政府は12日、金融危機で財政難に陥った新興国に向けたIMF(国際通貨基金)緊急融資制度を支えるため、新たに日本の外貨準備から1000億ドル(約10兆円)規模の融資をする方針を固めた。14日から米ワシントンで開催される第1回緊急首脳会議(金融サミット)で麻生太郎首相が表明する方向で調整しており、世界に広がる金融危機への日本の貢献をアピールしたい考えだ。
1兆ドル(約100兆円)に上る日本の外貨準備の中から、必要に応じてIMFに資金を貸し付ける方式で調整しており、今後、IMFの緊急融資が急増した場合は、さらに日本の融資枠を拡大することも検討する。
米国発の金融危機は欧州や新興国にも拡大し、アイスランドのように国家規模を上回る資産規模を持つ金融機関の救済を迫られたケースでは、一国だけでは対応できず、国家破綻(はたん)を回避するにはIMFによる緊急融資発動が不可欠だ。
IMFはアイスランドのほかハンガリー、ウクライナなどへの支援を決定。トルコやパキスタンも今後、支援要請する意向で、支援対象国が急増する可能性があり、IMFは「支援融資向けの資金枠(総額2000億ドル=約20兆円)を早急に拡大させる必要がある」(幹部)とみている。【清水憲司】
毎日新聞 2008年11月12日 15時00分