魔物図鑑

「グール(屍人)」


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     ……数十年後


     村からほど近い森の中におどろおどろしい醜悪で奇怪な謎の建造物が出現する。

     最初は森の中心辺りに何かが飛び出しているように見えたそれは

     急速に塔のようなものを形づくり気がついた時には森の中心に得体の知れない

     見知らぬ謎の物体が不気味に佇んでいた。

     一体誰が何の目的でこのようなものを築き上げたのかは分からない。

     恐らくこの不気味な塔は完全に出来上がっているのだろう。だが完成したからといって

     何がある訳でも無く、むしろ何も起こらないことのほうが不気味なほどに存在を誇示し続けている。

     村の者は何かに怯え、恐れてその場所に近づこうともしない。

     村人達の間で流言がまことしやかに囁かれる。

     あの場所には悪魔が住んでいるのだと。

     あの場所を目指しても辿り付く事ができないのだと。

     そしてもし辿り付けたとしても一度あの建物の中に入ったものは生きては戻れないと。

     幾度か国から調査団が派遣されたがそのいずれも

     建物を囲むように生い茂る森で彷徨い、結局は森の入り口付近に戻されてしまう。

     遠目に見た感じではそこまで深くもない、ごく普通の森なのだが

     一度入り込むとまるで樹海のように地形が様変わりし

     真っ直ぐ建物を目指しても何故か同じところをぐるぐると彷徨っているような感覚に襲われ

     気がつくと森の入り口へと出てしまうという。

     調査は難航し奇怪な建造物は人々を嘲笑うかのようにただ静かに佇む。

     その建造物の薄暗い地下室で、怪しげなぼろぼろの衣装に身を包んだ筋骨隆々の男が一人。

     何やら作業に没頭している。

     床一面には良く分からない魔方陣のようなものが描かれ

     壁一面には数式のような何かの詩篇のような小難しい不可解な単語で埋め尽くされている。

     男は不気味な顔のような模様をしたフードですっぽりと顔を覆い隠し

     ブツブツと呪文のように何かを呟いている。

     ふいに男が動き出す。部屋の隅に置いてある古びた棺の蓋をずらし

     両腕を入れ中から何かを取り出しては床に描かれた魔方陣の上に規則正しく並べていく。

     そして・・・それは次第に形作っていく。人の形を。

     最後に男は棺から人間の頭蓋骨を取り出しそれを床へ置く。

     人間の骨で生前そうであったであろう姿を形作る。男はにやりと不気味に笑う。

     しかしすぐにその笑いは疑心と驚嘆へと変わる。骨が足りない。

     ちょうど右足の膝骸骨のあたりだろうか。

     他の箇所もボロボロで完全に人を形づくっているとは言えないがその箇所だけは他の箇所よりも酷い。

     その部分だけ空白が存在する。

     男は突然獣のような叫び声を発すると足を踏み鳴らし暴れ始めた。

     骨の入っていた棺をひっくり返し壁に放り投げ先ほど使っていた机の上のものを払いのけ、頭を抱える。

     だがしばらくすると男は不気味な笑い声と共に、自らの右足を前に出し、両手を膝の辺りにかざす。

     そして何やら呪文のようなものを低い声で唱える。

     次第に男の声が苦痛と嗚咽の入り混じったような叫びに変わったかと思うと

     両手に怪しい光が集中する。男の膝の肉が裂ける。

     ボコボコと沸騰した湯のように内側から膝の骨がせり出して肉を裂き

     血を撒き散らしながら爆発するように飛び出し床に放り出され転がる。

     それと同時に、男は断末魔の悲鳴に近い叫びをあげ、床に崩れ落ち、のた打ち回る。

     まるでゴムの玩具のようにグニャグニャと鮮血を噴出する自らの右足に両手をかざし

     苦しみ唸りながらも治癒の呪文を唱える。次第に血が止まり傷口が塞がっていく。

     常人ならそこで昏倒するであろうところを、この男は並外れた精神力で耐え抜き歯を食いしばる。

     激痛の残る右足を片手で庇い、這いながら先ほど飛んでいった自らの骨を拾いに行く。

     そしてその骨を床に並べた人骨の足りない部分に置くと、男は狂気にまみれた笑いを浮かべ

     完全に元通りとなった右足を押さえながらゆっくりと立ち上がりフードを脱ぐ。


     その姿には見覚えがある。


     顔は不健康に痩せ、目は落ち窪み、体格も昔程すっきりとしていないが

     この男は間違いなくあの雨の降りしきる日に愛する少女の墓を暴いた男コーネルである。

     と、言う事はこの並べられた骨はあの時の……。

     考えただけでも恐ろしい。一体コーネルは何を考えてこのような愚行をしでかしたのだろうか…。

     その瞳は死んだ魚のように濁り全く真意は読み取れない。

     先ほどの常軌を逸した行動も実に理解に苦しむ。自分の右足の骨の一部を麻酔もせずに

     抉(えぐ)り出すなどと。正気の沙汰ではない。

     コーネルは休む間もなく

     部屋の隅にある書棚から2000ページはあろうかという大きく尋常でない厚さの本を取り出す。

     そして並べた人骨の前に佇むと狂気にまみれた声で嬉々として言葉を発する。


     「さぁ…リアラ…始めようか……」


     コーネルは魔方陣の前に立ち、本を閉じたまま何かを呟き始める。

     もしやこの分厚い本の中身を暗記しているとでもいうのだろうか?

