を愛する心、他人を思いやる心など、豊かな人間性を育むとともに、いじめ・不登校につきましては、スクールカウンセラーの増員による相談体制の充実、いじめ不登校対策チームの体制強化、小中学校の連携による体験活動を推進するなど、学校、家庭、地域が一体となって、その解消に努めて参ります。
次に、県立高校につきましては、再編計画の着実な推進を図り、少子化が進む中で、多様な学習ニーズに対応できる魅力ある学校づくりに取り組んで参ります。このため、中高一貫教育校となる宇都宮東高校及び佐野高校の特別棟をはじめ、総合選択制となる足利商業高校、男女共学となる烏山高校などについて施設整備を進めて参ります。
科学技術高校につきましては、教育委員会の選定結果を踏まえ、通学の利便性や学習環境、さらには地元宇都宮市の強い要望とまちづくりに対する熱意などを総合的に考慮し、JR雀宮駅東地区に設置することといたしましたので、平成23年度の開校を目指し、基本構想の策定、用地調査などに着手いたします。
また、耐震補強が必要な校舎について計画的に対策を講じていくとともに、平成19年4月の開校に向け、南那須養護学校高等部の整備を進めて参ります。
私学教育につきましては、私立学校及び私立幼稚園の教育諸条件の維持・向上と保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、その経営の安定と健全な発展に資するため、引き続き助成を行って参ります。
次に、青少年の健全育成につきましては、「家庭の日」の条例化に向けた準備を進めるとともに、「家庭の日」を考える強調月間の創設や「あいさつ・声かけ運動」など、県民総ぐるみで息の長い運動を展開し、家庭や地域の教育力を活性化することにより、次代を担う心豊かでたくましい青少年を育成して参ります。
また、県立美術館のリニューアルに着手するほか、県民文化の振興、生涯学習の充実にも努めて参ります。
スポーツの振興につきましては、競技力向上のためのスポーツ活動への支援やスポーツ施設の整備を進めて参ります。平成18年度は、第56回全国高等学校スケート・アイスホッケー競技大会及び第61回国民体育大会関東ブロック大会が本県において開催されますので、本県選手団の活躍を大いに期待しているところであります。
第二に、いのちをやさしく見守る社会づくりについてであります。
まず、県民一人ひとりが互いに尊重し合い、共に参画する社会を築くため、人権意識の高揚を図るとともに、女性の社会参加の促進、配偶者暴力の根絶に向けた取組など、男女共同参画社会の実現を目指して参ります。
社会全体で子育てを支える環境づくりにつきましては、「とちぎ子育て支援プラン」に基づき、県民意識の醸成、子育てと仕事の両立支援、母子保健医療の充実などに引き続き積極的に取り組んで参ります。
保育所及び幼稚園における多様な保育サービスの提供や、放課後児童クラブの設置促進などにより、子育てと仕事の両立を支援するとともに、児童虐待につきましては、引き続き相談体制の充実に努めるほか、虐待リスクの高い家庭への支援を強化し、未然防止に努めて参ります。
さらに、母子保健医療対策につきましては、子どもに対する医療費助成を大幅に拡充するほか、子ども医療センターにつきましては、平成16年に開設された獨協医科大学に次いで、平成18年9月のオープンに向け、自治医科大学とちぎ子ども医療センターの整備を進めて参ります。これらの取り組みにより、全国に誇れる小児医療体制が整備されるものと考えております。
次に、市町村の介護予防事業に対する支援を充実するなど、高齢者の自立と生きがいづくりを促進して参ります。さらに、介護サービス情報の公表制度を導入するとともに、市町村、医療機関等と連携し、総合的な認知症対策を講じて参ります。
また、障害者自立支援法が4月から施行となり、障害者に対する保健福祉サービスの一元化と総合的な自立支援型システムへの転換が進められることになります。このため、新制度への円滑な移行を図るとともに、相談支援アドバイザーを広域健康福祉センターに配置し、市町村と連携して障害者の地域生活を支援して参ります。さらに、就業機会の拡大と就労支援に積極的に取り組み、障害者の自立を促進して参ります。
