そもそも会社の方針が「他人の情報の公開」(暴露)である。このことを Google は自ら告白している。
また、ユーザーは、知らず知らず「公開」に同意してしまっている。もちろん Gmail についても。
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Google のサービスについては、「個人情報の守秘」という概念はまったくない。Picasa やカレンダーでは、個人情報が垂れ流しだ。( → 前出 )
これは一見、不思議に思える。良心的な会社ならば、そんなことをするはずがないからだ。しかし Google という会社は、「個人情報の守秘」という概念がもともとないのだ。「公開」一辺倒だ。
このことはもちろん、Gmail にも当てはまる。あなたが Gmail を使っているならば、その情報は外部に公開されるのが前提となる。「個人メールの内容が外部にバレるはずがない」なんて信頼するのは、とんでもない楽観だ。あなたが Gmail を使用しているのならば、あなたは Gmail のメール内容を外部に公開することにすでに同意してしまっている。このことは、あなたが「公開」設定を使用がしまいが、関係ない。
以上は、要旨だ。このあと、詳細を述べる。
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まず、初めにはっきりと言っておこう。あなたの個人情報は、すでに暴露されている可能性がある。あなたは「そんなことはない」と思うかもしれないが、あなたが気づかないだけかもしれない。
たとえば、マイ・マップ、Picasa、カレンダーでは、友人・知人・取引先などを経て、あなたの個人情報が暴露されている可能性がある。(前出の各項)
また、ストリートビューならば、あなたの住居画像がすでに暴露されている可能性はきわめて高い。(私の自宅もそうだ。)
だから、「自分は安心」と思っているのは、よほどの阿呆だけだ。そういう危険性を、はっきりと認識してほしい。
その上で、Google がいかに危険な会社であるかを、以下で指摘する。
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まず、基本を述べる。
あなたが Google のアカウントを取って、Google のネット・サービスを利用する限り、あなたはすでに個人情報を公開することに同意している。「そんなことはない」と思うのは、間抜けだけだ。
ただし、アカウントを取らないサービスならば、その問題はない。Google の「ウェブ検索」「ニュース検索」「画像検索」ならば、個人情報漏洩の問題はないだろう。ただし、他はダメだ。
というのは、Google の基本体質が「公開」だからだ。
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前項(マイ・マップの現状)では、こう述べた。
(Google は)顔が徹底的に、「公開」の方ばかり向いている
と。つまり基本体質が「公開」だ。
実は、このことは、私が指摘するまでもなく、Google 自身が告白している。というのは、Google の会社理念が「公開」なのだ。以下、Google の「会社概要」より、一部抜粋。
Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。これについて、あるブログで、次のコメントがなされている。
Google にとって、世界中のあらゆる情報に、世界中のあらゆる人がアクセスできるようにすることは、会社としての目的でなのある。誰かがアクセスできない情報があってはならないのだ。会社の基本体質が「公開」である、ということは、私が(前々項で)いちいち指摘するまでもなく、Google が自ら告白していたわけだ。犯罪者が心ならずも、本心を暴露していたということか。
Google 社の使命を正しく理解すると、Google 社から情報が「漏洩」したなどと思うことは間違いであると気づくだろう。それは「漏洩」ではない。公開することが前提であり、全ての人がアクセスし、使用できるようにしてこそ、会社の使命を正しく果たすことになるのである。
この使命に照らし合わせて、Google 社は、何か情報を漏洩させているだろうか? それは漏洩ではないのだ。意図的な公開なのだ。
Google apps で作成した文書も、いずれ公開されるだろう。公開しなければ、会社の使命を果たしていないことになるのだから。
( → 引用元のブログ )
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ただし、である。告白すれば、それで罪が免罪されるというわけではない。(その点を勘違いしている人が多いが。)
Google は、罪を告白するのはいいのだが、罪を告白する場所を間違えている。その告白は、「会社概要」のページに書くことではない。マイ・マップや Picasa やカレンダーのページに書くことなのだ。
つまり、ただの一般人に向けて「公開します」と述べるだけでなく、サービスの利用者に向けて「公開します」とはっきり述べるべきなのだ。サービス提供の冒頭で。なのに、そうしていない。(むしろ逆に、うまい話ばかりを聞かせている。)
Google のやっていることは、詐欺に近い。
「私はあなたの大切なものを盗みますよ」
と告げているのだが、その言葉を、当の相手に向かっているのではなく、全然別のところで、別の人に向かって言っているのだ。そんなことじゃ、意味ないんですけどね。
ただ、それでも、自分ではちゃんと告知しているつもりらしい。また、それを見て、「 Google はちゃんと告知している」と Google を擁護する人もいる。
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話はこれで終わらない。さらに、別の情報を得た。(あるブログから。)
Google は利用者との規約(サービス利用規約)で、情報の公開に同意させているのだ。
つまり、サービス提供の時点で、「利用者の情報を勝手に公開しても構わない」旨を、誓約させているのだ。(灰色部分は読まなくてもよい。)
以下、引用。
一部、日本語になっていないところがあるので、カッコ内に正しい訳語を示しておいた。ま、そこは無視してもいい。
11.1 ユーザーは、本サービス上や本サービスを通じて提出、掲示または表示する本コンテンツについて既に保有する著作権およびその他の権利を保持します。本コンテンツを提出、掲示または表示することにより、ユーザーが本サービス上や本サービスを通じて提出、掲示または表示する本コンテンツを、再生、翻案、修正、翻訳、出版、公衆実演、公衆展示、および配布するための無期限、取消不可、全世界で適用され(i.e. 適用可能で )、ロイヤルティ無料の、かつ非独占的なライセンスを Google に提供していただきます。このライセンスは、Google が本サービスを表示、配布およびプロモーションすることをできるようにすることを唯一の目的としており、本サービスの追加条項に定義する一部の本サービスについては撤回される場合があります。
《 英文の原文では 》
By submitting, posting or displaying the content you give Google a perpetual, irrevocable, worldwide, royalty-free, and non-exclusive licence to reproduce, adapt, modify, translate, publish, publicly perform, publicly display and distribute any Content which you submit, post or display on or through, the Services.
