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JR東海:市販の鉄道模型使い電車の運転士が訓練 浜松

「時速15キロを超えない速度で進行します」--。玩具とはいえ、取り扱いは実車さながらだ=浜松市のJR東海浜松運輸区で、高橋昌紀撮影
「時速15キロを超えない速度で進行します」--。玩具とはいえ、取り扱いは実車さながらだ=浜松市のJR東海浜松運輸区で、高橋昌紀撮影

 市販されている鉄道模型を手で動かして、本物の電車の運転士が訓練をしている。玩具大手「タカラトミー」(東京都葛飾区)の人気商品「プラレール」を使ったJR東海・浜松運輸区(浜松市)でのアイデア訓練だ。非常事態への対処能力を指導員がチェックする訓練で「立体的にあらゆる場面を体験できる」(JR東海)と、現場の評判は上々だという。

 JR東海は毎月1回、運転士に計2時間の指導訓練を義務付けている。鉄道模型を取り入れた訓練は06年7月に新幹線の運転士を対象に始まり、在来線では浜松運輸区が07年12月に初導入した。「踏切の異常を知らせる装置が作動した」など計12種類の非常事態を想定している。

 「無人駅のホームから乗客が転落した」との想定の訓練では、運転士がゆっくりと手で動かしていた鉄道模型をホーム手前でストップ。右手で車掌の呼び出しスイッチを押す動きをし、声を張り上げる。「ブーッ、ブーッ。車掌さん、車掌さん。非常通報灯が点灯したため、停車。旅客への案内を願います」

 線路上には手作りの紙人形が置かれる凝りようだ。運転士は「運転指令、運転指令。こちら432M運転士。乗客を救出」「上下線確認、異常なし」と次々に所定の動作を連呼。指導員は車掌や指令を演じつつ、手元のチェック表に合否を書き込んでいく。

 車両4編成とレール、踏切など模型の購入費は1万円弱。ホームや信号機、乗客の人形などは職員が手作りした上、実在する列車や駅、踏切の名前をつけ、時刻や天気も設定する。「管轄する全40駅と路線を再現可能。実物でも不可能な訓練ができる」と三石剛弘運輸区長。事故の再現教育にも活躍しており、今後は車掌との合同訓練なども計画中だ。

 運転士の大窪将広さん(30)は「最初は照れもありましたが、とっさに必要な動作を体験学習できる」。太田智之さん(28)も「机上の読み書きと違い動きがあるので頭に入りやすい」と歓迎する。JR東海によると、他の在来線の運輸区でも採用の動きが広がっているという。【高橋昌紀】

毎日新聞 2008年11月8日 10時49分(最終更新 11月8日 14時09分)

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