健康づくりと疾病の予防につきましては、引き続き、脳卒中等対策に取り組むとともに、増加傾向にある糖尿病等の生活習慣病を予防するため、健診受診率の向上や保健指導体制の充実に努めて参ります。また、新型インフルエンザ対策につきましては、治療薬の備蓄、初動調査体制の整備などに万全を期して参りたいと考えております。
地域医療の確保につきましては、専門研修医に対する研修資金の貸付やドクターバンク制度などによりまして、公的病院等における医師確保を支援するとともに、珪肺労災病院を引き継ぐ獨協医科大学日光医療センターの整備に助成することといたしました。
また、調整交付金制度を効果的に運用し、市町村の国民健康保険財政の安定的な運営の確保に努めて参ります。
第三に、確かな技術と創造性に富む産業づくりについてであります。
まず、農業の振興につきましては、本県の地理的優位性を最大限に活かした首都圏農業を基本として、産地間競争を勝ち抜く強い農業の確立を目指して参ります。多様化する消費者ニーズに対応した園芸産地の育成を図るとともに、食品産業等との連携による新たな野菜産業の基盤づくりを推進するための構想を策定するほか、平成19年度から導入される品目横断的経営安定対策に適切に対応し、水田農業の構造改革を進めて参ります。
また、認定農業者や集落営農組織の育成に努めるとともに、多様な人材の就農を促進するため、平成19年4月の開校に向けて就農準備校の施設整備を行います。さらに、子どもたちの健やかな成長のため、学校教育等と連携して食育を推進するとともに、地産地消県民運動の展開、農産物の安全確保に努める考えであります。
県産農産物の海外輸出につきましては、着実に実績を上げてきており、確かな手応えを感じているところであります。生産者団体の自主的な取組を支援し、輸出の定着と拡大を図って参ります。
畜産の振興につきましては、和牛生産基盤の強化、老朽化した県南家畜保健衛生所の移転整備を進めて参ります。
林業と木材産業の振興につきましては、森林施業の集約化を進めるとともに、公共施設等の木造・木質化、県産材を使用した住宅の建設促進などにより、一層の活性化を図って参ります。
次に、県内中小企業の振興につきましては、経営の安定と活性化を図るため、県制度融資について、特別借換資金の創設、小規模企業パワーアップ資金の融資期間の延長、M&Aなどの資金ニーズに対応した融資条件の拡充を図ることといたしました。さらに、「とちぎベンチャーサポートプラネット21」により、創業や企業の新分野展開を総合的に支援するとともに、産業創造プラザを核として産学官の連携や地域の企業群の育成を図り、県内のものづくり企業の技術力と競争力の強化を支援して参ります。
さらに、企業立地につきましては、戦略的な誘致活動を展開するため、新たに企業立地協力員を配置するほか、立地企業に対する補助制度の限度額を30億円に引き上げることといたしました。
産業人材の育成については、今後不足することが懸念されている中堅技能者の技能向上を図るとともに、引き続き、とちぎ就職支援センターを核として、栃木労働局との連携のもと、若年者から中高年齢者までを対象としてきめ細かな相談・支援を行って参ります。
さらに、新たにNPO等との協働による若年無業者に対する就職支援に取り組むほか、引き続き、バウチャーモデル事業や新規学卒者を対象とした合同面接会の開催など、積極的に若年者の就職支援を行って参ります。
第四に、快適でにぎわいのある交流地域づくりについてであります。
まず、快適で活力ある暮らしを支える基盤である、道路や河川、生活排水処理施設等の社会資本の整備につきましては、国庫補助事業等を適切に導入し、計画的、効率的な事業の推進を図るとともに、県単建設事業についても必要な事業量を確保し、優先順位を見極めながら、県民に身近な社会資本の整備を進めて参ります。
次に、公共交通ネットワークと体系的・効率的な道路網の整備により、「新たな県土60分構想」を推進して参ります。道路網の整備につきましては、広域交流・連携のネットワークを形成するため、北関東自動車道の整備促進をはじめ、国道408号バイパス鬼怒テクノ通り、国道119号宇都宮環状北道路、新鬼怒川渡河道路などの整備を進めるほか、栃木県道路公社に出資し、日光宇都宮道路へのETC設置とインターチェンジの新設を促進して参ります。
