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【社説】OECD加盟国の中で最も悲惨な韓国の高齢者

 韓国の65歳以上高齢者の「相対的貧困率」は45%に達し、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最も高いことがOECDによる調査で明らかになった。「相対的貧困率」とは、所得の分布における中央値の50%に満たない人々が占める割合のことをいう。ちなみにOECD平均は13%で、韓国の次に割合が高かったアイルランドでも31%だった。つまり大韓民国はOECD加盟国の中では高齢者の生活が群を抜いて悲惨な国、ということだ。

 高齢者の悲惨な実態を示す統計はそれ以外にも数多い。福祉部が生活管理士を派遣している24万人の高齢者の月平均所得は18万7000ウォン(約1万4000円)で、その中の92%が一つ以上の慢性疾患を抱えており、また週に1回以上食事を抜く割合も30.7%に達しているという。余暇活動といえば、テレビを見たりラジオを聞いたりする程度という高齢者も93%に達する。統計庁がまとめた別の統計では、65~74歳人口における10万人当たりの自殺率は1995年には44人だったのが、2005年には137人へと大幅に増えた。高齢者による自殺の大半は子供たちの重荷になりたくないという動機からで、しかも持病を抱えた状態で自ら命を絶つというケースが多いという。

 韓国で高齢者の貧困問題がこれほどひどくなった最大の原因は、家庭の崩壊にある。韓国労働パネルが行った調査結果によると、1980年には60歳以上の高齢者の72.4%が子供の世話になっていたが、その割合は2003年には31.1%へと急激に減少した。親の世話を子供が行わない方向へと世の中全体が流れてしまうと、政府や地方自治体がその役割を引き受けるしかないのだが、現状はあまりにも不十分だ。政府が70歳以上の高齢者300万人に支給している老齢年金は一人当たり8万4000ウォン(約6300円)。

 韓国で高齢化が進むペースは世界で最も速く、国の財政だけでは到底追いつかない状況だ。代案があるとすれば、高齢者にも仕事を与えて経済面で貢献してもらいながら、人生の生きがいを見いだしてもらうことしかないだろう。韓国で仕事を行う人が引退する年齢は平均56歳で、日本の66歳に比べると10年も若い。また高齢者の57%は再び仕事に就くことを望んでいるという。平均寿命が伸びつつある中、働ける期間を延ばしてあげることも必要なはずだ。しかし若者でさえ仕事に就けないケースがあまりにも多い状況では、これも思い通りにはいかないだろう。

 60歳で仕事から退いて80歳まで生存すると仮定し、この期間から寝る時間と食事する時間を除くと7万時間になるという。この時間は高齢者にとって「7万時間の恐怖」と呼ばれている。この7万時間に生きがいを感じながら幸せに過ごすことのできる社会的基盤を造成することこそ、現在の重要な課題であると同時に未来の課題ともいえるだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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