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【集う】映画「BOY A」シンポジウム(6日、東京都渋谷区の青山学院大学総研ビル)
少年事件が起こるたびに加害少年の人権が取りざたされるが、英映画「BOY A」(15日公開)は少年時代に殺人事件に関与した青年が社会復帰してから直面する問題を描いている。一般試写後に開かれたシンポジウムには少年犯罪の専門家らが出席した。
「子供の犯罪や虐待の映画を見るのはつらい」。弁護士の坪井節子さんは、親から虐待を受けている子供らに緊急避難場所を提供する「カリヨン子どもの家」などを運営する団体の理事長を務めている。「少年院を出てから居場所がない子供は現実にいる。映画の主人公に共感した」
青年は名前を変え、友人や恋人もでき就職も決まる。「被害者と司法を考える会」代表の片山従有(ただあり)さんは、青年の保護観察官が犯した罪などの「過去」について就職先などに口外するなとアドバイスすることに「私はきちんと話した方がいいと(加害少年に)話している」と反論。一方で坪井さんは「話したくないことは話さなくていい。定職に就くことがどんなに大変なことか」と訴え、「過去」との向き合い方の難しさを浮き彫りにした。
映画では、青年が順調に人生の再スタートを切ったと思われた矢先、隠していた過去が明らかになり、つかみかけていた幸せが離れていく。日本スクールソーシャルワーク協会長の山下英三郎さんは「被害者遺族の描写がないという指摘もあるが、加害者も被害体験を持っている。映画には被害を受けることが加害につながるというサイクルが描かれている」と指摘する。
これまで3000人以上の非行少年と会ってきた家庭裁判所調査官の伊藤由紀夫さんは、「来年5月には裁判員制度も始まり、さらに少年事件の扱いについての議論が活発になるだろう」と語り、こうも付け加えた。「少年が更生するうえで、大人の社会も、何ができるのかということを真剣に考えるべきではないでしょうか」(伊藤徳裕)
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