アイ・モデラー3D Webエディション(Win)





魔物図鑑



「ブラッディウルフ(人狼)」



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     目の前に佇む謎の女性はテリアに静かな威圧を放ち続ける。


     「な・・・ハ・・ハチをどうするつもりだ!?」


     テリアが震える声で怒声を放つ。

     謎の女性は物怖じすることなく短く返答する。


     「殺す・・・」


     「!?」


     「・・・と言ったらお前はどうする? ・・・ふふ・・・」


     まるで何かを試しているような言葉をテリアに向けて放つ。影のある含み笑いは

     困惑するテリアの姿を見て楽しんでいるようにも見える。


     「ふざけるな・・・! ハチは・・・お前の好きにはさせない・・・!」


     その言葉に謎の女性はぴくりと反応する。


     「そうか・・・。それがお前の忠義か。ならば私を倒してみろ。」

     「!!」


     謎の女性は敵意を剥きだしにして身構える。

     ただならぬ殺気が辺りを包む。

     テリアは足が異様なほどに震えている。何故こんなことになったのか分からない。

     分かっているのは今ここで自分が目の前にいる謎の女性に打ち勝たなければハチの命は無い。

     もちろん戦闘経験なんてあるわけが無い。力仕事で鍛えた体には自信はあるが喧嘩なんてしたことが無い。

     先ほどの野盗にも敵わなかった自分が、あっさりと風のように野盗を蹴散らした目の前の女性を倒せるのか。


     万に一つも勝ち目は無い。


     だが逃げるわけにはいかない。


     テリアは拳を握り締める。


     (くそったれ・・・何なんだよ・・・畜生・・・!! 畜生・・・!!)


     一向にかかってこないテリアに謎の女性が野次を飛ばす。


     「どうした? 情け無い・・・足が震えているぞ? ふふ・・・所詮はその程度か・・・」


     謎の女性は呆れたようにテリアに背を向け、ハチに向かって歩き出す。

     こんな腰抜け、相手にするまでもないということだろうか。

     テリアも頭では分かってはいるが、どうにも動く事が出来ない。


     (くそ・・・駄目だ・・・足に・・・力が入らない・・・!! ハチ・・・)


