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2008年11月11日

◎金沢検定 学ぶ意欲こそ地域を磨く力

 今年の金沢検定は過去最多の三千五十一人が受験し、回を重ねて学びのすそ野が着実に 広がっていることをうかがわせた。「城下町」の財産や歴史を生かした都市づくりも、行政が旗を振るだけでなく、そこに住む人たちの関心の高さや理解があってこそ一体的な取り組みとなる。検定を通して、ふるさとを知る意欲や努力をさらに広げ、地域を磨くエネルギーにしていきたい。

 四回目を数えた金沢検定は上級が百七人、中級四百八十二人、初級二千四百六十二人が 受験した。最難関の上級に挑戦する人が百人を超え、受験者の構成はピラミッド型に近づいてきた。ジュニアかなざわ検定を受験した子どもたちの姿もみられ、腕試しの次のステップとして二つの検定がつながり始めたことは一層のすそ野拡大が期待できる。何より、大人と机を並べて問題を解く子どもたちの姿は大きな刺激となる。受験者が職場や家庭、学校、地域などで検定を話題にすれば、世代を超えた広がりがさらに見込めるだろう。

 ふるさと教育の熱気はさまざまなところでみられる。金沢城などで発掘調査の説明会が あれば、多くの人が詰めかけるのが一例だ。今後の史跡整備や城郭建造物の復元にしても欠かせないのは県民、市民の理解である。金沢では町家の保存、用水の開渠(かいきょ)化、寺院群の保存など「城下町」の財産を点から面へと広げる取り組みが本格化し、これからは住民の協力が一層大事になる。その点では金沢の魅力づくりは、そこに住む人たちの意識も大きなかぎを握ることになる。

 金沢で今月実現した「南町(みなみちょう)」に続き、来年の「下新町(しもしんちょ う)」「上堤町(かみつつみちょう)」と旧町名復活の動きが途切れずに続くのも、町名に「歴史」という無形の価値を見いだす熱心な住民がその地域にいるからだ。旧町名に財産価値を認めなければ、復活に伴う住所変更手続きも煩わしいだけで、運動の継続は難しいだろう。

 ふるさとを知ろうとする努力が貴重なのは、このようにまちづくりの参加意識にもつな がっていくからである。地域への愛着を深める手段として、金沢検定を大いに活用していきたい。

◎給付金の所得制限 手間暇かけぬ方がよい

 生活支援定額給付金の支給について、法改正の手間暇をかけて所得制限を行う必然性が あるとは思えない。支給方法はできるだけ単純明快であることが望ましく、支給窓口となる市町村の負担を軽くしておかないと、年度内支給が難しくなる。支給する、しないをめぐって窓口で大混乱が起きる可能性もあり、時間をかければかけるほど景気刺激の効果も薄くなってしまうだろう。

 高額所得者を除外することには、与党内にも異論がある。財源となる「霞が関埋蔵金」 は、いうなれば取り過ぎた税金という側面があり、給付金はそれを国民に薄く広く還元する狙いもある。高額納税者でもある高額所得者を支給の対象外にして、「もらう人」と「もらえない人」を分け、不公平感を残すのは、利口なやり方とは思えない。所得にかかわらず、辞退したい人は申し出てもらえば、それで良いのではないか。

 与党は給付金の額として、一律一万二千円、六十五歳以上と十八歳以下には八千円加算 の二万円とする案でほぼ合意した。給付金方式は、個人住民税の控除が六月以降になる定額減税より、手続きが簡単で、即効性に優れている。所得制限の導入は、この二つの長所を打ち消してしまうだろう。

 現金支給は、課税最低限に満たない低所得層にも支払われるなど、所得の少ない層に有 利な仕組みである。支給対象をさらに絞るより、国民が等しく恩恵を受け、冷え込んだ消費マインドを温めてもらう方がより重要である。

 所得制限には自治体事務の煩雑化という問題もある。一時期に大勢が市町村の窓口に殺 到すると、窓口は大混雑する。全国市長会長の佐竹敬久秋田市長は「すべての業務を放り出しても職員は足りない。混乱は確実」と指摘し、「辞退を促したり、見なしの所得制限で対応する案もあるようだが、あいまいな形では市町村は耐えられない。所得制限なしが望ましい」と指摘している。

 手間暇かけて自治体の負担を重くする意味はない。低所得者への手当てが足りないなら 、別の施策を考えればよいのである。


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