コドモのコドモ
2008年11月13日
タイトルの通り、コドモがコドモを産む。
それも小学5年生。
決して奇異な目でこの作品を見て欲しくない。
子供たちがどんなに素晴らしいかを再発見する。
興味本位で同級生のヒロユキと
“くっつけっこ”をした主人公の春菜。
後日学校で性教育の授業を受け
「ひょっとしたら妊娠したかも…」と思い始める。
担任の先生に相談するがまともに受け取らない。
そんな時姉の友人が中絶する。
春菜は思い悩む。
そうしているうちにお腹が大きくなっていく。
家族は気付かない。
ただ一人祖母だけが気付いていた。
祖母の温かい言葉が印象に残る
「人の身体はうまくできてる。赤ちゃん産めねえ身体に
赤ちゃんはできねえ」。
春菜は産む決心をする。
春菜役の甘利はるなちゃんは現在12歳。
400人のオーディションの中から選ばれた。
出産シーンでは監督から「下腹部に力を入れて」
とアドバイスされたそうで見事演じきった。
(恐るべしはるなちゃん!)
クラスメイトの協力を得て
出産するシーンは感動する。
コドモたちの勇気とパワーは凄い!。
偏見の目で見る大人たち、
常識とか、世間体ばかりを気にする大人たち、
(映画の中でも世間体を気にしてヒロユキと家族は引っ越して行った)
コドモの目線で見ようとしない大人たち…。
頭ごなしに怒鳴るのではなく、時には
子供の意見を尊重することも必要だと思う。
萩生田宏治監督の話:
「子供と一緒に生活していると子供によって発見する事もある。
果たして子供が赤ちゃんを産む事ができるか―
子供の力を描いてみたいと思った。
安産ラインは145センチあたり。春菜の身長は135センチ。
ということは分娩は不可能(帝王切開でもしない限りありえない)。
リアルっぽさを出さず、といってフィクションっぽくにも
見えないように撮ろうと思った」
映画と同様、子供たちは撮影ごとに成長していったそうだ。
(ちょっと太目の山田清貴君は古今亭志ん生さんのお孫さんだそうだ)
今回ロケに協力してくれたのは秋田県能代市(自然の風景が美しい)。
どこの自治体にも題材が題材だけに受け入れてもらえ
なかったそうだ。能代市でも新聞への反対投稿や
議会で取り上げられたり色々あったようだが
最終的には全面的にバックアップしてくれたとのこと。
ラストシーンでお祝い料理がテーブルに並ぶ。
(鯛、きりたんぽ、ちらし寿司など)
これらも能代市の皆さんが用意してくれたそうだ(美味しそう…)。
能代市長の言葉が力強い:
「偏見を持たずに最後まで見て頂き、監督の訴えに耳を傾けて頂きたい」
この作品は7月に設立された全国ミニシアターシンジケート(良質の作品を上映する
事を目的とした)の選定(推薦)第一号です。
未来を信じる事は子供を信じる事
シアターキノ代表の中島洋氏の言葉です。
是非、お子さんと一緒にご覧下さい。
11月22日からシアターキノで公開
(随時道内5箇所で公開)
萩生田宏治監督(41歳)<前作は「神童」>
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