     物凄い速さで朗読していく。すると次第に床の魔方陣が光を放ち

     壁一面の文字のようなものもそれに呼応するかのごとく光を放つ。

     その状況の中、コーネルは黙々と謎の言葉を唱え続ける。

     少しづつ怪しげな黒いもやが発生し遺骨にまとわりついていく。

     そして完全に遺骨を黒いもやが覆い隠した頃

     コーネルが本の内容の最後の一節らしき部分を読み終える。


     すると、同時にコーネルの持っていた本から物凄い風圧と共に

     黒い闇があふれ出しコーネルの視界全てを飲み込んでいく。部屋は黒一色に塗りつぶされ

     コーネルは床へと弾き飛ばされる。

     次第に闇が遺骨に集中する。遺骨はまるで生きているかのようにムクリと起き上がり

     真っ黒な人の姿を形作る。

     そしてゆっくりと闇が遺骨に肉付けするように浅黒い皮膚へと変わり一人の少女の姿を形作る。

     その顔はまさしくコーネルが生き別れた、少女リアラのものだ。

     死ぬ直前のリアラの顔だ。


     …しかし、その体は異様なほどやせ衰え、皮膚には血が通っていないと思うほどに血色が悪く

     顔と胸の部分を除けば骨と皮しかない醜悪な等身大の人形のようだ。

     しかし、コーネルはその姿を見るや涙を流し狂気の笑みを浮かべ感嘆の声を洩らす。


     「おおぅ…おおぅ……リアラ…戻ってきてくれたんだね……俺のリアラ……!」


     リアラは能面のように無表情で、無感動に自らの体を一通り眺めるとゆっくりと前へ歩き出そうとする。

     しかしすぐに右足を力なく曲げその場に倒れこむ。


     「リアラ!」


     コーネルがすぐさま駆け寄り、リアラを抱きかかえる。

     リアラは無表情にコーネルを見つめるとかすれた声を発する。


     「…ここは……?」


     コーネルは心配そうにリアラに話しかける。


     「リアラ…良かった…また…君を抱ける日が来る事を……どれほど待ち望んだか……

     でも…ごめんよ……

     君の右足は完全に君のものじゃあない…あの日俺は君の右足をあの場所に置き忘れてしまった……

     でも大丈夫……すぐに取りにいこう……完全な君になる為に…それまでは……

     僕の骨で我慢しておくれ……」


     コーネルは狂った事をごく当たり前のように説明する。完全にイカれている。

     死んだ人間を外法により蘇生させるなど。それは全ての魔法学において禁じられている。

     いや、禁じなくともそのような事は実質不可能である。しかし、コーネルは蛇のような

     執念深さと狂気にも近いリアラへの愛情により、自らの半生を投げ打ってこれを見事

     に成し遂げた。だが、その出来栄えは余りにもお粗末な結果である。

     誰がどう見てもこの少女は人と呼ぶには程遠い。まさに化け物そのものである。

     だが、当のコーネルはそんな事は気にしておらず

     ぎらつく死んだ魚のような瞳をさらに不気味に輝かせてリアラの姿に興奮し欲情すらもしている様子である。

     リアラは死人のように冷たい。


     ふいにリアラがぼそりと呟く。

     「……さむい……おなかすいた……」

     コーネルはその言葉を聞くや一旦リアラから離れ、すぐに立ち上がり部屋の隅に置かれた

     薄汚れた箱の中から、箱の外見と似つかわしくない綺麗な純白の布のようなものを取り出し

     両手に抱えリアラの元に戻っていく。


     「ごめんよリアラ…気づかなくて……さあ…これを着させてあげよう…ほら…立ってごらん…」


     リアラは人形のように力なく、コーネルによって布を着せられる。

     そしてコーネルに手を引かれゆっくりと立ち上がる。

     コーネルは数歩後ずさり、その姿を見るや感嘆の声を発する。


     「おおぅ……美しい……綺麗だよ……リアラ……」


