“フランスの古典文学”meets“ジャパニメーション”
文豪:アレクサンドル・デュマの名作「モンテ・クリスト伯」が「アニマトリックス」「青の6号」の前田真宏監督によりこの秋、連続TVアニメーションとしてよみがえる!
巌窟王
ILLUSTRATED BY MAHIRO MAEDA & YASUFUMI SOEJIMA
巌窟王
21世紀となった現在も『三銃士』『王妃マルゴー』など数多くの作品が世界中で愛されているフランスの大文豪アレクサンドル・デュマ。彼の代表作で、日本では『巌窟王』の名で親しまれている『モンテ・クリスト伯』が、10月よりTVアニメーションとなって蘇る!
このアニメーション作品では、舞台を幻想未来のパリに設定。パリでのロケーションハンティングをもとに3DCGIの未来都市を制作。またキャラクターの服飾には、最新のディジタル技術を用いて2Dテクスチャリングを行い、これまでにない豪華絢爛な映像世界を実現している。
また、物語を原作の伯爵の復讐一代記から、復讐の生贄となる15歳の少年に目線を一転させることで、原作にとどまらないイノセントでドラマティックな展開となっている。まさに、本格的エンタティメント作品として大人が楽しめる連続TVアニメ小説といえる。
指揮をとるのは、「青の6号」で鮮烈なデビューを飾り、「アニマトリックス」(「マトリクス」のアニメ版)でウォシャウスキー兄弟にその腕を認められ、次世代を担うクリエイターとして世界から注目されている前田真宏監督。制作は、「LASTEXILE」「戦闘妖精雪風」「SAMURAI7」等を手がけるディジタルスタジオ・GONZOが担当。
古典文学と最新デジタル表現によるジャパニメーションの融合、一見相反しそうな二つの要素が、化学反応を起こし、今までに見たことのない絢爛豪華な映像世界が我々の眼前に繰り広げられる!
待て!しかして希望せよ!


放送情報 テレビ朝日にて 毎週火曜日26:12〜絶賛放送中
11月2日よりアニマックス 毎週火曜日23:00〜放送開始
再放送:毎週火曜日28:00〜/毎週水曜日14:30〜
DVD情報 『巌窟王』DVD第1巻 2005年2月25日(金)発売 NOVEL情報
【第1巻/初回限定仕様特典】
■スペシャル映像特典ディスク付き 
■前田監督描き下ろしリバーシブルジャケット 
■特製ブックレット        
■オリジナルポストカード
【全巻共通特典】
主要キャストによる見所コメント映像収録
価格 :5,880円(税込)
発売・販売 :メディアファクトリー >>>詳しくはこちら
CD情報 オリジナル・サウンドトラック 2005年2月23日(水)発売 NOVEL情報
音楽を担当したジャン・ジャック・バーネルが手がけたオープニング&エンディング曲やインスト、そして本編内で使用されているさまざまなクラシック楽曲をサウンドデザイナー笠松広司がコラージュした究極のサントラCD一枚。
発売・販売:ビクターエンタテインメント
NOVEL情報 ノベライズ版「巌窟王(一)」<MF文庫J> 
2004年12月25日発売 ¥609円(税込)
NOVEL情報
著: 神山修一
イラスト: 松原秀典ほか
原作: アレクサンドル・デュマ
企画原案: 前田真宏

不滅の名作を新機軸で描く新世紀ピカレスクロマン、TVアニメーション
「巌窟王」のシリーズ構成・脚本担当の著者が自ら描く愛憎ドラマ。

発売・販売 :メディアファクトリー
更新情報 作品情報<原作紹介>情報追加しました。(10/22)
前田監督お薦め本情報追加しました。(10/22)
編集者コメント追加しました。(10/22)
ダヴィンチ(10月6日売り号)にて、『巌窟王』特集記事カラーページ見開き掲載。


