今年過去最高値をつけた穀物相場も夏以降下落傾向となり、とうもろこし、小麦などの相場は年初来の安値圏で推移している。
今年は穀物相場が大きく変動したのみならず、日本の食料問題についても大いに議論された年であった。特に40%程度と言われている日本の食料自給率の低さは注目された。食料の半分以上を輸入に依存しているのだ。
なぜここまで自給率が低下したのか。まず輸入関税の引き下げにより、国産品の国内価格競争力が低下したことが原因である。日本の農作物平均関税率は約12%であるのに対してスイス51%、タイ35%、EU20%などと高い。もちろん日本にも米、乳製品、食肉などの高関税品目(他の農産物輸出国と土地の広さなど同条件で生産できない品目など)もあるが、これらは輸入品目数の中でも非常に少ない。
二つ目は農業に対する補助金などの国内保護額が、他国と比べ必ずしも高くないことである。欧米の国内保護額は日本の数倍と言われている。つまり関税と農業の国内保護が他国より低いことが、食料自給率の低下をもたらしている。
自給率の低下に伴い様々な問題が生じている。日本の農業や農村の崩壊、食の安全問題など。どうすれば自給率を上げられるのか。
問題解決は容易ではない。しかし、国内農業保護政策を見直し、日本の農業を「儲(もう)かる」事業に変える。消費者もある程度高くても品質や安全性の高い国産食料品を購入する意欲を持ち、食料品の内需を拡大する。また地方の特産品や都市近郊農家は新鮮でおいしい特徴的な農産物を消費者にアピールし、消費者と生産者の一体感を醸成することなどであろうか。(QJ)