     リアラはその肌とは対照的な純白のウエディングドレスに身を包む。

     恐ろしく細い手足とウエストが人では到底真似できない妖艶さを醸しだす。

     こうして衣服を身に纏うと最早人との区別が付けられない。化け物は

     コーネルの手によって生前の姿に限りなく近づく。


     「さあ…リアラ……続きを始めよう…

     あの時果たせなかった約束の続きを……さあ……おいで…リアラ……」

     コーネルは両腕を大きく開きリアラの名を呼ぶ。


     リアラは歩き方を思い出したのか、片足を引きずるようにしてコーネルへと歩み寄る。

     そしてコーネルの胸に優しく包まれるように強く抱きしめられる。

     細い。まるで力を込めると折れてしまいそうなほど新しく生まれ変わったリアラは繊細だ。

     そんなことをこの狂人は考えている。

     コーネルは涙を流しリアラの耳元でそっと呟く。


     「時よとどまれ…お前は美しい……」


     リアラはコーネルの太い腕をじっと見つめている。

     そして次第に視線を胸のほうへと移していく。何か様子がおかしい。コーネルはリアラに話しかける。


     「……?リアラ?どうしたんだい…?」


     突然リアラはコーネルを力任せに床へと押し倒す。


     「!?」


     そして乱暴に衣服を剥ぎ取っていく。

     華奢な体からは想像もできないほどの力で衣服を破り捨てていく。

     コーネルは成すすべもなく胸をはだけさせられる。さすがに恐ろしくなったのかコーネルがリアラに

     静止の言葉をかける。


     「リ…リアラ!?何を…やめ……」


     リアラは飢えた獣のように瞳をギラギラと輝かせ、口の端から涎を垂らしている。


     「おなか…すいた……オナカスイタ……オナカスイタァァァァァァァァァァ!!」


     リアラが口を大きく開きコーネルに噛み付いてくる。

     コーネルはとっさに右腕を前に出すが、リアラはお構いなしにその差し出された右の二の腕に噛み付く。

     コーネルの右腕が噛み千切られる。


     「!!……ふ……ふふ…」


     …のではないかと錯覚したがコーネルは苦痛に表情を歪ませるどころか

     逆に嬉しそうな不適な笑い声を放つ。

     勢い良くコーネルの腕に噛み付いたリアラは、まるで赤ん坊が玩具を咥えるかのように

     力無くあぐあぐと二の腕を食(は)んでいる。

     コーネルは嬉しそうにその様子をじっと見つめる。


     「ふふふ…お腹が減ったのかいリアラ…?だけれどごめんよ…

     君の顎では到底俺の体は噛み千切れないよ。」


     コーネルはリアラを屍人として蘇生させる際の用意周到を怠らなかった。

     コーネルは最初からリアラを完全な人として蘇生させようとは考えていなかった。

     それは無理だと承知の上でなおリアラを自らの欲望の為に復活させたのだった。

     リアラをグールと呼ばれる生ける屍として。それはリアラの姿をした魔物であってリアラでは無い。

     きっとそのこともコーネルは理解しているだろう。

     結果、生まれたリアラは屍人特有の飢餓感を満たす為

     生きた人間の血肉を喰らおうとする習性を持つことになる。


     だがここでこの男の才覚が発揮される。


     ならば血肉を獲ることのできない体にしてしまえば良いではないかと。

     コーネルはそう考え、それを実現した。そして満たされないものは別のものに置き換えてやれば何も問題ない。

     この方法を使えば愛するリアラを蘇生させることができる。

     コーネルはそのような妄想を肥大化させ、今

     目の前の人間としても魔物としても不完全な言わば出来損ないを創り上げたのである。

     だが、なんと言われようがなんと思われようがコーネルは今の結果に満足そうである。

     リアラに腕を噛ませながらコーネルはリアラに喋りかける。


