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小説本文

     さて、相手は砲台だ。間合いを測っている暇はない。
     そも、この戦いにおいて、間合いを測ることに意味はない。勝利条件も敗北条件も明確だ。すなわち、近づけば勝ち、離れれば負ける。
     無論、離れられるとどうしようもないわけではない。が、引き出しの量が違いすぎる。せいぜい2,3回撃ち合っておしまいだ。
     逆もまた然りだ。高町とて近距離対策はあるだろうが、それくらい叩き潰す自信はある。
     それは相手もわかっているだろう。

     だから、驚いた。だからこそ、驚いた。

     レイジングハートが高速飛翔魔法を唱えると同時に、いや、唱える前に追撃体制に入った。そこに突っ込んできた。高町が。


     しかし、甘い。その程度で出し抜かれてはヴォルケンリッターの将足り得ない。
     刹那の間もなく思考を戻し、向かってくる小さな体に刃を走らせる。追撃の体制から十分な力は乗せられない。が、それでも十分。

    ≪Round Shield≫

     指向性の盾に刃は防がれ、突撃の勢いに負けはじかれる。それにつられ体制が崩れる。しかし、それも予想の範囲。
     この勢いで、こちらが十分な力をこめていれば、プロテクションでは弾ききれない。故のラウンドシールド。
     その盾の上を転がるように体制を崩し、盾が途切れたところから、はじかれた勢いのまま剣を振るい…≪Divine≫盾をけって身をかわす!

    「ディバインシューター!」
    ≪Shooter≫

     高町の手から放たれ魔法弾は、半瞬前に私がいた場所を通り過ぎる。振るった剣も回避行動にあわせ高町から離れる。
     結果、高町なのはは全力で交叉点より離脱。体制を崩されたこちらはさらに半瞬遅れて追撃。

     出端をくじかれたか。
     ラウンドシールド、アクセルフィンを維持しつつのディバインシューター……侮っているつもりではなかったが…改めよう。
     高町なのはは、こちらの考え以上に、強い。
     なればこそ、負けない。相手がネズミでないならば、全力以上を持って叩き潰す。
     それが誇り高きヴォルケンリッター、それこそが誇り高き守護騎士だ。


     たしかに、離された。してやられたと言っていいだろう。が、まだ届く。
     シュランゲフォルムならば、届く。

    「レヴァンティ」
    「アクセルシューター!」
    ≪Accel Shooter≫

     その瞬間を、狙ったかのようなタイミングで振り向きざまに一発。結果も確認せず再び半回転、離脱体制へ。

     普通に考えれば、いかなアクセルシューターとて、一発程度では通じない。しかし、相手は高町だ。単なる嫌がらせなはずがない。
     その行動の裏を読み…その真意に感嘆する。先ほどまでの私なら、あるいは有効だったかも知れない。
     が、今の私には通じない!

    ≪Stellung…≫
    「いらん!」

     迎撃しようとするレヴァンティンを制止しつつ、向かってきた魔法弾を体の片側を軸に回転しつつ回避。
     一瞬後、高速で追ってきた初撃の魔法弾と衝突。爆風が背中をたたきつける。

     好都合だ!

     爆風による加速。さらに自身でも全力で加速し、攻撃のため減速した高町を射程に捕らえる!

    「アクセルフィ」
    「させるかぁ!」
    「え!?」
    ≪Protection≫

     袈裟切りに振るった高町の背中を捉えるはずの一閃は、レイジングハートのオートガードに防がれた。
     が、Protectionなら、破れる。いや、破る!
     押し返される感覚に全力で抗う。さすがに硬いが、チャージなしならば問題ない!
     このままなら押し切れる!

    「ば、バリアバースト!」
    ≪Barrier Burst≫

     押し負けることを悟ったか、高町は爆破を選択。しかし、ノーマルのプロテクション程度のバーストなら吹き飛ばされるほどでもない。
     さすがに押し戻されたレヴァンティンをそのままに、爆発により少し飛ばされた高町に追いつき、再び振り落とす!

    「くぅ!」

     しかし、今度はミッドチルダ式の魔法陣が展開され、阻まれた。
     とっさにラウンドシールドを張ったか。すばらしい反応速度だが…そんな急ごしらえで耐えられるほど、私の斬撃は軽くない!

     魔法陣ごと切り落すべく、さらに気合を入れる。
     当然耐えられるはずもなく、ラウンドシールドは砕け、高町は悲鳴を上げ、床へと叩きつけられた。
     とりあえず、第一ラウンドは私の勝ちといったところか。


     そして、勝者の権利として、勝者の義務として、私は高町なのはを挑発する。


    「どうした高町なのは!まだカートリッジも使っていないぞ!」

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