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半導体:行き詰る需要、突破口はどこへ?(上)

新規需要の開拓もなく、供給過剰が慢性化

専門家「構造調整しか残されていない」

「半導体景気の回復は予想以上に遅れている」(権五鉉〈クォン・オヒョン〉サムスン電子半導体総括社長)

「周期が崩壊した。(半導体景気が)すぐに持ち直すことはないだろう」(金鍾甲〈キム・ジョンガプ〉ハイニックス社長)

 世界のメモリー半導体業界では「ゲームのルール」が変わりつつあるのだろうか。1990年代から6年ごとに約1年の景気後退期がやってくる、という「6年周期説」をまさにその通り繰り返していた半導体業界。しかし今年はそれが予想通り進まない。昨年後半から始まった今回の不況期はすでに1年が過ぎたが、現時点では来年になっても回復する見通しが立たない状況だ。期待されていた業界再編どころか、世界的な景気不振も重なって、メモリー半導体業界がどん底から抜け出せずにいる。

◆供給過剰で巨額の赤字

 先月30日にハイニックスの金鍾甲(キム・ジョンガプ)社長が今年7―9月期の業績を発表した際、「投資家の皆さまに申し訳ない」と謝罪した。この日ハイニックスは、売上高1兆8390億ウォン(約1424億円)とほぼ同じ1兆6500億ウォン(約1280億円)の純損失を記録した。ハイニックスだけではない。米国のマイクロンはおよそ4465億ウォン(約338億円)、台湾のパワーチップが5900億ウォン(約446億円)、ナンヤが3449億ウォン(約261億円)など、サムスン電子を除くほぼすべてのメーカーが巨額の純損失を計上した。

 メモリー半導体業界の相次ぐ損失は異例のことだ。業界は1980年代から適切な競争と業界再編を繰り返しながら、「成長→好況→沈滞→不況」の周期を経てこれまでやってきた。成長・好況期には生産競争を展開し、沈滞・不況期には下位のメーカーが市場から脱落して定期的な収益と損失を繰り返してきた。

 しかし最近はこの構図が崩壊している。2004年に好況期を迎えてから4年目となる今年はともかく、来年になってもメモリー半導体業界では不況が続く見込みだ。最も大きな問題は、下位メーカーが撤退しようとしない点にある。2001年の不況当時は5社が事業を中断したことで不況を脱した。

 しかしこれまで生き残ってきた企業はそれなりの技術力と資金力を持ち合わせているため、簡単には撤退しようとしないのだ。例えば米国のマイクロン、ドイツのキモンダ(インフィニオンの子会社)、日本のエルピーダなどは今年も天文学的な赤字を記録したが、それぞれの国を代表する企業でもあることから、かなりの競争力を今も維持している。台湾系の企業も政府の支援の下で不況に耐え抜いている。

白承宰(ペク・スンジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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