     テリアはハチを凝視する。ハチはずっと気を失ったままだ。これでは逃げることもできない。

     謎の女性は再び腰を下ろし無抵抗なハチの体に手を伸ばす。


     次の瞬間テリアの恐怖が全て消し飛ぶ。


     「ハチに手を出すなあああああああああああああ!!!」


     自分でも何が起こったのか理解できない。

     気がついた時には握り締めた拳を振り上げ謎の女性に一直線に駆け出していた。

     テリアの視界が謎の女性、一点に集中する。

     謎の女性はゆらりと立ち上がりこちらにゆっくりと振り返る。

     ふいに・・・

     さっきまで確実に視界の中央に捉えていたはずの女性の姿が掻き消える。

     そして一陣の風が巻き起こる。さっき感じたものと全く同じ。

     ただ、さっきと違うのは風が自分の体のすぐ脇を吹き抜けたということ。

     喉元に激痛が走ったと思ったら視界が空の彼方を見上げる形になり、振動と共に後頭部に激痛が走る。


     一体何がどうしたのか全く分からない。

     気がついた時にはテリアは地面に片腕と両膝をつきもう片方の手で喉元を押さえ激しい嗚咽を放っていた。


     「どうする・・・まだ続けるか? だが・・・お前では私は倒せない・・・。」


     テリアの背後にいつの間に移動したのか、謎の女性の声が地面に這いつくばるテリアの後ろから聞こえてくる。


     「がはっ・・・はぁ・・・はぁ・・・ち・・・ちくしょ・・・なん・・・だって・・・ごほっ」


     喉元が熱を持ったように熱い。呼吸が上手くできないし全身に力が入らない。

     喘ぐテリアの脇を謎の女性が通り過ぎていく。


     「クドリャフカ・・・」


     謎の女性はテリアにそう呟く。そして一度歩を止め再度言葉を付け加える。


     「クドリャフカ・ライカ・・・私の名だ・・・。お前は?」


     どうやら名前を聞いているらしい。テリアは息を整え朦朧(もうろう)とする意識の中答える。


     「テ・・・テリア・・・テリア・ニッパー・・・ごほっ・・・!!」


     クドリャフカと名乗る女性は一言だけ言い放つ。


     「そうか・・・」


     後は興味無さそうに無言でハチに向かい歩いていく。

     テリアが持てる全ての気力を振り絞り立ち上がり、クドリャフカを意地でも止めようとする。


     「ま・・・待て!!」


     クドリャフカは一瞬立ち止まり振り向く。

     が、突如として辺りの霧が濃くなりクドリャフカを覆い隠す。


     「お前・・・まだやる気か? 言っただろう・・・お前では私は倒せないと・・・」


     何かとてつもなく不気味な気配がクドリャフカから発せられる。

     テリアは見えなくなったクドリャフカをなんとか視界に捉えようと目を細める。

     次第に霧が薄れていく。

     だが目の前に立っていたのは華奢な体つきの女性ではない。


     真っ黒な狼の姿をした異形なる者が二本足で佇み、金色に輝く瞳でこちらをぎろりと睨み付けている。

     口は大きく裂け牙が覗き唸り声をあげる。

     両腕は黒い毛で覆い尽くされ手からは鋭い爪が伸びる。

     ふさふさとした繊細な尻尾が風に揺れる。


     二本足で立つ狼が先ほどの女性の声でテリアに怒声を放つ。


     「・・・今すぐ去れ!! さもないと今度は容赦なくお前の喉を切り裂く!!」


     びりびりと空気が振動しテリアは完全に威圧され、大きく目を見開いたままぺたんと地面に尻をつく。


     「あ・・・ああ・・・あ・・・」


     何か喋ろうとしたが恐怖で声にならない。腰が抜け立ち上がることすらできない。


     (ま・・・魔物・・・!? そ・・そんな・・・何で・・・何でこんなところに魔物が!?)


     狼に姿を変じたクドリャフカは再び無言で、テリアには興味を示さず、倒れたハチのもとへと歩いていく。


     (ああ・・・ハチ・・・!! くそ・・・駄目だ・・・立てない・・・ハチが・・・ハチが・・・)