肝心なのは、次の部分だ。
「ユーザーが本サービス上や本サービスを通じて提出、掲示または表示する本コンテンツを、公衆実演、公衆展示、および配布するためのライセンスを Google に提供していただきます。」
つまり、Google のサービスを利用した時点で、ユーザーの情報はすべて「公開」(公衆展示および配布)されることが義務づけられている。
ユーザーは、情報を公開されない権利は、もともとないのだ。サービスを通じてすべての情報を Google が公開しても当然なのだ。もともとそういう契約でサービスを利用しているのだから。
( ※ つまり、素敵なものを提供するかわりに、別のものをこっそりとちょうだいする、という悪魔の契約。「素敵なものを無料でもらえる、とばかり思っているユーザーは、間抜けも同然。)
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特に重要なことを示しておこう。
上記の「サービス利用規約 11.1」は、Gmail のアカウントを取る際にも、適用される。(同意しないと、Gmail のアカウントを取れない。)
つまり、Gmail の利用者は、Gmail のアカウントを取った時点で、自分のメールの内容をすべて全世界に公開されることに同意しているわけだ。
グーグルがいつか、何らかの不手際または故意ゆえに、「一般公開」を初期設定にするかもしれない。そして、あなたのメールを全世界に公開するかもしれない。だとしても、あなたは文句を言えない。なぜなら、すでに「公開」に同意してしまっているからだ。
( ※ 「 Gmail のメール内容を Google が漏らすはずがない」と思い込んでいる人は、あまりにもおめでたい。それは悪魔を天使だと思うようなものだ。悪魔はすでに契約書を受け取っているのだ。あなたの魂を奪います、という旨の契約書を。なぜなら、あなたはすでにそれにサインしてしまっているのだから。)
同様のことは、Google の「ネット上のオフィスアプリ」についても適用される。
このサービスは、特にサービスのアカウントを必要としないらしい。だから、最初に「公開」に同意する手続きを経なくても、サービスを利用できるようだ。
とはいえ、 Google のアカウントを取った時点で、利用者は「公開」に同意してしまっているのだ。実際、アカウントの取得のときに、その契約文書が表示される。同意しない限りは、Google のアカウントを取れない。(確認済み。)
だから、Google のアカウントを取るサービスでは、どのサービスであれ、あなたの作成した情報は、「公開」されるのが当然なのだ。あなたはすでに同意してしまっているのだから。
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なお、それでもまだ疑いを持つ人がいるかもしれない。次のように。
「なるほど、マイ・マップやカレンダーならば、作成された情報が公開されることもあるだろう。もともとアップロードするのだから。しかし、メールならば、別に、アップロードするわけじゃない。アップロードしているわけでもないし、『公開』の設定があるわけでもないのに、メールや文書の情報が公開されるはずがない」
と。
なるほど、それはそれで、もっともな感覚だ。たしかにそれが常識だろう。しかし、Google は常識が通じる相手ではない。(そもそも犯罪者に向かって「常識に従え」と要求することが、根本的におかしい。)
具体的に、個別の条文で示せば、次の通り。
契約書(同意文書)の 11.1 で規定されている「本コンテンツ」は、8.1 で規定されている。それによると、こうだ。
8.1 ユーザーは、本サービスの一環として、または本サービスの利用を通じてアクセスできるすべての情報(データ ファイル、テキスト、ソフトウェア、音楽、音声ファイルまたはその他のサウンド、写真、映像またはその他の画像等)つまり、文字テキストや数値データや画像などを含むすべての情報である。これが「公開」の対象となる。
そして、それらが Google のサービスを通じて「提出、掲示または表示すること」によって、自動的に「公開」を容認したことになる。(11.1 の規定)
つまり、Gmail で送信(提出)したり、Gmail で受信(表示)したりすれば、その時点で、あなたはその情報について Google のサービスを使ったのだから、その情報を公開されるのを同意したことになる。
( ※ 「送信」を「提出」と見なせるかは判断が分かれるが、「受信」を「表示」と見なせることは当然だ。表示しなければ、受信メールを読めないのだから。)
とにかく、「メールはネット上で公開するわけじゃないぞ」という弁解は通らないのだ。規約はその弁解を否定するようにできているのだ。
