2遺体が見つかった住宅兼事務所=12日午後4時41分、東京都渋谷区神宮前3丁目、中田徹撮影
2遺体が見つかった住宅兼事務所=12日午後5時5分、東京都渋谷区神宮前3丁目、中田徹撮影
東京都渋谷区神宮前3丁目で12日昼に起きた爆発火災で、火元のイベント企画業横山信一さん(60)方兼事務所の1階作業場で出火当時、横山さんが火薬の調合をしていたことが警視庁の調べで分かった。横山さんは救急隊員に「調合中にくすぶり爆発した」と話したといい、同庁は作業手順が適切だったかどうか調べる方針。火事は計7棟に延焼し、横山さんの母喜代子さん(88)と妻洋子さん(55)が死亡、横山さんと息子2人の計3人が重軽傷を負った。
横山さんは、西部劇のショーや映画などで使う模造銃の特殊効果の演出やレンタルを手がけており、普段から火薬を扱っていた。
原宿署と東京消防庁によると、横山さん方は6人家族。喜代子さんは1階の風呂場、洋子さんは2階のリビングで遺体で発見された。横山さんは逃げたが、顔面のやけどなどで重傷。長男(29)と次男(23)は2階のベランダから飛び降り脱出し、顔などに軽傷を負った。長女(26)は外出中で無事だった。
東京都によると、火薬類取締法では一定量以上の火薬の保管や、一定量以上の火薬を使って花火などを製造する場合、自治体への届け出が義務づけられている。都によると、横山さんからの届け出はなく、保管量などについて調査している。
爆発災害に詳しい独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の松永猛裕研究員は「火薬の扱いの中で調合時が最も危険で、摩擦や打撃、静電気で爆発することがある。周辺に民家の少ない場所で行うのが一般的だ」と話した。
火事は、鉄骨3階建ての横山さん方(約110平方メートル)と、隣接する木造2階建て住宅(同)が全焼。周囲の住宅など5棟の壁や窓ガラスが焼けた。東京消防庁の消防車57台とヘリコプター2機などが消火活動にあたり、出火から約6時間後に鎮火した。