11月中にも日本の在留資格を失う見通しの元若ノ鵬 |
大麻所持容疑で逮捕され、日本相撲協会から解雇されたロシア出身の元幕内・若ノ鵬=本名・ガグロエフ・ソスラン=(20=起訴猶予)が地位保全を求めた仮処分申し立てに対し、東京地裁は30日、却下する決定をした。仮処分申請が認められなかったことで、元若ノ鵬は11月中にも国内の在留資格を失う見通し。解雇無効を求めた本訴も敗訴が濃厚で、最後の悪あがきも不発に終わりそうだ。
元若ノ鵬の主張が考慮されるか注目された仮処分申請。東京地裁の判断は、解雇した協会の正当性を認めるものだった。元若ノ鵬の顧問弁護士の宮田眞氏は、今回の決定を受けて文書で対応。「第1回審尋(意見や主張を裁判所に提出する行為)では裁判所から強い和解勧告があった。しかし、若ノ鵬の八百長告発会見後からは裁判所が和解を断念。残念ながら、これらの事実も決定に影響を与えた可能性も否定できません」と無念さをにじませた。
元若ノ鵬は8月21日に協会を解雇されたが、宮田弁護士らの勧めで解雇の無効と地位保全を求めて提訴。しかしその後、週刊現代で八百長を告発して協会との対決姿勢を鮮明にしていた。宮田弁護士は裁判所が下した判断の根拠について「裁判所は、力士は相撲道の実践者という側面があり、若ノ鵬の大麻所持は重大な非違行為であることから、解雇処分は重すぎることはなく、解雇のらん用にはならないと判断した」と発表した。
元若ノ鵬は現在、興行ビザで日本に滞在している。しかし、3カ月以上力士としての活動がない場合はそれが取り消される。宮田弁護士は今後の対応について「本人は落胆している。今後の手続きについては検討中」と態度を保留したが、早ければ11月中にも国外退去命令を受ける可能性もある。法務省の入国管理局の担当者は「8月21日に解雇されたのであれば、常識的に考えれば11月中には滞在許可が取り消される。1、2週間の帰国準備は認められても、それを過ぎると強制退去となる」と説明する。
再来日の場合、刑事罰を受けていると再入国を拒否される。元若ノ鵬は起訴猶予となったため再来日は可能だが、東京地裁が仮処分申請を却下したことで本訴での敗訴も確実。このまま裁判を続けるかどうかは微妙な見通しだ。
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