     殺されてしまう。


     もはやテリアの願いは天には届かない。

     野盗を倒し、ハチを救う者は現れたが、その野盗を倒した者によってハチが危険に晒されるのでは

     あまりに本末転倒だ。やはり人生は願った通りにすんなりとはいかない。

     特に一度噛み合わなくなった歯車は狂った時を刻み続ける。

     簡単には元には戻せない。

     クドリャフカは黒い体毛で覆われた大きな手ををハチに伸ばし、ハチのか細い喉を締め付ける。

     ハチはクドリャフカに喉を掴まれ宙吊りにされる。

     ハチの体が力なく首吊り死体のように天高く吊り上げられる。

     テリアが瞳に涙を浮かべ懇願する。


     「やめろ・・・!」


     クドリャフカはハチの顔を自分の顔に近づける。


     「やめろ・・・!!」


     クドリャフカが大きな口を開く。テリアが腹の底から声を出し叫ぶ。


     「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


     次の瞬間クドリャフカはハチの顔面に牙を剥く。

     テリアは強く瞳を閉じ絶望に打ちひしがれる。

     ハチの美しい顔に鋭い牙が突き立てられ、夥(おびただ)しいまでの血を滴らせながらグシャグシャに潰れ

     飲み込まれていくところをテリアは想像する。


     ・・・だが何か様子がおかしい。


     テリアは只ならぬ違和感を感じそっと瞳を見開く。


     見るとハチはクドリャフカに唇を奪われているではないか。

     そしてハチの薄い唇からどす黒い血が地面に滴り落ちている。


     その異常な光景を見たとき、テリアはハチの血がクドリャフカに吸われているのだと恐怖した。

     そして異形なる者と愛する者の口付けという常軌を逸した光景に目が釘付けとなる。


     さながらそれは La Belle et la Bete といった形容が相応しい。


     しかし今の状況は美女と野獣の美しい恋愛譚などではない。

     見るからにおぞましい不気味な光景である。

     そしてテリアは勘違いに気づく。ハチの口から滴る血はクドリャフカのものらしい。

     どうやらクドリャフカは自分の血をハチの口の中に流し込んでいるようだ。何故なのかは分からない。

     ただ純粋で無垢なハチが汚れた魔物の血を飲まされていると考えただけで

     テリアは心がバラバラになりそうな思いになり顔面は蒼白になる。

     涙が止まらない。

     このおぞましい行いも止められない。

     テリアは自分の無力さに放心し、まるで人形のようにただじっと黙って

     目の前の状況を他人事のように凝視するしかない。


     しばらくしてクドリャフカの動きが止まる。


     ハチの口から自分の口を離し、溢れた血を親指で拭うようにふき取るとハチを掴んだまま

     恐ろしい表情でテリアに向き直る。

     口からは止め処も無い鮮血が滴り落ちる。

     そしてハチを壊れた玩具のようにドサリと地面へ解放する。

     ハチは地面に足がついた瞬間、飴細工のように力なく地面に横たわる。


     ハチは全く動かない。


     死んでしまった。


     ハチが死んでしまった。


     クドリャフカは地面に横たわるハチに最早用は無いと、今度はテリアに歩み寄る。

     静かな威圧が放たれる。


     次はお前だ。


     無言でこちらを睨む黒い獣はそう言っているように思えた。

     テリアは途端に全身に力が漲(みなぎ)り絶叫し、脱兎の如く両手で這いつくばるように逃げ出す。


     「う・・・うああああああああああああああああああああああああああ!!」

     (殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される!!)


     テリアを恐怖が支配する。最早ハチのことは完全に頭の中から消し飛ぶ。

     涙で顔をぐしゃぐしゃに汚し、先ほどまでの勇敢な姿はどこへやら、

     情けなく負け犬のように尻尾を巻いて逃げ出す。


     「ふふ・・・それ見ろ・・・お前の犬は忠義を捨てたぞ・・・。

     それとも・・・あの情け無い姿がお前の主(マスター)か?」


     ふいに背後からクドリャフカの声が聞こえてくるも、振り返ることなく逃げ続ける。


     「まあどちらでもいい・・・。お前はもう鎖に縛られた犬ではない。

     お前は新たな主に仕える代わりに自由を得た。お前の血の望むまま・・・好きにするがいい・・・。」


     クドリャフカはぶつぶつと独り言のように呟き続ける。


     (何なんだよ!? 何が言いたいんだ!?

     俺が何をしたって言うんだ!? 何で・・・何で・・・ハチ・・・!!)


