兵庫県の井戸敏三知事は12日、出張先の東京都内で報道関係者に対し、関西経済の活性化を念頭に「関東大震災はチャンス」と11日に発言した問題について、「チャンスと言ったのは適切ではなかった。世間を騒がせて申し訳ない」と謝罪した。その一方で、「関西が第2首都機能を備えるべきだと指摘したかった」と持論を繰り返し、発言自体は撤回しなかった。
井戸知事は11日の記者会見で、発言は「(震災が起こりえる)東京への一極集中のリスクの高まりと、リスクへの備えを引き受けるのが関西のチャンスになるという意味だ」と説明し、謝罪を拒否。しかし、この日は「言葉の選び方に軽率なところがあった。誤解を与えたのは残念で、おわび申し上げるし、反省している」と述べた。その上で、発言の撤回については「誤った言葉遣いを撤回するにやぶさかでないが、発言の真意を理解していただければ」と述べるにとどめた。
阪神大震災の被災地の知事が、他都市の被害を期待するようとられかねない発言をしたことに対し、兵庫県広聴室と秘書課には12日午後5時までに電話で240件、電子メールとファクスで110件を超える意見が寄せられた。このうち約9割が批判的な内容で、電話のうち約半分は関東地方からだったという。また、首都圏の知事らからも反発する声が上がっていた。