もう一度、規約を読んでほしい。「本サービス上や本サービスを通じて」と書いてある。つまり、「本サービス上」で表示されるものだけでなく、「本サービスを通じて」表示されるものも含まれる。
つまり、マイ・マップのように「本サービス上」で表示されるものだけでなく、Gmail のように「本サービスを通じて」表示されるものも含まれる。
だから、メールを受信した時点で、もうアウトだ。あなたはそのメールを受信して表示した時点で、公開されても仕方ないのだ。
とにかくそれが、「何でも公開する」という Google の方針だ。利用者の「 Google を信じていれば大丈夫」なんていう素朴な信念は、とうてい成立しないのだ。
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では、こういう Google の方針には、「仕方ない」と諦めるしかないのか? Google の方針に問題はないのか? 実は、ある。
Google は、そういう不利な契約を結ぶことを、(利用者に)十分に告知していない。そのことが問題だ。
なぜ問題かというと、Google にはそれを告知する法的義務があるからだ。
消費者契約法 によれば、事業者は、消費者の不利益となる事実を告げる義務がある。なのに Google は、そうしていない。利益になる点ばかりを告げて、不利益になる点を告げていない。うまいことばかり告げて、肝心のことを告げていない。……その意味で、消費者契約法に違反する。つまり、違法な犯罪である。
この違法性は明白だろう。「初期設定では公開」ということを、隠している。それどころか、逆の趣旨で、「どちらでも選択できます」というふうに宣伝しているのだから。( → 指摘は前項。マイ・マップの現状 )
消費者契約法の要点は、簡単に言えば、「詐欺によって同意を得ても無効だ」ということだ。
つまり、Google は「利用者の同意を得ています」と弁解するだろうが、いかに弁解しようと、ちゃんと告知していない限り、同意は無効なのである。
そしてまた、「ちゃんと告知しない」ということ自体が、違法な犯罪行為なのだ。
結局、悪質な詐欺師の勝手な言い分が通らないように、この世はうまくできているのだ。「相手の同意を得たから大丈夫」という詐欺師の手口は、この世では通用しないのだ。 (^^)
( ※ 十分に告知しない同意の契約は無効だ、ということは、次の例からもわかる。たとえば、「あなたを殺して、あなたの金を奪います」という契約。相手をだまして、錯誤させて、その契約を結んだとする。では、その契約は、有効か? 「そんな契約に同意した方が馬鹿なんだ」と笑う人もいるだろう。しかし、十分に告知しない限りは、たとえ同意を得ても、その契約は無効となる。つまり、同意を得ても、「殺して、金を奪う」ということは許されない。同意を得ようが得まいが、「殺して、金を奪う」ということは、殺人罪であり、泥棒・強盗に当たる。同意の有無は、犯罪の成否に影響しない。たとえ錯誤による同意を得ても、人を殺せば殺人なのだ。…… Google の個人情報漏洩も、また同じ。たとえ錯誤による同意を得ても、個人情報を漏らせば個人情報漏洩罪になのだ。)
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結論。
Google は会社として「公開」を原則としている。そして、その方針に則って、利用者との間で「公開」の契約を結び、「公開」の同意を取っている。
ただし、同意を取ったからといって、「公開していい」ということにはならない。なぜなら、その際、「公開していい」ということをはっきりと告知し、利用者にはっきりと認識させることが必要だからだ。
現実には、Google はそのことをきちんと告知していない。公開における危険性や不利益を告知していない。したがって、いくら「公開」の同意を取っても、その同意は無効である。また、十分に告知しないで詐欺的に同意を得るということ自体が、違法である。
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このあと、私なりに「 Google のなすべきこと」を論じよう。
Google は、はっきりと告知しない限り、利用者の情報を公開してはならない。(上記)
逆に言えば、はっきり告知すれば(i.e. 公開される本人が公開されることを十分に認識していれば)、公開してもいいわけだ。
とすれば、「十分な告知」を前提として、「地図や写真やカレンダーの共有」は、可能である。そこでは、「社会的に共有される」という明白な合意のもとで、社会全体のものとして、地図や写真やカレンダーが一般公開される。
こういうことは可能だ。実際、So-net でも「地図の共有」はなされているし、Flicker などでも「写真の共有」はなされている。そういうサービスの社会的な意義はある。自分の写真を公開することは悪いことはない。著作権侵害でなければ。(例。Flicker の 女の子の写真 ,メイドの写真 )
