September 01, 2008
【映画】スカイ・クロラ The Sky Crawlers
世界観は重要。
原作では架空世界の物語っぽく描かれていたけれど、映画版ではのっけから『カミュ』の名が登場したり、日本語と英語(一部はポーランド語?)の使い分けや『欧州連合』、さらには『讀賣新聞』(英語と日本語のごっちゃになった紙面)など、どうやら地理的には現実世界のそれの上に成り立っているようで、中途半端に現実世界の要素が入ってきている分、歴史の分岐点はどこなのか?といった疑問が入ってきてしまう。いっそ、現実の地理世界とは別の世界という設定の方がよかったのではないかとも思う。(あるいは、原作に馴染みのない方にはその方が映画の中の状況を整理しやすいのかもしれない)
原作との違いという部分ではササクラが女性になっていたことを除けば、クサナギが不時着(ティーチャとの戦闘により?)していたくだりに最も違和感があった。
あとはラストの部分だけれど、これはこれで意図して違う結末にしているので、ありといえばあり。「いつも通る道でも 違うところを踏んで歩くことが出来る」というカンナミのモノローグと重なる。
声優陣ではカンナミ(加瀬亮)は可もなく不可もなく、といったところ。もっとも、誰が演じてもカンナミ役そのものが「不可」はあっても、手放しで絶賛できるような評価はもらいづらい役かもしれない。トキノ(谷原章介)、あとはミツヤ(栗山千明)がなかなかいい味を出していたと思う。クサナギ(菊地凛子)はかなり難しい役柄。菊池凛子もかなり大変だったろうな、というのがところどころで覚える違和感の中に見えてくる。
空戦シーンは秀逸。
レシプロ機の空戦シーンの動画などほとんど残っていないだろうけれど、実際にあったらこんな感じだろうな、と思わせる。とりわけ、自機を急に失速させて後方の敵機をやりすごし背後をとる「ストールターン」の表現は、「あ、こういう感じなんだ」とそのイメージを初めて視覚的に捉えることができる。レシプロ機に造詣の深い岡部いさく氏が監修に入ったことの成果だろうか(笑)
全体としては消化不良な感は否めないけれど、音楽と空戦シーンで星4つ。震電(じゃないけれど)の編隊が蒼穹を駆ける描写だけでも見ごたえがあります。
原作では架空世界の物語っぽく描かれていたけれど、映画版ではのっけから『カミュ』の名が登場したり、日本語と英語(一部はポーランド語?)の使い分けや『欧州連合』、さらには『讀賣新聞』(英語と日本語のごっちゃになった紙面)など、どうやら地理的には現実世界のそれの上に成り立っているようで、中途半端に現実世界の要素が入ってきている分、歴史の分岐点はどこなのか?といった疑問が入ってきてしまう。いっそ、現実の地理世界とは別の世界という設定の方がよかったのではないかとも思う。(あるいは、原作に馴染みのない方にはその方が映画の中の状況を整理しやすいのかもしれない)
原作との違いという部分ではササクラが女性になっていたことを除けば、クサナギが不時着(ティーチャとの戦闘により?)していたくだりに最も違和感があった。
あとはラストの部分だけれど、これはこれで意図して違う結末にしているので、ありといえばあり。「いつも通る道でも 違うところを踏んで歩くことが出来る」というカンナミのモノローグと重なる。
声優陣ではカンナミ(加瀬亮)は可もなく不可もなく、といったところ。もっとも、誰が演じてもカンナミ役そのものが「不可」はあっても、手放しで絶賛できるような評価はもらいづらい役かもしれない。トキノ(谷原章介)、あとはミツヤ(栗山千明)がなかなかいい味を出していたと思う。クサナギ(菊地凛子)はかなり難しい役柄。菊池凛子もかなり大変だったろうな、というのがところどころで覚える違和感の中に見えてくる。
空戦シーンは秀逸。
レシプロ機の空戦シーンの動画などほとんど残っていないだろうけれど、実際にあったらこんな感じだろうな、と思わせる。とりわけ、自機を急に失速させて後方の敵機をやりすごし背後をとる「ストールターン」の表現は、「あ、こういう感じなんだ」とそのイメージを初めて視覚的に捉えることができる。レシプロ機に造詣の深い岡部いさく氏が監修に入ったことの成果だろうか(笑)
全体としては消化不良な感は否めないけれど、音楽と空戦シーンで星4つ。震電(じゃないけれど)の編隊が蒼穹を駆ける描写だけでも見ごたえがあります。
August 06, 2008
ラブメイト in 北京
忙しさに追われてオリンピックの注目競技がわからない。
そんな貴兄の為に、独断と偏見に基づく『ラブメイト in 北京』を選んでみました。
これを読めばオリンピックの楽しみが一段と広がる……?
