最終更新: 2008/11/10 13:51

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イギリスにある本ではなく人間を貸し出す「人間図書館」を取材しました。

本ではなく、人を貸し出す「人間図書館」がイギリスなどにあります。
ここでは、人生経験の豊富な人たちから直接話を聞くことができます。
舘石昌宏記者の取材です。

イギリス南東の町・ノーリッチの図書館で貸し出されるのは、本ではなく人。
ここは「リビング・ライブラリー(人間図書館)」で、背中に「Book」の文字が入ったシャツを着ている人々が、さまざまな経験を読者に話す。
本になるのは、「うつ病」や「性転換」などを経験した人々で、取材日には、およそ30人が本としてそろった。
全員がボランティアで、料金は無料。
読者は、リストの中から好きなタイトルを選び、図書館のスタッフが本を読者のもとに案内する。
持ち時間は30分。
ある男性は、「統合失調症」を本のタイトルにして、自らの体験を話していた。
男性は「統合失調症には2つの人間性があり、攻撃的な面があって、そうでないときも攻撃的だと思っている人がいる」と語った。
また、ある女性のタイトルは「摂食障害」で、「職場の同僚が摂食障害からの回復に協力してくれたの」と語った。
話を聞いた少年は「いいアイデアだと思う。みんな一度読みに来るといいよ」と語った。
この人間図書館は、本になった人たちにとって、自分について話し、理解してもらうチャンスでもある。
「性転換」のタイトルの人は、「自分たちも普通の人間で、奇異な目で見られる存在じゃないことを伝えたい」と語った。
また、「80代の詩人」とタイトルをつけたジーン・クラークさん(82)が、2人の少年に熱心に語りかけていた。
クラークさんは「このイベントは、後ろめたいことについて話すもの。精神治療ではないの。わたしは、学生の相談役になるために、臨床心理士になりました。自分の日記を詩で書くのが簡単だと思ったの」と語った。
臨床心理士で、30年ほど前から詩を書き続けているクラークさんは、主催者の呼びかけで、このイベントに参加した。
クラークさんは「わたしも年を取ることや、詩人であることについて、自分自身の内面を探ることができたの」と語った。
人間図書館は、読者が本に感想や意見を伝えたり、自分の悩みまで相談することができる。
今では世界20カ国以上に広がっている。

(11/10 12:49)


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