また、公共交通の充実につきましては、新たに真岡鐵道の経営安定化を支援するとともに、公共交通機関の利用促進策等の検討を行うほか、宇都宮地域の新交通システムについては、引き続き、宇都宮市や国などと連携し、諸課題の解決に向け取り組むこととしております。
次に、活気にあふれ、個性輝く地域づくりにつきましては、市街地再開発事業や土地区画整理事業などにより、中心市街地における都市基盤の整備を進めるとともに、地域資源を活かした住民協働の地域づくりを積極的に支援して参ります。
中山間地域を含めた農山村の活性化につきましては、都市と農村の交流促進や、豊かな地域資源の保全・継承、さらには、快適な生活基盤の整備を推進して参ります。
観光立県の推進につきましては、本県の豊かな観光資源を積極的にPRするとともに、今後市場の拡大が期待される団塊の世代や、中国をはじめとする東アジアを対象とした誘客活動に力を入れて参ります。さらに、県内各地の多彩な魅力を映像として発信し、本県におけるフィルムツーリズムを創造するため、新たに栃木県フィルムコミッションを設立するほか、市町村や観光関係の皆様と連携し、魅力ある観光地づくりを進めて参ります。
国際化への対応につきましては、引き続き、中国浙江省、フランス・ヴォークリューズ県並びにアメリカ・インディアナ州との友好交流を深めて参ります。さらに、教育をはじめ経済や観光、農業の分野での国際化施策を積極的に展開するとともに、在県外国人が増加している中で、多文化が共生する地域づくりを進めて参ります。
また、とちぎボランティアNPOセンターを核として、ボランティア活動をはじめとする県民の社会貢献活動の定着化と発展を図って参ります。
さらに、情報ネットワーク社会への対応につきましては、各種行政手続きの電子化を推進するとともに、過疎地や山間地などの条件不利地域における情報通信基盤の整備を支援して参ります。
第五に、安心のくらしを支える環境づくりについてであります。
まず、循環型社会への理解促進を図るため、引き続き、情報提供や普及啓発を行うとともに、畜産業や木材産業等から発生するバイオマスの循環的利用を促進するため、新たにバイオマスエネルギー等の利用実証事業などに取り組むことといたしました。
馬頭最終処分場につきましては、多重安全システムの構築など全国のモデルとなる処分場となるよう積極的に取り組んでいるところでありますが、平成18年度につきましては、特別会計を設置し、実施設計と用地取得に着手したいと考えております。また、周辺地域の振興を図るため、地元那珂川町の「ケーブルテレビばとう」のデジタル化を支援するとともに、県道改良のための調査を進めるなど、地域住民の皆様の御理解と御協力が得られるよう、最大限の努力を重ねて参ります。
次に、地球温暖化対策につきましては、エコドライブの普及啓発や省エネ商品の購入促進など、温室効果ガスの増加が著しい民生部門や運輸部門の対策に重点を置いて、とちの環(わ)県民会議と連携を図りながら、県民、事業者、行政が一体となって取り組んで参ります。特に、県自らが率先して実行することが重要でありますので、新県庁舎におけるISO14001の認証取得に着手することといたしました。
さらに、水源かん養、二酸化炭素吸収などの公益的機能を有する健全で活力ある森林づくりを進めるため、保安林の指定拡大を図るとともに、ボランティア団体など県民参加による森林整備活動を促進して参ります。また、県民全体で森林を支える仕組みの一つとして、県民の皆様の御意見をいただきながら、森林環境税(仮称)の導入の検討を進める考えであります。
また、日光国立公園をはじめとする本県の優れた自然環境の保全・利用を図るため、那須塩原地区等の自然公園施設の整備を進めるとともに、野生鳥獣による農林業被害を防止するため、個体数調整などによる適切な保護管理対策を推進するほか、自然環境との共生のための総合施策を策定して参ります。
次に、安全で安心なまちづくりを推進するため、引き続き警察官を増員し、交番相談員を全ての交番に配置するとともに、自主防犯団体の設立と活動を積極的に支援いたします。さらに、平成18年中に県内すべての中学校区にスクールガード・リーダーを配置するとともに、警察スクールサポーターを全警察署に配置し、児童生徒の安全確保に万全を期す考えであります。
