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【萬物相】でたらめ民間食品検査

 製菓会社が赤い色の菓子を製造しようとタール色素を添加する。消化酵素の働きを阻み、肝臓や胃に障害を起こすために使用が禁止された食品添加物だ。養殖場で育つウナギは狭い空間で育つため、互いにぶつかって傷が出来やすく、商品価値が落ちる。しかし、発がん物質のマラカイトグリーンを使うと傷がすぐに治る。中国での話ではない。一部ではあるが、われわれの周辺で起きていることだ。

 食品医薬品安全庁は604種類の合成添加物と天然添加物について、食品に添加してよいかどうかの基準を定めている。食品法では業者自らが添加物が基準値を超えていないかを調査することになっている。しかし、大企業以外はともかく、零細企業まで全ての食品メーカーがそうした検査施設を持つことは困難だ。政府は1987年から一定資格を満たした検査業者を食品衛生検査機関に指定し、検査を代行させている。

 こうした私設検査機関が現在68カ所あり、検査対象となる食品は41万件を超える。われわれが日常食べる食品が安全かどうかは事実上、こうした業者の検査能力と信頼度にかかっている。ところが、年間5万件の検査委託を受けてきた韓国最大の食品検査機関がでたらめ検査でおととい摘発された。

 この検査機関は、ある食品メーカーのパック入り焼き肉から基準値の80倍を超える大腸菌が検出されたにもかかわらず、検出されなかったように書類を偽装し、堂々と市販させていた。ギョーザからは1グラム当たり110万個の細菌が検出されたが、基準値の10万個以下であるかのように検査結果を改ざんしていた。ごま油からは人体に致命的なベンゾピレンが検出されても見てみぬふりをした。この業者は過去2年で依頼を受けた12万件のうちわずか5%だけを検査し、残る11万件は検査もしないまま「合格」判定を下していた。

 食品医薬品安全庁が業務停止命令を出した検査機関は昨年と今年で18カ所に上る。検査物をすり替え、規定の検査をせず、以前の検査結果をそのまま書き写すなど、でたらめだらけの業者だ。検査機関が乱立し受注競争が激しくなり、食品会社の顔色を伺うようになったためだという。不合格判定を下せば食品メーカーとの取引が中断され、経営難に陥ってしまう。日本も民間の食品衛生検査機関があるが、これまで虚偽の判定が発覚したことはないという。われわれは中国の食品監督体制を信頼できないと批判する立場にはないと感じた。

キム・ドンソプ論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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