     「ふふふふ…リアラ…もう少し待ってておくれ…すぐに君の飢餓感を潤して人の心を取り戻してあげる。

     そしてあの頃の君のように僕に優しく笑いかけておくれ……」


     リアラは相変わらずはむはむとコーネルの太い二の腕に力無く噛み付いて上下の顎を必死に動かしている。

     ふいにコーネルが二の腕をどけると、今度はリアラは胸のあたりを噛みはじめる。

     しかしやはり力無くハムハムと顎を動かすだけ。なんとも無害なグールである。

     コーネルはまるで子犬と戯れるかのように自分の体をリアラに噛ませ、心地良い刺激に快楽の声を上げる。

     そんなコーネルを相手にすることなくリアラは必死に噛み付き続けるが

     全く肉を喰らうどころか皮を剥ぐことすらできない。

     リアラはふいに噛むのをやめると、コーネルに騎乗する形で両手をコーネルの胸に当てて上体を起こす。

     そして片言の言葉を悲しそうに呟く。


     「…カタイ…タベラレナイ……オナカスイタ……オナカスイタ……」


     リアラは両手を顔に押し当てすすり泣く。コーネルは息を荒らげ慰めの声をかける。

     しばし生まれ変わったリアラに魅了される。


     「リアラ……大丈夫だよ……すぐに君のお腹を満たしてあげる…。だから…もうしばらくこうして……

     君を見させておくれ……俺は……この為に……この瞬間を夢見て何年も死ぬ気で頑張ってきたんだ……」


     コーネルは達成感とリアラの姿に酔いしれる。

     リアラはそんなことどうでもいいといった風にブツブツとオナカスイタと呟き続ける。

     リアラは泣き続ける。…いや様子がおかしい。泣いているのではない。鳴いているのだ。

     突然リアラは両腕を目一杯横に開く。


     「キイアアアァアアアァアァァアアアアアアアアアァァ!!」


     鳴き声は突如として耳をつんざくような悲鳴に変わりその恐ろしい悲鳴を耳にした

     コーネルはビクンとのたうつ。全身に悪寒が走り背筋が凍りつく。そして恐怖する。


     「なっ…!? 体が……動かない……!? リ……リアラ!! 何を……」


     かろうじて声は出せるのだが体が痺れて力が出ない。リアラはコーネルに跨ったまま不気味に揺らめく。


     「……ネエ…コーネルハドコ……?」


     リアラが喋り出す。その質問はコーネルにとってはとても不可解極まりなかった。

     コーネルは慌てて自分がコーネルであることを教える。


     「な…何を…言ってるんだい…? リアラ…コーネルは…僕だよ…!

     ほら…良く見てご覧……!」


     リアラは必死に言葉を発するコーネルに対して無表情に言葉を返す。


     「チガウ…コーネルハ…アンタミタイナ…オッサンジャナイ……

     コーネルハ…ヤサシイノ……アンタハチガウ…」


     その言葉を聞いた瞬間コーネルは胸が張り裂けそうになる。

     そう。リアラの時間はあの時止まったままなのだ。今のコーネルは変わり果ててしまった。

     これでは気付くはずがない。

     せっかく蘇生に成功し、尚且つリアラの心を持ったグールは

     目の前の男が今自分が探しているコーネル本人であるという事が分からないのだ。

     リアラはどうやらコーネルの事を完全に思い出したようだ。


     「コーネルニアイタイ…アイタイノ……」


     次の瞬間、リアラから異臭が漂い始める。

     冷たく暗い死の匂い…

     湿った墓場の土の香り…

     コーネルは吐き気と不安と恐怖が込み上げてくる。

     後で打ち明けようと思っていたのが仇となった。リアラは自分をコーネルと認識しない。

     コーネルは懸命にもがくがまるで力が入らず、リアラを押しのけることができない。


     「うあぁ……! リアラ…リアラァァァア! やめてくれ! 何する気だ!?

