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砂場遊びで重体、鬼ごっこで転落死…”あり得ない悲劇”はなぜ起きた?
2008年11月10日10時50分 / 提供:Techinsight Japan
信じられないことが起きた。今月8日、栃木県宇都宮市で中学2年の男子生徒が砂場の中で倒れているのが見つかった。男子生徒は意識不明の重体。その原因は、砂場に潜って首の下まで砂をかける「砂風呂遊び」が行き過ぎたことだという…。このほかにも、今月4日には神奈川県川崎市の中学校で、授業中に教室内で鬼ごっこをしていた中学1年の男子生徒が飛び乗った机上でバランスを崩し、窓から転落して死亡するなど、「冗談では済まされない」という事件・事故が相次いでいる。いったい、今の子ども達を取り巻く環境はどうなっているのか。
冒頭に挙げた「アリエナイ事件・事故」は、ほんの一例にすぎない。ほかにも、千葉県船橋市では先月17日、小学6年の男子児童が給食のパンをのどに詰まらせて窒息死した。これも、パンの早食い競争が行き過ぎた末の惨劇だった。
また、大阪府大阪市では先月18日、中学3年の女子生徒が軽ワゴン車を自己流で運転し、ひき逃げ事件を起こした。神奈川県綾瀬市では今月1日、中高生3人がライター用のガスを不適切な目的で使用した上、引火し爆発。3人は重軽傷を負った。
いずれもため息が出るような事件・事故ばかりだが、共通するのは子ども達の「常識の欠如」である。
「砂風呂中2重体事故」では、首から下が砂場の中に埋まった状態で、そこから這い出ていくというゲームをしていて、その際に砂を飲んで呼吸困難になったことが事故の原因とされている(下野新聞・9日付記事などによる)。
一見すると楽しそうなゲームだが、いち早く抜け出た人が、まだ砂場の中にいる人に砂をかけて邪魔をする、というルールがあったようで、今回重体になった生徒は最後の一人だったというから、拷問に近い状態の試練が課されていたことが想像できる。
そして、川崎の転落事故では、市の教育委員会が「学校の管理下で大変な事故を起こしてしまった」として謝罪会見を行った(東京新聞・5日付記事による)。転落を防げなかったのは学校の教員がきちんと見ていなかったことが原因ということなのか。それとも、窓際で机に飛び乗ったりしてふざけていると大変な事故になるよ、と教えていなかったところに過失がある、ということなのか。
確かに授業中に鬼ごっこをさせていた時点で、担当教師の資質は問われるだろう。プリント配布に気を取られていて転落に気づかなかったというのも、生徒を見ていないという点で問題だ。
しかし、生徒側に落ち度はないのか。自分の身を守るという本能的な危険回避能力が低下しているし、「授業中に鬼ごっこ」「机の上に飛び乗る」などは「常識の欠如」以外の何者でもない。
では、この「常識の欠如」が目立つようになってきたのはなぜか。その答えのひとつは、公園の変化にあった…。
近年、公園からシーソーやジャングルジムが急速に姿を消しつつある。その理由として、公園を管理する地方自治体は口を揃えて「老朽化」を挙げる。しかし、老朽化ならば新しいものに替えれば良いのではないか。
実は、その背景にあるのは「モンスターペアレント」の存在だ。老朽化した遊具で事故が起きるなどのクレームに加えて、「うちの子がジャングルジムから落ちてケガをした。治療費を払え」などの苦情まで寄せられるので、「文句を言われてまで、金をかけてまで遊具を新調するくらいなら、いっそ撤去を」という判断になるのだという。
こうした親は、わが子に遊び方を教えないばかりか、自分の手で過剰に守ろうとしてしまうため、当の子どもは痛い思いをせずに大きくなってしまう。ましてこのご時世、こうして遊具の消え失せた公園で、子ども達ができる遊びは限られてくる。
さらに、近年は防犯上の問題もあって、親が管理できない場合、子どもを外で遊ばせるのが不安ということで、そもそも外遊びをさせない親も多い。また、家庭用ゲーム機器の普及もあって、室内遊びを選択する子どもが増えている。中には公園のベンチに小学生の集団が座ってDSに興じている…などという光景も見られる。
だから、学校の中で体を動かす遊びをした時に、力の加減や限度を知らずに、今回挙げたような事件・事故を起こしてしまうのだ。
それに対して、行政は「安全対策」を声高に掲げる。それは必要でこそあるが、問題の根本的な解決にはつながらない。何か問題が起きると、その「手段」を取り上げることばかりに目が行きがちだ。ナイフの所持禁止、携帯電話の制限…もし鉛筆で突っつくなどの事故が多発したら、鉛筆禁止令が出るのか。肝腎なのは「使い方」を教えていないことなのだ。