ただし、このような共有サービスでは、「社会的に共有されること」(公開されること)がはっきりと明示されていることが必要だ。他の事業者は、皆そうしている。なのに、Google だけは、そうしていない。
だから、Google の問題の本質は、「公開すること」自体ではなく、「公開することを正しく告知しないこと」である。一種の欺瞞ないし詐欺だ。
では、その理由は、何か? おそらく、「違法なことをしてでも、多大な利用者を取り込もう」という、Google の体質だろう。
まともなことをやっている限りは、他の会社と同じようなことしかできない。だから、客をだましてでも、大量の客を取り込もうとする。(かつて Yahoo ADSL で見られた手法に似ている。)
Google は、当初は、「情報技術のために尽くそう」という若者らしい方針があった。それは Google の初心であった。
しかしその後、違法な YouTube を買収したころから、Google は明らかに変質してしまった。若々しい理想を見失い、金儲け至上主義になってしまった。かつてのビル・ゲイツにも似て。
そして今や、個人情報を暴露して、利用者に多大な迷惑をかけてまで、やたらと個人情報を暴露し続ける。Google はもはや怪物(モンスター)になってしまったのだ。誰もが制御できない巨大な悪としての。
そして、こう言う現状を、われわれははっきりと認識する必要がある。
( ※ この件は重要なので、次項でまた述べる。)
[ 付記1 ]
「きちんと告知すれば問題ない」ということは、前にも述べたことがある。
→ マイ・マップの将来
ここでは、「プライベート・マップ」と「ソーシャル・マップ」とに分けることを提案している。
「プライベート・マップ」は、非公開の仕様だから、もともと情報漏洩の問題はない。(公開したくてもできない仕様。)
「ソーシャル・マップ」は、公開の仕様だが、公開されることがもともとはっきりと告知されている。名前もまたそういう名前である。
以上のようにすれば、十分な告知があるから、特に問題は生じないわけだ。
[ 付記2 ]
マイ・マップについては、画面上で作成中にその情報が暴露されてしまう、という問題がある。特にユーザーが「保存」や「公開」の措置を取らなくても、自動保存によって「公開」の措置が取られてしまう、という問題だ。(高木浩光氏が指摘したとおり。 → 該当ページ )
この際、さらに危険があるそうだ。たとえば、作業中につい間違えて、他の情報を表示した場合、それがネット上に公開されてしまう、という問題だ。
たとえば、地図をつくって、ピンポイントを設定して、そこに「会社名と会社住所」を書き込んだつもりになる。ところが、ついエラーをして、「恋人の名前と会社住所」を書き込んでしまう。
(たとえばクリップボードにその情報が入っていた、というような理由で。実際、私の環境では、このようなクリップボードのエラーがときどき起こる。キーボードの C キーにガタが来ているからだ。 (^^); )
この際、「やばい!」と思って、あわてて取り消そうとしても、もう遅い。その情報は、ネット上にバレてしまっている!
しかも、この情報漏洩については、あなたはすでに「同意」している。先にも述べたように、「表示」させた情報は「公開」してもいい旨、あなたはすでに同意しているからだ。
ついでだが、悪意あるサイトだと、ユーザーがキーボードで「貼り付け」の操作をしなくても、勝手にクリップボードの内容をこっそり盗み見ることができるという。
( → それを説明するサイト )
Google も、そういうことをしているかもしれない!
杞憂? いや、Google Chrome の規約を思い出してほしい。Google Chrome の利用者は、どのサイトを見たかという履歴を、Google にすっかり知られてしまうのだ!
(前にも書いたとおり。 → Google Chrome の評価 の (7) 。このページのリンク先「記事1」によると、Google Chrome では、
「アドレスバーにURLまたはクエリを入力すると、入力した文字がGoogleに送信される」
とのことだ。キーロガーみたいなものらしい。怖いですねえ。ヒヤリ。)
Google という会社は、これほどにも「覗き見」が好きな会社なのだ!
( ※ 上で「悪意あるサイト」と書いたのは、どこのサイトのこと? (^^); )
( ※ そう言えば、公園で逮捕された出歯亀が、言っていた。「おれは誰のものも奪っていないし、誰にも触っていない。ただ見ていただけだ。見られた相手だって気づいていなかった。誰にも迷惑をかけていない。だから、おれは悪いことをしていない。無実だ!」)