勝間和代のクロストーク

「マイカー減らそう」勝間さん、国交省とクロストーク

2008年11月01日

 クロストーク第1回「マイカー減らそう」の提言について、10月29日、勝間和代さんが東京・霞が関の国土交通省交通計画課を訪問。読者の皆さんのご意見を伝え、政策について約1時間、議論をかわしました。

 対応していただいたのは同課の野俣光孝課長。まずは、ウェブに公開された405通のご意見を勝間さんが手渡しました=写真。プリントアウトしたところA4判で150枚以上。「私たちの政策は地味ですが、これほどの関心を持っていただき大変ありがたいです」と、話していました。

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 同課の基本姿勢は、自動車を「なくす」のではなく、増えすぎによる渋滞や事故、環境悪化の弊害を抑え、自動車メーカーと利用者とが「ウイン・ウィンの関係」をつくること。「自分も個人的には車好き。要は使い方」と野俣課長。

 特に、CO2排出抑制の点で、マイカー通勤をやめるのは効果的で、往復1時間と仮定すると1人あたりの1日排出量が半減するのだとか。同課では「エコ通勤」と名付け、健康、家計などの利点も訴えながら働きかけをしています。啓発活動をすると、だいたい1割の人がマイカー通勤をやめるといい「今後は、より多くの人に広報し、“分母”を増やすことが大事です」とのことでした。

 同時にマイカーがなくても大丈夫なように地域の「足」を存続・充実させようと、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を07年に施行しました。ローカル線、バス、フェリーなどへの支援策ですが、これまでとの最大の違いは「全国一律・業者向け」から「やる気のある場所限定・地域の関係者向け」へと支援先を切り替えたこと。市町村や地元の企業・住民らによる「法定協議会」を作ってもらい、そこを通して調査・計画費や運営費を支援するというものです。

 こうした政策が導入されたのは、経済の右肩上がりが続かないこと、環境への配慮、高齢者ドライバーによる事故増加など弊害が目立ち始めたことが大きな要因だったようですが、予算などもまだ少なく、関心を持つ政治家の数やバックアップも決して多くないといいます。

 とはいえ、地域の反応は予想以上といい、今年度既に245件の事業を実施したということです。これまで、てんぷら油を利用したコミュニティーバス(北海道当別町)や、V字型だったフェリー航路を三角形に変えることで地域の回遊性を高める(福岡県宗像市)など、ユニークなアイデアが実現したといい、「まさに知恵は地域にあり、です」(野俣課長)。

 一方、「手を挙げた」やる気ある地域を支援する施策なので、やる気のない地域には予算が回りにくい。住民たちが地域行政に関心を持ち、行政を動かしていくことを期待しているそうです。

 今回のクロストークの議論で、欠けていた視点がありましたかと聞くと、「マイカーで移動するだけでは『街のにぎわい』が生まれないということ。人が車から降りて公共交通を利用することで、街を歩く人がふえ、商店を含めて街が活性化する。環境問題だけでなく、そういう面も重要だと思います」とのことでした。

 最後に勝間さんが、自転車道の整備について聞くと「こまぎれに作っても逆効果ですが、まとめて作るとなると相当額の予算が必要。特に都市部の用地確保が大変」と苦しい返事で、これについては世論の盛り上がりに期待したいとのことでした。

 「クロストーク」では今後も、読者の皆さんとの議論を政策担当者の皆さんに届け、行政・政治の世界とも「クロス」させていきます。【デジタルメディア局・嶋野雅明】


国土交通省のホームページ

 
 

勝間さんの提言「年金改革」に対する
皆さんのご意見、ご感想は…
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34.5%
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