防衛省の田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長(60)=3日付で定年退職=が日本の侵略を否定する論文を発表して更迭された問題で、防衛省は7日、新たに16人の航空自衛隊員がアパグループの同じ懸賞論文に投稿していたことを明らかにした。これで空自からの投稿者は94人となり、投稿者全体の4割を占める。
また、航空幕僚監部教育課が全国の部隊に懸賞論文の募集を紹介した例は今回だけだったことも判明。投稿状況の不自然さが際だってきた。
外薗(ほかぞの)健一朗・新空幕長は7日、就任会見を開き、田母神氏の論文について「集団的自衛権など憲法に関する部分は、シビリアンコントロール(文民統制)の観点から不適切で、国民の信頼を損ねた」と述べた。しかし、論文で侵略を否定した点は「歴史解釈の範囲で、防衛政策と分けるべき」とした。
外薗空幕長や同省によると、新たに投稿が判明した16人は、被災者救助などを担う空自航空救難団の飛行群本部や各地の救難隊に所属する佐官級6人、尉官級9人、1曹1人。田母神氏が過去に司令を務めていた小松基地の隊員1人も含まれ、同基地所属は63人となった。懸賞論文のテーマを幹部の論文指導の課題にしていた例は小松基地以外になかった。
空幕教育課が懸賞論文をファクスで各部隊に紹介したのは課長判断だったという。防衛省はなぜこの懸賞だけ紹介したか調べている。