「患者にも資格が必要」 モンスターに批判次々 |
| 治療に当たってらっしゃるみなさんは、資格を得た方ばかりだと思います。治療を“受けたいから”入院してるはずなので、治療をしてもらえる資格(人格的なもの)が必要だと思います」 モンスター患者≠ノ手を焼く医療現場を取り上げた記事に、匿名の読者からメールが届いた。 暴力をふるったり過剰な要求を突き付けたりする患者には、治療を受ける資格がないと言いたいのだろう。 ほかの読者からも、患者批判が続いた。 「私は17年目のナースですが、先日びっくりするような家族がいました。回復期病棟にある患者さんがいて、脳梗塞が再発。救急病院に搬送したら『あんたが悪い、あんたがストレス与えたからまた脳梗塞になったんだ、あんたを解雇してもらうようにしてやる』と言われました」 「数年前、小児科病棟で入院していた時、近くの病室から父親が担当医を怒鳴る声が聞こえてきました。周りに小さな子供たちがいるにもかかわらず、延々と大声で」 * 一方、病院の医師らを相手に訴訟を起こした都立高校教員、杉野文栄さん(51)からは、窮状を訴えるメールが来た。 「いま、医療事故で被害を受けた家族、遺族は声を上げることができなくなっています」 9年前、杉野さんの三男の隼三ちゃん=当時(4)=は、盆踊り大会で転倒。くわえていた綿菓子の割りばしがのどに刺さり、病院で治療を受けたが帰宅後に容体が悪化、翌朝に死亡した。 「裁判は非常に厳しく、声を上げれば、『モンスターペイシエント』『クレーマー』と攻撃され、インターネットでは『あの家族はいくら賠償金を取れるかだけを考えている』などと、中傷に耐えなければなりませんでした」 業務上過失致死罪で在宅起訴された担当医に、東京地裁は無罪を言い渡した。民事訴訟も同地裁で棄却された。 「お送りしたメールが紹介されると、また中傷を受けるのではないかという恐怖もあります。私たちをモンスター、クレーマーとすることで医療が患者を大切にするものになるのか、寒々とした思いにかられます」 * 医師と患者が向き合えない実情を描いた連載「医療漂流 孤立する患者たち」に、読者から多くの感想が寄せられた。批判、賛同、問題提起…。さまざまな声に耳を傾けた。 この連載に対する感想やご自身の体験を「医療漂流」取材班にお寄せください。ファクスは03(6252)8761、電子メールはhyoryu@kyodonews.jp (2008/10/21) +FONT> |