【審査基準】
・マイナー競技はポイントup↑
・メダル期待度もポイントup↑
・あとは独断と偏見
● 5位 ●

潮田玲子(バドミントン)
有名どころなのでランキングは下げちゃいました。。。
メダル期待度……★★☆☆☆
注目ポイント……二の腕
● 4位 ●

稲垣早織(新体操)
『フェアリー・ジャパン』の一員。
『フェアリー・ジャパン』もカーリングの『シムソンズ』みたく映画の題材になりそうな気がするけど、今作ったらこの選手の役はたぶん関めぐみ(笑)
メダル期待度……★☆☆☆☆
注目ポイント……涼しげな目許
● 3位 ●

福島千里(陸上・100m)
今期急成長で女子100mとしては日本人56年ぶりの代表に。
北海道出身。
メダル期待度……☆☆☆☆☆
注目ポイント……跳ぶような走りっぷり
● 2位 ●

安藤梢(サッカー)
浦和レッズレディースの10番。
クラブではFWだけれど代表ではサイドにコンバートされて数年。
筑波の院生という一面も持つ。
メダル期待度……★★★☆☆
注目ポイント……サイドでのドリブル突破
● 1位 ●


廣田遥(トランポリン)
前回アテネは7位入賞も、本企画では文句なしの金メダル。
ちなみに全日本では7連覇中という押しも押されぬ第一人者。
メダル期待度……★★☆☆☆
注目ポイント……空中姿勢
◆ 編集後記 ◆
さくらジャパンやソフトボールからも選びたかったのですが……。
(ソフトは上西晶の代表漏れが響きました)
いよいよ今日の『なでしこジャパン』の緒戦で北京の戦いの幕が切って落とされます。
この夏誰よりも輝く彼女たちから、もう目が離せません。
そんな貴兄の為に、独断と偏見に基づく『ラブメイト in 北京』を選んでみました。
これを読めばオリンピックの楽しみが一段と広がる……?
【審査基準】
・マイナー競技はポイントup↑
・メダル期待度もポイントup↑
・あとは独断と偏見
● 5位 ●
潮田玲子(バドミントン)
有名どころなのでランキングは下げちゃいました。。。
メダル期待度……★★☆☆☆
注目ポイント……二の腕
● 4位 ●
稲垣早織(新体操)
『フェアリー・ジャパン』の一員。
『フェアリー・ジャパン』もカーリングの『シムソンズ』みたく映画の題材になりそうな気がするけど、今作ったらこの選手の役はたぶん関めぐみ(笑)
メダル期待度……★☆☆☆☆
注目ポイント……涼しげな目許
● 3位 ●
福島千里(陸上・100m)
今期急成長で女子100mとしては日本人56年ぶりの代表に。
北海道出身。
メダル期待度……☆☆☆☆☆
注目ポイント……跳ぶような走りっぷり
● 2位 ●
安藤梢(サッカー)
浦和レッズレディースの10番。
クラブではFWだけれど代表ではサイドにコンバートされて数年。
筑波の院生という一面も持つ。
メダル期待度……★★★☆☆
注目ポイント……サイドでのドリブル突破
● 1位 ●
廣田遥(トランポリン)
前回アテネは7位入賞も、本企画では文句なしの金メダル。
ちなみに全日本では7連覇中という押しも押されぬ第一人者。
メダル期待度……★★☆☆☆
注目ポイント……空中姿勢
◆ 編集後記 ◆
さくらジャパンやソフトボールからも選びたかったのですが……。
(ソフトは上西晶の代表漏れが響きました)
いよいよ今日の『なでしこジャパン』の緒戦で北京の戦いの幕が切って落とされます。
この夏誰よりも輝く彼女たちから、もう目が離せません。
June 09, 2008
【雑感】スポーツとビジネスのあいだ
この週末にあったサッカーのW杯予選と、バレーボールの北京五輪予選。
どちらもゲームにおける日本代表の健闘を祈ってはいるものの、ブラウン管(うちのテレビはまだそう)から透けて見える、ピッチやコートの外の事情を考えるとなんとなく釈然としない思いもある。
まず、サッカーのほうから。
試合会場はオマーンのマスカット。日中の最高気温が40℃を超えるという酷暑の中、キックオフ時刻はまだ日が出ている17:15。キックオフ時でも38℃だったとか。
オマーン国内の試合でも異例というこの時間帯でのキックオフになった理由は「テレビ中継の都合」。要はこの試合同様TBSが放映予定だったEUROと放映時間が重ならないようにする必要があったり、浅い時間帯のほうが日本国内での視聴率が見込めたり、ということなんだけれど、その結果として酷暑の中で真剣勝負を戦う選手にとってはたまったものではないだろう……。