作品紹介 監督インタビュー 前田監督お薦め本 WEBノベル 編集者コメント LINK

あらすじ
15歳の春。
僕がはじめて憧れた人は、復讐鬼だった。


パリの貴族の家に生まれたアルベールは、
退屈な日常を脱するために、親友のフランツと旅に出た。
月面都市ルナで、出会ったのは、モンテ・クリスト伯爵という大富豪。
傍らには絶世の美女、後ろには屈強な部下を従え、
ルナ一番の高級ホテルで優雅に暮らすその姿。
伯爵のミステリアスな魅力にすっかり心酔したアルベールは、
伯爵をパリの社交界へ迎え入れる。
しかし、アルベールはまだ知らない。
伯爵の真の目的は、その昔、自分に無実の罪を着せ、
フィアンセを奪ったアルベールの父と、フィアンセであった母への復讐であることを。
そして、その間に生まれた自分自身も、復讐の標的であるということを―――。
 
スタッフ
企画原案・キャラクター原案・監督 前田真宏
原作 アレクサンドル・デュマ著「モンテ・クリスト伯」
シリーズ構成・脚本 神山修一
キャラクターデザイン 松原秀典
美術監督 佐々木洋、竹田悠介
ディジタルディレクター ソエジマヤスフミ
撮影監督 荻原猛夫
音響監督 鶴岡陽太
アニメーション制作 GONZO
脚本 高橋ナツコ、山下友弘
友情デザイン 小林 誠
色彩設計 村田恵里子
スペシャル3DCGIアニメーター 鈴木 朗
編集 重村建吾
音楽 ジャン・ジャック・バーネル(The Stranglers)
 
原作紹介
 明治20〜30年代には海外の小説の翻案が流行しアレクサンドル・デュマ(1802〜1870)の『モンテ・クリスト伯』も黒岩涙香の手によって地名が日本に置き換えられ『巌窟王』として紹介された。
  原作では、物語の幕開けは1815年のマルセイユ。将来を嘱望される19歳の若き船長候補エドモン・ダンテスは、同僚ダングラールと恋敵フェルナンの陰謀により、ボナパルト派のスパイだと密告され、メルセデスとの婚約披露宴の席で逮捕される。担当にあたった判事代理のヴィルフォールも、ダンテスが持っていた問題の手紙が、自分の父あてであったことを知り、保身のためにダンテスを政治犯の牢獄、イフ城に送り込む。失意の中、隣の牢にいたファリア司祭から事実を聞かされたダンテスは復讐を心に誓い、ついに14年後に脱獄に成功する。司祭の遺言に従い、モンテ・クリスト島に埋蔵された財宝を手にしたダンテスは、モンテ・クリスト伯爵として緻密な計画のもとに、彼を陥れた者たちに次々と復讐を果たしていく。パリの社交界に現れた、この洗練された紳士があのダンテスだと知らされるのは、彼らが破滅するその瞬間だった。ギリシャ神話や聖書、モリエールにシェイクスピアなど、劇作家として出発したデュマが、その教養を惜しげもなくつぎ込み、当時の犯罪実録とミックスした一大絵巻。
取材・文/矢吹 武
 
キャラクター紹介
アルベール 次期大統領の座を狙う将軍フェルナンと、社交界の華と謳われるメルセデスの間に生まれ、何不自由なく育てられてきた少年。月面都市ルナでモンテ・クリスト伯爵と出会い、その優雅なアウトローぶりに惹かれ、虜になっていく。
深宇宙より凱旋した謎の大富豪。アルベールの紹介でパリの社交界にデビューするやいなや、その魅力的なルックスと機知に富んだ会話で、一躍時代の寵児となる。しかしその正体は、過去、自分を裏切った仲間に対して復讐を誓う冷徹な復讐鬼。 モンテ・クリスト伯爵
フランツ アルベールの親友。アルベールの思いつきやきまぐれに振り回されながらも、いつも面倒をみている利発でスマートな少年。アルベールが次第に伯爵にのめり込んでいく様子に不安を覚え、再三注意を促す。
アルベールの父。宇宙軍の将軍。英雄として宇宙に名を知られる軍人で、その人気ぶりが後押しし、次期大統領選挙の出馬準備に追われている。 フェルナン
メルセデス アルベールの母。その美貌と教養で、社交界の華として謳われている。家では良き妻・良き母として家族のことを支えている。
アルベールのフィアンセ。パリ有数の銀行家ダングラール家の一人娘。幼馴染として育ったアルベールにはいつも憎まれ口をたたいている。明るく社交的な性格でピアノが得意。将来はピアニストになる夢を強く持っている。 ユージェニー
 
