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「空の救急搬送」始動へ 

2008年11月13日

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県の防災ヘリ「はくちょう」=県提供

◆県防災ヘリに医師搭乗/専用「ドクターヘリ」導入も検討◆

 県の防災ヘリに島根大付属病院(出雲市)の医師が搭乗し、県西部の救急患者を同病院に運ぶ「空の救急搬送」を09年度にも始めることで県と島根大が合意した。県と付属病院は今後、救急搬送専用の「ドクターヘリ」の導入を検討する。(福山亜希)

■県、島根大と合意

 命の危機に直面した重篤患者を受け入れる3次救急医療施設は県内に4カ所あるが、同病院と県立中央病院(同市)、松江赤十字病院(松江市)の3施設が県東部に集中し、西部には浜田医療センター(浜田市)だけだ。

 計画では、付属病院に搬送する患者が、救急車では1時間以上かかる場所にいる場合を想定した。医療機関から要請を受けた県は、出雲空港から防災ヘリを出動させ、同大のグラウンドで医師を乗せる。医療機関の近くのヘリポートや、河川敷などの場外離着陸場で救急車から患者を移し、付属病院に運ぶ。

 県の防災ヘリは現在も急患搬送に対応し、07年度は代替機も含め80回搬送した。だが、個別に協定を結んでいる隠岐病院(隠岐の島町)を除くと、搬送先の医師は同乗していない。そのため、要請した側の医師が同乗しなければならず、病院に戻るまで長時間にわたって医師が不足することが問題となっていた。

 付属病院は県の要請を受け、来年度までに救急部の医師を増員して対応する予定。小林祥泰・付属病院長は「医師不足で地域への医師の派遣は難しいが、ヘリを活用して地域医療を支えたい。ドクターヘリの導入も見据え、専門の医師の育成や増員も検討している」と話す。

 ドクターヘリは救命医療機器を備えた専用ヘリで、厚生労働省によると1日現在、北海道や静岡など13道府県が導入している。国は01年度から、年間約2億円の経費のうち最大8500万円を補助する制度を設け、導入を後押ししている。

 県は人手不足などを理由にこれまで、ドクターヘリの導入を見送っていた。山根成二健康福祉部長は「まず防災ヘリを使った救急搬送システムを県下に広げたい。運用の効果を見てドクターヘリの導入も検討する」と話す。

 07年に4回、防災ヘリでの搬送を依頼した済生会江津総合病院(江津市)の堀江裕院長は「ヘリに同乗した医師が戻るまで半日かかっていたので、初めから医師が同乗してくれるのはありがたい。搬送の依頼件数も増えるのでは」と歓迎する。

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