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“韓国化”する台湾政治 前権力者の逮捕ショー (2/3ページ)
議会多数派の中国国民党との意思疎通を欠き、与野党の抗争が日常化した。2004年の総統選では投票日直前の銃撃事件で負傷して同情票が集まり、奇跡的な逆転劇を演じた。
ところが2期目に入ったころから親族、家族など周辺の金銭スキャンダルが相次ぎ、退陣を求める大規模な抗議行動が長引いて政治が空転した。陳氏は求心力の低下を台湾ナショナリズムの鼓吹によってカバーしようとの動きを強め、中国の反発はもちろん日米との摩擦も強まった。
5月末の退任からわずか半年での逮捕劇には、「水に落ちた犬をたたく」華人社会の苛烈(かれつ)さを感じざるを得ない。近く夫人や子弟も逮捕されるもようだ。
真相の徹底究明は司法に委ねるとしても、総統職を2期8年続けた要人や家族に対しては相応の紳士的対応が必要だろう。陳氏は手錠をかけられたうえ、連行の際に警官から暴行を受けたと主張している。
陳水扁政権下で“冷や飯”を食わされた親中派外省人(中国大陸出身で戦後台湾に渡来した住民とその子孫)勢力の報復を思わせる。
しかしこうした行為、対応は台湾の民主政治をおとしめる。与野党(国民党対民進党)や、本省人対外省人の根深い対立を増幅することになりかねない。