バレーボールのほうはいつも思うのだけれど、スポンサーや観客動員が見込める日本が例によって開催地。この環境が日本代表の強化にあたっては最大の障壁のようにも思えてしまう。主要な国際大会のほとんどを日本で戦ってきたチームが、北京やロンドンで強敵を打ち破れるようにはちょっと思えない。
見ていて一番恥ずかしいのは、選手と監督の大げさなパフォーマンス。
ホスト国のプレイヤーとして、対戦国にはもっと敬意を払うべきだと思う。彼らを煽るかのようなメディアの取り扱いも、却って彼らにとってはよくないことのように感じる。
『日本代表』というコンテンツは2002年のサッカーW杯や2004年のアテネ五輪、2006年のWBCを経てどんどん肥大化している。放映権やスポンサー収入も競技の普及や代表チームの強化には欠かせない要素ではあるものの、それらがスポーツの本質からかけ離れ、却って競技そのものの魅力を低下させるようであってはならない。
各競技団体の幹部には、明確なヴィジョンのもとにスポーツ的要素とビジネス的要素との間でバランスをとっていくことが求められていく。
どちらもゲームにおける日本代表の健闘を祈ってはいるものの、ブラウン管(うちのテレビはまだそう)から透けて見える、ピッチやコートの外の事情を考えるとなんとなく釈然としない思いもある。
まず、サッカーのほうから。
試合会場はオマーンのマスカット。日中の最高気温が40℃を超えるという酷暑の中、キックオフ時刻はまだ日が出ている17:15。キックオフ時でも38℃だったとか。
オマーン国内の試合でも異例というこの時間帯でのキックオフになった理由は「テレビ中継の都合」。要はこの試合同様TBSが放映予定だったEUROと放映時間が重ならないようにする必要があったり、浅い時間帯のほうが日本国内での視聴率が見込めたり、ということなんだけれど、その結果として酷暑の中で真剣勝負を戦う選手にとってはたまったものではないだろう……。
バレーボールのほうはいつも思うのだけれど、スポンサーや観客動員が見込める日本が例によって開催地。この環境が日本代表の強化にあたっては最大の障壁のようにも思えてしまう。主要な国際大会のほとんどを日本で戦ってきたチームが、北京やロンドンで強敵を打ち破れるようにはちょっと思えない。
見ていて一番恥ずかしいのは、選手と監督の大げさなパフォーマンス。
ホスト国のプレイヤーとして、対戦国にはもっと敬意を払うべきだと思う。彼らを煽るかのようなメディアの取り扱いも、却って彼らにとってはよくないことのように感じる。
『日本代表』というコンテンツは2002年のサッカーW杯や2004年のアテネ五輪、2006年のWBCを経てどんどん肥大化している。放映権やスポンサー収入も競技の普及や代表チームの強化には欠かせない要素ではあるものの、それらがスポーツの本質からかけ離れ、却って競技そのものの魅力を低下させるようであってはならない。
各競技団体の幹部には、明確なヴィジョンのもとにスポーツ的要素とビジネス的要素との間でバランスをとっていくことが求められていく。
April 06, 2008
【書籍】『コインロッカー・ベイビーズ』
エロスとしてのキク、タナトスとしてのハシ。
キクに憧れ、ハシの影に怯え、アネモネに恋をする。
この本が好きだ、という人とはそれだけで仲良くなれそうな気がする、僕にとってはそんな1冊。
【書籍】『学歴社会の法則 教育を経済学から見直す』
『学歴社会の法則』はタイトルにもってくるほどのことはかかれていなかったように思う。
(「学歴」についての「人的資本論」「シグナリング理論」を基にした経済学的なアプローチはもちろんなされてはいたけれど)
後半の『いじめ』問題などへの経済学的アプローチには、そういう視点もあるのか、と唸らされる。
【書籍】『コンプレックス』
30年近く前に刊行された書籍だけれど、全く「古さ」は感じられない。
文章にいささか文学的な表現が過ぎる感はあるけれど、却ってそのことが一般の読者にもこの難解極まりない問題に触れやすくしている。
