「夢の超特急」と呼ばれ、先頭車両の丸い団子鼻でおなじみの初代新幹線0系が今月いっぱい山陽新幹線で営業運転の後、十二月に「さよなら運転」を行い姿を消す。
東京五輪が開催された一九六四年十月、東海道新幹線開業と同時に「ひかり」「こだま」としてデビューした。最高時速は二百十キロで、東京―新大阪間を三時間十分で結び、それまでの特急による六時間半を大幅に短縮した。
コンピューターの集中制御による運転管理システムを備え、機関車けん引方式をやめ各車両にモーターを載せてスピードアップを実現するなど、旧国鉄技術を結集して開発された。
岡山開業は七二年三月十五日だ。この日を境に岡山県は空前の観光ブームとなり、駅前再開発などの街づくりが飛躍的に進んだ。岡山県の歴史にとって瀬戸大橋開通と並ぶエポックといえよう。
0系は老朽化に加えて、速度や乗り心地を改良した新型に押されて、昨年引退が決まった。四月からはデビュー当時の白と青の帯に塗り替えて運行している。
懐かしむ人が多いのだろう。営業運転最終日の三十日の指定席券が売り切れとなるなど、鉄道ファンの人気が高まっている。しかし、来月のさよなら運転の後は廃車の運命だ。岡山にゆかりが深いだけに、地元で残しておけないものか。