 
top

監督インタビュー
――なぜこの21世紀に『巌窟王』をアニメ化したのでしょうか。
「実は昔からアニメ化したいと思っていたSF小説があって、今ならその世界を映像化できるという自信もついてきた。いざ、権利関係を調べ始めたところ、実写映画化する計画なども出ているらしく、残念ながら現時点では諦めざるを得なかったんです。
 それはアルフレッド・ベスターが半世紀近く前に発表した『虎よ!虎よ!』だったんですが、この作品は『モンテ・クリスト伯』を元に舞台を宇宙に移したSFなので、だったら、僕自身が『モンテ・クリスト伯』をSFとして作り直してしまおう、と思ったんです。」
 
――アニメ化するにあたって留意した点は何ですか?
 やはり、原作のテーマである“復讐”という行為自体からは目をそらさないように気をつけました。エドモン・ダンテスは、ありあまる財力を用い五年間も復讐に専心するある種のパラノイアともいえる存在。僕らが日常では持ち得ない覚悟をもったエドモン・ダンテスは、僕自身とは全く逆で、そこに魅力を感じます。伯爵は復讐という行為を、モラルとしては決して認められない行為だと理解しつつも、己の意思を貫くためにおこなう、ダークヒーローなのだからこそ、復讐というテーマから、外れないようにしました。
 
――世界観を作るときに苦労した事はありますか?
 一番は“価値”についてですね。『巌窟王』のようにテクノロジーが進んだ遠未来では一体何に価値をおくのか? 金はともかく、ダイヤモンドなんて宇宙のあちこちにあるもので、価値なんてない。最新テクノロジーに使われるシリコンなんて宇宙にはそれこそ腐るほど存在する。テクノロジーが進めば進むほど骨董品や天然素材になっていくのではと思います。だから貴族は車には乗らず、馬車に乗る。不便だけどスタイリッシュなものに魅かれるパリを描きました。全体が『欲望』を巡る物語なので“価値”というのは重要なポイントです。
 テクノロジーという点では「通信」の扱いが苦しかったですね。電話一本いれれば済んでしまうことが多いんですよ。原作ストーリーでは、電話がないから成り立っているところもある。だから、貴族は電話なんて野暮なものは使わないということで、電話は登場しません。それは、どんな高度なプロテクトをかけても、通信は必ず傍受されるほど、進んだテクノロジー世界という前提があってのことです。ですから、彼ら貴族は、最も信頼性のある通信手段として手紙をつかっています。
 
――原作の世界観でこれははずせないと思ったのはなんですか?
「原作の地理的な広がりはそのまま使いたいというのはありましたね。『モンテ・クリスト伯』では、パリを中心とした同心円状に文化―野蛮のグラデーションが描かれていて、パリから離れれば離れるほど野蛮に描かれている。パリは自由と人権を尊重する土地であり、文化の先進地。イタリアは素敵な土地ではあるけれど、もう過去の帝国であるっていうイメージ。さらに離れて地中海、モロッコとなると、海賊、奴隷商までもがいる。
 アニメでは、母なる地球のパリに住んでいる人は特権階級で爛熟した文化を謳歌している人々です。月を含む地球圏が原作でいうイタリアで、太陽系の中が地中海。その外が、オスマントルコで、帝国と呼ばれる敵対する国が存在します。
 壮大な世界ではあるんですが、お話し自体はパリにフォーカスされていて、他国との戦争が表立って描かれることはあまりありません。宇宙のどこかで戦争が行われているにも関わらず、豪華絢爛なパリで恋に悩むアルベール、っていう落差は僕たちの現実と変わらないですよね」
 