コンプレックスからは逃れられない。
だからこそ、それを克服すべき、除去すべき「悪しきもの」としてのみではなく、行動の源泉とての意義も見出している。
高校生のとき「人はコンプレックスで動いている」という考えに触れて以来、漠然とそう思いつつ世界を観察する癖がついていたけれど、この本に触れてその見方が少し、わかりやすくなったと思う。
『コンプレックス持ってる奴は強いぜ』
フットボール漫画『GIANT KILLING』における名言。
本当にそうだと思う。
【書籍】『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』
ノモンハンにはじまり、ミッドウェイ、ガダルカナル、レイテ、インパール、沖縄。帝国陸海軍が犯した『失敗』を組織論・戦略論の観点から紐解く。
たとえばミッドウェイは、一般には暗号が解読されていたことや図上演習の際に敵戦力を侮ったことなどが敗因とされているが、それ以外にもGF(連合艦隊)司令部と現場とで戦略的目的が共有されていない、セイロン島沖航空戦で艦載機の発艦準備中に接敵を受けた教訓が全く活かされていない、GF司令部が『大和』ごと作戦に参加してしまい、無線封鎖のため機動部隊に対する指揮がとれない……等の『失敗』のための要素がそろっていた。
また、ミッドウェイの敗北の責任を山本、南雲以下の誰も負わせないという人事戦略においても、真珠湾の責任を負わせてキンメルをすぐに更迭するというアメリカの迅速なそれに比して拙劣だとも思う。
インパール作戦の失敗を予期していながら体面上言い出せず「私の顔色で察してほしかった」という現場司令官と、参謀本部の「現場が撤退を主張しない以上、作戦は続行せざるを得ない」という後日談に象徴されるように、同じ組織に属する同僚の面子を潰せないという「思いやり」でずるずると失敗の泥沼にはまりこむというのが一貫した失敗の構造として垣間見える。
内輪にはやさしく、外様には厳しい。
同じ軍の失敗はかばいあい、体面を重んじる一方で、陸海軍どうしでは足を引っ張り合う日本軍。
国力もさることながら、戦争という結果が全ての事業に望むにあたり、そのような「日本的」組織が、アメリカのプラグマティズムの前に敗れたとも言える。
戦史に明るくない方にこそオススメの一冊です。
March 21, 2008
【書籍】『稲盛和夫の実学―経営と会計』
財務や会計は正直いまだによくワカラナイ。
(勉強中です)
簿記などを勉強していると、どうも難しい方、小手先の技術にはまりそうになるけれど、やはり原理原則、運用の実態に照らし合わせていくことが大事だと説かれている。
とりわけ「原価」や「減価償却」といった概念に対するもやもやが少し解消したと思う。
著者は非常によく知られた経営者だけれども、技術屋の出身ということもあってか会計・経営について平易な説明がされているのがよい。
March 12, 2008
【書籍】『行動経済学 経済は「感情」で動いている』
行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)
かつて教育学部生だった僕には、経済学の本と言うよりほとんど認知心理学の本という印象。(互酬性に関する部分などでは文化人類学的な考察も見られるのがよい)
『下手糞の
上級者への道のりは
己が下手さを知りて一歩目』。
僕らの遺伝子に組み込まれている思考のスキームは、ずいぶんと「合理的経済人」とはかけ離れている。
「合理的経済人」たらんとすれば、経済的な思考のフレームを知ることもさることながら、いかに僕らがそこからかけ離れているかを知ることも同様にたいせつ。
具体的にその一端を知ろうとする上では、非常に参考になる一冊。
March 11, 2008
【書籍】『満州と自民党』
満州と自民党 (新潮新書)
どちらかと言うと「満州と岸信介と、時々、自民党」という感じもする。
いわゆる「満州人脈」を整理する上ではいいかも。
それ以上の内容は別の書籍に譲る形になるのだろうけど。
紹介されていた「保守合同は三木(※)が微分して岸が積分した」という比喩には、なるほどと膝を叩かされる。
※三木武吉のこと。三木武夫だと素因数分解してしまう。