     テリアは必死に逃げ続ける。後ろは振り返らない。だがここに来てハチのことを思い出す。


     ハチは死んでしまった。


     そう考えると自然と足は止まり、悔しさと虚しさが黒い霧となってテリアの胸の内を覆い尽くしてゆく。


     「ちくしょう・・・・ちくしょう・・・」


     テリアの動きが止まる。拳を地面に叩きつけ震える。

     例え逃げ切れたとしてもハチは帰ってこない。


     ハチのいない世界で生きていても仕方ない。


     それほど大事な存在だった。今更思い返しても後悔と無念の気持ちしか沸いてこない。

     それがテリアの足を止めた原因だった。


     このままここでハチと共に死のう。


     その考えがよぎった瞬間、ふいにテリアの前に人影が佇む。


     テリアは、終わりか・・・と自分の最後を悟った。


     しかしその思いは聞き慣れた声によって完全に打ち崩される。


     「ふふ・・・テリア・・・私を置いて一人で逃げるの・・・?」

     「!!」


     恐怖のあまり幻聴が聞こえてきたのだろうか。この声はクドリャフカのものでは無い。

     紛れも無いこの声は・・・


     「ハチ・・・?」


     テリアが顔を上げる。

     目の前には死んだとばかり思っていたハチがいつもと変わらぬ微笑みでこちらを見ている。


     「ハチ・・・お前・・・・生きて・・・」


     テリアは目の前のハチが幻覚で無いことを確認する。

     ハチは生きていた。

     その喜びがテリアの胸の内を覆い尽くす黒い雲を掻き消し、再び生きる希望へと導く。

     テリアはすぐに目の前のハチの手を握り締め、叫ぶ。


     「ハチ!! い・・・今すぐ逃げるんだ!! ほら、早く!!」


     テリアはそう言うとハチの手を引き、走り出そうとする。

     だが次の瞬間ハチの腕は限界まで伸びきる。

     まるで大地に根を張ったかのようにハチは顔を俯かせ、その場から動こうとしない。

     テリアも全力でハチを引っ張ったというのにハチはぴくりとも動かせない。


     「ハチ? どうし・・・・!!」


     その時テリアは違和感に気づく。ハチの手が妙にふさふさとして熱い。まるで毛に覆われているかのように・・・。

     途端テリアの視線がハチの手に移る。それは見慣れた幼馴染の手ではなく


     まさしく先ほどの狼女と同じ獣の腕だった。


     テリアの表情が引き攣(つ)り絶叫する。


     「う・・・・うああああああああああああああああああああああああああああ!?」


     ハチは手を振り解こうとするテリアの腕を獣の腕で強く握り締める。

     物凄い力でテリアの手が握り締め上げられていく。


     「きゃふぅ・・・! テリアぁ!! ハチとあそぼー!! きゃうううううん!!」


     ハチは無邪気な笑みと幼い子供のような声色でテリアに声を放つ。

     テリアはハチに腕を掴まれ、宙を舞うように転倒させられる。

     鈍い衝撃音とともにテリアは再び地面へと叩きつけられる。


     「ぐあっ!?」


     テリアは先ほどと変わらず受身を取り損なうが

     すぐに起き上がり、尻をつく姿勢で両手で後ずさりしながらハチを凝視する。


     「きゃはははははははははははははははは!!」


     ハチは突然狂ったように声高らかに笑い出す。

     先ほどの発言といい態度と言い明らかに様子がおかしい。


     まるで頭の中に花畑でも咲いているかのように幸せそうに笑い続けている。

     ハチは片目を毛むくじゃらの獣の手で覆い隠し、テリアを片方の瞳で見つめる。


     よく見ると腕だけではない。体のほぼ半身がクドリャフカのように体毛に覆われ、瞳の色も金色に輝いている。

     興奮しているのか吐く息が荒く、まるで血に飢えた野犬のようだ。

     髪はボサボサに振り乱し、何の冗談か頭の上に犬の耳が生え、嬉しそうに尻尾まで振っている。


     テリアはハチの裸は見たことがないが自分の知る限り、犬耳も尻尾も生えてはいない極普通の人間の

     女の子だったはず、と思っていたのだが。

     ハチは狂おしいほどに色っぽい声でテリアに迫る。


     「ふ・・・くくくく・・・・テリアぁぁ!・・・ふふふ・・・・・? う・・・ううう・・・・・・

     ・・・いやぁ・・・何これ・・・体熱・・・私・・・どうしちゃったの・・・?」


     かと思うと、まるで二人の人格が鬩(せめ)ぎ合うようにハチは一人喋り続ける。

     テリアはすっかり変わってしまったハチに恐る恐る声をかける。


     「ハ・・・ハチ・・・? 一体どうし・・・」


     テリアが言い切る前にハチは突如狼の遠吠えのような雄叫びをあげ、テリアに突進してくる。


     「うるおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!」


     いつものハチの走り方ではない。


     少なくともハチは走るとき両手を地面について前足のようには使わない。


     などと冷静に事を分析していると、あっという間にテリアは暴走したハチに両手を握られ押し倒され

     挙句圧し掛かられる。これが普通のハチならばこれ以上に嬉しいことはないのだが今はそんな状況ではない。

     いや、しっかりと股間は反応しているんだがこれは不可抗力だ。などとテリアは誰に言い訳するでもなく

     胸の内に思う。ハチは腹を空かせた野良犬のように低く唸り鋭く尖った歯を覗かせる。

     もの凄い力で押さえつけられテリアは逃げることができない。

     テリアは自分に騎乗したハチを見上げ震えた声で話しかける。


     「ハ・・・ハチ・・・?」

     「ぐふるるるるる・・・テリア・・・テリアぁ・・・!!」


     途端ハチはその鋭い牙でテリアの衣服を乱暴に食いちぎり引き千切ってゆく。テリアは生きた心地もしない。

     テリアの胸元がはだけると、ハチは髪を振り乱し息を荒らげる。


     「ふぅぅぅ〜! ふくぅぅぅぅぅ〜! はぁ・・・はぁ・・・!」


     ふいに先ほどまで歯を食いしばっていたハチの表情が緩みきり快楽に溺れたような淫猥な笑みを浮かべる。


     「ふふふふふ・・・わ・・・私・・・どうしちゃったのぉ・・・・?