どんな人でも、子どもの頃に一度は「いたずら」をして、親からこっぴどく叱られた経験があるだろう。また、調子に乗りすぎて痛い目にあったり、転んで擦り傷を作ったり…そうした経験によって、人は成長する。それは学校の授業で教わることではない。
(編集部 鈴木亮介)
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冒頭に挙げた「アリエナイ事件・事故」は、ほんの一例にすぎない。ほかにも、千葉県船橋市では先月17日、小学6年の男子児童が給食のパンをのどに詰まらせて窒息死した。これも、パンの早食い競争が行き過ぎた末の惨劇だった。
また、大阪府大阪市では先月18日、中学3年の女子生徒が軽ワゴン車を自己流で運転し、ひき逃げ事件を起こした。神奈川県綾瀬市では今月1日、中高生3人がライター用のガスを不適切な目的で使用した上、引火し爆発。3人は重軽傷を負った。
いずれもため息が出るような事件・事故ばかりだが、共通するのは子ども達の「常識の欠如」である。
「砂風呂中2重体事故」では、首から下が砂場の中に埋まった状態で、そこから這い出ていくというゲームをしていて、その際に砂を飲んで呼吸困難になったことが事故の原因とされている(下野新聞・9日付記事などによる)。
一見すると楽しそうなゲームだが、いち早く抜け出た人が、まだ砂場の中にいる人に砂をかけて邪魔をする、というルールがあったようで、今回重体になった生徒は最後の一人だったというから、拷問に近い状態の試練が課されていたことが想像できる。
そして、川崎の転落事故では、市の教育委員会が「学校の管理下で大変な事故を起こしてしまった」として謝罪会見を行った(東京新聞・5日付記事による)。転落を防げなかったのは学校の教員がきちんと見ていなかったことが原因ということなのか。それとも、窓際で机に飛び乗ったりしてふざけていると大変な事故になるよ、と教えていなかったところに過失がある、ということなのか。
確かに授業中に鬼ごっこをさせていた時点で、担当教師の資質は問われるだろう。プリント配布に気を取られていて転落に気づかなかったというのも、生徒を見ていないという点で問題だ。
しかし、生徒側に落ち度はないのか。自分の身を守るという本能的な危険回避能力が低下しているし、「授業中に鬼ごっこ」「机の上に飛び乗る」などは「常識の欠如」以外の何者でもない。
では、この「常識の欠如」が目立つようになってきたのはなぜか。その答えのひとつは、公園の変化にあった…。
近年、公園からシーソーやジャングルジムが急速に姿を消しつつある。その理由として、公園を管理する地方自治体は口を揃えて「老朽化」を挙げる。しかし、老朽化ならば新しいものに替えれば良いのではないか。
実は、その背景にあるのは「モンスターペアレント」の存在だ。老朽化した遊具で事故が起きるなどのクレームに加えて、「うちの子がジャングルジムから落ちてケガをした。治療費を払え」などの苦情まで寄せられるので、「文句を言われてまで、金をかけてまで遊具を新調するくらいなら、いっそ撤去を」という判断になるのだという。
こうした親は、わが子に遊び方を教えないばかりか、自分の手で過剰に守ろうとしてしまうため、当の子どもは痛い思いをせずに大きくなってしまう。ましてこのご時世、こうして遊具の消え失せた公園で、子ども達ができる遊びは限られてくる。
さらに、近年は防犯上の問題もあって、親が管理できない場合、子どもを外で遊ばせるのが不安ということで、そもそも外遊びをさせない親も多い。また、家庭用ゲーム機器の普及もあって、室内遊びを選択する子どもが増えている。中には公園のベンチに小学生の集団が座ってDSに興じている…などという光景も見られる。
だから、学校の中で体を動かす遊びをした時に、力の加減や限度を知らずに、今回挙げたような事件・事故を起こしてしまうのだ。
それに対して、行政は「安全対策」を声高に掲げる。それは必要でこそあるが、問題の根本的な解決にはつながらない。何か問題が起きると、その「手段」を取り上げることばかりに目が行きがちだ。ナイフの所持禁止、携帯電話の制限…もし鉛筆で突っつくなどの事故が多発したら、鉛筆禁止令が出るのか。肝腎なのは「使い方」を教えていないことなのだ。
どんな人でも、子どもの頃に一度は「いたずら」をして、親からこっぴどく叱られた経験があるだろう。また、調子に乗りすぎて痛い目にあったり、転んで擦り傷を作ったり…そうした経験によって、人は成長する。それは学校の授業で教わることではない。
(編集部 鈴木亮介)
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