独立行政法人国立病院機構「佐賀病院」(佐賀市、島正義院長)は10日、リスクの高い妊娠に対応できる「総合周産期母子医療センター」を備えた新病棟の建設工事を始めた。来年12月完成予定。全国では佐賀、山形両県だけに同センターがなかったが、佐賀ではようやく「空白」が解消されることになった。
■高リスク妊娠に対応 新病棟2階に 国基準の2倍態勢
周産期は妊娠22週から出生後7日未満を指す。東京都で8つの病院に受け入れを断られた後、周産期の妊婦が死亡したことから、周産期医療体制の充実が社会問題化している。
総合周産期母子医療センターは、妊娠後期の母親と胎児、新生児を総合的に診療する拠点施設で、国は都道府県に原則、最低1カ所の整備を求めている。
佐賀病院は1970年に建設した病棟が老朽化したため、総事業費約30億円で敷地内の駐車場に新病棟を建設し、同センターも併設することにした。新病棟は6階建て、延べ床面積約1万2150平方メートル。現在の病棟は一部解体する。センターは新病棟の2階に入居。未熟児や重病新生児を治療する新生児集中治療室(NICU)の病床を12床、高度の妊娠治療ができる母体・胎児集中治療管理室(MFICU)は6床を整備する。同センターは国基準では、医療圏人口100万人以下の場合、NICU6床、MFICU3床を満たせば、都道府県が施設を指定できる。佐賀病院は「受け入れ拒否が生じる事態を避けたい」と、基準の2倍の態勢を敷く。
佐賀病院はNICUは9床あるがMFICUがなく、基準を満たさなかった。同病院の白石順一管理課長は「今でも合併症の妊婦は佐賀大付属属病院、外科手術が必要な新生児は県立病院に送る役割分担を実施し、センターに匹敵するシステムは構築している。そこにセンターができれば、県内の周産期医療体制が完成すると言えるのではないか」と話している。
=2008/11/11付 西日本新聞朝刊=