     すごいよぉ・・・すごい興奮する・・・体中の血が騒いで・・・私・・・私ぃ・・・!!」


     ハチの体からは野性的な獣の匂いが漂う。

     突如ハチはボロボロになった自分の服を両手で強引に破り去る。

     ハチのふくよかな乳房がプルンと弾む。ピンク色の乳首が今にもはちきれんばかりに勃起している。


     「いぎっ・・・!?」


     それを見てテリアは顔を真っ赤にして視線を逸らす。

     ハチは以前のハチからは考えられないほど淫乱で積極的になっている。

     テリアに自分の裸を見られても平然と・・・いや、むしろ喜びつつ自分の感情を素直に伝える。


     「あはははぁ・・・テリアぁ・・・私ねぇ・・・好きなのぉ・・・」


     もしこれがいつものハチの言葉ならどんなに嬉しいことだろう。

     いや、嬉しいんだが今は素直に喜べない。


     ハチは狂ったようにパコパコと腰を動かし

     発情した雌犬のように尻尾を振り、スカートをたくしあげテリアの股間に純白のパンティを擦り付けてくる。


     「私テリア好きぃぃぃぃ! テリアと交尾したいぃぃぃぃ!!

     交尾しよぉ! ねえ交尾ぃ! きゅうぅぅぅぅぅぅん!」


     ハチは甘える子犬のような鳴き声をあげるとテリアの露出した肌をくすくす笑いながら舌を這わせる。

     次第にハチはテリアの胸元、首、顎、と丁寧に嘗め回す。

     その度にハチの柔らかい乳房がテリアの硬い胸元に押し付けられ

     コリコリと硬い乳首が擦れテリアの体を刺激する。

     どうやらそれはハチも同じようだった。瞳を潤ませ頬を赤らめ、一心不乱にテリアに奉仕する。

     テリアはブルブルと震える。テリアはもう野獣と化したハチのされるがままである。


     「ちょっ・・・うわ・・・! ハチ・・・ハチやめ・・・やめてくれ・・・!!」


     ハチは主人に甘える大型犬のようにテリアの顔を舌で舐め回す。

     ハチの甘い吐息と獣の匂いが鼻を刺激する。

     頭が真っ白になって、もう何が何だか分からない。


     そんなテリアの背後から、含みのある声が聞こえてくる。


     「ふふ・・・そうか・・・お前がこの女の主だったか・・・」

     「!!」


     恐らくクドリャフカだろう。テリアは声のする方を向きたいがハチが執拗に舐めてきてそれどころではない。

     二人のじゃれあう光景になど興味が無いという風に構わずクドリャフカは話を続ける。


     「だが女・・・そいつはもうお前の主ではない。」


     クドリャフカはそう言うとハチの首を絞めるように遠くから自らの手をハチの喉元にかざす。

     途端ハチが仰け反るように背を曲げ両手を首に当て苦しみ出す。


     「きゃふうううううううううん!?」


     テリアはそんなハチとクドリャフカを交互に見る。

     クドリャフカはいつの間にか人の姿に戻っている。

     いや、そんなことは今どうでもいい。テリアが聞きたい事はひとつだけ。


     「なっ・・・お・・・お前一体ハチに何をした!?」


     クドリャフカはハチの首をあたかも握り締めるようにしながら答える。


     「ふふ・・・その女に私の血を飲ませた・・・。誇り高き我々狼の血をな・・・。

     人間にそれを行うとどうなると思う?」


     テリアには全く想像がつかない。


     「ふふふ・・・血を飲んだ人間は我々と同じ人狼の仲間入りをするのさ。」


     テリアの声が震え強張る。


     「な・・・なんだ・・・と・・・?」

     「だが今のままではその女はまだ犬も同然・・・折角自由を与えてやったというのに

     逃げ出した無能な主にまだ媚び諂(へつら)うとはな・・・!」


     クドリャフカの語尾が濁り、ハチの首を強く締め付ける。

     それに呼応しハチはテリアの上で苦しみ嗚咽する。


     「違う!! 俺はハチの主なんかじゃない! 頼む!! もうやめてくれ!!

     これ以上ハチを苦しませないでやってくれ!!」


     テリアは再び瞳に涙を浮かべる。

     何でハチがこんな酷い仕打ちを受けなければならないのか

     テリアは怒りと悲しみで胸が張り裂けそうになる。

     そして苦しむハチに何もしてやれない悔しさがテリアを押しつぶす。

     だがクドリャフカはやめない。冷徹な表情でハチに何かをし続ける。


     「だから教えてやろう・・・! 今お前が仕えるべき本当の主を・・・! 忠義を尽くす者を!」


     ハチの嗚咽が次第に力の篭った低い雄叫びとなる。


     「ウオオオオオオォォォォォォォ!!」

     「さあ! 誇り高き狼の血に目覚めよ!! 人狼ハチ!!」


     ハチの首の周りを締め付けるようにう眩い光輪が集中する。

     同時にハチが真っ黒な光に包まれてゆく。




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