9日は「119番の日」。1分1秒を争う救急搬送、限られた救急車台数による迅速な活動―。しかし、いまだ全国的に「寂しいから呼んだ」「駆け付けたら本人が平気そうに玄関の外で救急車を待っていた」など、緊急性の低い患者の利用が後を絶たない状況だ。こうした中、弘前地区消防事務組合では、救急車の適正利用の訴えと並行し、病気やけがをしないようにと、予防の観点からも呼び掛けている。
同事務組合は以前から救急車の適正利用を呼び掛けており、管内では2005年の6754件をピークに、06年が6511件(05年比243件減)、07年は6409件(同345件減)と減少傾向だ。しかし、現在も「タクシー代わり」のような利用も見られる。
管内の救急車両は2署と8分署に計10台を配備。そのうち、市内中心部に近い2署2分署には計4台が配備されており、同事務組合の藪谷育男消防本部警防課主幹兼救急救助係長は、「4台の出動が重なった時、その中にタクシー代わりのような利用があれば、ほかに119番通報があった際、到着に影響もあり得る」と懸念する。
同事務組合は年間300回行っている救急講習の場で、適正利用を呼び掛けると同時に、予防策として、持病のある人に「寒暖の差に気をつけて」小さい子供がいる家庭にはやけどを防ぐため「テーブルの上に熱い飲み物を置かない」などと注意を促している。
藪谷係長は「自分や家族の健康に気をつけることで、病気やけがを防ぎ、救急車が本当に必要な人のところに出動できる」と話し、「良い連鎖」を目指している。
一方、頭が痛い、胸が苦しいなどの症状を感じた場合はちゅうちょしないで119番を―と呼び掛けている。
9日から秋の全国火災予防運動が始まる。同事務組合では市民を対象に施設の見学会も行う。