福岡県仏教連合会の招きで来日しているチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世(73)が4日、北九州市小倉北区の北九州メディアドームで講演。約6500人(主催者発表)の聴衆を前に「心を開けば、相手も自分も不信感やストレスが消え、心の平和が高められる」と「慈しみのこころ」の大切さを訴えた。
質疑応答では、チベット問題の解決に、日本が果たすべき役割について問われ「チベット仏教文化の破壊が進む現実を多くの人に知らせてほしい」と応じた。また問題解決は「世界の屋根」の異名を持つ同国周辺の生態系保護や中国、インドの政治的な関係改善にも資するとし「アジア、世界の平和に大きな影響がある」と強調した。
14世は1959年、中国統治に対する抵抗運動「チベット動乱」の最中にインドに亡命し亡命政権を樹立。非暴力を貫く活動で89年にノーベル平和賞を受賞している。
=2008/11/05付 西日本新聞朝刊=