また、交通事故の発生を抑止するため、交差点の改良や歩道の設置を着実に進めるとともに、視認性に優れた標識・標示を整備するなど、交通死亡事故ワースト1からの脱却を目指し、取り組んで参ります。加えて、交通管制装置の高度化や管制エリア拡大を図ることにより、交通渋滞の緩和と円滑な交通の確保を図って参ります。
防災基盤の整備につきましては、災害時の緊急輸送道路の機能確保のため、橋りょうの耐震補強を実施するとともに、防災行政ネットワークの移動系通信網の再整備を行うことといたしました。また、治山・治水対策の推進、防災・危機管理意識の高揚など地域防災力の向上に努めて参ります。
以上、県政運営に当たっての所信の一端や予算編成の基本的な考え方、主な施策の概要について御説明申し上げましたが、ここに改めまして、県議会議員各位の御理解と御協力をお願いいたします。
〔その他の議案〕
次に、その他の議案について申し上げます。
第2号議案から第11号議案までの10件は特別会計予算、第12号議案から第17号議案までの6件は企業会計予算であります。
第18号議案は、平成18年4月1日から平成19年3月31日までの間、職員の給料の特別調整額(管理職手当)を10%減額するため、新たに条例を制定するものであります。
第19号議案から第41号議案までの23件は、条例の制定、一部改正並びに廃止について、それぞれ議決を求めるものであります。
第42号議案は、栃木県教育委員会委員臼井佳子氏の任期が来る2月24日に満了いたしますので、同氏を再任することについて、議会の同意を求めるものであります。
第43号議案は、大田原市及び那須郡那珂川町の境界変更について、議決を求めるものであります。
第44号議案は、全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について、議決を求めるものであります。
第45号議案は、包括外部監査契約の締結について、議決を求めるものであります。
第46号議案は、栃木県道路公社の定款の変更について、議決を求めるものであります。
〔平成17年度補正予算案等の概要〕
次に、平成17年度補正予算案並びにその他の議案等について、御説明申し上げます。
まず、第47号議案は、平成17年度一般会計補正予算であります。
今回の補正予算は、予算の執行状況を精査の上、今後の安定的な財政運営の確保に配慮することとして編成したものであります。
歳入につきましては、交付額が決定した地方交付税、事業費の確定等に伴う国庫支出金及び県債を減額するとともに、増収が見込まれる県税を追加計上し、併せて歳出不用額の整理を行うことによりまして、財政調整基金等の取り崩しの一部を取り止めることといたしました。
歳出では、事業費の確定した公共事業費等について所要の補正を行うほか、企業局の産業団地の分譲を促進するため、用地造成事業会計への貸付金を計上いたしました。
この結果、補正予算の総額は273億9,820万円の減額となり、補正後の予算総額は8,357億4,243万円となります。
次に、第48号議案から第51号議案までの4件は特別会計の補正予算、第52号議案から第57号議案までの6件は企業会計の補正予算であります。
第58号議案及び第59号議案は、条例の一部改正及び廃止について、議決を求めるものであります。
第60号議案は、当せん金付証票の発売総額の変更について、議決を求めるものであります。
第61号議案から第64号議案までの4件は、県の行う建設事業に対し市町村が負担する金額の変更等について、それぞれ議決を求めるものであります。
第65号議案は、一級河川の指定に関し、同意する旨の意見を述べることについて、議決を求めるものであります。
第66号議案は、地方自治法第179条の規定による専決処分事項について、承認を求めるものであります。
報告第1号は、地方自治法第180条の規定による専決処分事項の報告であります。
以上が、今回提出いたしました議案等の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、議決されますようお願い申し上げます。