新病院の収支に不信感
新病院の収支に不信感 11/12 19:24

こども病院の人工島移転問題です。

きのう、福岡地区の小児科医会が移転反対を組織決定したことをお伝えしました。

専門医が異例の決議を出した背景には、新病院は採算が成り立つのか、赤字になれば医療水準が維持できないのではないかという、福岡市の収支計画に対する不信感があるようです。

一昨日、人工島への移転に対して反対することを決めた福岡地区小児科医会は、福岡市と周辺の市町村で開業する小児科医150人で作る組織です。

小児医療の専門家が反対を決めた最も大きな理由は、新病院の採算性への疑問でした。

吉田宏福岡市長は2か月前、こども病院が人工島に移った場合、収入は現在の55億円から29億円増えるとの試算を明らかにしました。

中央区にあるこども病院の外来患者は、現在1日300人。

福岡市は、設備の整った人工島の新病院では外来が420人になり、入院患者も増えてベッド稼働率は高まると試算しています。

小児科医会の臨時総会では、少子化で子供の数自体が減っている上、市の中心部から離れた人工島では患者の減少は避けられず、さらに赤字が増える可能性があるとの意見が相次いだといいます。

現在のこども病院に福岡市内から通っている子供たちは、市の西部、早良区と西区で44パーセントに達しています。

この子供たちが、東区の人工島には通いにくくなることは福岡市も想定していて、早良区や西区の患者の受け入れを、浜の町病院と九州医療センターに打診しています。

市議会で何度も質問が出されましたが、福岡市は患者と収入の増加の具体的な根拠を示しませんでした。

一方、支出面ですが、福岡市は「人工島は土地代が安く経済的だ」と説明していました。

ところが今年9月、人工島の移転用地の買収を審議する議会の直前になって、年間5億円程度の赤字は17億円に増えると想定していることが明らかにされました。

人件費などで91億円、人工島の土地取得費や建設費の返済に10億円の支出が見込まれているからです。

症状の重い子供たちは、高木医師たちのような開業医からこども病院に送られ、治療を受けています。

そんな開業医たちが移転反対で一致したことについて、福岡市の阿部亨保健福祉局長は、「福岡市医師会の会長、副会長、幹部からは、市の方針に賛成し協力するとの意見を聞いている。反対決議の内容はまだ把握していないが、適切に対応したい」と話しています。