     ああああぁぁあぁぁぁ!!」


     まるで紙の上に分銅がのしかかっているかのようにコーネルはひらひらと力なく暴れる。

     先ほどとは全く立場が逆転してしまっている。

     主導権を掌握したリアラは冷たく細い手をコーネルの股間に伸ばす。


     「・・・タベラレナイナラ・・・・・・・セイキデ・・・・イイ・・・・チョウダイ・・・・タクサン・・・・タクサン・・・・」


     コーネルの股間をリアラのか細い手が鷲掴みにする。

     恐ろしい程に冷たい。しかしリアラの冷たい手とは裏腹に

     コーネルの陰茎はパンパンに膨れ上がり激しく熱を発している。


     「い・・・嫌だ・・・・!リアラ・・・!待ってくれ・・・・・・!少し時間をくれ・・・!

     すぐに・・・すぐにお腹一杯にさせてやるから・・・!」


     だがリアラはまるで聞いていない。乱暴にコーネルのローブを破り捨てる。


     「ダメ・・・オナカガマンデキナイ・・・・・・イッパイチョウダイ・・・・・・」


     リアラはそう言うとウエディングドレスの裾を淫らにたくし上げ、自らの恥部に

     コーネルのペニスを挿入する。リアラの膣内は冷ややかだがぐいぐいとまるで

     食らいつくかのようにコーネルの陰茎をきつく締めあげてくる。

     信じられないほどの快楽がコーネルの全身を駆け巡る。


     更にはまだ挿れたばかりだというのにコーネルはもう絶頂に達してしまう。


     「まっ…やめ……ぐあぁ…あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!?」


     しかもただの絶頂ではないこれまで感じたことのない快楽が全身を揺さぶり

     コーネルの思考を鈍らせていく。


     「アッ・・・! アアアアアアアア! キタアアアアア! オイシイィィ!

     オチ○ポジルゥゥ!モット! モットコクテオイシイノォォォォォ!!」


     
びゅくびゅくびゅく!!


     コーネルの熱い精液がリアラの冷たい膣内に注ぎ込まれる。

     しかし射精したというのにリアラはコーネルのペニスを放さない。

     熱したペニスがリアラの冷たい肉のひだによって急激に冷却される。

     おまけに今射精したばかりだというのにコーネルのペニスは

     一向に萎(しお)れる事が無く勃起が治まらない。


     「リッ……リア……ラッ!! やめ…も…も…!もっと…ゆっくり…!! うああぁ!!」


     淫乱な花嫁は白いウエディングドレスに身を包み激しく自ら腰を振り

     もっと頂戴といわんばかりに虚ろな瞳でコーネルの顔を見つめている。


     「ダメエエエエ! リアラハゲシイノガスキナノ! ハゲシクシタライッパイセイエキ

     ダスッテシッテルンダカラ!! モットワタシヲミダラニミタシテエエ!」


     ドクドクと白く濃い液が絶え間なく射精され続ける。虚ろなリアラの瞳を見ると自然と体が無抵抗になり

     この快楽に身を委ねたくなる。


     そしてまたもコーネルは絶頂に達する。


     
びゅくんびゅくん!!


     リアラが不気味なほど良く透る喘ぐかのような甘い溜め息を吐く。


     「ハアアアアア…! チンポコ…ワタシシラナイオッサンノキタナイチンポコ

     オマ○コニイレテルヨオオオオオ!! スゴイイイ! オナカイッパイニナルウウ!!」


     湿った土の匂いがあたりに充満する。しかし何故だかとても心地良い。

     リアラに知らないオッサンと言われるのももうどうでも良くなってきた。

     このままリアラの膣内に射精し続けられれば他のことなどどうでもいいと思える。

     ヌルヌルと泥のように愛液がペニスに絡みつく。


     
びゅくびゅくびゅく!!