――原作では、船旅から帰ったダンテスが恋敵の陰謀によって、婚約披露宴の席で突然逮捕される場面から始ますが、かなり大胆な組み替えをしたのはなぜでしょうか。
「大人たちの世界が、逃れられない過去に向かって収斂していくのと対照的に、子供たちの世界は未来に向かって広がっていく。今、復讐劇に取り組むことの意義と難しさについて僕なりに考えたことは、できるだけ違った視点から見てみることだったんです。デュマ自身が19世紀のパリという世界の中心にいながら、黒人の親類を持ち『境界』を生きる人間だった。そうしたマージナルな視点から見える世界の複雑さに、この『巌窟王』で迫れればと思います。
top



 少年時代からSFが好きだったという前田真宏監督。『厳窟王』のきっかけとなったベスターの『虎よ、虎よ!』は後にワイドスクリーン・バロックと呼ばれるムーヴメントの源流であり、もう一つの代表作『分解された男』と並んでサイバーパンクの先駆的存在。『虎よ、虎よ!』の主人公の身体の刺青のように、そのグラフィックが見る者を魅了する「漢字」の世界に入り込むのに最適なガイドが日本の誇る漢字博士・白川静の『漢字百話』だ。もう1冊、『飛ぶ教室』で有名なケストナーの『エーミールと探偵たち』は、一見とぼけた語り口ながら、父親のいない主人公エーミールが盗られたお金をめぐって、少年たちが団結し知恵を絞る物語。監督の弱者の痛みへの共感、そして希望をユーモアでくるんで語る姿勢が響き合っている。
yokosato yokosato
『エーミールと探偵たち』エーリヒ・ケストナー/著 池田香代子/訳 岩波少年文庫 672円
『漢字百話』白川 静/著 中公文庫BIBLIO 白川 静 940円、
取材・文/矢吹 武
top
MF文庫Jから好評発売中のノベライズ版「巌窟王(一)」

第一幕 ドライブと草の上の朝食

  遠く深い宇宙の暗がりから、巨大な船が現れた。
  この周辺では見かけない魁偉なシルエットが、太陽系へと近づいて来る。
  静かで悪意に満ちた星の海を越え、さまざまな恒星の輝きに灼かれた船体には、心臓と字架の紋章。
  行き会わせた輸送船や鉱物採掘船の船乗りたちは、畏怖を持ってその船をむかえ、見送った。
  外宇宙交易船――。
  遙かな時間と空間を越えてやってきた、異界の客だ。
  やがて船は静かにルビコン・ラインを越えた。
  そこから先は人間の領域。
  栄えある王都パリを中心として繁栄を極める人々の暮らしがある。
  続きを読む>>
top
ダ・ヴィンチ編集部 編集長:横里隆 yokosato
現代のアニメーションでカバーする試みは意義深く且つ、面白い。

原作が持っているメッセージ性は、大切に残しつつ、表現手法、キャラクター設定などは物凄く格好よくなっている。古典に慣れ親しむ習慣のない子供も大人も必ず引き込まれることだろう。
200年近く残り続ける物語の中には必ず普遍の魅力があるはず。それを現代のアニメーションでカバーする試みは意義深く且つ、面白い。
普段アニメーションを見ていない人にこそ見てほしい。
 
ダヴィンチ編集部 巌窟王ページ担当:宮坂琢磨 miyasaka

最新技術と古典の奇跡的融合!(次回を)待て。しかして希望せよ!

 テクスチャが貼り付けられたキャラクターの服装や、幻想未来の月の都市を見るにつけ、CG技術がここまで進歩したのかと嘆息してしまう。サイバーパンク的未来観ではなく、中世ヨーロッパの美意識と融合した幻想未来の世界観は、不思議なエキゾチシズムがある。
  キャラクター一人一人の動きにも注目。モンテ・クリフト伯の、対峙した人間を威圧するビシッとした身のこなし、アルベールの自身なさげな歩き方など、単に動きのいい、リアルなだけのアニメではなく、部分部分でデフォルメされた格好いい動きがすばらしい。
  序盤のストーリーの肝は、モンテ・クリフト伯に段々と魅かれるアルベールであるが、その裏で、アルベールを見つめるフランツの、ほのかに妖しい視線に、妄想がドンドン膨らんでいく。今後の展開に要注目。

 
top
LINK
巌窟王OFFICIAL BLOG
MovieWalker『巌窟王』特設ページ   オフィシャルサイトはこちら   巌窟王オフィシャルブログ
top