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甲子園だより

8月5日

カンダです。今年の夏もヨロシク


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 こんにちは。

 今年もこうして、ここにコラムを毎日連載することになりました。これから大会終了まで、よろしくお願いします。

 昨夏から今夏にかけて、野球界を巡ってさまざまな動きがありました。プロ野球再編と新規球団の参入、五輪種目からの除外、巨人戦のテレビ視聴率の低下……。野球というスポーツにはアゲインストの風が吹いているようです。

 その中で私は今年、戦後60回目の8月15日の夏における野球を見つめたいと考えています。

 きっかけはいま発売中の「週刊朝日増刊 2005 甲子園」で、野球が出てくるDVD映画作品を紹介したことです。そこで何本もの作品を見ていて、「戦争と野球」というテーマがどこの国の映画でも出てくることに驚きました。邦画なら「瀬戸内少年野球団」「ダイナマイトどんどん」、アメリカなら「プリティ・リーグ」、韓国だって「爆烈野球団!」という傑作があります。

 恐らく戦中・戦後を通じて庶民の娯楽は野球しかなかったのだと思います。野球が「庶民のど真ん中」にあって、それにみんなが平和を仮託した時代が存在したのです。

 ふり返ってみれば、我々の人生にも「野球が真ん中にあった時代」はありませんでしたか?

 野球部に入って丸刈りになってきた同級生をからかったり、暑い地方球場に応援にかり出されてブーブー不平を言ってたくせに、コールド負けに肩を落として帰ったり。元女の子の女性なら、野球部のエース君と四番君の噂話は絶対、したはずです。

 「昔はよく見たけれど、今はもう全然高校野球は見ないなあ」という元・少年少女たちに申し上げます。今の高校生たちも当時のあなたたちと一緒です。応援に来ているアルプスで無邪気にはしゃいで、10対0の1安打で負けてカスリもしなかったのに「悔しい」と泣く選手がいて、それを見て「かわいそー」と泣く女の子がいます。私は10年以上になる甲子園取材を「18歳の定点観測」と呼んでいますが、今の子どもも私たちの時代と同じです。

 彼らは「戦後60年の夏」なんて意識しないでしょう。しなくていい。

 「高校野球なんて、昔は見たけれど今は見ないよ」という元・少年少女のみなさん。昼休みのランチで入ったラーメン屋で冷やし中華をすすっていて、ふと見上げた先のテレビに高校野球が写っていたら、縁もゆかりもない学校でも、その一打席は見てあげてください。ブラウン管に映っている選手はン年前、ン10年前のあなたたちと同じ少年ですよ。その彼らの空振り、ボールのひとつひとつが平和の証です。選手の一挙手一投足を見つめることが、私たちの「戦後60年」の平和を噛みしめることにつながるのです。

 野球がマイナースポーツだって? だからどうした。視聴率が低い? 私には関係ない。誰も私から野球を取り上げること出来ない。社会全体が不安定な今だからこそ、私はこの夏のど真ん中に野球を置く。

「甲子園だより」著者紹介

神田憲行(かんだ・のりゆき)

1963年、大阪生まれ、ノンフィクション・ライター。大会終了後に発売され る完全保存版「2005甲子園Heroes(ヒーローズ)」(朝日新聞社刊) の取材のため、 期間中は甲子園通いの日々を過ごす。甲子園取材歴は10年を越 え、「実際に見た中で最高の投手は別格が松坂、二番が朝倉(東邦)、三番が平 井(宇和島東)」という。著書に『横浜vsPL学園』(共著、朝日文庫)など。

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