音楽プロデューサーの小室哲哉容疑者(49)らが著作権譲渡話をめぐる詐欺容疑で逮捕された事件で、06年の事件当時、年に計約2億円に上る小室容疑者の楽曲の著作権使用料(印税)収入のうち、小室容疑者側に入る分が4分の1の約5千万円にまで減っていたことがわかった。離婚した元妻に差し押さえられたり、借入先の音楽関連会社に権利を譲ったりしたためとされる。小室容疑者は事件当時、十数億円の借金を抱えていたとされ、大阪地検特捜部は借金が膨らむ一方で収入が減ったため行き詰まり、詐欺行為に及んだとみている。
特捜部によると、小室容疑者は自らが取締役を務める芸能事務所の関係者2人とともに、自作の806曲の著作権を譲渡せずにすべて所有しているように装い、10億円で売却するという虚偽の著作権譲渡話を兵庫県芦屋市の男性投資家(48)に持ちかけて、06年8月、前払い金として5億円をだまし取った疑いがあるとされる。
音楽著作権の場合、通常は一つの楽曲に作詞、作曲などに応じてそれぞれの著作権が発生する。著作者側は使用料収入を得る権利を残す形で音楽出版社などに著作権を譲渡して一本化。音楽出版社などは、日本音楽著作権協会(JASRAC)などに使用料の徴収を委託するのが一般的だ。
調べでは、小室容疑者も806曲すべての著作権をレコード会社側などに譲渡。年間の使用料収入はかつてはJASRACから直接入る約1億円、レコード会社側を経由する約1億円の計2億円が小室容疑者側に入っていた。
しかし、02年3月に公表された元妻との離婚後、慰謝料約7億円が支払えなくなり、JASRACから入る年間約1億円の使用料収入が差し押さえられた。そのため、小室容疑者が得られるのは、レコード会社側から入る年間約1億円に半減したとされる。