     そして三度目の絶頂に達する。もうコーネルに体力はほとんど残っていない。

     なんだかこのまま眠りにつきたくなる。頭の中が真っ白になっていく。


     「リ……ア…ラ……」


     体が酷く気だるい。もう何も考えられない。

     しかもどんなに射精してもペニスの膨張が収まらない。

     逆にもっと沢山射精したいという欲情だけが際限なく沸き続ける。

     そして次第にコーネルは深い眠りへと堕ちていく。

     彼が最後に見たものはまるで狂ったように腰を振り冷たい瞳で無表情に自分を見つめる

     リアラの姿とベコベコと音を立てやせ細っていく自らの腹と胸板。もう止まらない。


     リアラはく自らの陰部を餌を求める鯉の口のように伸縮させながらコーネルの精を搾り取っていく。


     「オ…オナカアア! オナカフクレルゥゥゥ!! ワタシノナカガオチ○ポミルクデ

     ミタサレテイクヨオオオオオ!! トッテモコクテノドニカラミツク

     イチバンシボリイイイイイイイ! !クチマ○コカラアフレテルウウウウウ! アアン!」


     リアラは狂ったように絶叫する。よほど嬉しいのだろう。リアラは自分を満たす方法を発見してしまった。

     まるでヒルのように痩せた体は吸収した精液の分だけ膨れ上がり

     まるで妊娠しているかのように

     ウエディングドレスを着たままタプンタプンと

     恐らく搾り取った精が詰まっているであろう大きな腹を震わせ狂喜乱舞する。

     あまりにおぞましい姿。最早コーネルは餌でしかない。

     コーネルは酷い悪寒が全身を駆け巡ったかと思うと

     暗い土の香りが口の中いっぱいに広がり次第に何も感じなくなっていく。


     …………


     しばらくしてリアラは腰を振るのをやめ、コーネルのペニスを引き抜く。

     さっきまであんなにそそり立っていたコーネルのペニスは、精という精をリアラに吸い取られ

     まるで枯れた木の棒のように萎れてしまっている。


     コーネルは精気を完全に絞りとられ、その体はミイラのように変わり果てた。

     リアラはその変わり果てたミイラが、かつて自分が愛した者だと最後まで気づくこともなく

     無感動に枯れた死体を見つめている。


     よもやコーネルもそこまでは予想できなかった。

     まさか信じていたはずのリアラに期待を裏切られようとは…。

     自分の招いた結果ではあるが何とも哀れな幕切れである。

     コーネルの創りだした最強最悪のダッチワイフは

     もう用もなくなったのか無感動にゆっくりと立ち上がり辺りを見回す。


     「……お腹すいた……全然満たされない………」

     リアラのパンパンに膨れていた腹はあっと言う間に元の状態へと伸縮していく。

     これではいくら精を吸い取ったところで満たされることなどありはしない。

     リアラは先ほどよりも人間らしい機敏な動きで辺りを見回す。


     視界の中に上の階へと続く扉を捉える。

     するとまるで何かに誘われるかのようにふらふらとそちらへ向け歩き出す。

     薄暗い階段を一歩一歩足を前に出し上っていく。もう右足に違和感は無いようだ。


     「コーネル……どこに居るの……?」


     リアラは建物の内部を彷徨う。何かを求め徘徊する。


     「もう一度……会いたい……それに……お腹すいた…食べたい…もっと…いっぱい……」


     リアラは外へと繋がる入り口を発見する。今のリアラを突き動かしているのは

     コーネルに会いたいと思うリアラの気持ちと飢餓感を満たしたいと思うグールの血である。


     リアラは重たい扉をこじ開け建物の外へと出て行く。


     外は夜の闇が広がっている。リアラは天に輝く月を見上げると無言で歩き出す。

     リアラは美しい花嫁衣装を翻し、ゆっくりと森の中へと足を踏み入れる。

     リアラは鼻をヒクヒクと動かし不気味に光る赤い目で遥か森の奥を眺める。


     「…あっちから……美味しそうな……匂いがする……」


     深く暗い森の中へとリアラは消えていく。

     その姿はまさに幽鬼。獲物を求め彷徨う魔物の姿そのものである。

     ざわめくように木々の葉が風に揺れると、何事も無かったかのように静寂が訪れる。

     そしてリアラはコーネルが対侵入者用に張り巡らした森の結界に閉じ込められる。

     決して反対側に抜ける事の出来ない結界。コーネルが死した後もまだ機能しているのだ。


     こちら側に戻ることができても、あるのはただ不気味に聳(そび)え立つ建物と

     その地下で果てたリアラが会いたいと望んだ者の死体。しかしリアラは知るよしもない。

     こうしてリアラはこの閉ざされた空間でいつ果てるともしれない体で白き衣を纏い

     決して会うことのできない者を探し続け、満たされぬ欲求に苦しみ続ける。

     その悲劇を知る者はどこにもいない・・・・・・。



                                                               
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