宇宙飛行士に選ばれて九年がかりでの待望の知らせ。会見では「娘が喜んでくれました」と笑顔がこぼれた。六歳の長女の祝福が何よりうれしかったのだろう。
宇宙航空研究開発機構は、二〇一〇年打ち上げ予定の米スペースシャトル「アトランティス」へ山崎直子さんの搭乗が決まったと発表した。日本人女性では向井千秋さんに次いで二人目、ママさん飛行士は初めてだ。
宇宙は小学生時代からのあこがれ。宇宙飛行士という具体的な目標になったのは高校受験の直前、一九八六年の「チャレンジャー」の爆発事故がきっかけだった。亡くなった米国人女性教師の宇宙から教え子たちに授業するという遺志を継ぎたいと思った。
何度も壁にぶつかりながら夢へと歩み続けた。宇宙飛行士に選ばれてからは結婚や出産・育児と訓練の両立に試行錯誤しながらも技術を積み重ねた。計画では約二週間の飛行で国際宇宙ステーションに米国の多目的設備を運び、接続するという。
「われら星の子 宇宙の子」。開発機構の「宇宙連詩」で山崎さんはこう書き出し、広い視野と一体感を訴えている。地球や生命を大切にとの思いがこもる。
「子どもたちに宇宙の魅力を伝えたい」と決意を新たにする山崎さん。ママさん飛行士の活躍で元気が届く日が待ち遠しい。