サイエンス

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

子どもの風邪:受診の注意点は

 ◇平熱との差、1度未満なら家で様子見/鼻水、せき以外の症状も医師に伝えて

 肌寒くなり、子どもが風邪をひきやすい季節になった。熱っぽかったり、せきをした時に病院に連れて行くべきか、それとも家で様子を見るのか、迷うことがある。的確な判断につながるポイントを調べてみた。【大迫麻記子】

 「1週間前から微熱があり、市販の風邪薬を飲ませたが、せきと鼻水がひどくなったので来院しました」

 病院で、3歳の長女と診察を待っていた東京都大田区の野口美智子さん(39)。長女はせきをしているものの顔色はよく、診察室の椅子の上に乗ったり、本を読んだりしながら順番を待っている。「たいしたことないのに病院に来ると、もっとひどい風邪をうつされるかもしれないので、なるべく家で治したい。微熱だったので迷いました」という。

 ●大人より高め

 熱の有無は判断基準の一つだが、意外に保護者が見落としがちなのが子どもの平熱だ。日本小児科医会理事の神川晃医師は「幼児の平熱は大人より高め。37度を超えても問題ない場合も少なくない」と指摘する。具体的には平熱は35・8~37・4度。個人差があるうえ、1日の中でも朝起きた時は低く、午後に高くなる傾向がある。

 平熱は、起床時▽昼食前▽夕食前▽寝る前--の4回、口や脇の下など同じ場所で同じ体温計を使って測り、確認しておくといい。神川さんによると、平熱より1度以上高ければ発熱した状態なので病院へ。0・5度未満なら高くても心配なく、0・5~1度高い場合は、外出や入浴を控えて様子を見るのがいいという。

 ●よく観察して

 子どもは自分の症状がよく分からず、診察でうまく伝えられないことが多い。保護者のチェックが大事だ。元千葉県こども病院耳鼻咽喉(いんこう)科部長で千葉県立衛生短期大学の工藤典代教授は、保護者に気を付けてほしい症状として(1)鼻汁(2)たんのからんだせき(3)鼻づまり(4)嗅覚(きゅうかく)低下(5)頭重感・顔面痛--の5項目を挙げる。

 工藤さんが07~08年、耳鼻科医院に来た子ども84人の保護者に子どもの症状を聞いたところ、「せき」については全員がチェックしていたが、鼻汁は8・3%、鼻づまりは6%が「分からない」と回答した。嗅覚低下と頭重感・顔面痛は7割以上がチェックしていなかった。

 保護者が「鼻水が治った」と説明する3歳児を調べてみると、鼻孔に鼻水の塊が付いて詰まった状態で奥にたまっていた例があり、「鼻水もせきもない」と保護者が語る1歳児が実は中耳炎だったというケースもあった。

 工藤さんは「(これらのケースでは)子どもが鼻づまりで息苦しそうにしていたり、耳を触っていたはず。保護者は鼻水やせき以外の様子もよく見てほしい。医師に正しく症状を伝えられれば、より早く適切な治療が受けられる」と指摘する。

 米国の医師が考案した基準は、見極めの項目に(1)泣き方(2)起きているかどうか(3)皮膚の色(4)脱水の有無(5)あやした時の反応--を列記している。弱々しくうめき泣いている▽抱っこしてもほとんど反応がない▽くちびるが乾いている--時などは要注意となるのでチェックしたい。

毎日新聞 2008年11月9日 東京朝刊

検索:

関連記事

11月9日子どもの風邪:受診の注意点は

サイエンス 最新記事

サイエンス アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報