新型インフルエンザの流行は海外で始まる可能性がある。海外に進出している日本企業は2500社近い。渡航者は年間1500万人を超える。
新型インフルエンザがヒトからヒトへ感染する可能性が高まった際、外務省は「定期便が運航しているうちに速やかに出国を」と呼び掛ける。定期便が運航しない場合はチャーター機利用を検討する。だが、チャーター機は現地政府が世界保健機関の勧告に従い、出国禁止にする恐れがある。日中韓の担当相が今月2日に署名した「共同行動計画」でも「情報共有の強化を図る」としたが、邦人の出国についての記載はない。
さらに、日本と同水準の医療が受けられないかもしれない。タミフルなど抗インフルエンザ薬についても、途上国など入手が難しい国もある。また、国内で入手する場合、医師の診察を受け、インフルエンザ患者と診断されなければならない。海外勤務健康管理センター(横浜市)は「長期滞在者に限って、患者ではなくても抗インフルエンザ薬を持参できる措置を取ってはどうか」と提言する。
新型のもととなる強毒性鳥インフルエンザウイルスが、ヒトに感染した国や地域は、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku‐kansenshou02/pdf/03.pdf)で分かる。厚労省は「自宅の庭で家(か)禽(きん)類を飼っているような地域に近づかず、帰国後に健康状態が不安なら保健所に相談してほしい」としている。外務省も「感染時の治療や現地の医療事情は在外公館で把握している」と説明。自分の身は自ら守ることも大切だ。【関東晋慈】
毎日新聞 2008年11月11日 東京朝刊
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