雷句誠の今日このごろ。

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<<   作成日時 : 2008/11/11 20:40  

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11月11日、午後3時、和解期日第2回目。
「金色のガッシュ!!」漫画カラー原稿紛失に対する(株)小学館への損害賠償訴訟、和解成立。

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皆様こんばんは、雷句誠です。
今日、(株)小学館との和解が成立いたしました。まずは和解内容です。
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和解条項案
 1 被告は、原告に対し、原告所有の漫画原稿を紛失したことにつき、深く謝罪する。
 2 被告は、原告に対し、本件和解金として金255万円の支払義務あることを認める。
 3 被告は、原告に対し、前項の金員を平成20年12月15日限り、原告代理人「◯◯◯◯◯」名義の三井住友銀行◯◯支店普通預金口座(口座番号◯◯◯◯◯◯)に振り込む方法により支払う。
 4 原告は、その余の請求を放棄する。
 5 原告及び被告は、原告と被告との間には、本件に関し、本件和解条項に定めるほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。
 6 訴訟費用は、各自の負担とする。 
以  上
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まずは、(株)小学館が、漫画原稿紛失に対して謝罪し、カラー原稿5枚の紛失に対して255万円の和解金の支払いをする事に素直に喜ぼうと思います。

そして・・・悔しい事が2つ。
一つは和解条項案の1の文内にて、「漫画原稿についての美術的価値に対する配慮を欠き」の一文を加えれなかったこと。「美術的価値」は、今回の裁判の一つの焦点でした。これについては自分も、小野智彦弁護士さんも必死に抵抗してくれました。しかし、今回のこの提訴はあくまで「雷句誠の漫画原稿」であり、「漫画原稿全般に対して美術的価値がある表現」は和解条項に入れれないとの事。

ですが、255万円の和解金が支払われました。今回の和解の約束にて「金額の内訳を公開しない」がありますので、この和解金の内訳は残念ながら公開できません。が、紛失した原稿に対して、255万円の金額が支払われた、それだけは大きな一歩ではないかと思います。

そしてもう一つは、「共同提言」が成立できなかった事です。
提案した共同提言は以下の内容でした。
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 原告と被告は、次のとおり共同の提言を行う。

 (1)創作者の創造性が作用する社会活動においては、関係者が創作者個々人の創造性・オリジナリティに敬意を払い、これを尊重する風土を確立することによって、文化の健全な発展の基礎が形成される。殊に、漫画出版の場合には、漫画の原稿そのものが商品化するのに不可欠のものであり、かつ、漫画のストーリーと相俟って、漫画そのもののもつ視覚的印象に美術的価値があるのであって、これらに携わる者は、これらの価値を見いだした創作者の意向を十分に尊重する姿勢が必要である。
 (2)我々は、漫画原稿が出版社において扱われる場合には、法律上又は倫理上、次のようなルールが守られなければならないと考える。
   一 出版社は漫画原稿を預かった場合には、その原稿の価値を尊重し、善良なる管理者としての注意義務を持って、それを管理しなければならない。
   二 出版社が預かった原稿については、出版できる状態、つまりポジフィルム化した段階で、速やかに漫画家に返却し、必要以上に原稿を管理してはならない。
   三 (この項目には賠償金の倍率設定が入っていましたが、今回の和解内容にて、「金額の内訳を公開しない」との約束が入っていますので、ここでは公開する事はいたしません。) 
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この共同提言は小野智彦弁護士さんが作ってくれたものです。自分もこの内容を見たときは、これはなんとしても実現させたいと思っていました。決して、無理な提言ではなく、小学館にこの先の漫画界をリードする立場となる内容である、と思っていました。しかし、この提言は全く小学館側で受け付ける事をしてくれませんでした。自分は今日の協議で、「賠償金の設定など、内容については、こちらは話し合う姿勢があるが、それ以前にもう、共同提言自体を否定しているのですか?」と、問いました。やはり、相談云々ではなく、共同提言自体ができないとの事。

理由は
「一個人の漫画家が、漫画界全体の約束事を決めるのはおかしい。」
です。

確かにそれは言える、しかも小学館で仕事をしないと発表した漫画家が、小学館との共同提言などおかしい。それもわかる。この言葉は今回の裁判官の口からも出されました。

だが、今、小学館にて連載を持っていたり、必死に連載を勝ち取ろうとがんばってる新人などの漫画家が、今回のような事をするのは無理なのである。漫画家は作品が命、文句を申し立てた事で、連載が終了したり、漫画の掲載を無くされたりする事を考えると、今回の自分のような提訴や、このような共同提言の提案などはとても難しいのである。雷句誠、私自身も、「金色のガッシュ!!」を終了させるまでは、とにかく「我慢」一つでした。このような共同提言を申し立てる事ができるのは、今は私しかできないと思ったのです。それがやはり達成できませんでした。

裁判官と言う、公平なる立場の人の口からこの意見を出されては、もう、あきらめるしかありません。

でも、やはりこの共同提言までは成立させたかった。「弱い立場である漫画家」に何か頼りになる柱を作りたかった・・・残念です。

自分を応援してくださった方々、特に応援してくれた漫画家さん達、ごめんなさい。

でも、今回にて、大事になり、皆さんの意見、支持にて、この事件は大きく取り上げられました。小学館もこのような共同提言をしなくとも、もう、漫画家に対してちゃんとした対応を取っているだろうと思います。もし、それでも小学館にて漫画を描いている作家さん達が不当な扱いを受け、悔しい思いをしていたなら、もう、小学館内の漫画家さんで団結し、団体で小学館との共同提言を望んでください。残念ですが、もう、自分ができるのはここまでです。漫画家が団結してこういった事をしようとする事が、どれだけ難しい事かは想像ができます。が、やはり、自分ができるのはここまでです。

最後になりますが、やはり小学館から、漫画原稿への美術的価値を認める意思がほしかったです。たとえ今回は雷句誠、一漫画家の問題だったとしても、漫画原稿を、漫画をしっかりとした文化として認めてほしかった・・・

私、雷句誠としては、この「美術的価値」については、年に1回でも2回でも、今回の提訴の前におこなったチャリティーオークションにて、漫画カラー原稿を出品し、その価値について、わずかながらですがアピールを続けていきたいと思います。

とにかく、この提訴に関して応援してくれた多くの皆さん、担当してくださった小野智彦弁護士さん、今まで本当にありがとうございました。本当に皆さんの声がなければ、ここまでがんばれなかったと思います。

本当にみなさんのお力でした。

ありがとうございました。

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