企業は慎重に利用を
小中学校の生徒の個人情報が漏れたケースでは、そこから大きな事件に発展していないのが不幸中の幸いだった。しかし一部の地域では、周辺の写真も公開されるGoogleストリートビューも提供されている。これらを組み合わせて、個人情報が悪用される可能性も多分に考えられる。
学校だけではない。すでに学習塾の生徒名簿や病院にいる患者、企業の顧客情報などが掲載された地図が閲覧可能になっている例がある。
ネット上の地図に情報を書きこんでおければ確かに便利ではあるが、危険が隣り合わせであることをユーザー側もサービス提供者側も認識し、必要なら対策を打つべきだ。Google側は「注意事項をよく読んで利用してほしい」としているが、現在の日本において、初期設定で「公開」は少々乱暴なやり方という印象は拭えない。
あらゆる場所でコンピュータが活躍している現代、小学校でパソコンやインターネットを利用した授業が実施されている。
ネットは便利だが、一方で使い方を誤れば危険なツールへと変貌する。一度ネット上に流れてしまった情報は、いかに削除したとしても、どこかで保存されている可能性がある。流出した時間ではない。ファイルであれば保存され、画像であったとしてもキャプチャが撮られて流布される可能性もある。
それをよく考えてネット上のサービスを利用する必要がある。不況の折、無料で提供されるネットサービスを利用するケースが企業でも増えてくるかもしれない。無料サービスの有効性を評価する一方で、一歩間違えれば情報漏えい、株価下落など社会的信用の失墜につながることも想定したい。「結局高くつく」かもしれないのである。
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